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包接錯体結晶材料

国内特許コード P110001853
整理番号 ISIT10105T
掲載日 2011年3月18日
出願番号 特願2010-240977
公開番号 特開2012-092229
登録番号 特許第5561780号
出願日 平成22年10月27日(2010.10.27)
公開日 平成24年5月17日(2012.5.17)
登録日 平成26年6月20日(2014.6.20)
発明者
  • 新海 征治
  • 土屋 陽一
  • 白木 智丈
出願人
  • 公益財団法人九州先端科学技術研究所
発明の名称 包接錯体結晶材料
発明の概要 【課題】 各種の用途が期待される、大きなπ共役系を持つ色素分子が会合することなく配列された包接錯体の結晶を得る技術を提供する。
【解決手段】 ゲスト色素分子とホスト分子からなる包接錯体の水溶液の調製に際して、pHまたはイオン強度の調整を行うことでホスト分子との複合化を促進するか、水に不溶な色素の包接錯体水溶液の調製に際して、ホスト分子とゲスト色素分子を固体粉末状態で混合し、プレコンプレックスを形成させ、これを水に溶解させることで包接錯体溶液を得、この包接錯体水溶液を静置することで包接錯体を結晶化する。
シクロデキストリンまたはその誘導体をホスト分子とする包接錯体の結晶中でゲストである色素は会合することなく配列しており、その特性から、光学、電気化学、光電気化学等の分野における機能性材料として利用が期待される。
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要



近年、高効率な光-電気エネルギー変換に基づく光電変換素子やEL素子などを目指して、色素分子を配列することによる光捕集や電荷分離などのシステムが数多く構築されている。多くの場合、このような超分子システムの構築には、精密かつ多段階の合成を必要とし、コストが高くなることが実用面での問題である。また、構築した超分子システムを固体デバイスとして利用するために、自己組織化法やラングミュアー-ブロジェット法などの成膜手法を用いて電極表面に集積すると、色素分子の会合によってシステムの性能が低下してしまうことが多い。そのため、溶液中での物性評価において良い値を示す、光捕集系や電荷分離システムを構築した場合でも、固体デバイスとして展開した際の高性能化に繋がりにくいという問題がある。





この問題を解決する手法のひとつに、シクロデキストリンやカリックスアレーンに代表される大環状化合物をホストとし、色素をゲストとする包接錯体を形成する方法がある。包接錯体を形成させることによって色素を孤立化し、色素分子同士の会合を抑制することで色素の持つ本来の光機能を引き出すことができる(特許文献1)。しかし、このような系では、色素分子間の会合と色素-ホスト化合物との相互作用の競争となるため、平衡を偏らせるために大過剰のホスト化合物を溶液中に溶解させた、湿式デバイスとする必要がある。





水溶性ホスト化合物として汎用されているシクロデキストリン類は、様々な化合物との包接錯体の形成が試みられており、その相互作用や様式については、非常に多くの報告例がある(例えば、非特許文献1)。これらの研究の多くは溶液中において研究されているが、いくつかの包接錯体については包接結晶として固体で取り出され、その構造について詳しく議論されている。この事実は、色素包接錯体を非湿式材料として利用できる可能性を示唆している。しかし、ポルフィリンに代表される大きなπ平面を有する色素と、シクロデキストリン誘導体の包接錯体については、溶液中において詳細に検討されている(非特許文献2)にもかかわらず、包接錯体結晶の作成に成功した例は知られていない。





これは、ポルフィリンやフタロシアニン、ナフタレンジイミドに例示される大きなπ平面を有する色素は、その電気化学的特性や蛍光特性などが非常に優れている一方、色素自身の会合性も非常に高いために、結晶化する際に錯体の形成と色素会合体の形成が競争してしまうため、単一の結晶(単結晶:完全結晶)として取り出すことが困難なことによる。そのため、これらの大きなπ平面を有する色素を用いる場合は、嵩高い置換基を導入することで、会合を抑制する方法がとられてきた。しかし、この方法は、合成ステップ数の増加や、結晶性の低下、自己組織化膜の不安定性と集積密度の低下を招く一因となり、根本的な解決手段になっていない。

