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植物の生長を制御する遺伝子Hd16およびその利用

国内特許コード P110001379
掲載日 2011年1月4日
出願番号 特願2009-103758
公開番号 特開2010-252645
登録番号 特許第5534137号
出願日 平成21年4月22日(2009.4.22)
公開日 平成22年11月11日(2010.11.11)
登録日 平成26年5月9日(2014.5.9)
発明者
  • 矢野 昌裕
  • 堀 清純
  • 松原 一樹
  • 山内 歌子
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 植物の生長を制御する遺伝子Hd16およびその利用
発明の概要 【課題】本発明は、植物の生長を制御する新規遺伝子の提供、該遺伝子を利用した植物の生長の制御(開花期又は出穂期の改変)方法、及び該遺伝子を標的とした植物の感光性の強度の判定方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明者らは、上記の課題を解決するために、イネ品種日本晴とコシヒカリの間で検出された植物の生長を制御する遺伝子座(Hd16遺伝子座)の高精度連鎖解析を行い、Hd16の候補遺伝子を選定した。さらに、上記のようにして絞り込んだ候補遺伝子が、実際に出穂に関して機能していることを確認するために相補性検定を行った。その結果、Hd16候補遺伝子として単離した遺伝子には到穂日数を調節する機能を有することが明らかとなり、さらに該当遺伝子を使用して出穂期および植物の生長を制御することが可能であることを見出した。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



作物を含む多くの植物は、日長時間や気温、降水量などの季節変化を感知して環境に適応している。例えば、短日植物であるイネは日長の変化によって出穂時期が変化する(感光性)が、低緯度の熱帯地域では感光性の強い品種が適しており日本などの高緯度地域では感光性の小さい品種が適している。日本国内においてもイネの品種の感光性には差があり、一般に九州や本州南部の品種は比較的強い感光性をもち、北海道の品種は感光性がほとんどない。このように、感光性が異なることによって栽培地域や栽培時期などに対する適応性が大きく変化するため、各地域で最適時期にイネを収穫するために出穂期の調節は重要である。





これまでに、イネの出穂期に関係する量的形質遺伝子座(QTL)の多くはインド型品種と日本型品種の交雑後代から見つかっている(非特許文献1~6)。その中のいくつかのQTLは遺伝子が単離されている。例えば、Hd1遺伝子はジンクフィンガードメインとCCTモチーフを持つタンパク質をコードしており、シロイヌナズナのCONSTANSの相同遺伝子である(非特許文献3)。Hd3a遺伝子はシロイヌナズナのFTの相同遺伝子であり、Hd1遺伝子によって制御される(非特許文献7)。Hd6遺伝子はカゼインリン酸化酵素2のαユニットをコードしている(非特許文献8)。Ehd1遺伝子はBタイプレスポンスレギュレーターをコードしている(非特許文献9)。mRNAの発現解析の結果、Ehd1遺伝子はHd3a遺伝子の上流で機能するが、シロイヌナズナにEhd1遺伝子の相同遺伝子は存在しないことがわかった。さらに、Tamakiら(非特許文献10)はHd3aタンパク質が花成ホルモンのフロリゲンであることを明らかにした。これら近年の研究成果は、イネとシロイヌナズナでは共通に保存された開花システムと独自の開花システムの両方が存在することを示唆している。





日本のイネ品種群の中にも出穂期の大きな変異が存在しており、複数の感光性遺伝子の存在が報告されている。例えば、Se1座、E1座、E2座、E3座、Ef1座などである(非特許文献11~15)。しかしながら、日本のイネ品種の遺伝的多様性が非常に小さく、これまでは遺伝解析に必要な多数のDNAマーカーを開発できなかったため、これらの感光性遺伝子と既報の出穂期遺伝子との関係を明らかにできなかった。日本のイネ品種群の出穂期の自然変異に関係している遺伝子については不明な点が多いのが現状である。





