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花序形態が制御された植物体の生産方法、開花時期が制御された植物体の生産方法、およびこれらを用いて得られる植物体 コモンズ

国内特許コード P100001113
整理番号 RIBS38
掲載日 2010年10月29日
出願番号 特願2010-203501
公開番号 特開2012-055266
登録番号 特許第5835832号
出願日 平成22年9月10日(2010.9.10)
公開日 平成24年3月22日(2012.3.22)
登録日 平成27年11月13日(2015.11.13)
発明者
  • 後藤 弘爾
  • 花野 滋
出願人
  • 岡山県
発明の名称 花序形態が制御された植物体の生産方法、開花時期が制御された植物体の生産方法、およびこれらを用いて得られる植物体 コモンズ
発明の概要 【課題】大量の農作物にも時間とコストとをかけずに適用可能な、花序形態が制御された植物体の生産方法、開花時期が制御された植物体の生産方法、およびこれらを用いて得られる植物体を実現する。
【解決手段】以下の(i)又は(ii)記載のタンパク質:(i)配列番号1、17または19に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、(ii)配列番号1、17または19に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、開花を遅延させ、花序メリステムを維持する機能を有するタンパク質、をコードする遺伝子と、転写活性化ドメインまたは転写抑制化ドメインをコードするポリヌクレオチドと、からなるキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターを、植物細胞に導入する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


植物の器官はメリステムと呼ばれる幹細胞群から発生する。地上部においては茎頂メリステムから様々な組織が形成されるが、その制御機構については不明な部分が多く残されている。一般に、植物は発芽後の栄養生長から生殖生長に移行すると、それまで葉を形成していたメリステムから花が形成されるようになる。この栄養生長から生殖成長への移行を「花成」と呼ぶ。また、花の付き方を「花序」と呼び、顕花植物においては、無限花序または有限花序のうちのどちらかの花序構成となる。無限花序とは花序軸の先端に花をつけない花序をいい、有限花序とは花序軸の先端に花をつける花序をいう。



TERMINAL FLOWER 1遺伝子(TFL1遺伝子、以下本明細書において「TFL1遺伝子」と称する。)は、シロイヌナズナの開花早化変異体であるtfl1変異体の原因遺伝子として見出された。また、このシロイヌナズナのtfl1変異体では、野生型の無限花序が有限花序に変換される。これまでの研究から、TFL1遺伝子は開花を遅延させ、花序メリステムを維持する働きを持っていることが知られている。一方、TFL1遺伝子に対し59%のアミノ酸配列が保存されているFLOWERING LOCUS T遺伝子(FT遺伝子)は開花を促進させる。TFL1遺伝子と相同性をもつ遺伝子は、シロイヌナズナ以外の植物からも見出されており、これをTFL1ファミリーと称する。イネ(Oryza sativa)由来のHd3a遺伝子はFT遺伝子と類似しており、花成を促進することが知られている。



FTはFDが存在すると核内に存在することが知られていることから、FTはbZIP転写因子であるFDに結合し、拮抗的に機能調節を行うというモデルが提唱されている。一方、FTと高い相同性を持つが機能的には反対であるTFL1については、そのメカニズムの詳細は明らかとなっていない。両者は異なるメカニズムで花成に関わる遺伝子の転写調節に関わっている可能性がある。



農作物の生産において、花序形態の制御は、着花数と直接的に関わっており、作物の増産に繋がっている。現実の農作業現場では、摘心という茎頂を切断する作業によって、末端の花序形態を変化させ、収量や品質の向上に取り組んでいる。通常では、摘心は人手で行うため大量の農作物に適用するには、膨大な時間とコストがかかる。また、花成の制御は作物の収穫時期や収穫量の調節において非常に重要なポイントである。



上述したように、花序形態や花成の決定に関わる遺伝子のいくつかは同定されており、それらを使用した発明が公開されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、その詳細なメカニズムは依然として明らかにされておらず、上記遺伝子のホモログのゲノム配列が未知である植物での使用は難しい。



ところで、転写活性化ドメインを用いて、植物を形質転換する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1には、花芽分裂組織決定遺伝子として知られているAP1(APETALA1)と、転写活性化ドメインであるVP16との融合タンパク質を過剰発現させたことが報告され、形質転換体を評価することによってAP1の機能を解析した結果が開示されている。なお、AP1は、転写因子であるMADSドメインを有していることが知られている。



また、転写抑制化ドメインを用いて、植物を形質転換する方法も知られており、例えば、植物において環境応答や形態形成を制御する転写因子と、転写抑制化ドメインとを融合させたキメラタンパク質を植物体で生産させ、花芽形成に関与する遺伝子の発現を抑制することによって、花芽形成遅延植物体を生産する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。

産業上の利用分野


本発明は、花序形態が制御された植物体の生産方法、開花時期が制御された植物体の生産方法、およびこれらを用いて得られる植物体に関するものであり、特に、大量の農作物にも時間とコストとをかけずに適用可能な、花序形態が制御された植物体の生産方法、開花時期が制御された植物体の生産方法、およびこれらを用いて得られる植物体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子と、
転写活性化ドメインまたは転写抑制化ドメインをコードするポリヌクレオチドと、からなるキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターを、植物細胞に導入する形質転換工程を含んでおり、
上記転写活性化ドメインまたは転写抑制化ドメインとして、それぞれ、配列番号3または5に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを用いることを特徴とする、花序形態が制御された植物体の生産方法。

【請求項2】
上記タンパク質をコードする遺伝子として、配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子を用いることを特徴とする請求項1に記載の植物体の生産方法。

【請求項3】
上記転写活性化ドメインまたは転写抑制化ドメインをコードするポリヌクレオチドとして、それぞれ、配列番号4または6に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の植物体の生産方法。

【請求項4】
上記タンパク質をコードする遺伝子と配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとからなるキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターを、植物細胞に導入する形質転換工程を含むことにより、無限性花序形態を有限性花序形態に変化させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。

【請求項5】
上記タンパク質をコードする遺伝子と配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとからなるキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターを、植物細胞に導入する形質転換工程を含むことにより、有限性花序形態を無限性花序形態に変化させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。

【請求項6】
配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子と、
転写活性化ドメインまたは転写抑制化ドメインをコードするポリヌクレオチドと、からなるキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターを、植物細胞に導入する形質転換工程を含んでおり、
上記転写活性化ドメインまたは転写抑制化ドメインとして、それぞれ、配列番号3または5に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを用いることを特徴とする、開花時期が制御された植物体の生産方法。

【請求項7】
上記タンパク質をコードする遺伝子として、配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子を用いることを特徴とする請求項6に記載の植物体の生産方法。

【請求項8】
上記転写活性化ドメインまたは転写抑制化ドメインをコードするポリヌクレオチドとして、それぞれ、配列番号4または6に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドを用いることを特徴とする請求項6または7に記載の植物体の生産方法。

【請求項9】
上記タンパク質をコードする遺伝子と配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとからなるキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターを、植物細胞に導入する形質転換工程を含むことにより、開花時期を早めることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。

【請求項10】
記タンパク質をコードする遺伝子と配列番号に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとからなるキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターを、植物細胞に導入する形質転換工程を含むことにより、開花時期を遅らせることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。

【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の生産方法により生産された植物体。

【請求項12】
配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子と、
配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるペプチドまたは配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるペプチドをコードするポリヌクレオチドと、からなるキメラ遺伝子。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010203501thum.jpg
出願権利状態 登録
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