産業上の利用分野



本発明は、新規な結晶(性)材料に関し、特に、光学、電気化学または光電気化学などの分野において機能性材料としての応用が期待される包接錯体からなる結晶材料に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
π平面を有する色素であるポルフィリンをゲスト色素分子とし、グルコースユニットが7であるβシクロデキストリンまたはその誘導体をホスト分子とする包接錯体から成り、1分子の前記ゲスト色素分子が2分子の前記βシクロデキストリンまたはその誘導体によりカプセルされたバイキャップ構造を基本単位とし前記ゲスト色素分子が会合することなく配列した結晶構造を有する結晶材料を製造する方法であって、
前記ゲスト色素分子と前記ホスト分子からなる包接錯体の水溶液を調製する工程、および
前記包接錯体の水溶液を100℃以下の温度に静置して前記包接錯体を結晶化する工程を含み、
前記包接錯体の水溶液の調製工程が、
(1)ゲスト色素分子であるポルフィリンが酸性下で水に溶解する場合は、該ゲスト色素分子を酸性水溶液に溶解させ、該ゲスト色素分子に対して等量以上のホスト分子の共存下に、該水溶液を中性または弱塩基性にすることにより包接錯体の水溶液を得るか、
(2)ゲスト色素分子であるポルフィリンが塩基性下で水に溶解する場合は、該ゲスト色素分子を塩基性水溶液に溶解させ、該ゲスト色素分子に対して等量以上のホスト分子の共存下に、該水溶液を中性または弱酸性にすることにより包接錯体の水溶液を得るか、
(3)ゲスト色素分子であるポルフィリンが高い水溶性を有する場合は、該ゲスト色素分子を水に溶解させ、該ゲスト色素分子に対して等量以上のホスト分子の共存下に、塩を添加することにより包接錯体の水溶液を得るか、または
(4)ゲスト色素分子であるポルフィリンの疎水性が高く水に溶解しない場合は、該ゲスト色素分子とホスト分子を該ゲスト色素分子に対して等量以上のホスト分子の比率で固体状態で混合してコンプレックスを形成させた後に、水に溶解させることにより包接錯体の水溶液を得る、
ことを特徴とする結晶材料の製造方法。

【請求項2】
前記包接錯体の水溶液の調製工程において、(1)ゲスト色素分子として、酸性下で水に溶解するポルフィリンであるテトラキス(4-ピリジル)ポルフィリンを用いるか、(2)ゲスト色素分子として、塩基性下で水に溶解するポルフィリンであるテトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリンを用いるか、(3)ゲスト色素分子として、高い水溶性を有するポルフィリンであるテトラキス(4-スルホナトフェニル)ポルフィリンを用いるか、または(4)ゲスト色素分子として、疎水性が高く水に溶解しないポルフィリンであるテトラフェニルポルフィリンもしくはNiイオンに配位したテトラフェニルポルフィリンを用いる、請求項1に記載の結晶材料の製造方法。

【請求項3】
ホスト分子として、2,3,6-トリ-O-メチルβシクロデキストリンを用いる、請求項1または2に記載の結晶材料の製造方法。

【請求項4】
ゲスト色素分子として、テトラキス(4-ピリジル)ポルフィリンを用いる、請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶材料の製造方法。

【請求項5】
π平面を有する色素であるポルフィリンをゲスト色素分子とし、βシクロデキストリンまたはその誘導体をホスト分子とする包接錯体から成り、1分子の前記ゲスト色素分子が2分子の前記βシクロデキストリンまたはその誘導体によりカプセルされたバイキャップ構造を基本単位とし前記ゲスト色素分子が会合することなく配列した結晶構造を有する結晶材料であって、ゲスト色素分子であるポルフィリンが、テトラキス(4-ピリジル)ポルフィリンであり、ホスト分子が、2,3,6-トリ-O-メチルβシクロデキストリンであることを特徴とする結晶材料。
産業区分
  • 高分子化合物
  • 染料
  • 有機化合物
  • 光学装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010240977thum.jpg
出願権利状態 登録


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