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蠕虫性寄生生物由来の免疫賦活剤

国内特許コード P110001770
掲載日 2011年3月15日
出願番号 特願2010-240882
公開番号 特開2012-092045
登録番号 特許第5935200号
出願日 平成22年10月27日(2010.10.27)
公開日 平成24年5月17日(2012.5.17)
登録日 平成28年5月20日(2016.5.20)
発明者
  • 森本 將弘
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 蠕虫性寄生生物由来の免疫賦活剤
発明の概要 【課題】in vivoで強いTh2免疫賦活化を引き起こすTh2免疫賦活剤や該免疫賦活剤の製造方法を提供すること。
【解決手段】消化管蠕虫性寄生虫の一種であるニッポストロンジラス・ブラジリエンシス(Nippostrongylus brasiliensis)を超音波破砕処理した処理物と、界面活性剤の1つであるTritonX-114含有水溶液とを混合した後、水層と界面活性剤層との層分離処理を行う。かかる界面活性剤層を界面活性剤画分として抽出した界面活性剤画分からエタノール沈殿法によりTritonX-114を除去した脱界面活性剤抽出画分は、単回の経口投与によりTh2免疫賦活化の指標であるIgE量の増加、好酸球数の増加、又はIL-4発現量の増加作用を有する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


免疫反応において、機能するヘルパーT細胞(Th)は、主にタイプI(Th1)細胞とタイプII(Th2)細胞とに分類され(例えば、非特許文献1、非特許文献16、非特許文献17参照)、そのうちTh1細胞は細胞性炎症反応に関与することが知られており、かかる細胞性炎症反応としては、例えばTh1細胞が分泌するサイトカイン(Th1サイトカイン)であるIL-2やIFN-γにより誘導される細胞障害性反応、遅延型過敏反応等が知られている。他方、Th2細胞は体液性免疫反応に関与することが知られており、かかる体液性免疫反応としては、例えばTh2細胞が分泌するサイトカイン(Th2サイトカイン)であるIL-4やIL-5により誘導されるIgE量増加に伴ったアレルギー反応や、寄生虫からの防御反応等が知られている(例えば非特許文献17参照)。また、Th1サイトカイン及びTh2サイトカインがそれぞれ他方のサイトカインの働きを抑制することにより、免疫反応のタイプがTh1型又はTh2型のどちらか一方に迅速に変化することが知られている(例えば非特許文献1、非特許文献16参照)。こうした免疫反応のシステムにより、生体内では外来抗原の種類に応じて適切な免疫反応が誘導される(例えば非特許文献1、非特許文献16参照)が、免疫反応のバランス制御が乱れ、Th1型に過度に傾くとクローン病などの組織障害性疾患や、慢性関節リウマチ、自己免疫性肝炎などの臓器特異的自己免疫疾患を引き起こすことが知られている(例えば非特許文献1、非特許文献7、非特許文献16参照)。また、逆にTh2型に過度に傾くとアレルギー、アトピー、全身性自己免疫疾患などの免疫疾患を引き起こすことが知られている(例えば非特許文献1、非特許文献16参照)。これらの疾患を治療するために、乱れた免疫反応のバランスを正常な状態に戻すことを目的とした研究が行われている。



LPS(Lipo poly saccharide)やCpG(cytosine-phosphate-guanine)は、単回投与でもTh1免疫反応の活性化を誘導できることから(例えば非特許文献14参照)、過度にTh2型に傾いたバランスをTh1型側へ戻すツールとして注目されている。免疫反応の活性化(免疫賦活化)におけるプロセスの一つとして、抗原が抗原提示細胞に取り込まれた後、抗原処理されたペプチド断片がプロセシングによりMHC(主要組織適合性抗原複合体)分子と結合し、その後抗原提示細胞の細胞表面に発現した抗原をTh細胞が認識して感作が起こることが知られているが(例えば非特許文献1、非特許文献6)、LPSやCpGによるTh1免疫反応の活性化(Th1免疫賦活化)は、上記プロセスとは異なり、LPSやCpGがTLR(Tall-like receptor)のリガンドとして直接抗原提示細胞を刺激して宿主に免疫反応を起こすことから、LPSやCpGはTh1免疫賦活活性を有する物質(Th1 activator)としての有用性が高いことが知られている。また、上記Th1免疫賦活活性を有する物質は、それ単独でTh1免疫賦活化ができるので、Th1免疫反応のメカニズムを解明する基礎研究、例えば抗原提示細胞における細胞内刺激伝達経路を解明する研究などにも応用されていることが知られている(例えば非特許文献14参照)。



