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ガラス溶融炉

国内特許コード P100001199
整理番号 13295
掲載日 2010年11月5日
出願番号 特願2009-037437
公開番号 特開2010-189240
登録番号 特許第4815640号
出願日 平成21年2月20日(2009.2.20)
公開日 平成22年9月2日(2010.9.2)
登録日 平成23年9月9日(2011.9.9)
発明者
  • 山下 照雄
  • 正木 敏夫
  • 宮内 厚志
  • 小林 秀和
  • 中島 正義
  • 守川 洋
出願人
  • 独立行政法人日本原子力研究開発機構
発明の名称 ガラス溶融炉
発明の概要

【課題】溶融ガラスの流下時における浴壁近傍の流れ形成を良好にし、十分な排出が行われるようにすると共に、溶融槽内における溶融ガラスの保有量の少量化を実現して導電性堆積物量を抑制し、通電異常や処理能力の低下が生じた場合には、容易に溶融槽を交換でき、かつ交換部分を必要最小限に留め、廃棄物の円滑なガラス固化処理を可能にする。
【解決手段】溶融槽10は、円錐状の炉底浴壁14とその上方に連続し一方の加熱電極を兼ねる円筒状の垂直浴壁16からなり冷却手段を備えた耐熱合金製の一体構造であって、垂直浴壁を対極とする他方の加熱電極は、冷却手段を備え溶融槽内に垂下される円筒状の中央電極26である。直管部分30aと紡錘型に膨出する先端部分30bとが連続し中空構造をなす耐熱合金製の冷却棒30を、その直管部分が中央電極内に電気絶縁体34を介して位置し、先端部分が中央電極から突出するように溶融槽内に設置する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


従来の廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉としては、大別すると耐火物溶融炉と金属製溶融炉がある。耐火物溶融炉は、耐火レンガにより炉体及び溶融槽を形成し、溶融槽内の側壁に1対ないし複数対の耐熱合金製の加熱電極を配設した構造である。それに対して金属製溶融炉は、耐熱合金製の浴壁を有する円筒状の溶融槽に該浴壁を対極とする耐熱合金製の加熱電極を溶融槽内に1本ないし複数本配設した構造である。



これらの電気溶融炉では、溶融ガラスが導電性を有することを利用し、前記加熱電極を介して溶融槽内の溶融ガラスに通電することにより発生するジュール熱によって溶融ガラスを加熱する直接通電方式が採用されている。ここで、放射性液体廃棄物及びガラス原料を溶融炉の上部から溶融ガラス液面上に供給すると、それらは溶融ガラスによって加熱され、昇温、水分の蒸発、仮焼の過程を経て溶融ガラスになる。その後、溶融ガラスは溶融炉から排出され、冷却されてガラス固化体となる。



溶融炉を構成する耐火レンガあるいは金属材料の健全性は、それらと接触する溶融ガラスの温度によって左右される。そのため、溶融槽内の溶融ガラスの温度分布は均一であることが望ましい。このため、溶融炉の形状や廃棄物処理量などに応じて様々な電極配置が試みられている。



ところで、このような電気溶融炉を用いて高放射性液体廃棄物を処理した場合、炉底浴壁の異常温度上昇が生じ、廃棄物処理能力が低下する問題が生じている。これは高放射性液体廃棄物に含まれているRu、Pd、Rh等の白金族元素がガラスに難溶性の導電性物質を形成して炉底に堆積し、電極間電流がその導電性堆積物に集中するため、発生するジュール熱が上方の溶融ガラス液面に十分に供給されないことが原因である。



例えば、耐火物溶融炉については、非特許文献1の75頁に記載されているホルスト・ヴィーゼ(Horst Wiese )の「ベルギーのパメラプラントでの高放射性液体廃棄物の工業的ガラス固化」(Industrial Vitrification of High Level Liquid Waste with The PAMERA Plant in Belgium)には、通常の3分の1の電気抵抗値を有する白金族元素からなる導電性物質が炉底に5cm堆積したことによって通電特性が変化し、ガラス製造速度が30kg/hr から20kg/hr に低下したことが報告されている。また、同じ非特許文献1の82頁に記載されている虎田真一郎の「動燃東海ガラス固化技術開発施設のためのガラス溶融炉の開発」(Development of Glass Melter for PNC Tokai Vitrification Facility)には、炉底勾配を持つ実験室規模の溶融炉を使用した数種の実験の結果、45°の勾配が白金族元素からなる堆積物の排出に有効であることが判り、同勾配を持つ実規模大の溶融炉の試験結果からも、その効果が評価されたと報告されている。



