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ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌を用いた親油性溶媒処理方法

国内特許コード P110001782
整理番号 2009000033
掲載日 2011年3月16日
出願番号 特願2009-193018
公開番号 特開2011-041541
登録番号 特許第5747371号
出願日 平成21年8月24日(2009.8.24)
公開日 平成23年3月3日(2011.3.3)
登録日 平成27年5月22日(2015.5.22)
発明者
  • 岩淵 範之
  • 中嶋 睦安
  • 砂入 道夫
  • 明瀬 由美子
  • 鷲崎 友哉
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌を用いた親油性溶媒処理方法
発明の概要 【課題】ロドコッカス属微生物の炭化水素などの代謝対象成分に対する親和性を制御、即ち、目的成分に吸着する状態からこれに転移する状態に変化させることにより、代謝対象成分を効率よく分解することができる方法を提供する。
【解決手段】ロドコッカス属細菌を用いて親油性溶媒を代謝するために、前記細菌の培地に添加される無機塩を利用する方法であって、前記無機塩は、前記細菌の親油性溶媒に対する局在性に影響を持つものであり、前記無機塩の濃度を調整することによって、前記細菌を、前記溶媒に吸着する形態から前記溶媒に転移する形態に変更する、ロドコッカス属細菌を用いる。
【選択図】図6
従来技術、競合技術の概要


ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌は、土壌や海洋などにありふれて存在するグラム陽性細菌、高G+C含量のコリネ型細菌の一種である。ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌には、石油系炭化水素やポリ塩化ビフェニール類(PCB)などをはじめとした数多くの難分解性化合物に対して分解・資化能力をもつことに加え、アクリルアミドや有用酵素群、あるいは細胞外多糖をはじめとした機能性バイオポリマーなどの生産菌が多く存在することが知られている。



それゆえ、産業的に重要な菌群として位置づけられており、低エネルギー化や環境負荷を削減できるバイオプロセスによる環境浄化・物質生産への応用などが期待されている(非特許文献1)。



特に、バイオプロセスを考える場合、応用が期待される微生物には、有機溶媒を含む特殊な環境下での良好な生育や活発な代謝活動などの性質が求められる。また、石油流出事故などによる石油汚染環境の浄化に必要な微生物にも、高濃度難揮発性化合物存在下でこれらの分解を行いながら良好な生育を示すために、これらに対する分解能だけでなく、共存する難揮発性化合物の毒性に対する耐性能が高いことが求められる。



上述したこれらの性質を解析するためには、まず、その切り口として微生物の有機溶媒耐性が必要であり、特にバイオプロセスにおいては、高濃度有機溶媒存在下での生育が求められる。



微生物の有機溶媒耐性に関する研究では、これまでにグラム陰性菌の大腸菌やシュードモナス(Pseudomonas)属細菌などのモデル微生物を中心に遺伝生化学的な研究が行われ、細胞表層構造の変化やエプラックスポンプ、ベシクルの形成などの耐性機構が提案されている(非特許文献2)。



一方、グラム陽性菌においては、炭化水素分解遺伝子などに関する遺伝性化学的研究は進んできたが、有機溶媒耐性に関した研究は多くない。このことは、一般にグラム陽性菌は陰性菌に比べ有機溶媒耐性レベルが低いと考えられていることに起因していると予想される。



しかしながら、バイオプロセスを考える場合には、極めて応用に近い段階の微生物において、実際の利用環境に近い条件での有機溶媒耐性に関する情報が求められる。上述したようにロドコッカス(Rhodococcus)属細菌はバイオプロセスへの応用が期待されていることから、同菌の有機溶媒耐性に関する知見の蓄積が必要である。



岩淵らは、ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodochrous)S-2株が高濃度石油耐性石油分解菌であることを見出し、その石油耐性に検討を加えた結果、同菌の生産する細胞外多糖(以下、「EPS」という)が長鎖アルカンなどの難揮発性有機溶媒の耐性に深く関与していることを明らかにした。



さらに、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌のコロニー形態と溶媒耐性について検討したところ、EPS生産量の少ないラフ型菌は溶媒に親和性が高く結果的に溶媒感受性であり、一方で、EPS生産量の多いムコイド型菌は耐性を示したことから、同属細菌においては、コロニー形態と有機溶媒耐性に高い相関があることを明らかにした。



また、EPSは溶媒に感受性のラフ型菌にも溶媒耐性を与えることが示されており、これらのことから、ムコイド型コロニーの形成が同属細菌の溶媒耐性を考える上での一つの指標であることが見出された(非特許文献3)。



ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR4株は分岐アルカンの一種であるプリスタン(2,6,10,14-tetramethyl-pentadecane)分解菌として単離された株であり(非特許文献4)、培養の経過と共にEPSの生産に基づいた自身のコロニー形態をラフ型→ムコイド型→ラフ型へと変化させる株である。同株は難揮発性有機溶媒に耐性を示すことが知られていることから、ゲノム解析株に選定され、また、宿主-ベクター系の開発にも着手されている。従って、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR4株(以下、「Rh-PR4」又は、「PR4株」という。)は、近い将来、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌の中で、遺伝子操作系の発達した株になることが予想される。



一般に、有機溶媒を細菌で処理する場合、有機溶媒と培地成分を含む水性溶媒との二層培養系で行う。しかしながら、水性溶媒中に添加された細菌は、有機溶媒-水性溶媒界面でしか反応できないため、バイオプロセスによる環境浄化・物質生産への応用には、菌体の親油性を改善し、菌体が炭化水素に転移するようにしての処理効率を向上させる必要がある。



R .erythropolis PR4株は培地/アルカンの二層培養系において、添加するアルカンの炭素数によって、アルカン粒子表面へ吸着する「吸着型」とアルカン粒子内へ転移する「転移型」の二つの異なる局在性を示す株であり、バイオリメディエーションやバイオプロセスの宿主として期待されている。



岩淵らは、Rh-PR4が前記炭素数14以上のテトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、プリスタン、スクワラン等に転移して、これらの炭化水素を代謝・分解できることを明らかにした(特許文献1)。

産業上の利用分野


本発明は、炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システムに関し、詳細には、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌を利用した効率のよい炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
親油性溶媒を含む培地にロドコッカス属細菌を添加し、培地でのロドコッカス属細菌の局在性について、培地中の無機塩の濃度を調整して、該ロドコッカス属細菌が親油性溶媒に吸着する形態と、親油性溶媒に転移する形態との割合を制御し、ロドコッカス属細菌を代謝させて親油性溶媒を分解し、
前記親油性溶媒は、炭素数13以下の炭化水素であり、
前記培地として、(NH4)2SO4とK2HPO4とを含むNP溶液を用い、
前記無機塩として、マグネシウム塩を無添加または88.5nM以下に調整する親油性溶媒処理方法。

【請求項2】
前記親油性溶媒は、常温・常圧下で液体の炭化水素である、請求項1に記載の親油性溶媒処理方法。

【請求項3】
前記ロドコッカス属細菌は、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)である、請求項1または請求項2記載の親油性溶媒処理方法。

【請求項4】
前記ロドコッカス属細菌が、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR4株である、請求項3に記載の親油性溶媒処理方法。

【請求項5】
前記マグネシウム塩は塩化マグネシウムである、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の親油性溶媒処理方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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