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易成形性マグネシウム合金板材及びその作製方法

国内特許コード P110001679
整理番号 S2008-0631-N0
掲載日 2011年3月10日
出願番号 特願2008-292848
公開番号 特開2010-013725
登録番号 特許第5467294号
出願日 平成20年11月14日(2008.11.14)
公開日 平成22年1月21日(2010.1.21)
登録日 平成26年2月7日(2014.2.7)
優先権データ
  • 特願2008-148538 (2008.6.5) JP
発明者
  • 千野 靖正
  • 馬渕 守
出願人
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 易成形性マグネシウム合金板材及びその作製方法
発明の概要 【課題】優れた成形性を有する易成形性マグネシウム合金板材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】規定量の軽希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1種以上、Zn、及び必要により、Mn、Zrを添加したマグネシウム合金、もしくは規定量のCa、Zn、及び必要により、Al、Mn、Zrを添加したマグネシウム合金を、特定の条件で、熱間・温間圧延し、特定の条件で、焼鈍することにより、(0002)面集合組織の板幅方向に極が現れ、それに起因して、常温におけるエリクセン値が8.0以上である、易成形性マグネシウム合金板材の製造方法、その易成形性マグネシウム合金板材及びその製品。
【効果】デジタルカメラ、ノートパソコン、PDA等の家電製品プレス成形体に積極的に適用することが可能な、易成形性マグネシウム合金板材及びその製品を提供することができる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



マグネシウムは、実用構造金属材料中、最も低密度(=1.7g/cm)であり、金属材料特有の易リサイクル性を有し、資源も豊富に存在することから、次世代の構造用軽量材料として注目されている。現在、日本におけるマグネシウム製品の多くは、ダイキャスト等の鋳造法により作製されている。これらの手法により、薄肉成形が可能となったことが、マグネシウム合金の工業化を助長した最大の要因である。





特に、家電製品では、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ等の家電製品筐体に、マグネシウム合金鋳造材が利用されている。しかし、現状の鋳造法による生産法には、鋳造欠陥を補うための後処理が必要であること、歩留りが低いこと、部材の強度・剛性に問題があること、等の問題が存在する。





一般的に、プレス成形は、歩留まりが高く、成形と同時に高強度・高靭性化を図ることができることから、需要拡大の有効な手段と言える。マグネシウム合金製板材から、プレス成形により成形体を作製できる場合、薄肉、かつ高強度な成形体を、安価なプロセスで、作製することができ、家電製品筐体等の分野で、多くの需要が予測できる。





金属の塑性変形の基本となる転位の運動性は、すべり面間隔/原子間距離の比に影響されることが知られている。したがって、最密六方構造(HCP構造)であるマグネシウム合金の場合、a軸長さとc軸長さの比(c/a比)が大きく(c/a=1.6236)、底面すべりと非底面すべりでは、転位の運動性に大きな違いが生じる。





そのため、マグネシウム合金の非底面すべりの臨界分解せん断応力(CRSS)は、常温において、他のすべり系と比較して、非常に大きく、常温成形性は、必然的に低い。更に、マグネシウム合金板材には、(0002)面が、板面に対して、平行に配向する集合組織が形成されるため、塑性変形時の板厚方向の歪みが期待できず、そのことが、常温成形性を妨げる一因となっている。





成形性に乏しいマグネシウム合金の、常温成形性を向上させる手法としては、規定量のリチウムを添加したマグネシウム合金板材を利用する手法が知られている(特許文献1,2)。この方法は、具体的には、マグネシウム(合金)に、8質量%以上のLiを添加し、HCP構造を有するマグネシウム中に、体心立方晶(β相)を晶出させ、成形性を著しく向上させるものである。更に、Liの添加により、c/a比を低め(非特許文献1)、相乗的に成形性を向上させるものである。一方、Liの添加は、マグネシウムの腐食特性を著しく劣化させるため、実用的ではない。それゆえに、Liを添加せずに、成形性を向上させる技術が望まれている。





Liを添加せずに、マグネシウム合金の常温成形性を改善する手段としては、異周速圧延(非特許文献2参照)、クロス圧延法(特許文献3参照)を利用して、(0002)面の集合組織形成を弱めた圧延材を作製する方法が挙げられる。本手法を利用すると、油性潤滑剤が十分利用可能な、150~230℃の温度でも、高い成形性(エリクセン値:約13)を確保することができる。しかし、本手法により作製されたマグネシウム合金の、常温(30℃)における成形性は、低いものであり、せいぜい、エリクセン値で、6程度である(非特許文献3参照)。





更に、低温(150℃以下)で、プレス成形を実現する手段としては、適当な熱処理を経た、Ce、La、Y等の軽希土類元素を、適当量添加したマグネシウム合金板材を利用することが挙げられる(特許文献4参照)。この手法は、軽希土類元素を、適当量添加して、マグネシウムのc/a比を低め、マグネシウムの塑性異方性を軽減するものである。しかし、この手法により作製されたマグネシウム合金の、常温(30℃)における成形性は、エリクセン値で、せいぜい4~5程度である。





