TOP > 国内特許検索 > ホログラム記録媒体

ホログラム記録媒体 コモンズ

国内特許コード P100001307
整理番号 02-123
掲載日 2010年12月6日
出願番号 特願2003-044632
公開番号 特開2004-252327
登録番号 特許第4348446号
出願日 平成15年2月21日(2003.2.21)
公開日 平成16年9月9日(2004.9.9)
登録日 平成21年7月31日(2009.7.31)
発明者
  • 池田 富樹
  • 佐藤 大輔
出願人
  • 三菱化学株式会社
発明の名称 ホログラム記録媒体 コモンズ
発明の概要

【課題】回折効率100%を達成し得、室温で長期間安定なホログラム記録媒体を提供しうるものであり、角度選択性の高いブラッグ型回折格子を形成でき、繰り返し記録-消去できる書換型ホログラム記録媒体が得られる。
【解決手段】本発明のホログラム記録媒体は、フォトクロミック成分、透明性付与成分および液晶成分を含むフォトクロミック高分子をホログラム記録材料として用いてなる。このフォトクロミック高分子は、フォトクロミックモノマー、透明性付与モノマーおよび液晶モノマーを重合させて得られる。フォトクロミック高分子中のフォトクロミック成分、透明性付与成分および液晶成分の比は、それぞれ1~10モル%、40~90%および10~50モル%の範囲から選ばれるのが好適である。
【選択図】 図7

