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樹体生産能力を評価する方法及び樹体生産能力を評価するための撮像装置 新技術説明会 実績あり 外国出願あり

国内特許コード P110001584
掲載日 2011年3月4日
出願番号 特願2007-550248
登録番号 特許第5034052号
出願日 平成18年12月15日(2006.12.15)
登録日 平成24年7月13日(2012.7.13)
国際出願番号 JP2006325084
国際公開番号 WO2007069736
国際出願日 平成18年12月15日(2006.12.15)
国際公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
優先権データ
  • 特願2005-361386 (2005.12.15) JP
  • 特願2006-272055 (2006.10.3) JP
発明者
  • 山本 晴彦
  • 岩谷 潔
  • 土谷 安司
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 樹体生産能力を評価する方法及び樹体生産能力を評価するための撮像装置 新技術説明会 実績あり 外国出願あり
発明の概要

【課題】
孤立した樹体または間隔をおいた樹体について、樹冠構造測定装置または魚眼レンズを装着した撮像装置を用いて非破壊的な手法により、多くの時間を要さずに樹体生産力を評価できるようにする。
【解決手段】
樹体の外形を表すものとして回転半長円体モデルを決定し、主幹から所定の距離の位置に光学的樹体構造測定装置を配置して測定した樹葉を透過した光の強度と、樹葉を透過しない光の強度とを測定し、半長円体モデルにより樹体への入射した光が通過する光路長を計算し、測定された光の強度と、光路長とから樹体総葉面積を求める。光学的樹体構造測定装置の代わりに魚眼レンズを装着した撮像装置を配置し、撮像により取得された画像データについての演算処理によっても樹体総葉面積が求められる。
【選択図】 図4

従来技術、競合技術の概要


樹体生産能力の指標の一つである樹体の葉面積を非破壊で推定する方法について、これまでに種々検討されており、その1つとして光学的樹体構造測定装置を用いて樹葉の透過光を計測することにより樹体総葉面積を推定する方法がある。これは、孤立した樹体ないし間隔をおいて多数存在する樹体下の位置に光学的樹体構造測定装置を配置して、樹葉の透過光を計測して得られたデータを用いて樹体の総葉面積を推定し、樹体生産力を評価するものである。



光学的樹体構造測定装置としてプラントキャノピーアナライザー(PCA:商品名)を用いて樹体の葉面積推定を行うことについて、次のような文献に開示されている。

【非特許文献1】中野敬之「プラントキャノピーアナライザーの茶樹への適用」(日本作物学会記事69(3):419-423(2000))

【非特許文献2】J.S.Broadhead et al.「Comparison of method for leaf area in three rows」 Agricultural and Forest Meteorology 115:151-161(2003))



非特許文献1では、孤立した群落である茶樹の樹列の葉面積診断にプラントキャノピーアナライザーを適用している。測定時にセンサーを樹体中心部に向け、方位方向(水平方向)の視野を規制するため開度90°のビューキャップを装着し、また天頂角方向の視野を0°から60°に規制する視野規制用フィルターを取り付けている。この方法では、葉面積推定の際に一様な個体群の仮定のまま計算し、また、茶樹の場合に葉群に比して枝の存在量が多いために葉面積指数を過大評価することになり、葉面積推定には使用し難いものとなっている。



非特許文献2では、ケニアのサバンナにおける樹木(Croton megalocarpus、Melia volkensil)の樹列の葉面積密度(単位体積当たりの葉の面積の比率)の推定にプラントキャノピーアナライザーを適用し、樹列の横断面を楕円形と仮定して推定した光路長を用い、孤立樹の測定方法に基づいて葉面積密度を算出している。この方法では、算出結果と実測した葉面積密度との相関が低くなり、そのため新たに個々の葉の傾斜角の天頂角分布を実測しそれに基づいたモデルにより算出結果と実測した値との相関を高めている。しかしながら、新たなモデルの追加のために個々の葉の傾斜角を測定するのに多大の労力と時間を要するため、実用的な方法とは言えないものであった。



