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太陽光透過制御素子 新技術説明会

国内特許コード P100001291
掲載日 2010年12月6日
出願番号 特願2007-279698
公開番号 特開2008-134628
登録番号 特許第5493073号
出願日 平成19年10月26日(2007.10.26)
公開日 平成20年6月12日(2008.6.12)
登録日 平成26年3月14日(2014.3.14)
優先権データ
  • 特願2006-292535 (2006.10.27) JP
発明者
  • 垣内田 洋
  • 田澤 真人
  • 荻原 昭文
出願人
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 独立行政法人国立高等専門学校機構
発明の名称 太陽光透過制御素子 新技術説明会
発明の概要 【課題】太陽光透過制御素子及び光透過制御部材を提供する。
【解決手段】高分子分散液晶型ホログラフィック回折素子(HPDLC回折素子)を用いた光透過制御素子であって、HPDLC回折素子内に含まれる液晶のネマティック-アイソトロピック(NI)相転移による屈折率異方性と等方性の変化を利用して、特定の温度範囲で光の伝播方向、偏光状態を変えて、それにより光の透過性を制御して調光を行うようにした光回折型の光透過制御素子、及び、当該光透過制御素子を含み、当該光透過制御素子に対して、光の伝播方向あるいは偏光状態により透過率を変える役割を果たす光処理機能部が配置されたことを特徴とする光透過制御部材。
【効果】HPDLC回折素子内に含まれる液晶のネマティック-アイソトロピック(NI)相転移を調光原理とする新しい光透過制御素子を提供できる。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要



従来、多くのサーモクロミック(熱着色型)材料が提案されているが、その中でも、VOが環境応答型調光材料として有力候補である。そして、このVOを用いたサーモクロミック窓材が多く提案されており、これを、単独あるいは他の材料と組み合わせることで、可視波長域において、透明性を保持しつつ、主として近赤外、赤外波長域で、光透過率を温度によって制御することが実現されている(特許文献1、2)。





また、先行技術として、温度に対して、可逆的に透明状態と白濁遮光状態との間を変わる曇天現象を利用した調光技術が報告されている。例えば、ある温度を上回ると白濁化する水溶性化合物を溶解した水性組成物を、調光ガラスに積層した、低温では透明状態であるが、高温になると白濁し、散乱体となって可視波長域を含む広い波長範囲にわたって遮光するため、調光性能が高く、かつ調光温度も生活温度を含めて広い範囲で設定できるという利点を有する調光ガラスを使用した窓材が、開発されている(特許文献3)





しかし、VOによるサーモクロミック窓材では、太陽光の室内への光量調整の性能の課題として、(1)可視透過性能が窓材としては低い、(2)調光性能に改善の余地がある、(3)調光温度が生活温度範囲より高い、という問題があるが、これらは、VOがもつ材料の本質に強く結びつく問題であり、改善が簡単ではない。





上記(1)の問題は、VOの光学バンドギャップが狭く、光吸収端の裾が波長500nm付近まで迫っていることに起因する。また、これが要因で、可視透過率が全体に低いだけでなく、短波長側での透過率がより小さいため、茶黄色に着色する傾向がある。また、上記(2)の問題は、VOのサーモクロミズムによる透過率変化が主に波長1000nmより長波長側にあることが理由である。地上に届く太陽光の強度は、可視から赤外にわたって波長とともに緩やかに減少する分布をもつ。





したがって、太陽光の輻射が大きい1000nmより短波長側で調光する方が近赤外及び赤外域でより効果的であるが、VOの本質的な特徴であるサーモクロミック特性を変えることは容易ではない。上記(1)と(2)の問題を改善するためには、VO薄膜を適切な屈折率をもつ媒質(例えば、TiO)膜によって挟んで、可視光反射防止とし、調光性能をできるだけ弱めずに可視域の透明度を上げることなどが行われているが、このような手法では、要望によっては不十分な場合がある(特許文献4、非特許文献1)。





更に、上記(3)の問題は、VOの相転移温度が70℃付近と、実生活の温度範囲(例えば、日本では、-10から40℃)より高いという意味であるが、これについては、不純物添加を始めとして、種々の方法で転移温度を低減する試みがなされている。しかし、転移温度の低下とともにサーモクロミズムによる透過率変化も減少するといった課題が残されている(非特許文献2、3)。





以上のように、従来技術では、ある程度まで調光性能が得られているが、これを実生活に導入するためには、更に改善の必要性が高く、VOを用いて、この要望に応えるには不十分な点が残されているのが実情である。一方、曇天現象を利用した調光材料では、温度上昇にともなう光散乱の発生により可視波長域を含めて広い波長範囲で透過率が変わるため、調光性が非常に高く、また、調光温度についても、材料として生活温度域に合わせて設計されており、既に、実用化レベルに達している。しかしながら、調光の原理上、高温時には可視光においても不透明となるため、室外の景色を見る、あるいは採光するという、窓の基本機能が失われるという問題がある。





一方、従来、ホログラフィック光学素子及びそれを用いた部材に関する研究/開発例が種々報告されており、先行技術として、例えば、ホログラフィック高分子分散液晶光学素子及び画像表示装置(特許文献5)、調光層がマトリックス樹脂と液晶材料からなる液晶光学素子(特許文献6)、第1及び第2の絶縁性基板間に液晶を挟持した調光層を有する反射型液晶表示素子(特許文献7)、が提案されている。





