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骨代替材料及びその製造方法

国内特許コード P110001616
整理番号 40
掲載日 2011年3月7日
出願番号 特願2003-386183
公開番号 特開2005-143861
登録番号 特許第4625943号
出願日 平成15年11月17日(2003.11.17)
公開日 平成17年6月9日(2005.6.9)
登録日 平成22年11月19日(2010.11.19)
発明者
  • 宮崎 敏樹
  • 芦塚 正博
  • 小久保 正
  • 大槻 主税
出願人
  • 国立大学法人九州工業大学
発明の名称 骨代替材料及びその製造方法
発明の概要

【課題】加工が容易で、比較的軽量で、かつ靭性と強度に優れるとともに、骨組織親和性に優れ、体液中において従来よりも短時間で表面にアパタイト被膜を形成する骨代替材料を提供する。
【解決手段】少なくとも表面がモリブデン金属又はモリブデン合金からなる基体と、基体の表面に形成されたアルカリ金属又はアルカリ土類金属を成分として含有する酸化モリブデンの被膜とを備えた構成とした。これにより、基体に従来よりも高く負に帯電した酸化物表面を与えることができ、早期に体液中のカルシウム・イオンを吸着し、アパタイト被膜を形成することが可能となる。また、チタンやタンタルに比べ靭性が大きく、加工も容易であるため、機械的強度を高めることができる。さらに、比重がタンタルの約3/5であり、股関節や大腿骨など、大きい骨欠損部を修復する材料として使用することが可能である。
【選択図】 図4



従来技術、競合技術の概要


病気や怪我などにより骨や関節に重大な損傷が生じた場合、これを修復する目的で骨移植が行われる。しかし、骨移植は、移植に用いる骨の供給量が十分ではないこと、未知の病因物質が混入している危険性をはらんでいること等の問題点がある。かかる問題を克服するためには、化学的に合成された骨の機能を代替し得る人工材料を骨の修復に使用することが有効であると考えられる。人工材料としては、セラミックス材料や金属材料を使用することが考えられる。



セラミックスの中には、生体が上記のような異物反応を示すことがなく、体内で骨組織と自然に結合する材料が知られている。これらの材料は、生体活性セラミックスと総称され、重要な人工骨材料として実用化されている。現在、生体活性セラミックスとしては、Na2O-CaO-SiO2-P2O5系のガラス、焼結水酸アパタイト[Ca10(PO4)6(OH)2]、酸素・フッ素アパタイト[Ca10(PO4)6(O,F)2]とβ-ウォラストナイトの微結晶を析出した結晶化ガラスA-W等が知られている(非特許文献1参照)。生体活性セラミックスは、体内に埋入されると、体液と化学反応をして表面に骨の主成分である水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)の薄層を形成する。生体活性セラミックスの高い生体適合性は、その特異な表面構造に起因していると考えられている。



しかし、これらの生体活性セラミックスは破壊靭性が1~2MPa・m1/2程度であり、人の皮質骨(2~6 MPa・m1/2)には及ばない。そのため、上記生体活性セラミックスは、人工股関節や人工大腿骨のような大荷重の加わる部分の材料としては適さない。破壊靭性が加わる荷重に及ばないからである。そこで、かかる用途においては、人工材料として、大きな破壊靭性をもつチタン金属やチタン合金が使用される。



しかしながら、これらの金属材料を、骨の欠損部に埋入した場合、生体はこれを異物と認識する。そして、繊維性被膜でカプセル化し周囲の組織から隔離しようとする。従って、埋入された材料は、周囲の骨組織と直接接することができなくなる。その結果、長期間が経過すると、金属材料と骨との間に歪みやずれが生じ得る。従って、これらの骨代替材料として用いられる金属には、骨組織親和性を付与することが求められる。



現在、骨組織親和性を付与するために、チタン金属やチタン合金の表面に水酸アパタイトの皮膜をコーティングする技術が広く用いられている。そのひとつとして、金属表面へ生体活性セラミックスをコーティングする方法が提案されている。このコーティング技術は、大別すると、ドライ・プロセスと、ウエット・プロセスとに分類される。



ドライ・プロセスとしては、プラズマ溶射法(特許文献1,2参照)、スパッタリング法(特許文献3参照)、焼結法(特許文献4,5参照)等が知られている。そのなかでも代表的なものは、プラズマ溶射法を用いたチタン金属への水酸アパタイトのコーティングである。これは、プラズマ炎中に水酸アパタイトの粉末を導入し、チタン金属上に噴霧することにより水酸アパタイト薄膜を同金属表面に形成させるものである。この方法により、水酸アパタイトをコーティングしたチタン金属は既に実用化されている。



しかしながら、ドライ・プロセスでは、コーティング剤である水酸アパタイトが高温環境下に置かれることから、生体内のアパタイトとは異なる種類のアパタイト(例えば、酸素アパタイト[Ca10(PO4)6O]など)の膜が形成されてしまう。また、プラズマ溶射法では、噴霧時に水酸アパタイト粉末が10,000℃以上に加熱されるため、被膜の組成を制御することが容易ではない。しかも、水酸アパタイト層の金属への強固な付着が困難であるため、体内でコーティングの一部が溶解したり剥離したりする点が問題とされている。



