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部分構造の最適化方法

国内特許コード P100001086
整理番号 P2008-282621
掲載日 2010年10月27日
出願番号 特願2008-282621
公開番号 特開2010-108456
登録番号 特許第5477755号
出願日 平成20年10月31日(2008.10.31)
公開日 平成22年5月13日(2010.5.13)
登録日 平成26年2月21日(2014.2.21)
発明者
  • 山崎 徹
  • 黒田 勝彦
  • 鞍谷 文保
出願人
  • 学校法人神奈川大学
発明の名称 部分構造の最適化方法
発明の概要 【課題】 構造体のサブシステムに対する詳細設計が可能であって、部分構造を組み込んだ構造体の実稼動状態における騒音を効果的に低減させることができる、部分構造の最適化方法を提供する。
【解決手段】 構造体の振動騒音の低減に対し、変更の対象となる部分構造を特定する第一のステップと、部分構造の有限要素法によるモデルを作成する第二のステップと、作成した有限要素法によるモデルのサブシステム間の結合損失率等を算出する第三のステップと、算出した結合損失率等と目標値との差が許容範囲内か判定する第四のステップと、目標値との差が許容範囲内にない場合には、最適化アルゴリズムに従って、部分構造に存在する要素の物性値を更新する第五のステップとを含み、算出した結合損失率等と目標値との差が予め設定した許容範囲内になるまで、第二のステップから第五のステップまでを繰り返して行う。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要



振動騒音解析手法として、統計的エネルギー解析法(Statistical Energy Analysis)(以下、「SEA」ということがある。)がある。SEAは、構造体を対象系(system)のサブシステム(SEA要素)の集合体とみなし、サブシステム間のパワー平衡に着目する。





サブシステムの集合体から構成された対象系(構造体)についてのSEA基礎式は、次式で表すことができる。

【数1】






ここで、Pは入力パワーベクトル、ωは中心角周波数、Lは損失率マトリクス、Eは要素エネルギーベクトルである。損失率マトリクスLは、サブシステム内で熱エネルギーとして損失する減衰を表した、サブシステムiの内部損失率ηi,i(Internal Loss Factor)(以下、「ILF」ということがある。)と、結合されたサブシステム間のエネルギー伝達を表した、サブシステムiからサブシステムjへの結合損失率ηi,j(Coupling Loss Factor)(以下、「CLF」ということがある。)を成分とする。





SEAによるモデルは、構築方法によって、理論式に基づく手法(解析SEA)、計測データに基づく手法(実験SEA)、有限要素法(Finite Element method)(以下、「FEM」という。)の解析結果を用いてSEAパラメータを評価する手法に大別することができる。





解析SEAは、高モード密度構造物(いわゆる高周波数域)の振動騒音に有効で、設計段階での利用が可能であり、試作実験が困難である航空宇宙、船舶、建物などの大型構造分野で盛んに使用されている。また近年、解析SEAは、自動車などの小型構造分野の空気伝搬音解析にも不可欠なツールとなっている。





解析SEAにおいて、CLFの理論式は、構造や音場の要素形状が単純である場合、これまでに多くの研究者によって導出されている。サブシステムiからサブシステムjへのCLF(ηi,j)は、例えば、板iと板jが結合長Li,jで結合している場合には、次式により、机上で評価することができる。

【数2】






ただし、τi,jはサブシステムiからサブシステムjのエネルギー透過率、cgiはサブシステムiの曲げ波群速度、Siはサブシステムiの表面積である。また、niはモード密度(角周波数あたりのモード数)で、サブシステムが板状物の場合には、ni=Siω/πcgiで表される。





なお、解析SEAは、モーダルオーバーラップ係数(MOF=ωniηi,j)が1を超えるような系において有効とされる。





以上、解析SEAにおいて、CLFは、概略寸法(サブシステムの表面積、板厚、材質、結合長など)及びモード密度で記述され、サブシステムの形状や境界条件の情報を含まない。それ故、解析SEAは、構造仕様の詳細が決定していない設計の上流段階では利用可能であるが、サブシステムの形状などの部分構造の詳細な検討には利用不可能である。





