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チオール化合物の同時連続分析方法およびそれに使用する同時連続分析装置

国内特許コード P110001703
整理番号 S2008-0834-N0
掲載日 2011年3月14日
出願番号 特願2008-210564
公開番号 特開2010-048568
登録番号 特許第5119554号
出願日 平成20年8月19日(2008.8.19)
公開日 平成22年3月4日(2010.3.4)
登録日 平成24年11月2日(2012.11.2)
発明者
  • 吉田 秀幸
  • 山口 政俊
  • 能田 均
  • 轟木 堅一郎
  • 井上 高志
出願人
  • 学校法人福岡大学
発明の名称 チオール化合物の同時連続分析方法およびそれに使用する同時連続分析装置
発明の概要

【課題】チオール化合物の酸化型チオール類と還元型チオール類を同時に連続的にかつ簡便に分析できるチオール化合物の同時連続分析方法及びそれに使用できる分析装置を提供すること。
【解決手段】チオール化合物の酸化型チオール類と還元型チオール類を分離した後、酸化型チオール類を還元して還元型チオール類に変換し、ピレンなどの蛍光誘導体化試薬で誘導体化して、その誘導体から発するエキシマー蛍光を分析することによって、チオール化合物の酸化型チオール類と還元型チオール類とを同時に連続的にかつ簡便に分析することができる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


近年、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、医薬、環境、食品などの分野で使用されていて、HPLC 検出は、測定対象物質の物理的・化学的性質を検知することに基づいて行われ、吸光度、電気化学、質量分析(MS)、蛍光、化学発光などが検出器として用いられている。目的の化学物質がかかる検出器に対して無応答であったり、または十分に応答しない場合、そのままでは HPLC での検出ができなかったり、または不十分であったりする。そのような場合には、目的物質を、いわゆる誘導体化等の化学反応などによって検出器に対して強い応答を示す物質に変換することによって HPLC での検出を可能にすることが可能である。誘導体化法の中でも、蛍光誘導体化法が汎用されていて、そのために必要な蛍光誘導体化試薬も多くのものが開発されている(非特許文献1)。



蛍光誘導体化試薬の中には、目的物質を標識するための反応部位と発蛍光に関与する蛍光部位(発蛍光団)とが同一分子内に共存しているものがあり、そのような試薬として、例えば、ピレン、アクリジン、アントラセン、クマリン、シアニン、ダンシル、フルオレセイン、ローダミンなどが知られている(例えば、非特許文献1-4参照)。これらの蛍光性誘導化試薬を使用して試料中の微量成分を検出するとき、試料中に存在する多種多量の共存物質を誘導体化するために蛍光性誘導体化試薬が過剰に添加されることがしばしばあり、このように過剰に添加した蛍光性試薬が測定対象物質の分析の妨げの要因となることがある。これらの問題点を解決する試みもなされていて、前処理法や分離技法を改善するばかりではなく、無蛍光性の試薬を用いる発蛍光誘導体化法の開発(非特許文献5-7)や、特殊な蛍光現象(蛍光偏光、時間分解蛍光、蛍光移動エネルギー移動など)を導入した誘導体化法の開発(非特許文献8-10)が試みられている。



本発明者らは、かかる特殊蛍光現象の1つであるエキシマー蛍光を導入した誘導体化法を開発して、多官能性の被験物質をピレン試薬で多点標識することにより、ピレンの通常の波長領域(モノマー蛍光:360-420 nm)よりも長波長域のエキシマー蛍光領域(440-540 nm)で蛍光検出して、複数官能基を有する特定化合物のみを選択的に分析することを可能にした。これにより、本発明者らは、ポリアミン、ポリフェノール、ポリカルボン酸のような多官能性化合物の分析法を開発し、生理活性物質、医薬品、農薬、環境ホルモンなどの簡便でかつ高選択的な定量を可能にした(例えば、非特許文献11参照)。