従来技術、競合技術の概要
IT(情報)分野はそのインフラの整備とともに急速な発展を遂げており、さらに高度な情報化社会が到来すると考えられている。そのためには、必要な情報を高速かつ大量に記録・表示・伝送する技術が必要不可欠である。しかしながら、現在の情報処理システムの主流であるエレクトロニクスは、その情報処理能力に限界が近づいており、次世代技術であるフォトニクスは、エレクトロニクスに変わる技術として注目されている。
【0003】
フォトニクスは、光情報通信をはじめとする広い分野での光技術を支える光子のプロセスである。光は、電子と比較して波長、位相、偏光性など独立した多くの物理量を持ち、情報の高速処理、多重処理、並列処理の点で優れていることである。
【0004】
情報処理は、素子に信号を入力し、これを別の信号によって変換し出力信号を制御することである。フォトニクスで信号制御する場合、入力・出力・刺激信号のいずれも光であることが望ましく、刺激光の照射に応答して入力光の持つ波長、強度、偏光などの特性が変化すれば、「光で光を制御する」ことが可能となる。
【0005】
「光-光制御」の応用例として、ホログラフィーが挙げられる。ホログラフィーは光の干渉・回折という基本的現象によるものであり、光の干渉によって被写体の空間情報を干渉縞という形で記録し、再生することで完全な三次元物体を表示することができる。このため、情報の表示技術としての期待が大きい。また、多重記録が可能などの特性を活かし、高密度情報記録の一つのアプローチとしても注目されている。原理はガボール(D.Gabor)により1948年に提唱されたが,注目され始めたのは1960年代のレーザーの発明によって良質の光源が利用できるようになってからである。
【0006】
ホログラム記録材料に求められる特性は、高感度(高速応答、低強度)、高回折効率、高分解能などがある。ホログラフィーの応用範囲は多岐にわたっているが、再生像の明るさを表わす回折効率はどの分野においても求められており、最も重要な特性であるといえる。
【0007】
ホログラフィーは干渉縞の記録方式、使用する記録材料、記録光学系により分類される。干渉縞の記録方式により、ホログラムは振幅型ホログラムと位相型ホログラムに分類される。振幅型ホログラムは、干渉縞の強度分布が透過率分布の変化として記録され、再生時に光の吸収が起こるため鮮明な再生像を得ることができない。一方、位相型ホログラムは材料内部の屈折率変化もしくは表面凹凸(表面レリーフ)として干渉縞が記録されるため、再生時における光吸収がほとんどなく、振幅型ホログラムに比べ明るい再生像を得ることができる。回折効率の理論値は、振幅型より位相型の方が高くなるため、高い解析効率を得るためには位相型を用いる方がよい。さらに、記録の高速化を考えた場合、物質移動をともなう表面形状の変化よりも分子の形状や配向の変化に由来する屈折率変調を利用した方が有利である。
【0008】
次に、使用する記録材料により、ホログラムは薄いホログラム(ラマン-ナス回折)と厚いホログラム(ブラッグ回折)に分類される。記録される格子周期に比べて記録材料の膜厚が薄いか同じ程度の場合を薄いホログラム、格子周期に比べて膜厚が数十倍以上ある場合を厚いホログラムという。この二種類のホログラムを分類する指標であるQパラメーターを式(1)に示す。
【0009】
Q=2πλd/nΛ (1)
ここで、λは読み出し光の波長、dは記録材料の厚さ、nは記録材料の平均屈折率、Λは格子周期である。一般に、Q<1の場合にはラマン-ナス回折、Q>10の場合にはブラッグ回折が起こるといわれているが、材料によってその値が変わるともいわれている。位相型ホログラムの場合、理論的にラマン-ナス回折は多次の回折光が生じるため、最大回折効率が約34%であるのに対し、ブラッグ回折は一つの回折光しか生じず、最大回析効率は100%に達する。回折効率が高いということは鮮明な再生像を得られることであり、ホログラフィックディスプレイの分野でも、またホログラフィック光学素子への応用においても望ましいことであるため、近年、ブラッグ回折を利用したホログラムの研究が盛んに行われている。
【0010】
記録光学系によっては次のように分類される。物体光と参照光とが記録材料面に対して片面から入射する場合を透過型ホログラムという。透過型ホログラムにおいて再生を行う場合、ホログラム材料に参照光を当て、透過する再生光によって像を観察する。ブラッグ回折に基づく透過型ホログラムにおける理論的な回折効率(η)は、式(2)により求められる。
【0011】
η=sin(πdΔn’/λcosθ) (2)
ここで、Δn’は材料中に誘起される屈折率変調度、θはサンプルに対して垂直な角度からみた読み出し光の入射角度である。式(2)より、回折効率にはdとΔn’が大きく効いてくることがわかる。
【0012】
これに対し、物体光と参照光とが記録材料に対して両面から入射する場合を反射型ホログラムという。反射型ホログラムでは再生光はホログラム面からの反射によって生じる。ブラッグ回折に基づく反射型ホログラムにおける理論的な回折効率は、式(3)により求められる。
【0013】
η=tanh(πdΔn’/λcosθ) (3)
反射型においても透過型と同様に、回折効率にはdとΔn’の寄与が大きく、より高い回折効率を達成するためには、大きいdとΔn’が有利であることがわかる。
【0014】
このように、ホログラムにおいて高い回折効率を達成するためには、ブラッグ回折を利用し、厚膜において高い屈折率変調を誘起する必要がある。近年、高い屈折率変調を誘起できるホログラム材料として、液晶材料が注目を集めている。
【0015】
特に、アゾベンゼン液晶を用いた系は、記録・再生・消去が繰り返しおこなえるホログラム材料として精力的に研究されている。特に、高分子化したアゾベンゼン液晶は、高分解能であるだけでなく、ガラス転移点(Tg)以下では記録を長期間保持でき、Tg以上に加熱すると記録を容易に消去できるため、高性能記録材料として多くの研究がなされている。ラマン-ナス回折を用いた系においては、アゾベンゼン液晶の配向変化を利用し、31%とほぼ理論値に近い回折効率が得られている。一方、ブラッグ解析を用いた系においては、Ramanujamらがアゾベンゼン誘導体を有するオリゴマ-を用いて80%の回折効率を得ているが、理論最大回折効率を考慮した場合、まだ充分な値であるとはいえないうえ、回折格子形成に2500mW/cm2という高い光強度を必要としている(非特許文献1)。また、Kimらも、PMMAに少量の低分子アゾベンゼンをドープしたサンプルを用いて80%の回折効率を達成したが、照射時間が1時間以上かかるうえ、安定性の面でもまだ問題が残されている(非特許文献2)。
【0016】
【非特許文献1】
J.Am.Chem.Soc.1999,121,4738
【非特許文献2】
Opt.Lett.2002,27,1105
産業上の利用分野
本発明は、ホログラム記録媒体に関し、さらに詳しくはブラッグ回折に適したホログラム記録媒体に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 フォトクロミック成分、透明性付与成分および液晶成分を含むフォトクロミック高分子をホログラム記録材料として用いてなり、フォトクロミック高分子がフォトクロミックモノマー、透明性付与モノマーおよび液晶モノマーを重合させて得られ、フォトクロミックモノマーが、幾何異性化反応によりフォトクロミック特性を示す化合物であり、かつそのフォトクロミック特性を示す化合物がアゾベンゼン系化合物である、
ホログラム記録媒体。
【請求項2】 透明性付与モノマーが、有機ガラス重合用モノマーである請求項1記載のホログラム記録媒体。
【請求項3】 有機ガラス重合用モノマーが、アルキル(メタ)アクリレート類、ポリオールアリルカーボネート類もしくはチオウレタン類である請求項記載のホログラム記録媒体。
【請求項4】 液晶モノマーが、ビフェニル、フェニルシクロへキサン、シクロヘキシルシクロへキサン、シクロヘキシルカルボン酸エステル、ピリミジン、シッフ塩基もしくは安息香酸エステル系モノマーである請求項1記載のホログラム記録媒体。
【請求項5】 フォトクロミック高分子中のフォトクロミック成分、透明性付与成分および液晶成分の比が、それぞれ1~10モル%、40~90モル%および10~50モル%の範囲から選ばれる請求項1~のいずれかに記載のホログラム記録媒体。
【請求項6】 ホログラムにおける回折がブラッグ回折である請求項1~のいずれかに記載のホログラム記録媒体。
産業区分
  • 光学装置
  • 高分子化合物
  • 写真映画
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2003044632thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
詳しくお知りになりたい方は下記「問合せ先」まで直接お問合わせください


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close