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遺伝的に改変された細胞を製造する方法

国内特許コード P110001568
掲載日 2011年3月2日
出願番号 特願2010-132987
公開番号 特開2011-015678
登録番号 特許第5773403号
出願日 平成22年6月10日(2010.6.10)
公開日 平成23年1月27日(2011.1.27)
登録日 平成27年7月10日(2015.7.10)
優先権データ
  • 特願2009-138902 (2009.6.10) JP
発明者
  • 土岐 精一
  • 武田 俊一
  • 廣田 耕志
  • 刑部 敬史
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 遺伝的に改変された細胞を製造する方法
発明の概要 【課題】二重鎖切断誘導による相同組み換えを利用して遺伝子的に改変された細胞を製造する手法において、二重鎖切断部位における相同組み換えの頻度を高めること。
【解決手段】ブルームDNAヘリカーゼおよび/またはエキソヌクレアーゼExo1の利用により、二重鎖切断誘導による相同組み換えの頻度を飛躍的に高めることができることを見出した。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


RecQヘリカーゼは、3'-5'の方向に二重鎖DNAを巻き戻す活性をもつDNAヘリカーゼのサブファミリーである。RecQのホモログは、出芽酵母からヒトまで広範囲に渡る生物種において同定されている(非特許文献1)。ヒトRecQファミリータンパクは、Blm、Wrn、RecQ1、RecQ4およびRecQ5の5つからなる。BLM、WRNおよびRECQ4遺伝子に変異が生じると、それぞれ、Bloom症候群(BS)、Werner's症候群、およびRothmund-Thomson症候群を引き起こす(非特許文献1~3)。



Bloom症候群細胞の特徴は、DNA複製中に生じるDNA損傷を修復するクロスオーバータイプの相同組換え(HR)である姉妹染色分体交換(SCE)が劇的に増加することである(非特許文献4、5)。このタイプの相同組み換えは、Dループ形成後の鎖交換によって、組換え中間体であるダブルクロスストランド構造(ホリデージャンクション[HJ])の形成を導く。Bloom症候群細胞において姉妹染色分体交換の数が増加することは、Blmがホリデージャンクションの形成を抑制するという考え方を支持している。Bloom症候群細胞の表現型はまた、Blm依存的なホリデージャンクションの解消という生化学的な実験結果と一致する(非特許文献6)。従って、Blmは、これまで組換え抑制因子として作用し、異常な組換えを抑制していると考えられてきた。この考え方は、酵母のBlmオーソログであるSgs1が、減数分裂時の組換えの際(非特許文献7、8)と複製のブロックの際(非特許文献9)に生じる異常な組換え中間体の解消を促進するという観察からも支持される。



相同組み換えは、上記のように、損傷を受けた鋳型鎖をDNA複製のブロックから解き放つことによってゲノムの安定性を維持するばかりでなく、DNAの二重鎖切断(DSB)を正確に修復することによって、ゲノムの安定性を維持するという重要な役割も担っている(非特許文献10、11)。相同組み換えによる二重鎖切断修復についての最近のモデルでは、二重鎖切断は、まず、3'一本鎖突出DNAに加工され、次いでRad51が一本鎖部分に巻きつく(非特許文献12、13)。結果として生じるRAD51-DNAフィラメントは、相同性検索を経て、無損傷で相同性のある2本鎖DNAへ侵入し、Dループを形成する。侵入した一本鎖DNAは、相補鎖を利用してDNAを伸長させ、次に相同な二重鎖DNAから解離し、最終的に、新しく合成された鎖と二重鎖切断のもう一方の末端への再アニールを経て、二重鎖切断修復を完了する。このタイプの相同組み換えは、合成依存的な鎖アニール(SDSA)と呼ばれ、結果として無傷の鋳型配列(ドナー)から損傷を受けたDNA(レシピエント)へと塩基配列情報が写される。体細胞分裂の際の相同組み換えの大部分は合成依存的な鎖アニールによって占められている(非特許文献12、14)。



染色体DNA中の特定部位における二重鎖切断が、その部位での高効率の組換え現象を導き、細胞の修復機構を誘導することから、この二重鎖切断誘導による相同組み換えを利用して、遺伝子的に改変された細胞を製造する方法が開発されてきた(特許文献1)。これにより、相同組み換えを利用した細胞の遺伝子的改変の効率を高めることに成功している。



しかしながら、DNAの二重鎖切断は相同組換え以外に、非相同末端結合等の他のDNA修復システムによっても修復される。従って、二重鎖切断後、切断末端を相同組換え修復によって優先的に修復させる手法の開発が待ち望まれていた。

産業上の利用分野


本発明は、遺伝子的に改変された細胞を製造する方法に関する。より詳しくは、二重鎖DNA切断により誘導される相同組み換えを介して遺伝子的に改変された細胞を製造する方法において、ブルームDNAヘリカーゼおよび/またはエキソヌクレアーゼExo1を利用する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
遺伝子的に改変された細胞を製造する方法であって、下記(a)から(c)の処理を含む方法。
(a) 相同組み換えを生じさせたい所望の標的DNA部位を染色体上に持つ細胞において、該標的DNA部位で二重鎖切断を誘導すること
(b) 該標的DNA部位との間で相同組み換えが生じるように、該標的DNA部位の少なくとも一部の配列と相同な配列を持つターゲティングDNA構築物を導入すること
(c) 外因性のブルームDNAヘリカーゼまたは外因性のブルームDNAヘリカーゼと外因性のエキソヌクレアーゼExo1との組み合わせを該細胞内で発現または該細胞内に投与すること

【請求項2】
遺伝子的に改変された細胞が高等真核細胞である、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
遺伝子的に改変された細胞が鳥類または植物に由来する細胞である、請求項1に記載の方法。

【請求項4】
遺伝子的に改変された細胞がニワトリまたはイネに由来する細胞である、請求項1に記載の方法。

【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の方法に用いるための、下記(a)から(d)の少なくとも一つを含むキット。
(a)ブルームDNAヘリカーゼ
(b)ブルームDNAヘリカーゼとエキソヌクレアーゼExo1との組み合わせ
(c)ブルームDNAヘリカーゼを細胞内で発現させるためのDNA構築物
(d)ブルームDNAヘリカーゼを細胞内で発現させるためのDNA構築物とエキソヌクレアーゼExo1を細胞内で発現させるためのDNA構築物との組み合わせ

【請求項6】
非ヒト動物の品種改良の方法であって、
(a)非ヒト動物の形質を改変させるための所望の遺伝子を保持するターゲティングDNA構築物を用いて、請求項1に記載の方法により、遺伝子的に改変された非ヒト動物細胞を製造する工程、および
(b)製造された非ヒト動物細胞を個体へと発生させる工程、
を含む方法。

【請求項7】
遺伝子的に改変された動物細胞が鳥類に由来する細胞である、請求項に記載の方法。

【請求項8】
遺伝子的に改変された動物細胞がニワトリに由来する細胞である、請求項に記載の方法。

【請求項9】
植物の品種改良の方法であって、
(a)植物の形質を改変させるための所望の遺伝子を保持するターゲティングDNA構築物を用いて、請求項1に記載の方法により、遺伝子的に改変された植物細胞を製造する工程、および
(b)製造された植物細胞から植物体を再生させる工程、
を含む方法。

【請求項10】
遺伝子的に改変された植物細胞がイネに由来する細胞である、請求項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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