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成分分布分析方法および成分分布分析装置

国内特許コード P110001377
掲載日 2011年1月4日
出願番号 特願2009-119296
公開番号 特開2010-266380
登録番号 特許第5311655号
出願日 平成21年5月15日(2009.5.15)
公開日 平成22年11月25日(2010.11.25)
登録日 平成25年7月12日(2013.7.12)
発明者
  • 杉山 純一
  • 蔦 瑞樹
  • 粉川 美踏
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 成分分布分析方法および成分分布分析装置
発明の概要

【課題】励起・蛍光マトリクス(EEM)に基づき測定対象物と当該測定対象物から抽出されたサンプル間の成分分布の差異を分析する場合であっても、測定対象物とサンプル間における溶媒含有率の影響を除去することができ、測定対象物の特定の成分をより明確に分析することができる、成分分布分析方法および成分分布分析装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、測定対象物およびサンプルのEEMを測定し、主成分分析を用いて解析し、主成分分析の結果である主成分得点プロットにおいて、溶媒軸と直交する成分軸を抽出し、成分軸上で測定対象物およびサンプルの成分分布の差異の判別し、この成分軸に色軸を対応させて各プロットを色軸に沿って着色することによって測定対象物およびサンプルの成分分布を可視化する。
【選択図】図9

従来技術、競合技術の概要


従来から、蛍光染色された測定対象物を蛍光観察することにより測定対象物の内部構造を可視化する技術が報告されている。



例えば、特許文献1および2に記載の組織構造の解析方法では、澱粉、蛋白質、脂質等を含有する多成分分散系食品を蛍光色素(例えば、コンゴレッド、フルオレスカスミン、ナイルブルー等)で染色した後、蛍光観察することにより、多成分分散系食品の組織構造を立体的画像として解析している。



また、特許文献3に記載の小麦粉製品観察方法では、脂質と蛋白質をそれぞれ異なる染色液(例えば、オイルレッドO、ヘマトキシリン等)で別色に染色する二重染色を行うことにより、小麦粉製品中のグルテン骨格、油滴、澱粉粒の状態を光学顕微鏡により同時に観察している。



また、特許文献4に記載の組織構造画像の形成方法では、トリフェニルメタン骨格を有する蛍光染色剤(例えば、マゼンタII等)で染色した加工食品または加工食品の製造原料を励起照射し、染色した加工食品または加工食品の製造原料を、少なくとも3種の観察光を用いて観察し、観察結果に基づいて加工食品の内部組織の微細構造を示す鮮明な画像を形成している。



ここで、図1を参照し、蛍光染色による蛋白質の可視化の一例について説明する。測定対象物の一例として、小麦粉食品(例えば、パン類、麺類、菓子類等)は世界中で食されており、小麦粉食品のおいしさを考慮する上で食感が重要な要素となっている。小麦粉食品の食感に対して大きな影響を与えるグルテンは、小麦粉と水を捏ねたときに生成する粘弾性のあるタンパク性の物質であり、小麦粉生地を捏ねていくことによって形状が変化する。したがって、グルテンの形状によって小麦粉食品のおいしさにつながる食感が決定される。そこで、蛍光染色により蛋白質を可視化する技術(特許文献1~4等)においては、図1に示すような測定対象物であるパン生地の断面を観察していた。図1において、染色された部分は測定対象物の成分のタンパク質を示し、白い部分は測定対象物の成分のデンプン粒を示している。



しかし、従来の蛍光染色により蛋白質を可視化する技術(特許文献1~4等)においては、染色を行うことで人工物が添加されるため製造ラインで使用することができなかった。また、図1に示すように、タンパク質のみを染色する試薬を用いているため、測定対象物の特定の成分(例えば、グルテン等)だけでなく、測定対象物の小麦粉中に含まれる他のタンパク質も染色されてしまい、測定対象物の特定の成分のみを可視化することができなかった。



そこで、近年、測定対象物を染色することなく測定対象物の特定の成分をより明確に分析する手法の開発が望まれていた。



例えば、本出願人による特許文献5に記載の成分分布可視化方法は、測定対象物を染色することなく、測定対象物に対して照射する励起波長、および、測定対象物から観測する蛍光波長を段階的に変化させながら蛍光強度を測定することにより取得した励起・蛍光マトリクス(Excitation Emission Matrix:EEM)を統計解析処理で圧縮して蛍光特性を抽出し、抽出した蛍光特性に対応する色を用いてカラーマッピングすることにより測定対象物の複数成分を同時に画像表示している。

