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2次元フォトニック結晶製造方法

国内特許コード P100001251
整理番号 1103
掲載日 2010年11月25日
出願番号 特願2006-009994
公開番号 特開2007-192998
登録番号 特許第4621920号
出願日 平成18年1月18日(2006.1.18)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
登録日 平成22年11月12日(2010.11.12)
発明者
  • 永島 拓志
  • 宋 奉植
  • 浅野 卓
  • 野田 進
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 2次元フォトニック結晶製造方法
発明の概要

【課題】点状欠陥共振器の共振波長を容易に制御することができる2次元フォトニック結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】Siから成るスラブ11に三角格子状に配置された空孔12と、点状欠陥共振器13を形成する((a-1)-(a-4))。次に、スラブ11の表面を水に晒し(b)、この表面に酸化膜16を形成する(c)。その後、この表面をフッ酸に晒す(d)ことにより酸化膜16を除去する(e)。(b)~(e)の操作(単位減厚工程)を行うことにより、スラブ11の厚さは約0.11nm減少し、それにより点状欠陥共振器13の共振波長は0.39nm(1.55μm帯用に設計された場合)だけ短波長側に変化する。単位減厚工程を繰り返すことにより1工程あたり0.39nmの精度で共振波長を制御することができる。
【選択図】図2

従来技術、競合技術の概要


近年、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing : WDM)伝送システムの技術が進歩している。WDMは、一本の伝送路に複数の波長の光(本願において用いる「光」には、可視光以外の電磁波を含むものとする。)を伝播させ、それぞれに別個の信号を乗せて情報を伝送するものである。伝送路の入口側で各波長の光を混合し、混合された光を出口側で各波長ごとに取り出すために、光の合波器及び分波器が必要となる。従来、分波器には例えばアレイ導波路回折格子が用いられているが、この分波器では、光の損失を小さくするために、現状では数cm角程度の比較的大きな素子が用いられている。



それに対して、伝送システムの大容量化及び装置の小型化のために、フォトニック結晶を用いた分波器、合波器の開発が行われている。フォトニック結晶は周期屈折率分布をもった機能材料であり、光のエネルギーに対してバンド構造を形成する。特に、光の伝播が不可能となるエネルギー領域(フォトニックバンドギャップ)が形成されることが特徴である。フォトニック結晶中の屈折率分布に適切な欠陥を導入することにより、フォトニックバンドギャップ中にこの欠陥によるエネルギー準位(欠陥準位)が形成される。これにより、フォトニックバンドギャップに対応する波長範囲のうち、欠陥準位のエネルギーに対応する波長の光のみが存在可能になる。



特許文献1には、スラブ状の本体に空孔を周期的に配列することにより周期屈折率分布を設けた2次元フォトニック結晶が開示されている。この周期屈折率分布に線状の欠陥(線状欠陥)を形成することによりその欠陥は導波路となり、点状の欠陥(点状欠陥)を形成することによりその欠陥は共振器となる。この点状欠陥の(配置形状または)孔径を変化させることにより該共振器より共振する光の波長を調整することができる。
特許文献2には、特許文献1と同様のスラブ状の2次元フォトニック結晶において、隣接する複数の空孔に欠陥を設けることにより1個の点状欠陥(クラスタ欠陥)を形成することが記載されている。それと共に、空孔の周期が異なる複数の領域(禁制帯領域)を設け、各禁制帯領域毎に同様の形状の点状欠陥を設けることにより、各点状欠陥共振器毎に異なる波長の光を共振させることが記載されている。



導波路の近傍に、それぞれ共振波長の異なる点状欠陥共振器を複数設けることにより、この2次元フォトニック結晶は、各点状欠陥共振器からそれぞれ異なる波長の光を導波路に導入する合波器として機能すると共に、様々な波長の光が伝播する導波路から各点状欠陥共振器にそれぞれ異なる波長の光を取り出す分波器としても機能する。



