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位相シフト法による形状測定方法及び形状測定装置、並びに複素振幅計測方法及び複素振幅計測装置 コモンズ

国内特許コード P100001334
整理番号 P09-002
掲載日 2010年12月13日
出願番号 特願2009-107207
公開番号 特開2010-256192
登録番号 特許第5258052号
出願日 平成21年4月25日(2009.4.25)
公開日 平成22年11月11日(2010.11.11)
登録日 平成25年5月2日(2013.5.2)
発明者
  • 茨田 大輔
  • 谷田貝 豊彦
  • 菊地 裕一
出願人
  • 国立大学法人宇都宮大学
発明の名称 位相シフト法による形状測定方法及び形状測定装置、並びに複素振幅計測方法及び複素振幅計測装置 コモンズ
発明の概要

【課題】外乱振動や空気の揺らぎがある場合であっても、高い測定精度で被測定物の形状測定を可能にする形状測定方法及び装置等を提供する。
【解決手段】光源1から出射した可干渉光束11を分岐して被測定物7と参照鏡8とに照射する分岐装置6と、被測定物7と参照鏡8との間に相対運動を生じさせる駆動装置20と、被測定物7で反射した物体光12と参照鏡8で反射した参照光13とを重ね合わせて干渉縞を形成する重畳装置6と、前記干渉縞を連続的に撮像して連続撮像データを得る撮像装置10と、前記連続撮像データから被測定物7の3次元形状を計算する計算装置21とを有する。計算装置21は、相対運動によって物体光12と参照光13の周波数がドップラー効果により変調することにより両光の周波数差のスペクトルから位相シフトスペクトルを得て、位相シフトスペクトルと連続撮像データとから被測定物7の3次元形状を計算する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


位相シフト干渉法は、被写体(被測定物ともいう。)で反射した物体光と、参照鏡で反射した参照光とを重ね合わせ、生じた干渉縞をCCDカメラ等の撮像装置で記録し、取得したデータの解析法として位相シフト法を用い、3次元物体の形状を計測する技術である。位相シフト法は、参照光の位相を一定量ずつ変化させて3枚以上の干渉縞画像を取得し、計算により被測定物の複素振幅のみの情報を抽出する技術であり、位相差から物体の形状を算出することができる。また、参照光を位相の異なる3つ以上の領域に分割することによって、1枚の取得画像から被測定物の情報を得ることもできる。



一方、デジタルホログラフィは、被測定物で反射した物体光と、参照鏡で反射した参照光とを重ね合わせ、生じた干渉縞をCCDカメラ等の撮像装置で記録し、コンピュータを用いて回折光をシミュレートして3次元物体形状を取得する技術である。しかしながら、シミュレートされた回折光には、1次光の他に、不要な0次光と-1次光も含まれており、それらの除去が必要である。ここで、0次光は参照光成分であり、1次光は被測定物からの物体光成分、-1次光はその共役波の成分である。



近年、物体の変位測定や形状測定等の3次元計測技術として、デジタルホログラフィに位相シフト法を適用した位相シフトデジタルホログラフィが注目されている。従来の位相シフト干渉法及び位相シフトデジタルホログラフィは、可動ステージに搭載された参照鏡を微小移動させ、参照光の位相をπ/2ずつ変化させて、3枚以上の干渉縞画像から1枚の被写体像又はデジタルホログラムを作成する方法がとられている。なお、位相シフト干渉法とデジタルホログラフィの違いは、被写体とカメラを結像関係にするかしないかである。



下記非特許文献1には、位相シフト干渉法を利用して物体の形状を測定する技術が提案されている。図7は同文献に記載された実験構成図である。図7中の符号M1は、形状が平面から若干変形している被測定物を表し、符号M2は、平面形状からなる参照鏡を表している。図7に示す測定装置では、参照鏡M2の平面形状を基準として、被測定物M1の形状を測定する。図7において、レーザ(Laser)から出た光は2つのレンズL1,L2で拡大され、ビームスプリッタ(BS)で2つの光に分けられる。一方の光は、ビームスプリッタ(BS)で反射して被測定物M1を照射し、他方の光は、ビームスプリッタ(BS)を透過して参照鏡M2に入射する。



被測定物M1で反射した光(この光を「物体光」という。)は元の光路を戻り、その一部はビームスプリッタ(BS)とレンズL3を透過し、フォトディテクター(Photo Detector)に入射する。このとき、レンズL3は、被測定物M1の像をフォトディテクター(Photo Detector)上に結像する。他方、参照鏡M2で反射した光(この光を「参照光」という。)も元の光路を戻り、その一部はビームスプリッタ(BS)で反射し、上記物体光と同様にレンズL3を透過し、フォトディテクター(Photo Detector)に入射する。このとき、物体光と参照光とは重なり合い、図8に例示するような干渉縞を形成する。もし、被測定物M1も参照鏡M2と同じ平面であるならば、形成される干渉縞は、等間隔(例えばピッチP)で直線となる。しかしながら、図8に示す干渉縞は、δ(変形量)で表しているように若干変形しているのが分かる。この変形量から物体の形状誤差を算出できる。



