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プラズマX線管 コモンズ 実績あり

国内特許コード P100001352
掲載日 2010年12月15日
出願番号 特願2001-110783
公開番号 特開2002-313267
登録番号 特許第3734019号
出願日 平成13年4月10日(2001.4.10)
公開日 平成14年10月25日(2002.10.25)
登録日 平成17年10月28日(2005.10.28)
発明者
  • 佐藤 英一
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 プラズマX線管 コモンズ 実績あり
発明の概要 【課題】 プラズマX線発生装置に使用する、線量むらのない、高強度の、放電が惹起しやすく、かつ、繰り返し使用できるプラズマX線管を提供する。
【解決手段】 棒状の対陰極2と、棒状の対陰極2の外径より大きな内径を有する環状陰極3とを有し、棒状の対陰極2と環状陰極3の軸を一致させて、かつ所定の距離離して配設し、環状陰極3の開口部6からX線を取り出す。
従来技術、競合技術の概要


近年、物体の内部で高速に動く物体の観測にフラッシュX線写真撮影法が使用されている。例えば、心臓の動的機能は、X線造影剤を血液中に混入し、特定の瞬間における心臓の形態をX線写真撮影することによって診断することができる。このような用途のX線源には、高エネルギー、高強度の単色X線源が必要である。
このように、高強度の単色X線は、医療上の様々な応用分野で期待されているが、X線レーザーやシンクロトロン放射などの線源しかなく、手軽にどこでも使用できるX線源はない。



レーザーは誘導放出光による光の増幅を意味する。レーザーの原理によりX線を得るには、高エネルギーパルスレーザーの線状照射による方法が一般的であるが、フォトンエネルギーが10keVあるいはそれ以上のレーザーを出力することは原理的に難しい。
また、レーザーとは異なるが、高強度の単色X線はシンクロトロンによって得られている。しかし、フォトンエネルギーが100keV程度の単色X線を得ることは難しく、また十分なマシンタイムを得ることはできない。このことからシンクロトロンは医学や工学分野における基礎研究においては大変有用な線源であるが、医療上の汎用線源として手軽に利用することは困難である。



このような状況において、本発明者らは既に、高エネルギー、高強度、かつ、単色のX線を容易に発生させることができるプラズマX線発生源によるX線発生方法を提案している(SPIE Conf(44th) ’99.7.19)。この方法は、高電圧放電などにより、対陰極(ターゲット)物質を蒸発させて対陰極物質からなるプラズマを生成し、このプラズマに衝突して生ずる制動放射X線をプラズマ中の対陰極物質に吸収させて特性X線を発生させるものである。



この方法によれば、冷陰極から放出される電子がプラズマに衝突することによって生じる制動放射X線を特性X線の生成に使用するので、高電圧放電の放電電圧を高くすることによって、制動放射X線を特性X線の生成に必要なエネルギーに高めることができる。従って、容易に準単色X線である特性X線を生成することができる。また、高密度電流による高磁場によってプラズマ密度が高いので、高効率で特性X線を発生できる。また、プラズマの長軸方向に取り出すX線は、プラズマ中の伝搬距離が長いことから誘導放出効果が大きくなり特性X線の強度が高まると共に、吸収効果が大きくなり制動放射X線が減少し、従って、単色フィルター無しに高強度の特性X線を取り出すことができる。
このような構成のプラズマX線発生装置は、装置の構成が簡単であり、手軽に使用できる、高エネルギー、高強度の準単色X線源として、実用化が期待されている。



以下に、図5を用いて上記構成のプラズマX線発生装置を説明する。
図5はプラズマX線発生装置の原理を示す図である。
このX線発生装置50は、高圧電源51と、約200nFの容量の高圧コンデンサ52と、真空ポンプ53と、放電を開始させるトリガーパルス電源54と、プラズマX線管55とから構成される。
このX線発生装置50の電流路は、電流密度を大きくするために、低インピーダンスの同軸伝送路に設計されている。高圧コンデンサ52は約100kVまで充電が可能である。高圧コンデンサ52に蓄積された電荷は陰極で放電を惹起すると、プラズマX線管55に放電され、プラズマX線管55でX線62が発生する。
プラズマX線管55は、トリガー電極を備えた棒状の陰極56と、棒状または板状の特定の物質からなる対陰極(ターゲット)57とを有し、対陰極57は絶縁部材58を介してステンレス製の真空容器59に固定されている。真空容器59は、ポリエチレン・テレフタレートからなるX線窓60と、側壁に真空引き用の配管61を備え、動作時には真空ポンプと接続して約1mPaの真空度に保たれる。



このX線発生装置50を動作させるには、高圧電源51により高圧コンデンサ52を所定の高圧Vに充電し、トリガーパルス電源54によりトリガー電極にトリガーパルスを印加して放電を惹起する。放電が開始すると、陰極56から電子が引き出されて加速され、eVの運動エネルギーで対陰極57に衝突する。この際、電子の電流密度及びエネルギーが極めて高いので、対陰極物質が瞬時に蒸発し、また高磁場が電流を取り巻いて発生するので、対陰極物質のイオンと電子からなる極めて高密度のプラズマ62が形成される。引き続き到達する電子は高密度プラズマ62に衝突し、制動X線を放射する。高圧Vを十分高くして電子に十分なエネルギーを与え、対陰極物質のK吸収端以上のエネルギーを有する制動X線を発生させる。制動X線は対陰極物質のK殻電子を励起して吸収される。K殻に生じた空席に他の殻から電子が遷移してKα、Kβ等の特性X線を発生する。



