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細胞内へ核酸を導入する為の新規な分子並びに細胞内へ導入する核酸および細胞内へ核酸を導入する為の新規な方法 コモンズ

国内特許コード P110001804
掲載日 2011年3月17日
出願番号 特願2005-103703
公開番号 特開2006-280261
登録番号 特許第4709971号
出願日 平成17年3月31日(2005.3.31)
公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
登録日 平成23年4月1日(2011.4.1)
発明者
  • 川井 淳
  • 川上 文清
  • 大槻 高史
  • 宍戸 昌彦
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 細胞内へ核酸を導入する為の新規な分子並びに細胞内へ導入する核酸および細胞内へ核酸を導入する為の新規な方法 コモンズ
発明の概要

【課題】 核酸を細胞内へ導入する方法の提供。
【解決手段】 核酸を細胞内に導入するための方法であって、以下の工程を包含する方法:(1)RNA結合性タンパク質の全体または一部構造および膜透過性キャリアペプチドを含む、RNA結合性および膜透過性を有する融合タンパク質と、該RNA結合性タンパク質に対する認識配列および任意の配列を含むRNAとを結合させる工程;および(2)該融合タンパク質と該RNAとの結合体を任意の細胞と混合する工程、ここで該融合タンパク質の構造中に含まれる膜透過性キャリアペプチドの性質により該融合タンパク質と結合した該RNAが該細胞内に導入される。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


今日において、DNAやRNA、PNAなどの核酸、あるいはタンパク質、低分子等の外来分子を真核生物へ導入する方法、すなわちトランスフェクション法は、生物学的・医学的な研究や応用のための重要なツールの一つである。所望の物質を任意に細胞内へ導入することによって、遺伝子の細胞への影響の研究、細胞内での特定の分子の追跡、遺伝子の発現調節、タンパク質発現のための組換え細胞の樹立など、生体の機能を解明する上で欠かすことの出来ない様々な研究を行うことが可能となる。また更に、近年特に、遺伝子治療分野への応用に関する技術開発が急速に進められており、細胞内への核酸の導入による、がん、高脂血症、糖尿病などの特定の遺伝子の過剰な活性発現を原因とする疾患の治療に簡便にかつ安全に用いることができる核酸バイオ医薬としての活用が期待されている。



トランスフェクション法は以前より様々な方法が考案されている。今日において頻繁に用いられている方法としては、DEAEデキストラン法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソーム法、ウィルス法、パーティクルガン法、マイクロインジェクション法、デンドリマー法、非リポソーム脂質法などがある。また一方で、好ましいトランスフェクション法として要求される性質は、簡便に使えること、導入効率が高いこと、汎用性が高いこと、再現性が高いこと、細胞に対する毒性が低いこと、などが挙げられる。しかしながら汎用されているいずれの前述の手法には、それぞれ特有の長所と短所が存在し、導入を行う分子の形態や研究目的、導入を行う細胞の種類などにより、それぞれの使用法を使い分ける必要があった。また、細胞の種類によっては、いかなるトランスフェクション法を用いても高い導入効率を得られない場合もあった。



その中でも、代表的なトランスフェクション法の一つとしては、リポソーム法が挙げられる。リポソーム法は、操作が比較的簡便であり、また前述したDEAEデキストラン法やリン酸カルシウム法などの比較的古い方法と比較して、高いトランスフェクション効率を持ち、再現性も良いといった特長があり、現在最も頻繁に使用されている方法のひとつである。しかしながらリポソーム法の最大の欠点は、リポソーム自身が非生体物質、即ち人工的な陽イオン性脂質と中性脂質の混合物を用いるため、試薬自身の毒性により細胞にダメージを与えてしまうという問題があった。また、エレクトロポレーション法やマイクロインジェクション法、パーティクルガン法などは、細胞を物理的に穿孔する方法で、前述のリポソーム法などの化学的方法と比べ、導入を行う細胞の種類を問わないなどの利点がある。しかしながらこれらの方法は、細胞に物理的なストレスがかかるため、細胞の死亡率が極めて高いという問題があった。



一方、従来、DNAを用いることが多かった核酸の細胞内への導入においては、近年、核酸の細胞内への導入による研究・応用の高効率化や、DNAの導入では不可能であった全く新しい研究への期待から、RNAを細胞に導入する手法に注目が集まりつつある。RNAを細胞へ導入するにより、非分裂細胞へのRNAトランスフェクションによるタンパク質の翻訳、RNAウィルスの直接的な研究、アンチセンスRNAやリボザイム、siRNA、miRNAによるアッセイ等の研究・応用に用いることが可能となる。



その中でも、近年において最も注目を浴びている研究・応用手法が、二本鎖RNAによる配列特異的なメッセンジャーRNAの分解と、その結果として起こる遺伝子発現の抑制、即ちRNA干渉(RNAi)である。RNA干渉は、アンチセンス法やリボザイム法といった従来の遺伝子発現抑制法と比較して、特異性や効率が高く、方法が簡便であるといった特長があり、1990年代の発見以来、近年急速に広まりつつある手法である。遺伝子の機能を解明や、培養細胞中において薬剤の標的を検証するといった創薬研究、あるいは応用分野として、がん、高脂血症、糖尿病などの特定の遺伝子の過剰な活性発現を原因とする疾患の治療に簡便にかつ安全に用いることができる核酸バイオ医薬としての活用など、遺伝子発現の抑制による研究・応用は以前から幅広く行われてきており、RNA干渉はそれらの研究・応用を飛躍的に加速する技術として、非常に期待がもたれている。