代表的に用いられている光学的樹体構造測定装置として、PCA(プラントキャノピーアナライザー:米国LI-COR社製のLAI-2000)があるが、これは、図1に示すようなもので、先端側の入射角148°の範囲の光を取り込む魚眼レンズを含むレンズ系、反射鏡、フィルター、検出器を含む構成であり、検出器は受光素子のシリコンが同心円状に配設されていて、5つの異なる天頂角の光を検出するようにしてあり、検出器での測定により得られたデータを処理し、コンピュータへのデータの転送制御を行うものである。
PCAでの測定対象は、一般的には個体群の高さzの3倍以上の半径方向の広がりをもち、方位による葉面積の分布及び高さがほぼ一様な植物個体群であり、図2に示すような断面形状になっている。この場合、地表面で個体群の透過率を測定した際の天頂角θにおける光路長S(θ)は以下の式により推定される。
S(θ)=z/cosθ



しかしながら、上記式の仮定の成立しない孤立した群落(孤立した1本の樹、すなわち孤立樹等)の場合、一般的には幹の根元で群落外側へセンサーを向けた透過光測定とともに、測定地点から天頂角θにおける光路長を実測する必要がある。孤立群落の形状及び葉面積は方位により一様ではないため、4方位程度の測定を行うことが必要になり、結局、合計20箇所の長さ測定(5箇所の光路長×4方位)を行う必要がある。さらに、センサーを外側に向けるため、個体群中心部上方は測定対象にならない。また、この方法で求められるのは葉面積密度(樹体単位体積当たりの葉面積)であるため、総葉面積を算出するためには群落の体積について別途測定する必要がある。



本発明者は、カンキツ樹の33樹体について、PCAを用いて樹体の透過光を計測し、前述のような方位による葉面積の分布及び高さがほぼ一様な植物個体群を想定して樹体の葉面積の推定を行った。その結果では、PCAによる葉面積指数(単位面積当たりの葉の面積の比率)と樹冠葉面積指数(樹冠を土地に投影した面積当たりの葉の面積の比率)との関係は図3に示すようになり、葉面積密度の高低に関係なく相関が低く(r=0.418)、分散している。このように、PCAによる葉面積指数と樹冠葉面積指数との相関が低くなる要因として、測定対象となるカンキツ樹の樹体が本来PCAの対象とする高さの均一な樹体群ではないこと等が考えられる。