一方、チオール化合物には、分子内に複数のチオール構造(スルフヒドリル基;-SH)を有するポリチオール類、ならびにチオール構造を1カ所有するモノチオール類が存在する。生体内にもシステイン類やグルタチオンなどとして、様々な形のチオール化合物が存在している。また、モノチオール類ならびポリチオール類はそれぞれが酸化型および還元型として共存し、お互いが相補的に異なる機能を有しているため、それらを同時に計測する必要がある。



還元型チオール化合物は、一般的には、各種蛍光試薬で誘導体化した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分離することによって分析することができる。このとき、ピレン試薬を用いるとポリチオール類の検出波長は450-500 nm、すなわちエキシマー蛍光、であるのに対して、モノチオール類の検出波長は360-420 nm、すなわちモノマー蛍光、と大きく異なるため、エキシマー蛍光を検出することで、モノチオール類の妨害を受けることなく、ポリチオール類を選択的に検知することができる。また、かかるチオール化合物のうち、酸化型チオール類は、誘導体化の前に還元剤で還元することで、エキシマー蛍光もしくはモノマー蛍光で検出することができる。



ポリチオール類は、蛍光プレラベル分析法によって高感度でかつ高選択的に検出可能であることから、この蛍光プレラベル分析法が近年広く利用されている。しかし,これまで報告されている分析法では、酸化型ならびに還元型チオール類の総量、もしくは還元型チオール類しか測定することができないため、酸化型チオール類の量は、酸化型および還元型チオール類の総量から、還元型チオール類の量を差し引いて算出していた。現在のところ、ポリチオール類の酸化型と還元型とを同時に簡便に測定する方法は皆無であるといえる。なお、LC-MS分析法を用いれば、理論上は、酸化型チオール類と還元型チオール類とが混在する状態でも、そのまま計測できると考えられるが、そのような方法論の論文は、これまで知る限りでは存在していない。そこで、酸化型および還元型ポリチオール類を同時に簡便に測定することができる方法の開発が待たれていた。

【非特許文献1】山口政俊,能田均:ぶんせき、291(3), 204 (1999)

【非特許文献2】Y. Ohkura, M. Kai, H. Nohta: J. Chromatogr. B., 659, 85 (1994)

【非特許文献3】M.Yamaguchi, J. Ishida: "Modern derivatizationmethods for separation sciences", T. Toyo'oka(Ed.), p. 99 (1999), (John Wiley and Sons Ltd. New York)

【非特許文献4】K.Fukushima, N. Usui, Y. Santa, K. Imai: J. Pharm. Biomed. Anal., 30, 1655(2003)

【非特許文献5】S. Uchiyama,et al.: Anal. Chem., 73, 2165 (2001)

【非特許文献6】K. Gyimesi-Forras, et al.: J. Chromatogr.A, 1083, 80 (2005)

【非特許文献7】T. Yoshitake, et al.: Biomed. Chromatogr., 20, 267 (2006)

【非特許文献8】K. Abe,et al.: BUNSEKI KAGAKU, 44, 555 (1995)

【非特許文献9】K.Matsumoto, et al.: J. Chromatogr. B, 773, 135 (2002)

【非特許文献10】M. Yoshitake, et al.: Anal. Chem., 78, 920 (2005)

【非特許文献11】H.Yoshida, et al.: BUNSEKI KAGAKU, 55(4), 213-221(2006)

産業上の利用分野


この発明は、試料中のチオール化合物の同時連続分析方法およびそれに使用する同時連続分析装置に関するものであり、更に詳細には、試料中に含まれるチオール化合物の酸化型および還元型チオール類の同時連続分析方法およびそれに使用する同時連続分析装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による試料中のチオール化合物の同時連続分析方法であって、
上記チオール化合物を酸化型チオール類と第1還元型チオール類とに分離する分離工程と;
上記分離酸化型チオール類を還元剤によって還元して第2還元型チオール類に変換し、
上記第1および第2還元型チオール類を蛍光誘導体化試薬によって誘導体化する誘導体化工程および、
上記分離工程で分離した酸化型チオール類を還元しないで、第1還元型チオール類のみを誘導体化する誘導体化工程と;
からなる上記同時連続分析方法によって上記試料中の酸化型チオール類と還元型チオール類とを連続して分析することを特徴とするチオール化合物の同時連続分析方法。