肉眼で形状誤差を測定するときは、先ず縞を測定する。平均ピッチPと、縞の密度を表す平均空間周波数f(単位長さあたりの干渉縞の本数)との関係は下記式(a)と書ける。ここで、被測定物M1が平面からεだけ変形しているものとすると、被測定物M1で反射した物体光は、参照光に対して2εに相当する量だけ位相が変位したものとなる。そのときの物体光と参照光の位相差をφとする。干渉縞がちょうど1縞変位すると、物体光と参照光の位相差φは2πとなる。このとき、干渉縞の変形量δを用いて位相差φを表すと、下記式(b)となる。一方、レーザ光の波長をλとすると、変形量εと位相差φとの関係は、下記式(c)と書ける。つまり、干渉縞から被測定物M1の変形量δを測定し、位相差φが求まれば、変形量εが得られ、被測定物M1の形状計測を行うことができるのである。



【数式1】




従来の形状計測では、画像処理と演算処理とによって自動的に位相差φを求めるようにしている。例えば下記非特許文献1では、干渉縞の強度分布は下記式(1’)で表すことができ、干渉縞の強度分布を下記式(2’)で示すフーリエ変換演算すると、干渉縞の空間周波数fと位相差φとを含む情報が得られるとされている。これに、下記式(5’)(6’)の演算を施すと、位相差φが求められ、これより上記式(c)を用いて変形量εが求められる。



【数式2】




なお、外部からの振動や被測定物付近の空気のじょう乱の影響を受け難いとされる耐振動型干渉計に関しては、下記特許文献1~3等が提案されている。



例えば、下記特許文献1は、光干渉計を用いた測定において、外乱が測定値に与える誤差を定量的に評価するとともに、その結果に基づいて測定誤差が許容値以下となるような装置を提供するものである。具体的には、外乱の測定装置およびその測定値を用いた測定装置は、干渉光学系において、物体光と参照光との間に鋸波状に変化する位相差を与え、その結果干渉光強度が正弦波的に変化することを利用して位相差を測定し、その位相差を一定の周波数でサンプリングすることにより、外乱が測定値に与える誤差量の周波数特性を評価することを可能とするものである。この測定装置は、干渉光を2光束に分け、それぞれの光束で測定物の異なる部分に対応する位置に開口を設け、開口を通過した干渉光同士の位相差を測定することにより、外乱が測定値に与える誤差量の空間的分布を評価することを可能としている。そして、その結果に基づき、測定精度を達成するために必要な鋸波状位相差の周波数を決定している。



また、下記特許文献2は、非球面レンズの面形状や面精度の測定精度を向上させる干渉計に関するものである。具体的には、同一光源から出射された可干渉光束を参照波と被検波とに分ける手段と、上記参照波に被検物の被測定面に相当する波面を形成する波面形成手段と、上記参照波と被検波とを重畳させる重畳手段と、該重畳手段を介して形成される干渉縞を観測する撮像手段と、該撮像手段の出力データを取り込んで上記被測定面の面形状や面精度を算出する演算手段と、を備えた干渉計において、上記波面形成手段は、被測定面へ照射される参照波の位相を任意に変調可能な位相制御素子を有するとともに、上記演算手段が、上記位相制御素子による位相変調量に基づいて上記撮像手段の出力データを解析するとした干渉計が提案されている。



また、下記特許文献3は、高精度の測定結果が要求される光学部材等の製作現場においてその表面形状の測定に好適な耐振動型干渉計に関するものである。具体的には、可干渉光を基準板上の基準面と被検体上の被検面に照射し、該基準面からの参照光と該被検面からの物体光とによる干渉縞を観察面上に形成する干渉縞形成手段と、前記観察面上の所定位置に配された、干渉縞像の局部的な光量を検出する光検出手段と、前記参照光と前記物体光との光路差を調整するように、前記干渉縞形成手段の光路中のいずれかの部材に所定の振動を付与する振動付与手段と、前記光検出手段により検出された光量の変化が小さくなるように前記振動付与手段の振動を制御する制御手段を備えてなる耐振動型干渉計が提案されている。

