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パルスドプラ計測装置、その方法及びそのプログラム

国内特許コード P110001409
整理番号 05-07
掲載日 2011年1月5日
出願番号 特願2006-040587
公開番号 特開2007-215816
登録番号 特許第4729765号
出願日 平成18年2月17日(2006.2.17)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
登録日 平成23年4月28日(2011.4.28)
発明者
  • 田中 直彦
出願人
  • 学校法人 芝浦工業大学
発明の名称 パルスドプラ計測装置、その方法及びそのプログラム
発明の概要

【課題】対象物の速度を超音波パルスの反射波の位相差により計測する際に、位相差における位相の折り返しによる誤計測を防止することを可能にしたパルスドプラ計測装置を提供する。
【解決手段】パルスドプラ計測装置1は、反射波から、周波数毎の位相を検出するフーリエ変換手段31と、周波数毎の位相について位相差を演算する位相差演算手段33と、その位相差に対して、予め定めた異なる複数の位相修正パターンで2πの整数倍の位相を加算又は減算する位相差修正手段341と、周波数と当該周波数における位相差とを座標点とする座標系において、位相修正パターン毎に周波数毎の座標点を直線に近似することで、その直線の傾きとその誤差とを演算する直線近似手段342と、その誤差が最小となる直線の傾きを、移動速度に対応する位相差の傾きとして選択する速度特定手段36と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要

従来、人体の診断を行う装置として、生体内の血流の速度を計測するパルスドプラ法を用いた診断装置が種々開発され、臨床の場で広く利用されている。これらの診断装置は、生体内の血流に対して超音波のパルスを一定周期で繰り返し送波し、計測対象である赤血球が動くことにより生じる反射波の位相変化を検出することで、血流の速度を計測している。
ここで、図9を参照して、従来のパルスドプラ法について、その概念を説明する。
パルスドプラ法は、図9(a)に示すように、送波器Sから、一定周期で超音波(送波パルス)を、動きを伴う対象物(例えば、血流)Bに送波し、受波器Rで、対象物Bからの反射波を受波する。このとき、1番目の送波と2番目の送波との間に対象物BがΔxだけ移動したとすると、図9(b)に示すように、伝播時間差Δtだけ受波波形がシフトする。
この移動量Δxと伝播時間差Δtとの関係は、伝播媒質中の音速をc〔m/s〕とすると、以下の(1)式で表される。

【数式1】

ここで、送波パルスの繰り返し周期をT〔s〕とし、対象物Bの速度をv〔m/s〕とすると、前記(1)式は、以下の(2)式となる。

【数式2】

この伝播時間差Δtは、図9(c)に示すように、シフトした受波のスペクトルにおいて位相のずれとなって現れる。すなわち、伝播時間差Δtは、図9(d)に示すように、シフトした受波のスペクトルの位相差(位相回転)に比例する。
ここで、送波パルスの中心周波数をω、ωにおける位相差をΔθとすると、図9(d)の直線の傾きはΔθ/ωとなる。これが伝播時間差Δtに相当するため、前記(2)式より、以下の(3)式を得ることができる。

【数式3】

このように、対象物Bの速度vは、送波パルスの中心周波数ωと位相差Δθとにより求めることができる。
そして、このパルスドプラ法を用いた診断装置は、血流の速度を表示装置上にカラー表示させることにより、心臓、肝臓等の診断、血行動態のリアルタイムの診断等、多くの診断に利用されている。
しかし、パルスドプラ法を用いた診断装置では、前記(3)式に示すように、血流計測を反射波の位相変化により行っているため、図9(e)に示すように、血流の速さによっては、位相の折り返し(いわゆるエイリアシング)が発生し、正しい計測結果が得られないという問題がある。

この問題を解決する手法として、種々の提案がなされている。例えば、2つの異なる周波数をもつパルスを予め定めた周期で対象物に送波し、それぞれ送波したパルスと反射波との位相差の差をとることで、位相差が±πを超えエイリアシングが発生する場合でも、2つの位相差の差が±π以内でありエイリアシングが発生しないことを利用して、対象物の速度を計測する手法(以下、2周波法という)が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。また、別の手法として、パルスを異なる周期で対象物に送波し、それぞれ送波したパルスと反射波との位相差をとり、周期の差により発生する位相差の差を利用することで、対象物の速度を計測する手法(以下、2周期法という)が提案されている(特許文献3参照)。

