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電流検出装置

国内特許コード P100001266
整理番号 NU-0377
掲載日 2010年11月29日
出願番号 特願2010-188538
公開番号 特開2012-047536
登録番号 特許第5660533号
出願日 平成22年8月25日(2010.8.25)
公開日 平成24年3月8日(2012.3.8)
登録日 平成26年12月12日(2014.12.12)
発明者
  • 中里 和郎
  • 長谷川 淳一
  • 宇野 重康
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 電流検出装置
発明の概要 【課題】高密度に集積した微小電極において電流検出を同時行っても、各電極の拡散層が重なり合わず、高速かつ正確な電流検出を可能とする電流検出装置を提供する。
【解決手段】作用電極W11~W33を補助電極a11~a33で取り囲む。作用電極W11~W33の電位は測定対象物質の酸化還元反応が起こる範囲に保持し、補助電極a11~a33の電位は作用電極とは逆の酸化還元反応が起こる範囲に保持する。各作用電極には、第1スイッチSa11~Sa33及び第2スイッチSb11~Sb33の2つのスイッチが接続されており、それらを切り替えることにより、作用電極W11~W33電流を読み出していないときにも定常電流を流し続けることができる。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


従来、溶液中に溶解している原子、分子、イオンの検出や定量の方法として電気化学測定があり、電流検出、電位検出、インピーダンス測定などの手法がある。その中で、電気化学反応に伴う電流を検出する方法が広く使用され、分析化学、バイオセンサ、化学センサに用いられている。体液中の生理活性物質、臨床検査、廃液や食品中の重金属イオンなどの検出、体液、食品などの製造工程管理、水中の環境計測などに応用されている。



電流検出型の電気化学測定は、測定対象物質の酸化還元反応を起こす作用電極、電位の基準となる参照電極、作用電極から流れた電流の捨て場となる対向電極の3種類の電極を用いる。参照電極は電位の基準となるため、電流を流さないようにする。作用電極で生じた電流は対向電極で処理されるが、対向電極の電位や対向電極上で生じている反応は問題としない。



このような3つの電極系の動作を実現する装置をポテンショスタットと呼ぶ。測定対象の水溶液中に浸漬した作用電極と参照電極の間に電圧を印加し、この電圧印加によって作用電極上で分析対象物質の酸化還元反応を発生させ、この反応に伴って流れる電流値を測定することにより分析を行う。



電流を測定する代表的な方法としては、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、ストリッピングボルタンメトリー(ストリッピング法)あるいはパルスボルタンメトリーなどを挙げることができる。



アンペロメトリーでは参照電極の電位を基準にして、作用電極の電位を測定対象物質の酸化還元反応が起こる範囲に保持し、電流の時間変化を測定する手法である。特徴長さが数mm以上のマクロ電極では電流量が時間と共に減少していく。これは、平面上の拡散層が形成されるためである。



ボルタンメトリーは、参照電極の電位を基準として被測定電解質溶液中に浸漬された作用電極に印加する電位を変化させて掃引し、このときの電流を測定する方法である。この方法では、測定した電流値から測定対象物質の濃度がわかる。さらに、電位を掃引したときの電流が流れ始める電位から物質の種類がわかるため、定量分析と定性分析を同時に行なうことができる。



しかし、この方法では、電位を変化させて掃引を行なうため、電位掃引速度に比例して流れる充電電流や、分析対象の物質以外の共存種(溶存酸素、水素イオンなど)の電気化学反応や、電極表面自体の酸化状態の変化がノイズとなって発生するという欠点がある。



特徴長さが数十μm以下の電極を微小電極と呼ぶ。生体内の微小領域や、微量な溶液試料の分析を行うために微小電極が広く研究され、センサや生体細胞内の微量物質の測定などの応用が試みられている。



微小電極の多くは、ガラス細管中に白金、金などの金属線、炭素繊維などを封入して使用する。この微小電極の応答挙動は電極形状に依存し、電極サイズが減少するに従って応答速度、S/N比が向上し、原理的には高感度化ができるため種々の電極形状や微細化が検討されている。



しかし、電極がμmオーダーに微細化されることにより、検出できる電流値はnAオーダー以下に低下し、測定時に外部ノイズに敏感になる等の理由で測定が困難になる。このため、微小電極の数を増やして(アレイ化して)、微小電極の高電流密度、充電電流に対する高S/N比などの特徴を保持させたままで絶対電流値を増加させることが提案されている。



絶縁体と導電体を交互に積層することで、微小電極アレイを作製する方法が報告されている(例えば、特許文献1及び特許文献3参照)。
また、微小電極のアンペロメトリーでは、静止溶液中でも定常電流が得られる。この定常電流から測定対象物質を定量することができる。定常電流が得られるのは、微小電極では球状の拡散層が形成され、あるところで拡散層の拡大が止まり、定常状態となるためである。



電解質溶液中で2つの近接した作用電極に別々の電位を印加することで酸化還元種のレドックスサイクルが起こり、作用電極に流れる電流を増幅することができる(例えば、非特許文献1参照)。