このような2次元フォトニック結晶を用いた合分波器において、複数の点状欠陥共振器の間の波長の間隔が小さい程、同じ波長帯に重畳することができるチャネルの数を増加させることができる。しかし、この波長の間隔を小さくするためには、各点状欠陥共振器における設計値からの波長のずれを十分に小さくしなければならない。そのため、点状欠陥共振器の共振波長を微調整する方法が検討されている。



非特許文献1には、ガリウムヒ素(GaAs)から成るスラブ状の本体に空孔を周期的に配列し、導波路及び点状欠陥共振器を設けた2次元フォトニック結晶において、スラブの表面をエッチングしてスラブの厚さを調整することが記載されている。スラブの厚さが薄くなる程、点状欠陥共振器の共振波長は小さくなるため、この厚さを調整することにより共振波長を制御することができる。



非特許文献1では、厚さの調整は以下のように行われている。まず、スラブの表面を大気中で自然に酸化させる。この時に形成される酸化膜の厚さδdは約1.5nmである、とされている。次に、スラブをフッ酸水溶液に晒すことにより酸化膜を除去する。なお、この文献では、フッ酸水溶液に含まれる水はスラブのGaAsを酸化させることはほとんど無い、とされている。スラブの厚さは、ここまでの操作を1回行うことによりδdだけ減少し、この操作を繰り返し行うことによりδdの整数倍減少する。厚さの変化が離散的な値をとるため、この文献ではこの操作は「デジタルエッチング」と呼ばれている。
厚さ調整前の共振波長が約950nm±30nmである幾つかの点状欠陥共振器に対して成された実験結果によれば、前記操作1回につき、共振波長を2.1nm又は3.4nm(点状欠陥共振器の形状により異なる)だけ小さくすることができる、とされている。




【特許文献1】特開2001-272555号公報

【特許文献2】特開2003-279764号公報

【非特許文献1】ヘネシー、他7名、「湿式化学デジタルエッチングによるフォトニック結晶ナノ共振器モードの制御」、アプライドフィジックスレターズ、米国、米国物理学協会、2005年7月8日、第87巻、021108-1~021108-3頁(Hennessy et al., "Tuning photonic crystal nanocavity modes by wet chemical digital etching", Applied Physics Letters, American Institute of Physics, Vol. 87, pp. 021108-1~021108-3)

産業上の利用分野


本発明は、光デバイスに用いられる2次元フォトニック結晶の製造方法に関し、特に、合分波デバイス等に用いられる点状欠陥共振器を有する2次元フォトニック結晶の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Siから成るスラブに周期的に配置された空孔と、該周期の欠陥を点状に設けて成る点状欠陥共振器と、を有する2次元フォトニック結晶を製造する方法において、
水に前記スラブの表面を晒す操作と、それにより該表面に形成された酸化膜をフッ化水素水溶液により除去する操作を、所定の回数だけ繰り返す減厚工程を有することを特徴とする2次元フォトニック結晶製造方法。

【請求項2】
前記スラブの一方の面のみを水に晒す操作と、それにより形成された酸化膜をフッ化水素水溶液により除去する操作を行うことを特徴とする請求項1に記載の2次元フォトニック結晶製造方法。

【請求項3】
前記スラブに複数の点状欠陥共振器を設け、
前記減厚工程において、点状欠陥共振器毎に定めた所定の回数だけ、該点状欠陥共振器の近傍のみを水に晒す操作と、それにより形成された酸化膜をフッ化水素水溶液により除去する操作を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の2次元フォトニック結晶製造方法。

【請求項4】
前記点状欠陥共振器の近傍のみを水に晒す操作と、それにより形成された酸化膜をフッ化水素水溶液により除去する操作の前に、化学処理によりスラブ表面を疎水性にすることを特徴とする請求項に記載の2次元フォトニック結晶製造方法。
産業区分
  • 光学装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006009994thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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