また、これらの従来の手法では、送受波を複数回行い位相の平均化を行うことで、計測速度の精度を高めている。さらに、従来の手法では、送受波するパルスの中心周波数により位相の検出を行っているが、パルスの帯域を狭くする方が、S/Nの点で有利であると考え、比較的パルス長の長いバースト波を用いている。
また、従来の手法では、実際の血流計測において、血管壁、骨等の動きのない反射体からの反射波を拾ってしまうクラッタ成分を除去するため、反射波の位相の差に基づいて、動きのない反射体からの反射波の信号を除去するMTI(Moving Target Indication)フィルタを使用している。

【特許文献1】特許第2953083号公報(段落0009)
【特許文献2】米国特許第4534357号明細書
【特許文献3】特開平4-197249号公報(第3-5頁、第3-5図)

産業上の利用分野

本発明は、対象物に送波した超音波に対する反射波に基づいて、移動する対象物の速度を計測するパルスドプラ計測装置、その方法及びそのプログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
対象物に対して超音波を一定の周期で送波し、その反射波に基づいて、前記対象物の移動速度を計測するパルスドプラ計測装置であって、
前記超音波を前記対象物に送波する送波手段と、
前記対象物からの前記超音波に対する反射波を受波する受波手段と、
この受波手段で受波した反射波から、周波数毎の位相を検出するスペクトル解析手段と、
このスペクトル解析手段で検出された周波数毎の位相について、前記周期毎に位相差を演算する位相差演算手段と、
前記周波数毎の位相差に対して、予め定めた異なる複数の位相修正パターンで2πの整数倍の位相を加算又は減算することで前記位相差を修正する位相差修正手段と、
前記周波数と当該周波数における位相差とを座標点とする座標系において、前記複数の位相修正パターン毎に、前記周波数毎の座標点を直線に近似することで、その直線の傾きと、その誤差とを演算する直線近似手段と、
この直線近似手段で演算された前記誤差が最小となる直線の傾きを、前記移動速度に対応する位相差の傾きとして選択する速度特定手段と、
を備えていることを特徴とするパルスドプラ計測装置。
【請求項2】
前記位相差演算手段は、前記周波数毎の位相差を、予め定めた送受波回数毎に平均化することを特徴とする請求項1に記載のパルスドプラ計測装置。
【請求項3】
前記スペクトル解析手段で検出された位相に基づいて、クラッタ成分を除去するフィルタリング手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパルスドプラ計測装置。
【請求項4】
対象物に対して超音波を一定の周期で送波し、その反射波に基づいて、前記対象物の移動速度を計測するパルスドプラ計測方法であって、
前記超音波を前記対象物に送波し、前記対象物からの反射波を受波する送受波ステップと、
前記反射波から、周波数毎の位相を検出するスペクトル解析ステップと、
このスペクトル解析手段で検出された周波数毎の位相について、前記周期毎に位相差を演算する位相差演算ステップと、
前記周波数毎の位相差に対して、予め定めた異なる複数の位相修正パターンで2πの整数倍の位相を加算又は減算することで前記位相差を修正する位相差修正ステップと、
前記周波数と当該周波数における位相差とを座標点とする座標系において、前記複数の位相修正パターン毎に、前記周波数毎の座標点を直線に近似することで、その直線の傾きと、その誤差とを演算する直線近似ステップと、
この直線近似ステップで演算された前記誤差が最小となる直線の傾きを、前記移動速度に対応する位相差の傾きとして選択する速度特定ステップと、
を含んでいることを特徴とするパルスドプラ計測方法。
【請求項5】
対象物に対して一定の周期で送波された超音波に対する反射波に基づいて、前記対象物の移動速度を計測するために、コンピュータを、
前記反射波から、周波数毎の位相を検出するスペクトル解析手段、
このスペクトル解析手段で検出された周波数毎の位相について、前記周期毎に位相差を演算する位相差演算手段、
前記周波数毎の位相差に対して、予め定めた異なる複数の位相修正パターンで2πの整数倍の位相を加算又は減算することで前記位相差を修正する位相差修正手段、
前記周波数と当該周波数における位相差とを座標点とする座標系において、前記複数の位相修正パターン毎に、前記周波数毎の座標点を直線に近似することで、その直線の傾きと、その誤差とを演算する直線近似手段、
この直線近似手段で演算された前記誤差が最小となる直線の傾きを、前記移動速度に対応する位相差の傾きとして選択する速度特定手段、
として機能させることを特徴とするパルスドプラ計測プログラム。
産業区分
  • 治療衛生
  • その他通信
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006040587thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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