他方、Th2免疫賦活活性を有する物質の探索も行われており、それらの中でも、例えばマイコプラズマの菌体表面に存在する不溶性物質(リポペプチド)であるPam-3-cys(例えば非特許文献3参照)やFSL-1(例えば非特許文献4参照)などが、TLR2(Tall-like receptor 2)を介して直接抗原提示細胞に作用することにより、Th2免疫賦活化することが報告されているが、一方で、これらの物質は、Th2サイトカインに加えてTh1サイトカイン(IL-6など)の産生も増加する効果があること(例えば非特許文献14参照)、Th2免疫賦活化にはin vitroの実験系においても高用量必要(例えば非特許文献4参照)であること、Th2免疫賦活化による効果が十分でない(例えば非特許文献14参照)ことも知られている。さらに、強いTh2免疫賦活化を引き起こす消化管寄生虫からTh2免疫賦活活性を有する物質を探索する研究も行われており、その結果、いくつかTh2免疫賦活化する物質が同定されているが、それらの物質は単なる抗原としてアジュバントが必要であったり、頻回投与による感作・チャレンジが必要であったり(例えば非特許文献6参照)、又はin vitroでしかその効果が認められない(例えば非特許文献8参照)ことが知られている。

産業上の利用分野


本発明は、寄生虫から界面活性剤を用いて抽出した界面活性剤画分から界面活性剤を除去した脱界面活性剤抽出画分を有効成分とするTh2免疫賦活剤や該免疫賦活剤の製造方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ニッポストロンジラス・ブラジリエンシス(Nippostrongylus brasiliensis)から界面活性剤を用いて抽出された界面活性剤画分から界面活性剤除去された脱界面活性剤抽出画分のみからなることを特徴とするTh2免疫賦活剤(食品を除く)。

【請求項2】
脱界面活性剤抽出画分が、ペプチドを含むことを特徴とする請求項1記載のTh2免疫賦活剤。

【請求項3】
界面活性剤がTritonX-114(登録商標)であることを特徴とする請求項1又は2記載のTh2免疫賦活剤。

【請求項4】
経口投与の形態で用いられることを特徴とする請求項1~のいずれか記載のTh2免疫賦活剤。

【請求項5】
請求項1~のいずれか記載のTh2免疫賦活剤に、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、又は等張剤が添加されたTh2免疫賦活化用組成物。

【請求項6】
以下の工程(a)~(d)の工程を備えたことを特徴とする請求項1記載のTh2免疫賦活剤の製造方法。
(a)ニッポストロンジラス・ブラジリエンシス(Nippostrongylus brasiliensis)又はその処理物と界面活性剤含有水溶液とを混合する工程;
(b)水層と界面活性剤層との層分離処理を行う工程;
(c)界面活性剤画分を採取する工程;
(d)界面活性剤画分から界面活性剤の除去処理を行い、脱界面活性剤抽出画分のみを得る工程;

【請求項7】
ニッポストロンジラス・ブラジリエンシスの処理物が、ニッポストロンジラス・ブラジリエンシスの物理的破壊処理物であることを特徴とする請求項記載の製造方法。

【請求項8】
界面活性剤がTritonX-114(登録商標)であることを特徴とする請求項又は記載の製造方法。

【請求項9】
工程(d)における界面活性剤の除去処理が、タンパク質の沈殿処理を含むことを特徴とする請求項のいずれか記載の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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