特に、RNA干渉を用いた核酸バイオ医薬への期待は近年非常に高まりつつある。核酸バイオ医薬の技術開発においては、核酸を生体、特に人体へ効率よく導入する技術が不可欠である。しかしながら既存のトランスフェクション技術では、いずれの方法においても前述のように細胞へのダメージが大きく、安全性の面において、生体、特に人体への応用には適さないという問題があった。

産業上の利用分野


本発明は、核酸を細胞内へ導入する為の分子および核酸を細胞内へ導入する為の方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
インビトロで核酸を細胞内に導入するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
(1)配列番号1のアミノ酸37~132の配列からなるヒト由来U1Aタンパク質および配列番号1のアミノ酸14~25の配列からなるヒト免疫不全ウィルス由来のTATペプチドを含む、RNA結合性および膜透過性を有する融合タンパク質と、配列番号2の塩基1~22の配列であるヒト由来U1Aタンパク質に対する認識配列を含むRNAとを結合させる工程;および
(2)該融合タンパク質と該RNAとの結合体を任意の細胞と混合する工程、ここで該融合タンパク質の構造中に含まれる該ヒト免疫不全ウィルス由来のTATペプチドの性質により該融合タンパク質と結合した該RNAが該細胞内に導入される。

【請求項2】
インビトロで核酸を細胞内に導入するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
(1)配列番号1のアミノ酸37~132の配列の10%以内のアミノ酸残基が置換、欠失もしくは付加されているアミノ酸配列からなるRNA結合性タンパク質および配列番号1のアミノ酸14~25の配列の10%以内のアミノ酸残基が置換、欠失もしくは付加されているアミノ酸配列からなる膜透過性キャリアペプチドを含む、RNA結合性および膜透過性を有する融合タンパク質と、配列番号2の塩基1~22の配列であるヒト由来U1Aタンパク質に対する認識配列を含むRNAとを結合させる工程;および
(2)該融合タンパク質と該RNAとの結合体を任意の細胞と混合する工程、ここで該融合タンパク質の構造中に含まれる該膜透過性キャリアペプチドの性質により該融合タンパク質と結合した該RNAが該細胞内に導入される。

【請求項3】
インビトロで核酸を細胞内に導入するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
(1)配列番号1のアミノ酸配列からなるRNA結合性および膜透過性を有する融合タンパク質と、配列番号2の塩基1~22の配列であるヒト由来U1Aタンパク質に対する認識配列を含むRNAとを結合させる工程;および
(2)該融合タンパク質と該RNAとの結合体を任意の細胞と混合する工程、ここで該融合タンパク質の有する膜透過性により該融合タンパク質と結合した該RNAが該細胞内に導入される。

【請求項4】
インビトロで核酸を細胞内に導入するための方法であって、以下の工程を包含する方法:
(1)配列番号1のアミノ酸配列の10%以内のアミノ酸残基が置換、欠失もしくは付加されているアミノ酸配列からなるRNA結合性および膜透過性を有する融合タンパク質と、配列番号2の塩基1~22の配列であるヒト由来U1Aタンパク質に対する認識配列を含むRNAとを結合させる工程;および
(2)該融合タンパク質と該RNAとの結合体を任意の細胞と混合する工程、ここで該融合タンパク質の有する膜透過性により該融合タンパク質と結合した該RNAが該細胞内に導入される。

【請求項5】
ヒト由来U1Aタンパク質に対する認識配列を含むRNAが、ウィルスRNA、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、アンチセンスRNA、アプタマ-RNA、リボザイム、siRNAおよびmiRNAからなる群から選択されるRNA分子として機能するRNA配列を一つまたは複数含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の方法により核酸を細胞内に導入する工程を包含する、細胞内タンパク質合成または遺伝子発現抑制方法。

【請求項7】
配列番号1のアミノ酸37~132の配列からなるヒト由来U1Aタンパク質および配列番号1のアミノ酸14~25の配列からなるヒト免疫不全ウィルス由来のTATペプチドを含むRNA結合性および膜透過性を有する融合タンパク質であって、該融合タンパク質の構造中に含まれる該ヒト由来U1Aタンパク質と結合した配列番号2の塩基1~22の配列であるヒト由来U1Aタンパク質に対する認識配列を含むRNAを細胞内に導入する性質をもつことを特徴とする融合タンパク質。

【請求項8】
配列番号1のアミノ酸37~132の配列の10%以内のアミノ酸残基が置換、欠失もしくは付加されているアミノ酸配列からなるRNA結合性タンパク質および配列番号1のアミノ酸14~25の配列の10%以内のアミノ酸残基が置換、欠失もしくは付加されているアミノ酸配列からなる膜透過性キャリアペプチドを含む、RNA結合性および膜透過性を有する融合タンパク質であって、該融合タンパク質の構造中に含まれる該RNA結合性タンパク質と結合した配列番号2の塩基1~22の配列であるヒト由来U1Aタンパク質に対する認識配列を含むRNAを細胞内に導入する性質をもつことを特徴とする融合タンパク質。

【請求項9】
配列番号1のアミノ酸配列からなるRNA結合性および膜透過性を有する融合タンパク質であって、該融合タンパク質と結合した配列番号2の塩基1~22の配列であるヒト由来U1Aタンパク質に対する認識配列を含むRNAを細胞内に導入する性質をもつことを特徴とする融合タンパク質。

【請求項10】
配列番号1のアミノ酸配列の10%以内のアミノ酸残基が置換、欠失もしくは付加されているアミノ酸配列からなるRNA結合性および膜透過性を有する融合タンパク質であって、該融合タンパク質と結合した配列番号2の塩基1~22の配列であるヒト由来U1Aタンパク質に対する認識配列を含むRNAを細胞内に導入する性質をもつことを特徴とする融合タンパク質。

【請求項11】
請求項10のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする遺伝子。
産業区分
  • 微生物工業
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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技術移転に関しては岡山TLOが窓口になります。


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