更に、先行技術として、例えば、光吸収基板上に調光層が積層されている高解像度のホログラフィック型高分子分散液晶光学素子(特許文献8)、調光層を挟持した高電荷保持率のホログラフィック高分子分散液晶光学素子(特許文献9)、ホログラフィック光学素子を用いた投影型液晶表示装置(特許文献10)、ホログラフィック表示装置(特許文献11)、が提案されている。これらの先行技術は、いずれも、ホログラフィック光学素子を液晶表示装置に利用することを示すものである。





【特許文献1】

開2004-4795号公報

【特許文献2】

開2002-86606号公報

【特許文献3】

開2000-155345号公報

【特許文献4】

開2003-94551号公報

【特許文献5】

開2003-337298号公報

【特許文献6】

開2000-147478号公報

【特許文献7】

開平11-52364号公報

【特許文献8】

開平11-38392号公報

【特許文献9】

開平11-2802号公報

【特許文献10】

開平10-104618号公報

【特許文献11】

開平9-222583号公報

【非特許文献1】

. H. Lee, "Better thermochromic glazing of windows with anti-reflection coating", Thin Solid Films 365, 5 (2000)

【非特許文献2】

. Burkhardt, et al., "Tungsten and fluorine co-doping of VO2 films", Thin Solid Films 402, 226 (2002)

【非特許文献3】

. Soltani, et al., "Effects of Ti-W codoping on the optical and electrical switching of vanadium dioxide thin films grown by a reactive pulsed laser deposition", Appl. Phys. Lett. 85, 1958 (2004)

産業上の利用分野



本発明は、高分子分散液晶型ホログラフィック回折素子(以下、HPDLC回折素子と記載する。)を用いた光透過制御素子及び当該光透過制御素子を含む光透過制御部材に関するものであり、更に詳しくは、上記HPDLC回折素子を用いた、自動調光窓材等に好適に使用される光透過制御素子、ある特定の波長範囲で透過率制御できる性質を有し、この波長範囲を用途に応じて自在に変えることができる光透過制御素子、及び当該光透過制御素子を含む光透過制御部材、例えば、自動調光遮熱窓材、このような窓材を用いた調光及び空調の方法及び装置等に関するものである。





本発明は、例えば、建築物や自動車、列車、船舶、飛行機などの移動体に、省エネルギー、快適住居性能、採光性能などの機能を付加することを可能とする新しい光透過制御素子、当該光透過制御素子を用いた機能性自動調光遮熱窓材及びその応用技術等を提供するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
高分子分散液晶型ホログラフィック回折素子(HPDLC回折素子)において、当該HPDLC回折素子内に含まれる液晶のネマティック-アイソトロピック(NI)相転移による屈折率及び屈折率異方性-等方性の変化を利用して、NI相転移温度に対応している特定の温度範囲で光の伝播方向あるいは偏光状態を変えて、それにより光の透過率を制御して調光を行うようにした光回折型の光透過制御素子を含み、当該光透過制御素子に対して、温度変化に伴って変化する前記光透過制御素子の光の透過及び当該光透過制御素子からの入射光の伝播方向あるいは当該入射光の偏光状態に応じて、当該入射光の透過率を変える役割を果たす光処理機能部が配置されたことを特徴とする光透過制御部材。

【請求項2】
上記HPDLC回折素子が、PあるいはS偏光のどちらか一方の回折光強度を優先的に温度で制御するように構成された、請求項1記載の光透過制御部材。

【請求項3】
0.04を上回る異方性屈折率を有し、ネマティック-アイソトロピック(NI)相転移点を有する液晶材料からなるHPDLC回折素子を用いてなる、請求項1記載の光透過制御部材。

【請求項4】
10~90℃にNI相転移点を有する液晶材料からなるHPDLC回折素子を用いてなる、請求項3記載の光透過制御部材。

【請求項5】
上記光処理機能部として、視野角制限部材あるいは偏光選択部材、又はこれら両部材が回折光と非回折光の内の一つの光の透過を制御するように配置された、請求項1記載の光透過制御部材。

【請求項6】
PあるいはS偏光のどちらか一方の回折光強度が優先的に、温度変化により変調されるHPDLC回折素子を2つ組み合わせて、上記光処理機能部として、視野角制限部材あるいは偏光選択部材、又はこれら両部材がPとS両偏光の回折による光の透過を制御するように配置された、請求項1記載の光透過制御部材。

【請求項7】
HPDLC回折素子が、可視光波長域の透過率(可視光透過能)及び日射透過制御能の両性能が高くなる条件として、HPDLC厚2~50μm、格子ピッチ0.3~2.0μmの範囲で構成された、請求項1記載の光透過制御部材。

【請求項8】
可視光透過能及び日射透過制御能を高めるために、
(HPDLC厚)=K×(格子ピッチ)
を満たす関係式(ここで、Kは、範囲4~15μm-1を満たす定数を表わす。)に、HPDLC厚と格子ピッチの値が設定されている、請求項7記載の光透過制御部材。

【請求項9】
上記光透過制御部材が、太陽光の透過を制御する太陽光透過制御窓材である、請求項1から8のいずれかに記載の光透過制御部材。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007279698thum.jpg
出願権利状態 登録


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