産業上の利用分野


本発明は、位相シフト法による形状測定方法、形状測定装置、複素振幅計測方法及び複素振幅計測装置に関する。更に詳しくは、外乱等が生じた場合であっても、被測定物の形状を良好に計測できる形状測定方法と装置、及び複素振幅計測を精度よく行うことができる方法と装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
同一光源から出射した可干渉光束を分岐して被測定物と参照鏡とに照射し、前記被測定物で反射した物体光と前記参照鏡で反射した参照光とを重ね合わせ、得られた干渉縞データから被測定物の形状を測定する方法であって、
前記被測定物と前記参照鏡との間に相対運動を生じさせ、該相対運動によって変化した前記干渉縞の強度分布を連続的に撮像して連続撮像データを得るとともに、前記物体光と前記参照光の周波数がドップラー効果により変調することにより該物体光と該参照光の周波数差のスペクトルから位相シフト量に変換した位相シフトスペクトルを得て、該位相シフトスペクトルと前記連続撮像データとから前記被測定物の3次元形状を計測することを特徴とする形状測定方法。

【請求項2】
前記被測定物と前記参照鏡との相対運動は、前記被測定物又は参照鏡を前記照射光の光軸と平行に移動させて生じさせる、請求項1に記載の形状測定方法。

【請求項3】
前記被測定物の3次元計測は、前記干渉縞の強度分布に対してドップラー位相シフト法を適用し、得られた一次光の複素振幅を抽出して行う、請求項1又は2に記載の形状測定方法。

【請求項4】
前記干渉縞のサンプリング周波数は、前記物体光と前記参照光の周波数差の2倍超とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の形状測定方法。

【請求項5】
光源と、該光源から出射した可干渉光束を分岐して被測定物と参照鏡とに照射する分岐装置と、前記被測定物と前記参照鏡との間に相対運動を生じさせる駆動装置と、前記被測定物で反射した物体光と前記参照鏡で反射した参照光とを重ね合わせて干渉縞を形成する重畳装置と、前記干渉縞を連続的に撮像して連続撮像データを得る撮像装置と、前記連続撮像データから前記被測定物の3次元形状を計算する計算装置とを有し、
前記計算装置は、前記相対運動によって前記物体光と前記参照光の周波数がドップラー効果により変調することにより該物体光と該参照光の周波数差のスペクトルから位相シフト量に変換した位相シフトスペクトルを得て、該位相シフトスペクトルと前記連続撮像データとから前記被測定物の3次元形状を計算することを特徴とする形状測定装置。

【請求項6】
前記駆動装置は、前記被測定物又は参照鏡を前記照射光の光軸と平行に移動させて相対運動を生じさせる、請求項5に記載の形状測定装置。

【請求項7】
前記計算装置は、前記干渉縞の強度分布に対してドップラー位相シフト法を適用し、得られた一次光の複素振幅を抽出して前記被測定物の3次元形状を計算する、請求項5又は6に記載の形状測定装置。

【請求項8】
前記撮像装置は、前記干渉縞のサンプリング周波数を前記物体光と前記参照光の周波数差の2倍超とする、請求項5~7のいずれか1項に記載の形状測定装置。

【請求項9】
同一光源から出射した可干渉光束を分岐して被測定物と参照鏡とに照射し、前記被測定物で反射した物体光と前記参照鏡で反射した参照光とを重ね合わせ、得られた干渉縞データから前記物体光の複素振幅を計測する方法であって、
前記被測定物と前記参照鏡との間に相対運動を生じさせ、該相対運動によって変化した前記干渉縞の強度分布を連続的に撮像して連続撮像データを得るとともに、前記物体光と前記参照光の周波数がドップラー効果により変調することにより該物体光と該参照光の周波数差のスペクトルから位相シフト量に変換した位相シフトスペクトルを得て、該位相シフトスペクトルと前記連続撮像データとから前記物体光の複素振幅を計測することを特徴とする複素振幅計測方法。

【請求項10】
光源と、該光源から出射した可干渉光束を分岐して被測定物と参照鏡に照射する分岐装置と、前記被測定物と前記参照鏡との間に相対運動を生じさせる駆動装置と、前記被測定物で反射した物体光と前記参照鏡で反射した参照光とを重ね合わせて干渉縞を形成する重畳装置と、前記干渉縞を連続的に撮像して連続撮像データを得る撮像装置と、前記連続撮像データから前記物体光の複素振幅を計算する計算装置とを有し、
前記計算装置は、前記相対運動によって前記物体光と前記参照光の周波数がドップラー効果により変調することにより該物体光と該参照光の周波数差のスペクトルから位相シフト量に変換した位相シフトスペクトルを得て、該位相シフトスペクトルと前記連続撮像データとから前記物体光の複素振幅を計算することを特徴とする複素振幅計測装置。
産業区分
  • 測定
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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