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D-グルコースの細胞内への特異的な取り込みを評価するための方法 新技術説明会

国内特許コード P110001580
整理番号 PA08-07
掲載日 2011年3月4日
出願番号 特願2009-185010
公開番号 特開2010-057484
登録番号 特許第5682881号
出願日 平成21年8月7日(2009.8.7)
公開日 平成22年3月18日(2010.3.18)
登録日 平成27年1月23日(2015.1.23)
優先権データ
  • 特願2008-205708 (2008.8.8) JP
発明者
  • 山田 勝也
  • 豊島 正
  • 山本 敏弘
  • 松岡 英明
出願人
  • 国立大学法人弘前大学
  • 株式会社ペプチド研究所
  • 国立大学法人東京農工大学
発明の名称 D-グルコースの細胞内への特異的な取り込みを評価するための方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】 D-グルコースの細胞内への特異的な取り込みを正確に評価するための方法を提供すること。
【解決手段】 蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体と、蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体を、評価対象とする細胞種の別個の細胞にそれぞれ接触させ、蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体が発する蛍光と、蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体が発する蛍光を比較し、両者の蛍光強度の差を、D-グルコースのL-グルコースとの対比における細胞内への特異的な取り込みとして評価することを特徴とする。
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要



グルコース(ブドウ糖)は、哺乳類から大腸菌・酵母に至るまで細胞の生存維持に最も重要なエネルギー源として知られ、特に脳はグルコースを唯一のエネルギー源としている。グルコースにはD-グルコースとL-グルコースの鏡像異性体が存在するが、このうち生物がエネルギー源として利用できるのはD-グルコースのみであり、生きた細胞はD-グルコースをグルコーストランスポーターなどの細胞膜中の輸送タンパク質を介して選択的に取り込んで利用する仕組みを持つ。





従来、生物がD-グルコースをどのようにして細胞内に取り込んで利用するのかについての研究は、例えばラジオアイソトープで標識したD-グルコースやその誘導体(D-デオキシグルコースなど)を用いて細胞内のラジオアイソトープ量を測定することで行われてきた。しかしながら、この方法は定量性に優れるものの、感度が低いといった問題があることに加え、測定手法上、生きた細胞がD-グルコースを取り込む様子をリアルタイムで連続的に観察することができないという欠点を有する。従って、この方法は、生きた細胞のD-グルコースの動的な取り込みプロセスの研究には使用することができない。





以上のような状況下、本発明者のグループは、生きた細胞のD-グルコースの動的な取り込みプロセスの研究に使用することができる方法として、D-デオキシグルコースの2位に蛍光発色団としてN-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を結合せしめた、緑色の蛍光を発する下記の構造式で示される2-[N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ]-2-デオキシ-D-グルコース(2-NBDG)を用いる方法を提案し、その有用性を哺乳動物の各種の細胞を用いて実証した(非特許文献1)。





【化1】








この方法は、2-NBDGが生きた細胞内に選択的に取り込まれる性質を利用したものであり、取り込みによる蛍光強度の変化を追跡することで細胞のD-グルコースの取り込みについての動的活動を定量的に知ることができることから、生物がD-グルコースをどのようにして細胞内に取り込んで利用するのかを研究する上での画期的な方法として世界中の研究者に評価され、今や、この研究分野において欠かすことができない標準的なプロトコルとして位置付けられている(非特許文献2)。

産業上の利用分野


本発明は、D-グルコースの細胞内への特異的な取り込みを正確に評価するための方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
D-グルコースのL-グルコースとの対比における細胞内への特異的な取り込みを評価するための方法であって、蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体と、該蛍光発色団と同じ化学構造の蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体を、評価対象とする細胞種の別個の細胞にそれぞれ接触させ、蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体が発する蛍光と、蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体が発する蛍光を比較し、両者の蛍光強度の差を、D-グルコースのL-グルコースとの対比における細胞内への特異的な取り込みとして評価することを特徴とする方法。

【請求項2】
蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するD-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項1記載の方法。

【請求項3】
N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するD-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を2位に結合せしめたD-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項2記載の方法。

【請求項4】
N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するL-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を2位に結合せしめたL-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項記載の方法。

【請求項5】
蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体として、2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を分子内に有するD-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項1記載の方法。

【請求項6】
2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を分子内に有するD-グルコース誘導体として、2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を2位に結合せしめたD-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項記載の方法。

【請求項7】
2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を分子内に有するL-グルコース誘導体として、2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を2位に結合せしめたL-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項記載の方法。

【請求項8】
D-グルコースのL-グルコースとの対比における細胞内への特異的な取り込みを評価するための方法であって、蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体と、蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体を、評価対象とする細胞種の別個の細胞にそれぞれ接触させ、蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体が発する蛍光と、蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体が発する蛍光を比較することにより、細胞内への取り込みが専ら特異的取り込みのみによるものであるか否かを評価する方法。

【請求項9】
蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するD-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項8記載の方法。

【請求項10】
N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するD-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を2位に結合せしめたD-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項9記載の方法。

【請求項11】
蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するL-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項8記載の方法。

【請求項12】
N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するL-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を2位に結合せしめたL-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項11記載の方法。

【請求項13】
蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体として、スルホローダミンを分子内に有するL-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の方法。

【請求項14】
スルホローダミンを分子内に有するL-グルコース誘導体として、スルホローダミンを2位に結合せしめたL-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項13に記載の方法。