プラズマ62中を伝搬する特性X線は、誘導放出によってしだいにその強度を強める。また、プラズマ62中を伝搬するK吸収端以下のエネルギーを有する制動X線は、プラズマ中のイオン化したターゲット物質の電子準位間遷移によって吸収されるので、しだいにその強度を弱める。



図6は、このプラズマX線発生装置において板状の対陰極を用いた場合に生成するプラズマの形状の軸方向(長手方向)と、横断方向(短手方向)のそれぞれのX線スペクトルの実測値を模式的に示したものである。
図6において、(a)は軸方向に、(b)は横断方向に取り出したX線スペクトルである。(a)及び(b)の横軸は、X線光子のエネルギーを示し、縦軸はX線強度を示し、2本の線スペクトルは、特性X線Kα、Kβである。
図6に示すように、軸方向71のX線スペクトルは、横断方向72に較べ、特性X線の強度が大きく、また、連続的なスペクトル分布を有する制動X線成分が少ない。このことから、軸方向71に出射するX線を利用すれば、単色フィルターを使用しなくとも単色X線源として使用できることがわかる。



図7は、棒状の対陰極の材料にニッケルを用いたプラズマX線発生装置のX線を使用したレントゲン写真の例である。
棒状の対陰極材料にニッケルを用い、50kVの電圧で高圧コンデンサ52を充電し、プラズマX線管55から1.2mの距離で、ポリメチル・メタクリレートからなる被写体を撮影した。ポリメチル・メタクリレートからなる被写体は、直径が一定長さずつ大きくなる同一の厚み(5mm)の複数の円盤5枚を同心円状に積み重ねたものである。ポリメチル・メタクリレートは、ニッケルのKα、Kβ特性X線を吸収し、他の波長のX線は透過する。
図7(a)は単色フィルターを使用しないで撮影した写真であり、図7(b)はニッケル単色フィルターを通して撮影したレントゲン写真である。
図7(a)及び(b)から明らかなように、ポリメチル・メタクリレートの厚みに依存したコントラスト像が得られており、単色フィルターを使用しなくとも単色X線によるレントゲン写真が得られることがわかる。
すなわち、このプラズマX線発生装置が発生するX線は、十分単色であることがわかる。



図8は、板状の対陰極材料にニッケルを用い、図7と同様の被写体を撮影したレントゲン写真である。
図8(a)及び(b)から明らかなように、板状の対陰極を用いた場合にも、このプラズマX線発生装置が発生するX線は、十分単色であることがわかる。



図9は、従来の固体ターゲットX線管によるレントゲン写真の例である。
従来の固体ターゲットX線管とは、陰極にフィラメントを有し、フィラメントを加熱して熱電子を放出し、熱電子を冷却された固体ターゲットに衝突させてX線を発生させるものである。ニッケルターゲットに連続して50kVの電圧を印加し、長時間照射して撮影した。
図9(a)及び(b)から明らかなように、単色フィルター無しでは、ポリメチル・メタクリレートの厚みに依存したコントラスト像が得られず、従来の固体ターゲットX線管によるX線は、特性X線以外に、連続的なスペクトル分布を有する制動X線を大量に放射することがわかる。
このように、プラズマX線発生装置は、極めて高強度の準特性X線を容易に発生することができるから、高強度の準特性X線の汎用X線源として期待されている。

産業上の利用分野


本発明は、高電圧放電で対陰極材料を蒸発させてできるプラズマからX線を発生させるプラズマX線発生装置のプラズマX線管に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
高電圧放電により、対陰極物質を蒸発させて対陰極物質からなるプラズマを生成し、このプラズマに衝突して生ずる制動放射X線をプラズマ中の対陰極物質に吸収させて特性X線を発生させるプラズマX線発生装置に使用するプラズマX線管において、
棒状の対陰極と、棒状の対陰極の外径より大きな内径を有する環状陰極とを有し、
上記環状陰極が、外径、内径及び材料の異なる複数の環状陰極部材を、対陰極に面する側から対陰極に面しない側に向かって順次内径が大きくなるように互いに嵌合してなり、かつ該環状陰極部材の外径が対陰極に面する側から対陰極に面しない側に向かって連続的に大きくなる形状を有しており、
上記棒状の対陰極と上記環状陰極の軸を一致させて、かつ所定の距離離して配設し、上記環状陰極の開口部からX線を取り出すことを特徴とする、プラズマX線管。

【請求項2】
前記対陰極に面する環状陰極部材がカーボン・グラファイトからなり、該カーボン・グラファイトからなる環状陰極部材以外の環状陰極部材が金属からなることを特徴とする、請求項に記載プラズマX線管。

【請求項3】
放電トリガー電極を、前記環状極の内壁に沿って、かつ、前記環状極の内部に配設することを特徴とする、請求項1または2に記載のプラズマX線管。

【請求項4】
放電トリガー電極を、前記対陰極に面する環状陰極部材の側壁を貫通して設けた細孔内に配設することを特徴とする、請求項1または2に記載のプラズマX線管。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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