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ネコブセンチュウpos-1遺伝子、及びその遺伝子発現抑制によるネコブセンチュウ防除方法 コモンズ

国内特許コード P110001558
整理番号 H21-006
掲載日 2011年2月24日
出願番号 特願2009-236075
公開番号 特開2011-083193
登録番号 特許第5614610号
出願日 平成21年10月13日(2009.10.13)
公開日 平成23年4月28日(2011.4.28)
登録日 平成26年9月19日(2014.9.19)
発明者
  • 河野 強
出願人
  • 国立大学法人鳥取大学
発明の名称 ネコブセンチュウpos-1遺伝子、及びその遺伝子発現抑制によるネコブセンチュウ防除方法 コモンズ
発明の概要 【課題】ネコブセンチュウの細胞極性を制御し、ネコブセンチュウの防除方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ネコブセンチュウの細胞極性に関わるPOS-1タンパク質を見つけ出し、該タンパク質をコードする遺伝子の発現をRNAiにより抑制することによって、ネコブセンチュウの増殖を阻害する。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要



世界的な線虫による農作物の被害は、約8兆円ともいわれ、このうちネコブセンチュウ(Meloidogyne spp.)による被害は、約半分を占め、経済的に最も大きな損失をもたらす。ネコブセンチュウは約80種が知られているが、ネコブセンチュウ害のうち95%はサツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、アレナリアネコブセンチュウ(M. arenaria)、キタネコブセンチュウ(M. hapla)、ジャワネコブセンチュウ(M. javanica)の4種によるもので、さらにこれらの被害の90%以上はサツマイモネコブセンチュウによるものと推定されている(非特許文献1)。





それぞれの種が広い寄生範囲をもつが、例えば、サツマイモネコブセンチュウの寄生植物は700種以上にもおよび、国内で被害となる作物はきわめて多く、キュウリ、トマト、ニンジン、メロン、サツマイモは普遍的に被害を受ける作物である。また、被害は鳥取県の県特産品であるスイカ・白ネギの栽培にも見受けられ、防除法の確立が切実に望まれている。





ネコブセンチュウは、土壌中に生息し、植物の根に寄生して根にコブを作り、養分を吸収しながら繁殖する寄生種である。メスの成虫は、あちこちの根の表面付近にゼリー状の大きな塊を尾端から出し、その中に産卵する(図1)。卵から孵化した幼虫は、土の中を移動し新しい根の組織内に侵入する。そして侵入したセンチュウの排泄する刺激物質により、寄生された植物の根の細胞が異常分裂を起こし、コブが形成される。寄生された植物は、このコブが形成されることによって根の組織が破壊され、水分や養分の吸収が悪くなり、寄生植物の種類や栽培法などによって被害状況は異なるものの、草丈の短小、葉色の減退・しおれ、枯れ上がりといった症状を示し、成長が遅くなったり、収穫量が減少したりする(図2)。





さらにまた、ネコブセンチュウの被害は、複合病害が大きいという問題も含んでいる。例えば、ネコブセンチュウとフザリウム菌との関連事例は多数報告されており、これは線虫が病原の媒介役を担うだけでなく、線虫寄生組織が病原体の誘引、侵入、感染、発育、及び発病を促進し、線虫または病原体が単体で働く場合よりはるかに被害が激化する。





現在、ネコブセンチュウの防除法としては、表1に示したように、土壌燻蒸剤を利用する防除法、非土壌燻蒸剤を投与する防除法、対抗植物を利用する防除法、及び緑肥作物等の有機物の施用による防除法などがある(非特許文献2)。

【表1】








現在最も有効と考えられている防除法は、クロルピクリンなどの土壌燻蒸剤を利用する方法である。また、ネマトリンなど非土壌燻蒸剤を投与する防除法は、他の土壌微生物に影響がない点で優れている。

