TOP > 国内特許検索 > 水銀イオンの検出方法及びキット

水銀イオンの検出方法及びキット

国内特許コード P100001088
整理番号 P2009-053416
掲載日 2010年10月27日
出願番号 特願2009-053416
公開番号 特開2010-210250
登録番号 特許第5618264号
出願日 平成21年3月6日(2009.3.6)
公開日 平成22年9月24日(2010.9.24)
登録日 平成26年9月26日(2014.9.26)
発明者
  • 小野 晶
  • 岡本 到
出願人
  • 学校法人神奈川大学
発明の名称 水銀イオンの検出方法及びキット
発明の概要 【課題】被験試料においてHg(II)イオンが存在する場合に蛍光発光し、かつ上記一本鎖DNAよりも重金属イオンに対する影響の少ない物質を用いた、被験試料中のHg(II)イオンを検出する方法を提供する。
【解決手段】被験試料、第一の一本鎖核酸、及び第二の一本鎖核酸を含む溶液を得ること;及び、得られた溶液に励起光を照射し、該照射により発生するエキシマー発光を検出することを含む、水銀イオンを検出する方法により解決される。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



近年、わが国や欧米などの先進国だけでなく、中国などの開発途上国において、水銀の排出が問題となっている。溶液中の水銀イオン(Hg(II)イオン)は、生物体に摂取されると、メチルコバラミンなどの酵素によってメチル化されメチル水銀に変換される。メチル水銀は、強い中枢毒性があり、水俣病に代表されるような神経系疾患を引き起こし得る。また、メチル水銀は、脂溶性が高く、生物濃縮により多種多様な生物種に影響を及ぼす可能性の高い拡散性の強毒性物質である。





溶液中のHg(II)イオン濃度の検出は、一般的に、気化された水銀蒸気の特有の紫外吸収スペクトルを測定する、原子吸光分析法により実施されている。また、近年では、多種類の微量元素を同時に測定することができる、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法も利用されている。これらの分析法は、それぞれ原子吸光分析装置及びICP発光分光分析装置を用いて実施される。





原子吸光分析装置やICP発光分光分析装置を用いた分析法は、高感度のHg(II)イオンの定量を可能とする。しかし、原子吸光分析装置やICP発光分光分析装置の移動は困難であり、これらの装置の保守や利用に際しては、専門知識を有する熟練経験者を必要とする。したがって、これまでの原子吸光分析法やICP発光分光分析法は、利便性及び迅速性を欠く方法であった。





一方、本発明者らは、これまでに、DNAの二本鎖中のチミン-チミン(T-T)塩基対にHg(II)イオンが選択的に結合することを見出し報告している(非特許文献1及び2を参照)。また、チミンはウラシルの5位がメチルである5-メチルウラシルであるが、この5位のメチルを水素、ハロゲン、シアノ基などで置換したウラシル類もまたHg(II)イオンを結合し得ることも見出し報告した(非特許文献3を参照)。





以上の知見を基にして、本発明者らは、被験試料中にHg(II)イオンが存在する場合に、分子内でT-Hg-T塩基対を形成する一本鎖DNAを合成し、さらにこの一本鎖DNAを用いて溶液中のHg(II)イオンを検出する方法を開発した(非特許文献4を参照)。上記一本鎖DNAは、第一の塩基配列及び第二の塩基配列がリンカーを介して連結されており、末端に蛍光性基(フルオレセイン)と消光性基(ダブシル基)を有する。上記一本鎖DNAは、被験試料中にHg(II)イオンが存在しない場合は、一本鎖の状態を維持して蛍光発光する。しかし、被験試料中にHg(II)イオンが存在すると分子内でT-Hg-T塩基対を形成し、蛍光は消光する。したがって、上記一本鎖DNAを用いたHg(II)イオン検出法は、被験試料中の蛍光消光の程度を検出することにより、被験試料中のHg(II)イオン濃度を簡便かつ迅速に検出することができる方法であった。

産業上の利用分野



本発明は、核酸を利用した水銀イオンの検出方法及びキットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被験試料、下記一般式(1)
【化1】


(式中、Exはエキシマー形成可能な蛍光性基を有する塩基を表し;T’は置換されていてもよいチミンを表し;Nはアデニン、チミン、シトシン又はグアニンを表し;a、b、g、h、nおよびmは、それぞれ独立して0~10の整数を表し;c及びfはそれぞれ独立して1~10の整数を表し;d及びeは3を表し;並びに、5’及び3’はそれぞれ5’末端側及び3’末端側であることを表す。ただし、T’及びNは、それぞれ互いに同一でも異なってもよい)
で示される塩基配列を含む第一の一本鎖核酸、及び下記一般式(2)
【化2】