金属溶融炉については、非特許文献2に、45°の炉底勾配を有する金属溶融炉にて白金族元素の抜き出し性については良好な結果を得ているにもかかわらず、白金族元素を含有した模擬廃液での処理能力は、白金族元素を含有しない模擬廃液を用いた試験での結果よりも20%以上低下することが確認されたと記載されている。これは、溶融ガラス中の導電性白金族元素の濃度が溶融槽の上部と下部では下部の方が高くなることによる、加熱電流密度分布の下部への移動が主な原因と考えられている。



このように従来の電気溶融炉では、炉底勾配を有するにもかかわらず十分な排出が行われず、若干量の導電性物質がガラス溶融炉の底部あるいは勾配面に堆積し、溶融槽の下部の濃度が高くなることが予想され、その場合には前述したような通電異常あるいは廃棄物処理能力の低下という現象が生じることになる。また、通電異常や処理能力の低下が生じた場合には、溶融炉を交換する必要が生じ、高放射性液体廃棄物の処理が滞ることが考えられる。



そこで本発明者等は、先に、耐熱合金製円錐状炉底部浴壁と、耐火レンガ製垂直部浴壁と、該耐火レンガ製垂直部浴壁によって前記耐熱合金製円錐状炉底部浴壁から電気的に絶縁した耐熱合金製垂直部浴壁とによって溶融槽を構成するガラス溶融炉を提案した(特許文献1参照)。このガラス溶融炉は、通電異常の発生あるいは廃棄物処理能力の低下などをある程度は抑制できるものの、必ずしも十分ではない。また、溶融ガラスの流下時における浴壁近傍の流れ形成、溶融槽内における溶融ガラスの少量化などの点で、未だ改善の余地がある。

産業上の利用分野


本発明は、直接通電によるジュール熱を利用して溶融槽内のガラス原料を溶融し、ガラス原料と共に溶融槽内に供給された廃棄物をガラス固化処理するためのガラス溶融炉に関し、更に詳しく述べると、先端部分が紡錘型に膨出した中空構造の冷却棒を溶融槽の中央に挿入することにより、溶融ガラスの流れ形成を良好にして十分な排出が行われるようにすると共に、溶融槽内における溶融ガラスの少量化を実現して白金族元素など導電性物質の炉底浴壁への堆積を抑制し、処理能力の低下を極力防止できるようにしたガラス溶融炉に関するものである。この溶融炉は、各種産業廃棄物の固化処理、特に高放射性液体廃棄物のガラス固化処理に有用である。

特許請求の範囲 【請求項1】
縦型円筒状の溶融槽と、該溶融槽の上部に位置するガラス原料及び放射性液体廃棄物の供給口と、溶融槽の底部に位置する溶融ガラスの排出口と、耐熱合金製の複数の加熱電極を備え、溶融槽内に供給したガラス原料及び放射性液体廃棄物に前記加熱電極を介して通電することにより加熱溶融し、溶融ガラスを排出する放射性廃棄物ガラス固化処理用溶融炉において、
前記溶融槽は、円錐状の炉底浴壁及びその上方に連続し一方の加熱電極を兼ねる円筒状の垂直浴壁からなり冷却手段を備えた耐熱合金製の一体構造であって、該垂直浴壁を対極とする他方の加熱電極は、冷却手段を備え前記溶融槽内に垂下される円筒状の中央電極であり、直管部分と紡錘型に膨出する先端部分とが連続し中空構造であって前記直管部分から先端部分の底部近傍まで空気配管が挿入され冷却空気を該空気配管から供給可能とした耐熱合金製の冷却棒を、その直管部分が中央電極内に電気絶縁体を介して位置し、先端部分が中央電極から突出するように前記溶融槽内に設置することを特徴とするガラス溶融炉。


【請求項2】
中央電極は、溶融槽の中心軸に沿って上方から垂直浴壁に対応する位置まで挿入され、冷却棒の紡錘型に膨出している先端部分が円錐状の炉底浴壁で囲まれた部分に収まるように設置されている請求項1記載のガラス溶融炉。

【請求項3】
中央電極及び冷却棒が、引き抜き交換可能となっている請求項1又は2記載のガラス溶融炉。

【請求項4】
溶融槽の垂直浴壁に、上段及び下段に分けて、複数本ずつの加熱手段が分散配設され、それら加熱手段が引き抜き交換可能となっている請求項1乃至3のいずれかに記載のガラス溶融炉。

【請求項5】
溶融槽の炉底浴壁の周囲に加熱手段が配設されている請求項4記載のガラス溶融炉。

【請求項6】
溶融槽の外側全体が、冷却手段を備えたインナージャケットで囲まれ、溶融槽及び炉底浴壁周辺の加熱手段をインナージャケットからのユニットとして、または溶融槽を炉底浴壁周辺の加熱手段と共にユニットとして、あるいは溶融槽単体で、交換可能とした請求項5記載のガラス溶融炉。
産業区分
  • 窯業
  • 処理操作
  • 原子力
  • 廃棄物処理
  • 放射性物質処理
  • 電力応用
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009037437thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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