【請求項2】
請求項に記載のチオール化合物の同時連続分析方法において、前記還元剤がホスフィン類であることを特徴とするチオール化合物の同時連続分析方法。

【請求項3】
請求項に記載のチオール化合物の同時連続分析方法において、前記ホスフィン類がトリアルキルホスフィン類、トリシクロアルキルホスフィン類、トリアリールホスフィン類またはトリ(アルキルおよび/またはシクロアルキルおよび/またはアリール)ホスフィン類であることを特徴とするチオール化合物の同時連続分析方法。

【請求項4】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のチオール化合物の同時連続分析方法において、前記蛍光誘導体化試薬が、ピレン類、アントラセン類、アクリジン類、クマリン類、シアニン類、ダンシル類、フルオレセイン類、ローダミン類、インダセン類、オキソキノキサリン類またはベンゾキサジアゾール類であることを特徴とするチオール化合物の同時連続分析方法。

【請求項5】
試料中のチオール類を酸化型チオール類と還元型チオール類に同時連続分析するための高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるチオール化合物の同時連続分析装置であって、
上記試料中のチオール類を酸化型チオール類と第1還元型チオール類とに分離する分離部と;
上記分離酸化型チオール類を第2還元型チオール類に還元する還元部と;
上記第1および第2還元型チオール類を蛍光誘導体化試薬を用いてそれぞれ誘導体化する誘導体化部と;
蛍光測定部と;
上記分離部と上記蛍光誘導体化部とを結合し、上記還元部を含む第1流路と;
上記分離部と上記蛍光誘導体化部とを結合し、上記還元部を含まない第2流路と;
からなることを特徴とするチオール化合物の同時連続分析装置。

【請求項6】
請求項に記載の同時連続分析装置において、上記第1流路に上記還元部を構成する還元カラムが設けられていることを特徴とするチオール化合物の同時連続分析装置。

【請求項7】
請求項に記載のチオール化合物の同時連続分析装置において、前記還元カラムに還元剤が充填されていることを特徴とするチオール化合物の同時連続分析装置。

【請求項8】
請求項に記載のチオール化合物の同時連続分析装置において、前記還元剤がホスフィン類であることを特徴とするチオール化合物の同時連続分析装置。

【請求項9】
請求項またはに記載のチオール化合物の同時連続分析装置において、前記ホスフィン類がトリアルキルホスフィン類、トリシクロアルキルホスフィン類、トリアリールホスフィン類またはトリ(アルキルおよび/またはシクロアルキルおよび/またはアリール)ホスフィン類であることを特徴とするチオール化合物の同時連続分析装置。

【請求項10】
請求項に記載のチオール化合物の同時連続分析装置において、前記蛍光誘導体化試薬が、ピレン類、アントラセン類、アクリジン類、クマリン類、シアニン類、ダンシル類、フルオレセイン類、ローダミン類、インダセン類、オキソキノキサリン類またはベンゾキサジアゾール類であることを特徴とするチオール化合物の同時連続分析装置。

【請求項11】
請求項ないし10のいずれか1項に記載のチオール化合物の同時連続分析装置を用いたチオール化合物の同時連続分析方法の実施において、上記分離部で分離した酸化型チオール類および第1還元型チオール類を含む試料を第1流路に送液し、該第1流路に設けた上記還元部で上記分離酸化型チオール類を第2還元型チオール類に変換した後、上記第1および第2還元型チオール類を上記蛍光誘導体化部に送液し蛍光誘導体化試薬で誘導体化して上記蛍光測定部で測定することからなるチオール化合物の同時連続分析方法。

【請求項12】
請求項11に記載のチオール化合物の同時連続分析方法において、上記分離部で分離した酸化型チオール類および第1還元型チオール類を第2流路に流して還元せずに誘導体化して蛍光測定することによって第1還元型チオール類のみを測定することを特徴とするチオール化合物の同時連続分析方法。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008210564thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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