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遷移元素触媒およびその製造方法、並びに選択的水素添加方法 コモンズ

国内特許コード P110001832
掲載日 2011年3月17日
出願番号 特願2010-137031
公開番号 特開2011-020116
登録番号 特許第5605619号
出願日 平成22年6月16日(2010.6.16)
公開日 平成23年2月3日(2011.2.3)
登録日 平成26年9月5日(2014.9.5)
優先権データ
  • 特願2009-145071 (2009.6.18) JP
発明者
  • 牧 昌次郎
  • 丹羽 治樹
出願人
  • 国立大学法人電気通信大学
発明の名称 遷移元素触媒およびその製造方法、並びに選択的水素添加方法 コモンズ
発明の概要 【課題】パラジウム以外の遷移元素イオンから還元活性を有する触媒を得るための方法およびその生成物、遷移元素および線源その合金からなる触媒元素を担持させた触媒物質およびその製造方法、さらに、選択的水素添加のための方法を提供する。
【解決手段】パラジウムイオンを含む溶液を水素ガスと反応させて前記パラジウムイオンを還元すること、および、遷移元素イオンを含む溶液を、水素ガス中で前記還元されたパラジウムを含む溶液と接触させることによって得られ、複数の不飽和結合を有する反応対象物の1置換二重結合部または2置換二重結合部を選択的に水素添加する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



従来、化学品および医薬品などの有機化合物を合成するために、数々の触媒が使用されている。また、石油の還元脱硫を行うためにも、種々の触媒が使用されている。このような触媒の1つとして、パラジウムブラックと呼ばれるPd微粉末および粉状活性炭にPd微粉末を添着させたもの(Pd-C)などの粉体が使用されている。一般的に、このような触媒を使用する反応では、まず反応基質などの反応対象物を溶媒に溶解させて、この溶液に上記のものなどの粉末触媒を投入することにより、反応対象物の還元反応を進行させる。しかし、上述した粉末触媒の場合、濾紙またはセライトなどのフィルターを通して反応後の溶液から触媒を濾過して回収する必要があり、手間がかかってしまった。また、触媒の耐久性が低いという問題もあった。さらに、触媒が粉末であるために発火性が高く、安全性において大きな問題であった。





そこで、本発明者らは、シート状の遷移元素触媒を以前に報告している(特許文献1)。この遷移元素触媒は、パラジウムイオンなどの遷移元素イオンを不織布などの担体に還元担持させることにより製造することができる。たとえば、パラジウム触媒の場合、まず不織布などの担体にパラジウムイオンを含む溶液を含浸させ、次いでこの担体を室温にて水素ガス中に保持する。パラジウムイオンが水素ガス中で還元されて、黒い固体として担体上に析出される。その結果、還元活性を有するシート状のパラジウム触媒を得ることができる。このような方法で製造されたパラジウム触媒は、アモルファス状態の元素として担体に担持されていると考えられる。また、このような方法で製造されたパラジウム触媒は、外見が黒っぽい固体であることから、上記のようにパラジウムブラックと呼ばれている。一般に、パラジウムなどの遷移元素が触媒活性を有するためには、これらの元素がアモルファス状態でなければならないと考えられている。





本発明者らは、上記方法により、実際にパラジウムイオンから還元活性を有するパラジウムブラックを得ることができた。しかし、その後の実験において、その他の遷移元素イオンからアモルファス状態の遷移元素の固体を得ることはできなかった。たとえば、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムなどの遷移元素は、上記の方法と同様に、担体にそれぞれの遷移元素イオンを含む溶液を含浸させ、次いでこの担体を室温にて水素ガス中に保持しても、元の遷移元素イオンの色から黒色に変化することなく、水素還元されないことが示された。このため、パラジウム以外の遷移元素についても、パラジウムと同様にアモルファス状態の元素を得るための新たな方法の開発が望まれていた。





また、従来の反応において、複数種類の遷移元素の合金からなる触媒は、あまり使用されていない。たとえば、複数種類の遷移元素を触媒として使用する際には、それぞれの遷移元素の粉末を混合した粉体が使用される。上記のように、アモルファス状態の合金の触媒は、種々の触媒活性を有すると考えられるが、このような合金はほとんど報告されていない。





従来のメッキ法は、還元電位によって所望する金属を陰極表面に析出させる方法である。一般に、還元電位のより低いものから順に金属が析出(還元)されるため、メッキ法では、任意の異なる金属を完全に混合した形で析出させることはできない。従って、従来のメッキ法では、1種類の遷移元素についてアモルファス状態の遷移元素を得ることができるものの、数種類の遷移元素の合金について均一に混合されたアモルファス状態の遷移元素の合金を得ることはできない。また、複数種類のアモルファス状態の遷移元素を混合したとしても、均一に混合することが困難であると共に、合金とは異なる触媒活性を示すと考えられる。