【請求項15】
細胞がD-グルコースを特異的取り込み以外の様式により取り込みむか否かを評価するための方法であって、蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体を、評価対象とする細胞に接触させ、蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体が発する蛍光を検出することにより、前記評価をする方法。

【請求項16】
蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するL-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項15記載の方法。

【請求項17】
N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するL-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を2位に結合せしめたL-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項16記載の方法。

【請求項18】
蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体として、スルホローダミンを分子内に有するL-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項15に記載の方法。

【請求項19】
スルホローダミンを分子内に有するL-グルコース誘導体として、スルホローダミンを2位に結合せしめたL-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項18に記載の方法。

【請求項20】
D-グルコースのL-グルコースとの対比における細胞内への特異的な取り込みを評価するための方法であって、蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体と、蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体が発する蛍光の波長とは異なる波長の蛍光を発する蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体との混合物を評価対象とする細胞に接触させ、蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体が発する蛍光と、蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体が発する蛍光を検出することにより、蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体の細胞内への取り込みが専ら特異的取り込みのみによるものであるか否かを評価することを特徴とする方法。

【請求項21】
最大蛍光波長の差を少なくとも20nmとすることを特徴とする請求項20記載の方法。

【請求項22】
蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するD-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項20記載の方法。

【請求項23】
N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するD-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を2位に結合せしめたD-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項22記載の方法。

【請求項24】
蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体として、2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を分子内に有するD-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項20記載の方法。

【請求項25】
2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を分子内に有するD-グルコース誘導体として、2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を2位に結合せしめたD-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項24記載の方法。

【請求項26】
蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体が発する蛍光の波長とは異なる波長の蛍光を発する蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体として、スルホローダミンを結合せしめたL-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項20~25のいずれかに記載の方法。

【請求項27】
蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体が発する蛍光の波長とは異なる波長の蛍光を発する蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体として、2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を分子内に有するL-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項20~23のいずれかに記載の方法。

【請求項28】
2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を分子内に有するL-グルコース誘導体として、2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルアミノ基を2位に結合せしめたL-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項27記載の方法。

【請求項29】
蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体が発する蛍光の波長とは異なる波長の蛍光を発する蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するL-グルコース誘導体を用いることを特徴とする請求項20、21、24または25に記載の方法。

【請求項30】
N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を分子内に有するL-グルコース誘導体として、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基を2位に結合せしめたL-デオキシグルコースを用いることを特徴とする請求項29記載の方法。

【請求項31】
蛍光発色団を分子内に有してなる細胞内に特異的に取り込まれるD-グルコース誘導体が発する蛍光の波長とは異なる波長の蛍光を発する蛍光発色団を分子内に有するL-グルコース誘導体として、異なる蛍光発色団を分子内に有する2種類以上のL-グルコース誘導体を混合して用いることを特徴とする請求項20記載の方法。

【請求項32】
蛍光発色団を分子内に有してなることを特徴とするL-グルコース誘導体。

【請求項33】
L-マンノースの5つの水酸基をアセチル化し、1位のアセトキシ基を臭素置換し、1,2位にオルトエステル基を導入し、3,4,5位のアセチル基をベンジル基に変換し、1,2位に導入したオルトエステル基を外して1位をメトキシ基に変換するとともに2位を水酸基とし、2位の水酸基をトリフルオロメタンスルホニル化またはメタンスルホニル化した後、アジド化し、アジド基を水素還元するとともに脱ベンジル化し、最後に1位のメトキシ基を水酸基に変換することで得られるL-グルコサミンまたはその塩の2位に蛍光発色団を導入することを特徴とする蛍光発色団を分子内に有してなるL-グルコース誘導体の製造方法。

【請求項34】
L-マンノースの5つの水酸基をアセチル化し、1位のアセトキシ基を臭素置換し、1,2位にオルトエステル基を導入し、3,4,5位のアセチル基をベンジル基に変換し、1,2位に導入したオルトエステル基を外して1位をメトキシ基に変換するとともに2位を水酸基とし、2位の水酸基をトリフルオロメタンスルホニル化またはメタンスルホニル化した後、アジド化し、アジド基を水素還元するとともに脱ベンジル化し、最後に1位のメトキシ基を水酸基に変換することを特徴とするL-グルコサミンまたはその塩の製造方法。

【請求項35】
蛍光発色団を分子内に有してなるL-グルコース誘導体を製造するためのL-グルコサミンまたはその塩の使用。

【請求項36】
蛍光発色団が、N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基、7-(N,N-ジメチルアミノスルホニル)ベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ基、スルホローダミンからなる群より選択されるいずれかであることを特徴とする請求項32記載のL-グルコース誘導体。

【請求項37】
蛍光発色団を2位に結合せしめたことを特徴とする請求項32記載のL-グルコース誘導体。

【請求項38】
L-グルコース誘導体が、2-[N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ]-2-デオキシ-L-グルコース、2-[N-7-(N’,N’-ジメチルアミノスルホニル)ベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ]-2-デオキシ-L-グルコース、スルホローダミンを2位に結合せしめたL-グルコースからなる群より選択されるいずれかであることを特徴とする請求項32記載のL-グルコース誘導体。

【請求項39】
細胞が大腸菌であることを特徴とする請求項1~4、8~19のいずれかに記載の方法。

【請求項40】
細胞が大腸菌であることを特徴とする請求項20~23のいずれかに記載の方法。

【請求項41】
請求項39または40に記載の方法を用いて、評価対象である大腸菌が、生菌であるか死菌であるかを評価する方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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