TOP > 国内特許検索 > ショ糖リン酸合成酵素遺伝子を利用した植物の草丈の制御

ショ糖リン酸合成酵素遺伝子を利用した植物の草丈の制御

国内特許コード P100001052
掲載日 2010年10月1日
出願番号 特願平11-068604
公開番号 特開2000-262283
登録番号 特許第3790811号
出願日 平成11年3月15日(1999.3.15)
公開日 平成12年9月26日(2000.9.26)
登録日 平成18年4月14日(2006.4.14)
発明者
  • 石丸 健
  • 小野 清美
  • 大杉 立
  • 大川 安信
  • 小沢 憲二郎
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 ショ糖リン酸合成酵素遺伝子を利用した植物の草丈の制御
発明の概要 【課題】 本発明は、ショ糖リン酸合成酵素遺伝子の発現を制御することによる植物の草丈を制御する方法、および植物の草丈の制御に利用するための分子を提供することを課題とする。
【解決手段】 ショ糖リン酸合成酵素遺伝子を導入することにより、植物の草丈を増加させることに成功した。ショ糖リン酸合成酵素遺伝子が植物の草丈に関与するという報告はこれまでになされておらず、本発明者らは、ショ糖リン酸合成酵素遺伝子を利用することにより、植物の草丈を制御することが可能であることを見出した。
従来技術、競合技術の概要


ショ糖は植物体内における光合成産物(photoassimilate)の主な輸送形態であり、ショ糖リン酸合成酵素(EC2.4.1.14,SPS)とショ糖リン酸フォスファターゼ(EC3.1.3.24,SPP)により触媒される2つの反応を経てUDPGとF6P(フルクトース-6-リン酸)から合成される。ショ糖リン酸合成酵素(SPS)は、糖代謝全体を制御するキーエンザイムであり、一般に、ショ糖リン酸合成酵素はショ糖合成の律速酵素となると考えられている(Huber S.C., 1983, Plant Physiol 71:818-821; Stitt M.ら, 1987, "Control of photosynthetic sucrose formation" in Hatch M.D. and Boardmann N.K. eds., The Biochemistry of Plants, Vol. 10, Photosynthesis, Academic Press, New York, 327-409)。HuberおよびIsraelはダイズ植物体を用いて、葉のデンプン含量はショ糖リン酸合成酵素活性と負に相関(r=-0.71)していることを示し、ショ糖リン酸合成酵素はショ糖だけでなくデンプンの形成を調節する鍵となっていると結論づけた(Huber S.C. and Israel D.W., 1982, Plant Physiol 69:691-696)。



ショ糖リン酸合成酵素はある種の植物(オオムギ、トウモロコシ、イネ、ホウレンソウ、およびテンサイ)では光により活性化するが、他の種(ダイズ、エンドウ、タバコ、アラビドプシス(Arabidopsis thaliana)、キュウリ、およびメロン)では明期/暗期の移行に影響を受けない(Huber S.C.ら, 1989, Plant Cell. Physio1. 30:277-285; Lunn J.E. and Hatch M.D., 1997, Aust. J. Plant Physiol. 24: 1-8.)。ショ糖リン酸合成酵素活性はタンパク質のリン酸化により調節されている(Huber J.L. ら, 1989, Arch. Biochem. Biophys. 270: 681-690; Huber S.C. and Huber J.L., 1990, Curr. Top. Plant. Biochem. Physiol. 9: 329-343; Huber S.C. and Huber J.L., 1990, Arch. Biochem. Biophys. 282: 421-426; Huber S.C. and Huber J.L., 1991, Plant Cell Physiol. 32: 319-326)。ショ糖リン酸合成酵素には活性型と不活性型がある。不活性型は、ショ糖リン酸合成酵素がショ糖リン酸合成酵素キナーゼによりリン酸化されると生じ、活性型は、ショ糖リン酸合成酵素がショ糖リン酸合成酵素フォスファターゼにより脱リン酸化されると生じる。明期/暗期の移行における活性制御に関しては、トウモロコシショ糖リン酸合成酵素の主なリン酸化調節部位は、Ser162と同定されている(Huber S.C. ら, 1995, Am. Soc. Plant Physiol., 35-44)。イネのショ糖リン酸合成酵素にもまた相同のセリン残基があり、その周辺のアミノ酸もトウモロコシのショ糖リン酸合成酵素と相同である(Valdez-Alarcon J.J.ら, 1996, Gene 170:217-222)。



ショ糖とデンプン間の炭素分配は種によって異なっている(Huber S.C., 1981, Z.Pflanzenphysiol. Bd. 101:49-54; Lunn J.E.and Hatch M.D., 1995, Planta 197:385-391)。ダイズやキュウリなどでは、主に葉にデンプンを蓄積する。一方、イネやホウレンソウなどのようにショ糖を葉に蓄積するものもある。これまでのところ、トウモロコシショ糖リン酸合成酵素遺伝子を高発現するトランスジェニック植物体は、トマト(Worrell A.C.ら, 1991, Plant Cell 3: 1121-1130; Galtier N.ら, 1993, Plant Physiol. 101: 535-543; Galtier N.ら, 1995, J. Exp. Bot. 46: 1335-1344; Micallef B.J.ら, 1995, Planta 196: 327-334)やアラビドプシス(Signora L.ら, 1998, J. Exp. Bot. 49: 669-680)のように、葉において光合成産物をよりデンプンに分配する植物からしか作出されていない。これらのトランスジェニック植物体においては、トウモロコシショ糖リン酸合成酵素の高発現により、葉におけるショ糖/デンプン比が増加した(Galtier N.ら, 1993, Plant Physiol. 101: 535-543; Signora L.ら, 1998, J. Exp. Bot. 49: 669-680)。しかしながら、葉において光合成産物をよりショ糖に分配する植物においても同様な効果が得られるかどうかは不明確であった。



また、トマト、アラビドプシスでの形質転換体の解析から、ショ糖リン酸合成酵素の高発現により収量が野生種に比べ有意に増加したことが報告されている(Micallef et al., 1995, Planta 196: 327-334)。

産業上の利用分野


本発明は、ショ糖リン酸合成酵素遺伝子を利用した植物の草丈の制御に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
イネ科植物において、植物由来のショ糖リン酸合成酵素をコードするDNAの発現を制御することを特徴とする、該イネ科植物の草丈を制御する方法。

【請求項2】
イネ科植物がイネである、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
ショ糖リン酸合成酵素をコードするDNAが単子葉植物由来である、請求項に記載の方法。

【請求項4】
ショ糖リン酸合成酵素をコードするDNAが単子葉植物由来である、請求項2に記載の方法。

【請求項5】
単子葉植物がイネ科植物である、請求項3に記載の方法。

【請求項6】
単子葉植物がイネ科植物である、請求項4に記載の方法。

【請求項7】
単子葉植物がトウモロコシである、請求項3に記載の方法。

【請求項8】
単子葉植物がトウモロコシである、請求項4に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close