現在、幅広い分野で利用されているアルミニウム合金の常温成形性(エリクセン値)は、上記のマグネシウム合金よりも著しく高く、5000系合金では、8.3(5083-O材)、6000系合金では、9.2(6061-T4材)、1000系合金では、11.0(1100-O材)である(非参考文献4参照)。





したがって、マグネシウム合金に関しても、今後、マグネシウム合金板材の著しい需要増加を見込むためには、アルミニウム合金板材に準ずる、もしくは匹敵する常温成形性(常温でのエリクセン値が8.0以上)を付与することが必要であり、当技術分野においては、優れた易成形性を有する新しいマグネシウム合金板材の製造技術及びその製品を開発することが強く要請されていた。





【特許文献1】

開2004-156089号公報

【特許文献2】

開平4-32535号公報

【特許文献3】

開2004-10959号公報

【特許文献4】

願2008-148538号

【非特許文献1】

.S.Busk,Transactions AIME,Vol.188(1950)1460-1464

【非特許文献2】

.Chino et al.:Mater.Trans.,Vol.43(2002),pp.2554-2560

【非特許文献3】

野靖正:金属,Vol.78(2008),pp.327-332

【非特許文献4】

ルミニウムハンドブック(第4版),軽金属協会編(軽金属協会発行,東京,1989),p.98

産業上の利用分野



本発明は、易成形性マグネシウム合金の製造方法、そのマグネシウム合金板材、マグネシウム合金製プレス成形体及びマグネシウム合金製部材に関するものであり、更に詳しくは、軽希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)、及びZnを含み、Mn、Zrを特定量添加したマグネシウム合金を、熱間・温間圧延し、焼鈍を行うことで、集合組織を改質し、常温においても、5000系もしくは6000系アルミニウム合金並の成形性を有することを可能とする易成形性マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金板材、そのプレス成形体及び部材に関するものである。





更に、本発明は、上記軽希土類元素の代わるCa、及びZnを含み、Al、Mn、Zrを特定量添加したマグネシウム合金を、熱間・温間圧延し、焼鈍を行うことで、集合組織を改質し、常温においても、5000系もしくは6000系アルミニウム合金並の成形性を有することを可能とする易成形性マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金板材、そのプレス成形体及び部材に関するものである。本発明は、宇宙・航空材料、電子機器材料、自動車部材等の幅広い分野で利用することが可能な易成形性マグネシウム合金板材、そのプレス成形体及び筐体等のマグネシウム合金製部材を提供するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
軽希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1種以上、及びZn、及び不可避に混入する不純物からなり、軽希土類元素の総量が0.1~1.0質量%であり、Znの総量が0.4~2.6質量%であるマグネシウム合金を、総圧下率30%以上で試料温度450℃以下の熱間・温間圧延を行い、圧延後に試料温度が、260℃~450℃、保持時間が、10分~3時間の熱処理による焼鈍を行い、該熱処理により、粒界の新しい配列を伴う再結晶を起こすことにより、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、(0002)面集合組織の板幅方向に30°回転した付近の位置に極を有し、常温(30℃)で、エリクセン値が少なくとも8.0以上の常温成形性を有するマグネシウム合金板材を製造することを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項2】
Y及び/又はScの総量が、0.5質量%以下である、請求項1に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項3】
軽希土類元素の総量が、0.10.5質量%である、請求項1又は2に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項4】
軽希土類元素として、軽希土類元素を主成分とする希土類元素混合物(ミッシュメタル:Mm)を使用する、請求項1~3のいずれかに記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項5】
軽希土類元素に代わるCa、及びZn、及び不可避に混入する不純物からなり、Caの総量が0.01~0.6質量%であり、Znの総量が0.4~2.6質量%であるマグネシウム合金を、総圧下率30%以上で試料温度450℃以下の熱間・温間圧延を行い、圧延後に試料温度が、260℃~450℃、保持時間が、10分~3時間の熱処理による焼鈍を行い、該熱処理により、粒界の新しい配列を伴う再結晶を起こすことにより、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、(0002)面集合組織の板幅方向に30°回転した付近の位置に極を有し、常温(30℃)で、エリクセン値が少なくとも8.0以上であるマグネシウム合金板材を製造することを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項6】
Caの総量が、0.01~0.3質量%である、請求項5に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項7】
更に、総量が0.01~2.0質量%であるAlを添加する、請求項5又は6に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項8】
更に、総量が0.01~0.8質量%であるMn及び/又はZrを添加する、請求項1から7のいずれかに記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項9】
Mn及び/又はZrの総量が、0.01~0.5質量%である、請求項8に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項10】
試料温度を400℃~500℃で熱間圧延する、請求項1~9のいずれかに記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の製造方法により作製されたことを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材。

【請求項12】
請求項11に記載の易成形性マグネシウム合金板材の成形体からなることを特徴とするマグネシウム合金製プレス成形体。

【請求項13】
請求項12に記載のマグネシウム合金製プレス成形体からなることを特徴とするマグネシウム合金製部材。
国際特許分類(IPC)
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