一方、大量生産品で、試作実験が容易かつ構造が複雑な小型の構造分野における固体伝搬音解析には、実験SEAやFEMの解析結果を用いてSEAパラメータを評価する手法が使用されることが多い。





実験SEAでは、対象系が既存の場合、加振実験で、入力パワー及び要素エネルギーを計測すれば、ILFとCLFを評価することができる。パワー注入法(Power Injection Method)は、ILFとCLFを同時に評価する方法であるが、サブシステムが3つ以上の対象系では、計測が大掛かりとなり、逆行列が求まらない場合や負の損失率が得られる場合もあるため、実用的に困難なことが多い。隣接したサブシステムだけに着目してCLFを評価する近似的パワー注入法は、計測規模が小さいため、安定したCLFの評価が可能であることから、実用的であるといえる。この場合、ILFの評価方法には、室内音響で利用される残響時間を用いる方法、SEA基礎式及びCLFから算出する方法などがある。





FEMは、対象系の形状の制限がほとんどなく、寸法、境界、荷重などの解析条件を実物に即して作成すれば、任意の周波数、任意の位置の詳細な応答予測が可能である。高次モード域(すなわち高周波数域)までFEMによる解析を行う場合には、FEM要素の大きさを小さくする必要があり、それに伴い、解析規模は大きくなる。





FEMの解析結果を用いてSEAパラメータを評価する手法は、非特許文献1及び非特許文献2に記載されている。非特許文献1及び非特許文献2に記載された手法では、ILFはFEMモデルで設定した減衰に依存するため、ILFに応じたCLFが求められ、実験SEAでしばしば経験されるILFによるCLFの変化も表現することができるようになる。

【非特許文献1】

. Maxit, J.-L. Guyader, Estimation of SEA coupling loss factors using a dual formulation and FEM modal information Part 1: theory, Part 2: numerical applications, Journal of Sound and Vibration, 239, (2001) , pp.907-948.

【非特許文献2】

.R.Mace, P.J.Shorter, Energy Flow Models from Finite Element Analysis, Journal of Sound and Vibration, 233, (2000), pp.369-389.

【非特許文献3】

崎 徹,黒田 勝彦,森 厚夫,SEAによる機械製品の固体音低減プロセス,日本機械学会論文集(C編),73巻,726号(2007),446-452

産業上の利用分野



本発明は、振動音響解析を行う統計的エネルギー解析法を利用した部分構造の最適化を通じて、部分構造を組み込んだ構造体の騒音の低減を図る、部分構造の最適化方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
構造体をサブシステムの集合体とみなして、振動音響解析を行う統計的エネルギー解析法を利用した、該構造体の二つのサブシステムと該二つのサブシステムを結合する結合部とからなる部分構造を最適化する部分構造の最適化方法であって、
前記部分構造の最適化方法は、前記構造体の振動騒音の低減に対し、変更の対象となる部分構造を特定する第一のステップと、特定した部分構造と前記構造体に存在する他のサブシステムとの結合部の境界条件を前記結合部の構造によらず任意とする部分構造についての有限要素法によるモデルを作成する第二のステップと、第二のステップで作成した有限要素法によるモデルについてのサブシステムの内部損失率及び/又は隣接するサブシステム間の結合損失率を算出する第三のステップと、第三のステップで算出した内部損失率及び/又は結合損失率と内部損失率及び/又は結合損失率の目標値との差が予め設定した許容範囲内にあるか否かを判定する第四のステップと、第四のステップにおいて、第三のステップで算出した内部損失率及び/又は結合損失率と内部損失率及び/又は結合損失率の目標値との差が予め設定した許容範囲内にないと判定した場合には、該第三のステップで算出した内部損失率及び/又は結合損失率に基づき、最適化アルゴリズムに従って、前記部分構造に存在するサブシステムの物性値を更新する第五のステップとを含み、該第二のステップ乃至該第五のステップをコンピュータに実行させることを特徴とする部分構造の最適化方法。

【請求項2】
前記第一のステップは、前記構造体に存在する全てのサブシステムの内部損失率及び/又は全てのサブシステム間の結合損失率に基づき、前記変更の対象となる部分構造を特定するものであり、かつ前記第一のステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の部分構造の最適化方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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