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イネの側根を発達させる方法

国内特許コード P100001124
掲載日 2010年11月2日
出願番号 特願2009-053434
公開番号 特開2010-207095
登録番号 特許第5515060号
出願日 平成21年3月6日(2009.3.6)
公開日 平成22年9月24日(2010.9.24)
登録日 平成26年4月11日(2014.4.11)
発明者
  • 西澤 洋子
  • 望月 進
  • 南 栄一
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 イネの側根を発達させる方法
発明の概要 【課題】主根の伸長を抑制することなく、側根が発達したイネを製造する方法及びイネの側根を発達させる方法を提供する。
【解決手段】変異があるEL5を発現する形質転換イネを、窒素源として1mM未満の硝酸塩又は10mM未満のアンモニウム塩を含む培地を用いて野生型のイネの生育に適した条件下で培養して、該条件下で培養した野生型のイネより側根が長い及び/又は側根の数が多いイネを得ることを含む、側根が発達したイネを製造する方法を提供することにより解決される。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



窒素は植物の生長を支える重要な栄養素の一つである。窒素には植物の発育を促進する働きがある。例えば、過去40年間で世界の作物生産量を2倍にするため、それまでの7倍の窒素肥料が使用された。しかし、植物の生長を促すために窒素を大量に消費することには、種々の問題がある。





大量に土壌に投入された窒素は、地下水などを経由して湖沼や海洋に流れ、プランクトンの異常発生などの環境汚染を引き起こす。さらに大量の窒素の土壌への投入は、家畜障害をもたらし得る。例えば、大量に窒素を吸収した土壌で育てた草を摂取した牛などの家畜は、胃の中でN-ニトロソ化合物を生成し、癌を発症する可能性が高くなる他、乳中の硝酸態窒素量が増加するため、高窒素下で生育した乳牛の乳を飲んだ乳幼児はヘモグロビン血症を引き起こす可能性が高くなる。さらに、近年では、原料となる化石燃料の値上り等から窒素肥料が高騰し、大量の窒素肥料の使用を必要とする農法は農家の収益を低下させる。





上記窒素の大量消費に関する問題を解決する試みとして、現在は、窒素利用効率を高めることにより、低窒素条件下で、バイオマスを含む植物の収量を向上させることが研究されている。植物の窒素利用効率を高めるためには、植物の窒素の吸収能及び同化能の向上が求められる。このうち、窒素の吸収能を高めるためのアプローチとして、窒素吸収の場である根の形(root architecture)を改良する試みがある。





植物の根は大きく主根と側根に分けられる。一般に、イネを含む植物では、窒素源が少なすぎると側根が形成されず、主根のみが伸長するが、窒素があると、窒素を効率よく吸収するために主根から側根が分化し伸長する。これまでに本発明者らは、細胞膜局在性のRING-H2型ユビキチンリガーゼであるEL5のアミノ酸配列の一部に変異を入れた変異EL5を発現するイネを、20.6mMの硫酸アンモニウム、18.8mMの硝酸カリウム及び3.0mMの塩化カルシウムを含むMS培地で培養すると根が褐変化して伸びないが(非特許文献1)、次いで水道水か純水で4日間栽培することにより主根を発根させる方法を報告した(非特許文献2)。さらに、シロイヌナズナをオーキシンの存在下で培養することにより、シロイヌナズナの側根を伸長させ得るとの報告がある(非特許文献3)。

産業上の利用分野



本発明は、低窒素条件下で培養することにより、野生型のイネと比して、側根が発達したイネを製造する方法及びイネの側根を発達させる方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
変異があるEL5を発現する形質転換イネを、窒素源として1mM未満の硝酸塩又は10mM未満のアンモニウム塩を含む培地を用いて野生型のイネの生育に適した条件下で培養して、該条件下で培養した野生型のイネより側根が長い及び/又は側根の数が多いイネを得ることを含む、側根が発達したイネを製造する方法であって、
前記変異があるEL5が、EL5のアミノ酸配列における、第138位、第153位、第162位および第165位からなる群から選ばれる少なくとも1個のアミノ酸残基がアラニンへ置換されたEL5である、方法

【請求項2】
変異があるEL5を発現する形質転換イネを、窒素源として1mM未満の硝酸塩又は10mM未満のアンモニウム塩を含む培地を用いて野生型のイネの生育に適した条件下で培養することを含む、イネの側根を発達させる方法であって、
前記変異があるEL5が、EL5のアミノ酸配列における、第138位、第153位、第162位および第165位からなる群から選ばれる少なくとも1個のアミノ酸残基がアラニンへ置換されたEL5である、方法

【請求項3】
前記変異があるEL5が、EL5のアミノ酸配列における第162位のバリンがアラニンへ置換されたEL5である、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
前記形質転換イネが、変異があるEL5をコードする遺伝子をEL5遺伝子プロモーター、カリフラワーモザイクウイルス由来35Sプロモーター、及びトウモロコシ由来ユビキチンプロモーターからなる群から選ばれる少なくとも1種のプロモーターの制御下に含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
前記硝酸塩が、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム及び亜硝酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の硝酸塩である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
前記アンモニウム塩が、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム及び酢酸アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアンモニウム塩である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。

【請求項7】
前記培養が、5~10日間実施される、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009053434thum.jpg
出願権利状態 登録


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