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炭化水素の処理方法

国内特許コード P110001783
整理番号 2009000038
掲載日 2011年3月16日
出願番号 特願2009-206309
公開番号 特開2011-055730
登録番号 特許第5532474号
出願日 平成21年9月7日(2009.9.7)
公開日 平成23年3月24日(2011.3.24)
登録日 平成26年5月9日(2014.5.9)
発明者
  • 岩淵 範之
  • 中嶋 睦安
  • 砂入 道夫
  • 瀧原 速仁
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 炭化水素の処理方法
発明の概要 【解決課題】ロドコッカス属の形質転換体を提供することによって、低炭素数の炭化水素に対するロドコッカス属細菌の生育可能性を向上し、また、従来よりも少ない炭素数の炭化水素の分解・代謝に有効な方法を提供する。
【解決手段】GroEL2遺伝子が導入されたロドコッカス・エリスロポリスPR4株を炭化水素と反応させ、当該炭化水素を処理する方法である。前記細菌を無機塩の濃度が制限された培地で培養した。前記無機塩はマグネシウム塩である。マグネシウム塩の濃度を4.3μM以下に制限した。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌は、土壌や海洋などにありふれて存在するグラム陽性細菌、高G+C含量のコリネ型細菌の一種である。ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌には、石油系炭化水素やポリ塩化ビフェニール類(PCB)などをはじめとした数多くの難分解性化合物に対して分解・資化能力をもつことに加え、アクリルアミドや有用酵素群、あるいは細胞外多糖をはじめとした機能性バイオポリマーなどの生産菌が多く存在することが知られている。





それゆえ、産業的に重要な菌群として位置づけられており、低エネルギー化や環境負荷を削減できるバイオプロセスによる環境浄化・物質生産への応用などが期待されている(非特許文献1)。





特に、バイオプロセスを考える場合、応用が期待される微生物には、有機溶媒を含む特殊な環境下での良好な生育や活発な代謝活動などの性質が求められる。





また、石油流出事故などによる石油汚染環境の浄化に必要な微生物にも、高濃度難揮発性化合物存在下でこれらの分解を行いながら良好な生育を示すために、これらに対する分解能だけでなく、共存する難揮発性化合物の毒性に対する耐性能が高いことが求められる。





上述したこれらの性質を解析するためには、まず、その切り口として微生物の有機溶媒耐性が必要であり、特にバイオプロセスにおいては、高濃度有機溶媒存在下での生育が求められる。





微生物の有機溶媒耐性に関する研究では、これまでにグラム陰性菌の大腸菌やシュードモナス(Pseudomonas)属細菌などのモデル微生物を中心に遺伝生化学的な研究が行われ、細胞表層構造の変化やエプラックスポンプ、ベシクルの形成などの耐性機構が提案されている(非特許文献2)。





一方、グラム陽性菌においては、炭化水素分解遺伝子などに関する遺伝性化学的研究は進んできたが、有機溶媒耐性に関した研究は多くない。このことは、一般にグラム陽性菌は陰性菌に比べ有機溶媒耐性レベルが低いと考えられていることに起因していると予想される。





しかしながら、バイオプロセスを考える場合には、極めて応用に近い段階の微生物において、実際の利用環境に近い条件での有機溶媒耐性に関する情報が求められる。上述したようにロドコッカス(Rhodococcus)属細菌はバイオプロセスへの応用が期待されていることから、同菌の有機溶媒耐性に関する知見の蓄積が必要である。





Iwabuchiらは、ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodochrous)S-2株が高濃度石油耐性石油分解菌であることを見出し、その石油耐性に検討を加えた結果、同菌の生産する細胞外多糖(以下、「EPS」という)が長鎖アルカンなどの難揮発性有機溶媒の耐性に深く関与していることを明らかにした。





さらに、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌のコロニー形態と溶媒耐性について検討したところ、EPS生産量の少ないラフ型菌は溶媒に親和性が高く結果的に溶媒感受性であり、一方で、EPS生産量の多いムコイド型菌は耐性を示したことから、同属細菌においては、コロニー形態と有機溶媒耐性に高い相関があることを明らかにした。





また、EPSは溶媒に感受性のラフ型菌にも溶媒耐性を与えることが示されており、これらのことから、ムコイド型コロニーの形成が同属細菌の溶媒耐性を考える上での一つの指標であることが見出された(非特許文献3)。





ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR4株は分岐アルカンの一種であるプリスタン(2,6,10,14-tetramethyl-pentadecane)分解菌として単離された株であり(非特許文献4)、培養の経過と共にEPSの生産に基づいた自身のコロニー形態をラフ型→ムコイド型→ラフ型へと変化させる株である。





同株は難揮発性有機溶媒に耐性を示すことが知られていることから、ゲノム解析株に選定され、また、宿主-ベクター系の開発にも着手されている。従って、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR4株は、近い将来、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌の中で、遺伝子操作系の発達した株になることが予想されていたが、最近では、PR4株は、産業的利用価値が高い菌株であることからゲノム解析がなされ、そのプラスミドの全配列が公表された (非特許文献5)。また、出願人も2種類のEPSの化学構造を明らかにした (非特許文献6)。





Rhodococcus属細菌や類縁菌での有機溶媒耐性に関する研究では、温度変化、栄養欠乏、など様々なストレス状況下で細胞質膜の飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比率変化やcis/trans脂肪酸の比率変化などの膜構造変化が膜の透過性に変化を起こし、その環境に適応させることが知られているが、この膜の透過性変化は有機溶媒耐性にも寄与するといわれている(非特許文献7,8)。





また、Loredanaらは、炭化水素と各種菌株との相互作用を解析した研究において、PR4株と同種のR. eythropolis 20S-E1-c株はC16に対して一部の細胞が炭化水素粒子の内部に転移していることが確認されたが、その他に供試したAcinetobactor属、Rhizomonas属、Pseudomonas属細菌はC16に対して吸着し転移は確認されなかったことを報告している (非特許文献9)。





なお、岩淵らはロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR4株が炭素数14以上のテトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、プリスタン、スクワラン等に転移して、これらの炭化水素を代謝・分解できることを明らかにした(特許文献1)。

産業上の利用分野



本発明は、形質転換されたロドコッカス(Rhodococcus)属細菌、及び、これを用いた炭化水素の処理方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
groEL2遺伝子が形質転換により導入されたロドコッカス属に属する細菌と炭素数14以下の炭化水素と反応させ、前記炭化水素を分解、代謝する、炭化水素の処理方法。

【請求項2】
前記細菌がロドコッカス・エリスロポリスPR4株である、請求項1に記載の炭化水素の処理方法。

【請求項3】
前記炭化水素が、炭素数7以上14以下のものである、請求項1に記載の炭化水素の処理方法。

【請求項4】
前記細菌を無機塩の濃度が制限された培地で培養して、前記炭化水素を分解、代謝する、請求項1に記載の炭化水素の処理方法。

【請求項5】
前記無機塩はマグネシウム塩である請求項に記載の炭化水素の処理方法。

【請求項6】
前記マグネシウム塩の濃度を44.3μM以下に制限した請求項に記載の炭化水素の処理方法。

【請求項7】
前記マグネシウム塩の濃度を88.5nM以下に制限した請求項に記載の炭化水素の処理方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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