一方、ウエット・プロセスとしては、金属材料を水酸アパタイト成分水溶液に浸漬する方法(特許文献6~8)、金属材料をアルカリ処理した後に擬似体液に浸漬又は体内に埋入する方法(非特許文献2、特許文献9~12)、ガラスとともにアルカリ水溶液に浸漬した後に擬似体液に浸漬又は体内に埋入する方法(特許文献13~16)、陽極酸化法による方法(特許文献17)などが知られている。



これらのウエット・プロセスは、金属表面を化学処理により活性化し、水酸アパタイト層の形成を誘発させるものである。ドライプロセスに比べて均質の被膜形成が可能であり、また、金属と被膜の結合が強固であるという特徴を有する。



金属材料をアルカリ処理した後に擬似体液に浸漬又は体内に埋入する方法(非特許文献1)では、まず、チタン金属の基体の表面を水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で処理する。水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、0.5~10kmol/m3とする。これにより、基体の表面には、チタン酸ナトリウムのゲル層が形成される。チタン酸ナトリウムの濃度には、基体表面でもっとも高く、表面から基体内部に向かうに従って低くなるように、濃度勾配が形成される。次に、アルカリ処理がされた基体を600℃で加熱処理をする。これにより、基体表面に濃度勾配をもった非晶質のチタン酸ナトリウムの薄層が形成される。以上の表面処理がされた基体を、擬似体液に浸漬し、又は生体内に埋入する。そうすると、まず、基体の表面のナトリウム・イオンNa+が周囲の液中のオキソニウム・イオン(H3O+)と交換し、基体表面にTi-OH基が形成される。このTi-OH基がアパタイト核の形成を誘起する。体液は通常の状態でもアパタイトに対して過飽和な状態にある。従って、基体表面に形成されたアパタイト核は、周囲の液からカルシウムとリン酸イオンとを取り込んで自然に生長する。



この方法で形成されるアパタイト被膜は、骨の無機物質と同じ構造・組成を有する。また、チタン基板とアパタイト層との界面に、アパタイト濃度の傾斜構造を形成するので、アパタイト被膜が基板に強固に付着する。従って、被膜の体内での溶解や剥離が生じにくいと考えられている。



また、基材に使用する金属としては、従来、チタンやチタン合金の他に、バナジウムを除く5a属(ニオブNb、タンタルTa)の金属またはこれらの金属を主成分とする合金を使用した例が知られている(特許文献12参照)。

【特許文献1】特開昭62-34559号公報

【特許文献2】特開昭63-160663号公報

【特許文献3】特開昭58-109049号公報

【特許文献4】特開昭62-231669号公報

【特許文献5】特開昭63-024952号公報

【特許文献6】特開平3-97466号公報

【特許文献7】特開平6-293505号公報

【特許文献8】特許2775523号公報

【特許文献9】WO95/13100号公報

【特許文献10】特表2003-512895号公報

【特許文献11】特開2002-102330号公報

【特許文献12】特開平9-238965号公報

【特許文献13】特開平2-255515号公報

【特許文献14】特開平2-144566号公報

【特許文献15】特開平4-141177号公報

【特許文献16】特開平6-293506号公報

【特許文献17】特開2003-109272号公報

【非特許文献1】L.L.Hench and O.Anderson, "Bioactive glasses", in An introduction to Bioceramics, ed. by L.L.Hench and June Wilson, World Sci., Singapore, pp.41-62,.139-180, 75-88 (1993)

【非特許文献2】小久保正,金鉉敏,「バイオミメティック法によるアパタイトー有機高分子ハイブリッド材料の調製 (特集 有機化合物を利用した無機複合材料)」,無機マテリアル5(277),無機マテリアル学会編,1998年11月,449~458頁

産業上の利用分野


本発明は人工骨、人工関節、人工歯根、生体埋込治療材料、生体埋込医療機器、器具等に利用される骨代替材料とその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも表面がモリブデン金属からなる基体と、前記基体の表面に形成されたアルカリ金属を成分として含有する酸化モリブデンの被膜と、を備えていることを特徴とする骨代替材料。

【請求項2】
前記被膜は、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、又はモリブデン酸カルシウムを含有することを特徴とする請求項1記載の骨代替材料。

【請求項3】
少なくとも表面がモリブデン金属からなる基体をアルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオンを含有するアルカリ水溶液で処理し、前記基体表面に被膜を形成することを特徴とする骨代替材料の製造方法。

【請求項4】
前記基体を前記アルカリ水溶液に浸漬した後、カルシウム・イオンを含有する水溶液に浸漬することにより前記基体表面に被膜を形成することを特徴とする請求項3記載の骨代替材料の製造方法。

【請求項5】
前記基体を前記アルカリ水溶液又は前記カルシウム・イオンを含有する水溶液に浸漬した後、前記基体を加熱処理をすることにより前記基体表面の被膜を硬化させることを特徴とする請求項3又は4記載の骨代替材料の製造方法。
産業区分
  • 治療衛生
  • 表面処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2003386183thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
詳細は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせください。


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