産業上の利用分野


本発明は、成分分布分析方法および成分分布分析装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
測定対象物および当該測定対象物から抽出されたサンプルの成分分布を分析する成分分布分析方法であって、
所定の励起波長範囲および所定の蛍光波長範囲で、照射する励起波長および観測する蛍光波長を段階的に変化させながら、前記測定対象物および前記サンプル上の複数の測定箇所における蛍光強度を測定することにより、前記測定対象物および前記サンプル上の各測定箇所の励起・蛍光マトリクス情報を取得する励起・蛍光マトリクス情報取得工程、および、
前記励起・蛍光マトリクス情報取得工程にて各測定箇所ごとに取得した前記励起・蛍光マトリクス情報に対して主成分分析を行い、主成分にて表される前記測定対象物および前記サンプルの成分の値である主成分得点を座標としてプロットすることにより主成分得点プロットを作成し、当該主成分得点プロット上で、前記サンプルに含まれる溶媒含有率の異なる溶媒軸決定用サンプルの成分を示すプロット群のうち、当該溶媒含有率の高い第1のプロット群の重心と当該溶媒含有率の低い第2のプロット群の重心とを通る軸、または、前記溶媒軸決定用サンプルのプロット群の近似直線を、溶媒軸として設定し、当該溶媒軸に直交する軸を前記溶媒含有率の影響を受けない成分軸として設定し、前記測定対象物および前記サンプルの成分を示すプロットを前記成分軸上に投影することにより、各測定箇所の前記成分の違いをパラメータ化するデータ解析工程、
を含むことを特徴とする、成分分布分析方法。

【請求項2】
前記データ解析工程にて前記成分軸上に投影された前記プロットに基づいて各測定箇所に彩色すべき色を決定する色決定工程、および、
前記色決定工程にて決定された前記各測定箇所に彩色すべき色をカラーマッピングすることにより、前記測定対象物および前記サンプルの前記成分分布を可視化する成分分布可視化工程、
を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の成分分布分析方法。

【請求項3】
前記励起・蛍光マトリクス情報取得工程において、
前記測定対象物および前記サンプルについて、前記照射する励起波長および前記観測する蛍光波長の異なる複数の蛍光画像を撮影し、
前記蛍光画像における各画素の前記蛍光強度から、前記測定対象物および前記サンプル上の各測定箇所における前記励起・蛍光マトリクス情報を取得することを特徴とする、請求項1または2に記載の成分分布分析方法。

【請求項4】
前記測定対象物は、穀粉製品を少なくとも含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の成分分布分析方法。

【請求項5】
前記成分は、タンパク質、澱粉、多糖類、ミネラル、脂質からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の成分分布分析方法。

【請求項6】
前記溶媒は、水、アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の成分分布分析方法。

【請求項7】
測定対象物および当該測定対象物から抽出されたサンプルに所定の励起波長を照射する分光照明装置と、所定の蛍光波長で前記測定対象物および前記サンプルを観察する分光撮影装置とを備えた、前記測定対象物および前記サンプルの成分分布を分析する成分分布分析装置であって、少なくとも
前記測定対象物および前記サンプル上の複数の測定箇所において、励起・蛍光マトリクス情報を取得する励起・蛍光マトリクス測定部、および、
前記励起・蛍光マトリクス測定部により各測定箇所ごとに取得した前記励起・蛍光マトリクス情報に対して主成分分析を行い、主成分にて表される前記測定対象物および前記サンプルの成分の値である主成分得点を座標としてプロットすることにより主成分得点プロットを作成し、当該主成分得点プロット上で、前記サンプルに含まれる溶媒含有率の異なる溶媒軸決定用サンプルの成分を示すプロット群のうち、当該溶媒含有率の高い第1のプロット群の重心と当該溶媒含有率の低い第2のプロット群の重心とを通る軸、または、前記溶媒軸決定用サンプルのプロット群の近似直線を、溶媒軸として設定し、当該溶媒軸に直交する軸を前記溶媒含有率の影響を受けない成分軸として設定し、前記測定対象物および前記サンプルの成分を示すプロットを前記成分軸上に投影することにより、各測定箇所の前記成分の違いをパラメータ化するデータ解析部、
を備えたことを特徴とする、成分分布分析装置。

【請求項8】
前記データ解析部により前記成分軸上に投影された前記プロットに基づいて各測定箇所に彩色すべき色を決定し、当該各測定箇所に彩色すべき色をカラーマッピングすることにより、前記測定対象物および前記サンプルの前記成分分布を可視化する成分分布可視化部、
を更に備えたことを特徴とする、請求項7に記載の成分分布分析装置。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009119296thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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