また、その2つの作用電極にかみ合ったくし形電極を用いれば、くし形電極の一方を掃引して他方の電極電位を保持した測定を行なうことができるため、充電電流の影響が少ない測定が可能となることも知られている。かみ合ったくし形電極を用いることによって、金属錯体などの定量分析における検出下限が向上することが知られている(例えば、非特許文献2参照)。



レドックスサイクルは近接する二つの電極を別々の電位に設定した場合に生じる現象であるが、電位制御する微小電極の近傍に大きな面積の導電体(マクロ電極)が配置されている場合、一つの電極の電位を制御するだけでレドックスサイクルを起こすことができ、自己誘発レドックスサイクルと呼ばれる(例えば、特許文献4参照)。



ストリッピング法では、測定対象物質が電極上に析出する電位をかけ、電解して成分を電極上に濃縮した後、目的成分が溶解する電位に変化させて電流を測定する。自己誘発レドックスサイクルとストリッピング法を組み合わせ、濃度の可逆な酸化還元物質の定量が行われている(例えば、特許文献2参照)。



アレイ状に配置した微小電極において、それぞれの電極で電流検出を行い、測定対象物質の濃度分布を可視化する試みがなされている(例えば、非特許文献4参照)。
そのための手法として、CMOS集積回路を用いたものがある。半導体チップ上にポテンショスタット等の電気化学測定を行う回路を組み込み、多チャンネルの電気化学測定を行う報告がなされている。参照電極と対向電極のみの系であれば、1つのオペアンプを用いることで実現できる。オペアンプの反転入力端子に参照電極を、出力端子に対向電極を接続することで溶液を通じてフィードバックがかかり、バーチャルショートより非反転入力端子に印加した電位に参照電極の電位が保持される。



さらに、標準CMOSプロセスに電極を形成するポストプロセスを組み合わせることにより、チップ上に電極を作成し、チップ上で電気化学測定を行うことも報告されている。
また、作用電極として、電極にスイッチをつけたセルをアレイ状に並べ、2次元的に電流分布をとる方法が報告されている(例えば、非特許文献3参照)。



電流検出型の電気化学測定を行う回路に必要な特性として、電極の電位を保持しながら電流を測定できること、入力インピーダンスが低いことの2点が挙げられる。
既存の電流検出回路としてオペアンプと抵抗を用いたものがある。この回路はオペアンプのバーチャルショートで電極電位を保持し、抵抗を介して電流を電圧に変換して検出している。抵抗の代わりにキャパシタを用いて定期的に放電することで、ダイナミックレンジを大きくとることも考えられる。

産業上の利用分野


本発明は、電気化学分析、バイオセンサ、化学センサに用いられる電流検出装置に関する。特に、体液中の生理活性物質の測定、臨床検査、食品などの製造工程管理、水中の環境計測あるいは,CMOS集積回路、電気化学測定を行うセンサ回路に好適な電流検出装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
半導体基板上に複数設けられ、作用電極及び前記作用電極の周囲を囲むとともに、前記作用電極とは逆の酸化還元反応が起こる電位に保持された、補助電極を有する電流検出セルと、
前記作用電極に接続され、前記作用電極から出力される電流を検出し、前記作用電極を所定の電位となるように制御する電流検出手段と、
前記作用電極に接続され、前記作用電極を前記所定の電位に保持する電位保持手段と、
前記電流検出手段と前記複数の電流検出セルの各作用電極との間に接続された第1スイッチと、
前記電位保持手段と前記複数の電流検出セルの各作用電極との間に接続された第2スイッチと、
前記各第1スイッチのうちいずれか1つをオンにし、該オンにした第1スイッチ以外をオフにすると共に、前記各第2スイッチのうち、前記オンにした第1スイッチに接続されている前記作用電極に接続されている前記第2スイッチをオフとし、それ以外の第2スイッチをオンとする切換作動を、すべての第1スイッチ及び前記第2スイッチに対して順次実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とする電流検出装置。

【請求項2】
請求項1の電流検出装置において、
前記電流検出手段は、
反転端子及び非反転入力端子を有する増幅器を有し、
前記反転端子は、前記第1スイッチを介して、前記作用電極に接続され、
前記非反転端子は、前記第2スイッチを介して前記作用電極に接続されていることを特徴とする電流検出装置。

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電流検出装置において、
前記作用電極に接続される入力端子と、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチに接続される出力端子と、を有し、前記入力端子に入力される前記作用電極の出力電流を保持しつつ、前記作用電極の電位を所定の電位に保持する電流バッファ回路を前記電流検出セル内に備えたことを特徴とする電流検出装置。

【請求項4】
請求項3に記載の電流検出装置において、
前記電流バッファ回路は、
前記作用電極の電流を複製するカレントミラー回路と
前記作用電極の電流を所定の電位に保持するソースフォロワ回路と、
を備えたことを特徴とする電流検出装置。

【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電流検出装置において、
前記補助電極の幅は前記作用電極の幅の1/2以上であることを特徴とする電流検出装置。

【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の電流検出装置において、
前記作用電極と前記補助電極の間隔は、測定対象物質の拡散距離よりも小さいことを特徴とする電流検出装置。

【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の電流検出装置において、
前記作用電極と前記補助電極の間に電極面から測定対象物質の拡散距離以上の高さを持ったものがないことを特徴とする電流検出装置。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 登録
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