産業上の利用分野


本発明は、樹体生産能力を評価する方法、樹体生産能力を評価するための撮像装置及び樹体生産能力を評価するためのプログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 孤立して存在する樹体または間隔をおいて複数存在する個々の樹体について樹体の透過光を測定することにより樹体生産能力を評価する方法であって、
1本の樹体の主幹を軸として樹高及び平均樹冠半径をそれぞれ2つの径とする上に凸の回転半長円体とする回転半長円体モデルを決定することと、
該主幹から所定の距離だけ離れた地面近辺の位置に光学的樹体構造測定装置を入射光軸が水平面に対して垂直上方に向くようにして配置して該光学的樹体構造測定装置により測定対象となる複数の天頂角で入射し樹葉を通過した光の強度を測定することと、
天空からの光が遮られない位置に光学的樹体構造測定装置を入射光軸が水平面に対して垂直上方に向くようにして配置して該光学的樹体構造測定装置により測定対象となる前記複数の天頂角での入射光の強度を測定することと、
前記複数の天頂角で入射し樹体を通過した光の強度と樹体を通過しない光の強度とから該複数の天頂角での空隙率を求めることと、
測定対象とする前記複数の天頂角に対して入射光が回転半円体モデルでの回転半円体面における入射点から前記光学的樹体構造測定装置までに通過する光路長及び樹冠体積を回転半長円体モデルに基づいて計算することと、
前記複数の天頂角での空隙率と前記複数の天頂角に対応する光路長とから各天頂角に対応する光の減衰量を求めることと、
該光の減衰量から葉面積密度を求めこれと前記樹冠体積とから樹体総葉面積を求めることと、
からなることを特徴とする樹体生産能力を評価する方法。
【請求項2】 前記測定された複数の天頂角での入射光の強度から、次式(1)
【数式1】
により該複数の天頂角での空隙率T(θ)を求め、次式(2)
【数式2】
により葉面積密度(LAD)を求めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の樹体生産能力を評価する方法。
【請求項3】 孤立して存在する樹体または間隔をおいて複数存在する個々の樹体について、樹体の透過光を測定することにより樹体生産能力を評価する方法であって、
1本の樹体の主幹を軸として樹高及び平均樹冠半径をそれぞれ2つの径とする上に凸の回転半長円体とする回転半長円体モデルを決定することと、
該主幹から所定の距離だけ離れた地面近辺の位置に魚眼レンズを装着した撮像装置を入射光軸が水平面に対して垂直上方に向くようにして配置することと、
前記撮像装置により測定対象となる複数の天頂角からの入射光を含む画角の画像を撮像することと、
前記撮像装置により取得された画像データについて前記複数の天頂角での入射光の開空度を求める演算処理を行うことと、
測定対象とする前記複数の天頂角に対して入射光が回転半円体モデルでの回転半円体面における入射点から前記撮像装置までに通過する光路長及び樹冠体積を回転半長円体モデルに基づいて計算することと、
前記複数の天頂角からの入射光の開空度と前記複数の天頂角に対応する光路長とから各天頂角に対応する光の減衰量を求めることと、
該光の減衰量から葉面積密度を求めこれと前記樹冠体積とから樹体総葉面積を求めることと、
からなることを特徴とする樹体生産能力を評価する方法。
【請求項4】 前記撮像装置により撮像された画像について、次式(5)
【数式5】
により前記複数の天頂角での入射光に対する開空度をT(θ)求め、次式(2)
【数式2】
により葉面積密度(LAD)を求めるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の樹体生産能力を評価する方法。
【請求項5】 前記回転半長円体モデルを、主幹を軸として樹高及び平均樹冠半径をそれぞれ2つの径とする上に凸の回転半楕円体モデルとしたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の樹体生産能力を評価する方法。
【請求項6】 魚眼レンズと、該魚眼レンズの結像位置に配設された撮像素子と、該撮像素子により取得された画像データについて演算処理を行う演算回路と、該演算回路による演算結果を出力する出力部とを備えてなる撮像装置であって、前記演算回路は、孤立して存在する樹体または間隔をおいて複数存在する個々の樹体について樹体の透過光を測定する際に、1本の樹体の主幹から所定の距離だけ離れた地面近辺の位置に前記撮像装置を入射光軸が水平面に対して垂直上方に向くようにして配置して撮像し取得された画像について測定対象となる複数の天頂角をそれぞれ含む複数の角度範囲の画像部分におる画像データから前記複数の角度範囲での開空度を求め、前記樹体についてその主幹を軸とし樹高及び平均樹冠半径をそれぞれ2つの径とする上に凸の回転半長円体として決定された回転半長円体モデルに基づいて前記複数の天頂角に対して入射光が回転半円体モデルでの回転半円体面における入射点から前記撮像装置まで通過する光路長及び樹冠体積を求め、前記開空度と前記複数の天頂角に対する光路長とから各天頂角を含む角度範囲に対応する光の減衰量を求め、該光の減衰量から葉面積密度を求めこれと前記樹冠体積とから樹体総葉面積を求める演算処理を行うものであることを特徴とする樹体生産能力を評価するための撮像装置。
【請求項7】 前記演算回路は取得された画像データについて、次式(5)
【数式5】
により前記複数の天長角での入射光に対する開空度をT(θ)求め、次式(2)
【数式2】
により葉面積密度(LAD)を求める演算処理を行うようにしたものであることを特徴とする請求項6に記載の樹体生産能力を評価するための撮像装置。
【請求項8】 前記回転半長円体モデルを、主幹を軸として樹高及び平均樹冠半径をそれぞれ2つの径とする上に凸の回転半楕円体モデルとしたことを特徴とする請求項6または7のいずれか1項に記載の樹体生産能力を評価するための撮像装置。
産業区分
  • 農林
  • 計算機応用
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007550248thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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