(式中、Ex;T’;a;b;c;d;e;f;g;h;n;m;5’及び3’は上記と同義であり;及び、N'g、N'e、N'd及びN'bは、それぞれ上記Ng、Ne、Nd及びNbと相補的な塩基を表す)
で示される塩基配列を含む第二の一本鎖核酸を含む溶液を得ること;及び、
得られた溶液に励起光を照射し、該照射により発生するエキシマー発光を検出することを含む、水銀イオンを検出する方法であって、
前記エキシマー形成可能な蛍光性基を有する塩基が、下記一般式(5)
【化3】


(式中、Rはピレンを表し、Xは塩基を表し、及びkは2を表す)
で示される、方法

【請求項2】
前記第一の一本鎖核酸又は前記第二の一本鎖核酸における置換されていてもよいチミンの総数が、1個~10個である、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記置換されていてもよいチミンが、無置換のチミン、又はチミンの5-メチル基が水素、ハロゲン若しくはシアノ基で置換されたチミンである、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
前記第一の一本鎖核酸が下記一般式(3)
【化4】


(式中、Ex;T’;5’及び3’は請求項1と同義である)
で示される塩基配列を含み、かつ前記第二の一本鎖核酸が下記一般式(4)
【化5】


(式中、Ex;T’;5’及び3’は請求項1と同義である)
で示される塩基配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
前記第一の一本鎖核酸及び前記第二の一本鎖核酸が、前記第一の一本鎖核酸の3’末端と前記第二の一本鎖核酸の5’末端とがリンカーを介して連結された一本鎖核酸である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
前記水銀イオンが、2価の水銀イオンである、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。

【請求項7】
下記一般式(1)
【化6】


(式中、Exはエキシマー形成可能な蛍光性基を有する塩基を表し;T’は置換されていてもよいチミンを表し;Nはアデニン、チミン、シトシン又はグアニンを表し;a、b、g、h、nおよびmは、それぞれ独立して0~10の整数を表し;c及びfはそれぞれ独立して1~10の整数を表し;d及びeは3を表し;並びに、5’及び3’はそれぞれ5’末端側及び3’末端側であることを表す。ただし、T’及びNは、それぞれ互いに同一でも異なってもよい)
で示される塩基配列を含む第一の一本鎖核酸及び下記一般式(2)
【化7】


(式中、Ex;T’;a;b;c;d;e;f;g;h;n;m;5’及び3’は上記と同義であり;及び、N'g、N'e、N'd及びN'bは、それぞれ上記Ng、Ne、Nd及びNbと相補的な塩基を表す)
で示される塩基配列を含む第二の一本鎖核酸を含む、水銀イオンを検出するためのキットであって、前記エキシマー形成可能な蛍光性基を有する塩基が、下記一般式(5)
【化8】


(式中、Rはピレンを表し、Xは塩基を表し、及びkは2を表す)
で示される、キット

【請求項8】
水銀イオンの検出が、エキシマー発光を検出することにより実施される、請求項に記載のキット。

【請求項9】
前記第一の一本鎖核酸又は前記第二の一本鎖核酸における置換されていてもよいチミンの総数が、1~10個である、請求項又はに記載のキット。

【請求項10】
前記置換されていてもよいチミンが、無置換のチミン、又はチミンの5-メチル基が水素、ハロゲン若しくはシアノ基で置換されたチミンである、請求項のいずれか1項に記載のキット。

【請求項11】
前記第一の一本鎖核酸が下記一般式(3)
【化9】


(式中、Ex;T’;5’及び3’は請求項9と同義である)
の塩基配列を含み、かつ前記第二の一本鎖核酸が下記一般式(4)
【化10】


(式中、Ex;T’;5’及び3’は請求項9と同義である)
の塩基配列を含む、請求項10のいずれか1項に記載のキット。

【請求項12】
前記第一の一本鎖核酸及び前記第二の一本鎖核酸が、前記第一の一本鎖核酸の3’末端と前記第二の一本鎖核酸の5’末端とがリンカーを介して連結された一本鎖核酸である、請求項11のいずれか1項に記載のキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
本技術について、ライセンスや共同研究等をご希望の方は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close