この他、栽培することによって積極的に線虫密度を減らす働きのある「対抗作物」を利用した防除方法もある。マリーゴールドなどの対抗植物は、一般的に殺線虫性の物質を含み、または分泌して根辺や植物組織内の線虫の発育を阻害したり死亡させる作用を持つ。土壌線虫は連作障害の主原因と考えられており、対抗作物を輪作したり、畑周辺に植えることで、有害線虫の密度を抑制することができる。





現在のところ、土壌中のセンチュウ密度が高い場合は主に土壌燻蒸剤を使用し、密度が下がった時に非土壌燻蒸剤で抑えるという方法や、対抗植物等を併用するのが効果的と考えられている。





その他、ネコブセンチュウに抵抗性を持った作物の育種も進められており、イチゴ、ラッカセイは線虫抵抗性の品種があり、輪作でも線虫害の軽減が期待できるといわれている。また、わが国ではサツマイモやトマトなどで試験研究が行われ、特にトマトでは一種の野生トマトの抵抗性因子(Mi因子)を導入して、既に幾つかの優れた経済品種が育成され実用に供されている(非特許文献3)。





また、ネコブセンチュウ抵抗性作物から耐性遺伝子を単離して、これを導入する遺伝子組換え作物の研究もされている。例えば、特許文献1、及び特許文献2ではネコブセンチュウに耐性を示すMi耐性遺伝子を導入した作物について、また特許文献3でもネコブセンチュウ抵抗性遺伝子を導入した作物について記載されている。

さらにまた、特許文献4では、線虫の食道腺細胞ポリペプチドの合成を阻害する遺伝子組換え作物に関して記載されている。

産業上の利用分野



本発明は、ネコブセンチュウの増殖に必須のpos-1遺伝子に関するものである。さらに、本発明は、ネコブセンチュウpos-1遺伝子の発現を抑制するRNA、ネコブセンチュウpos-1遺伝子の発現を抑制するRNAiプラスミド(以下、RNAiプラスミドという)、RNAiプラスミドを導入したネコブセンチュウ抵抗性植物、及びネコブセンチュウの防除方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
(a) 配列番号2、配列番号3又は配列番号4のいずれかで表される塩基配列、又は
(b) 配列番号2、配列番号3又は配列番号4のいずれかで表される塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失・置換若しくは付加された塩基配列、
からなるネコブセンチュウPOS-1タンパク質又はその変異体をコードする遺伝子の転写産物と、
その転写産物と相補的な塩基配列を含むRNAと、
を含む二本鎖のRNA。

【請求項2】
請求項1に記載の二本鎖RNAであって、ネコブセンチュウPOS-1タンパク質の発現量を低減させるためのRNAi分子として作用し得る二本鎖RNA。

【請求項3】
(c) 配列番号1で表される塩基配列、
(d) 配列番号1で表される塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失・置換若しくは付加された塩基配列、
のいずれかに記載のネコブセンチュウpos-1遺伝子をベクターに連結して発現可能に構成されているネコブセンチュウpos-1遺伝子発現ベクターであり、
(e) 数塩基以上のリンカー(スペーサー)配列の両端にIR(inverted repeat:逆位反復)となるようにdsRNA形成部分に対応したDNA配列が配置され、植物体内で高発現するプロモーターによりヘアピン型dsRNAを転写するシステム、又は
(f) 2つのプロモーターからセンスRNAとアンチセンスRNAが転写され、細胞内でハイブリダイズしてsiRNAを産生するシステム、
を有する、ネコブセンチュウpos-1遺伝子発現ベクター。

【請求項4】
ネコブセンチュウに抵抗性を示す植物を生産する方法であって、請求項3に記載のネコブセンチュウpos-1遺伝子発現ベクターを用いて生産されるネコブセンチュウ抵抗性植物の製造方法。

【請求項5】
請求項4に記載の方法によって生産されたネコブセンチュウ抵抗性植物。

【請求項6】
請求項5に記載のネコブセンチュウ抵抗性植物をトラップ植物として利用する工程を含む、ネコブセンチュウの防除方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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