一方、遷移元素触媒は、水素添加反応および加水素分解反応のいずれに対しても作用する。これらの反応の反応条件は、同一であることが多く、水素添加反応および加水素分解反応の一方の反応のみを反応基質に対して選択的に行わせることは難しい。





本発明者らは、ベンジルオキシアルケンの選択的水素添加方法として、電解による方法を報告している(たとえば、特許文献2および3を参照されたい)。この方法では、陰極として用いるパラジウム薄膜により、反応系を2槽に区切り、そのうちの一方の槽で水を電気分解して水素を発生させる。水素は、水素吸蔵金属であるパラジウム薄膜に吸蔵され、反対面から他の槽中に透過する。この槽の反応液には、反応基質であるベンジルオキシアルケンが溶解されている。この溶液中では、加水分解反応、たとえばベンジルオキシアルケンからのベンジル基の脱離などが抑制された水素添加反応が進行し、反応基質中のアルケンの不飽和基のみが選択的に水素添加される。しかし、上記した選択的水素添加方法の場合、電気分解のための電源および電解セルなどの各種装置を必要とするため、簡便な方法とはいえず、実用的ではなかった。

産業上の利用分野



本発明は、遷移元素触媒および遷移元素の合金の触媒に関する。より詳細には、遷移元素からなる触媒物質を担持させた遷移元素触媒に関する。また、本発明は、遷移元素触媒および遷移元素の合金の触媒の製造方法に関する。さらに、本発明は、選択的水素添加のための方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウムまたはレニウムから選択される金属イオンおよびパラジウムイオンを含む溶液を水素ガスと反応させて、前記金属イオンおよび前記パラジウムイオンを還元することによって得られ、
複数の不飽和結合を有する反応対象物の特定の二重結合部を選択的に水素添加することを特徴とする合金触媒。

【請求項2】
白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウムまたはレニウムから選択される金属イオンおよびパラジウムイオンを含む溶液に含浸させた担体を水素ガス中に保持することによって得られる、請求項1に記載の合金触媒。

【請求項3】
前記金属イオンが白金イオンである、請求項1に記載の合金触媒。

【請求項4】
パラジウムイオンを含む溶液を水素ガスと反応させて前記パラジウムイオンを還元すること、および、
白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウムまたはレニウムから選択される金属イオンを含む溶液を、水素ガス中で前記還元されたパラジウムを含む溶液と接触させることによって得られ、
複数の不飽和結合を有する反応対象物の1置換二重結合部または2置換二重結合部を選択的に水素添加することを特徴とする金属触媒。

【請求項5】
前記パラジウムイオンを含む溶液に含浸させた担体を水素ガス中に保持すること、および、
前記金属イオンを含む溶液を含浸させた担体を、水素ガス中で前記還元されたパラジウムを含む溶液に含浸させた担体と接触させることによって得られる、請求項4に記載の金属触媒。

【請求項6】
前記金属イオンが白金イオンである、請求項4に記載の金属触媒。

【請求項7】
パラジウムイオンおよび遷移元素イオンを含む溶液を水素ガスと反応させて前記パラジウムイオンおよび前記遷移元素イオンを還元する工程を含む、複数の不飽和結合を有する反応対象物の特定の二重結合部を選択的に水素添加することを特徴とする遷移元素触媒の製造方法。

【請求項8】
パラジウムイオンおよび遷移元素イオンを含む溶液に含浸させた担体を水素ガス中に保持する工程を含む、請求項7に記載の遷移元素触媒の製造方法。

【請求項9】
パラジウムイオンを含む溶液を水素ガスと反応させて前記パラジウムイオンを還元する工程と、
白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウムまたはレニウムから選択される金属イオンを含む溶液を、水素ガス中で前記還元されたパラジウムを含む溶液と接触させる工程と、
を含む、複数の不飽和結合を有する反応対象物の1置換二重結合部または2置換二重結合部を選択的に水素添加することを特徴とする遷移元素触媒の製造方法。

【請求項10】
前記パラジウムイオンを含む溶液に含浸させた担体を水素ガス中に保持する工程と、
前記金属イオンを含む溶液を含浸させた担体を、水素ガス中で前記還元されたパラジウムを含む溶液に含浸させた担体と接触させる工程と、
を含む、請求項9に記載の遷移元素触媒の製造方法。

【請求項11】
請求項1~3のいずれか1項に記載の遷移元素触媒を、複数の不飽和結合を有する反応対象物を含む溶液中に、水素ガスの存在下で反応させることにより、前記反応対象物の1置換二重結合部または2置換二重結合部を選択的に水素添加するための方法。

【請求項12】
請求項4~6のいずれか1項に記載の遷移元素触媒を、複数の不飽和結合を有する反応対象物を含む溶液中に、水素ガスの存在下で反応させることにより、前記反応対象物の1置換二重結合部または2置換二重結合部を選択的に水素添加するための方法。
産業区分
  • 処理操作
  • その他無機化学
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010137031thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) S2009-0864-N0
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