近年のイネゲノム塩基配列の完全解読により、ゲノムに散在するマイクロサテライト(SSR)が明らかとなった(非特許文献16)。SSRは短い塩基配列の繰り返し数に変異が起こりやすいことから、遺伝的に近縁な日本のイネ品種間でも効率的に多型を示すDNAマーカーを開発でき、日本型イネ品種間でQTL解析などの遺伝解析を行うことが可能になってきた。実際、玄米品質や食味などの育種上の重要形質では日本のイネ品種間の交雑後代を使った遺伝解析が報告されている(非特許文献17~19)。しかしながら、日本のイネ品種間の重要形質の変異に関係する遺伝子を単離したという報告は未だなされていない。

尚、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。

産業上の利用分野



本発明は、植物の生長を制御する新規遺伝子および該遺伝子を利用した植物の生長の制御方法に関する。植物の生長の制御は、植物の品種改良などの分野において有用である。

特許請求の範囲 【請求項1】
植物の感光性を増加させる機能を有するタンパク質をコードする、下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNAを植物体の細胞内に導入して発現させる工程を含む、植物の感光性を増加させる方法
(a)配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:2又は3に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。
(c)配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1~50のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(d)配列番号:2又は3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を有するDNA。

【請求項2】
DNAがイネ由来であることを特徴とする、請求項1に記載の方法

【請求項3】
植物の感光性を低下させる機能を有するタンパク質をコードする、下記(a)又は(b)に記載のDNA。
(a)配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:5又は6に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。

【請求項4】
イネ由来であることを特徴とする、請求項3に記載のDNA。

【請求項5】
請求項~4のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なRNAをコードするDNA。

【請求項6】
請求項~4のいずれかに記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA。

【請求項7】
植物細胞における発現時に、共抑制効果により、請求項~4のいずれかに記載のDNAの発現を抑制させるRNAをコードするDNA。

【請求項8】
請求項から7のいずれかに記載のDNAを含むベクター。

【請求項9】
請求項8に記載のベクターが導入された宿主細胞。

【請求項10】
請求項8に記載のベクターが導入された植物細胞。

【請求項11】
請求項10に記載の植物細胞を含む形質転換植物体。

【請求項12】
請求項11に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。

【請求項13】
請求項11または12に記載の形質転換植物体の繁殖材料。

【請求項14】
請求項から7のいずれかに記載のDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む、形質転換植物体の製造方法。

【請求項15】
請求項~4のいずれかに記載のDNAによりコードされるタンパク質。

【請求項16】
請求項9に記載の宿主細胞を培養し、該細胞またはその培養上清から組換えタンパク質を回収する工程を含む、請求項15に記載のタンパク質の製造方法。

【請求項17】
請求項15に記載のタンパク質に結合する抗体。

【請求項18】
配列番号:5又は6に記載の塩基配列またはその相補配列に相補的な少なくとも15の連続する塩基を含むポリヌクレオチドであって、配列番号:5の3288位又は配列番号:6の1232位に対応する塩基を含む、前記ポリヌクレオチド

【請求項19】
植物の感光性を増加させる機能を有するタンパク質をコードする下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNAの発現を抑制する工程を含む、植物の感光性を低下させる方法。
(a)配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:2又は3に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。
(c)配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1~50のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(d)配列番号:2又は3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を有するDNA。

【請求項20】
請求項3から7のいずれかに記載のDNAを植物体の細胞内で発現させる工程を含む、植物の感光性を低下させる方法。

【請求項21】
以下の(a)~(c)の工程を含む、植物の感光性を判定する検査方法。
(a)被検植物体および繁殖媒体からDNA試料を調製する工程。
(b)該DNA試料から請求項1又は3に記載のDNA領域を増幅する工程。
(c)植物の品種・系統から請求項1又は3に記載のDNA領域を増幅したDNA断片と、該DNA試料から増幅したDNA断片の分子量または塩基配列を比較する工程。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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