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ファレノプシス及びその栽培方法

国内特許コード P110001896
整理番号 2008000050
掲載日 2011年3月22日
出願番号 特願2008-268194
公開番号 特開2010-094083
登録番号 特許第5218939号
出願日 平成20年10月17日(2008.10.17)
公開日 平成22年4月30日(2010.4.30)
登録日 平成25年3月15日(2013.3.15)
発明者
  • 窪田 聡
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 ファレノプシス及びその栽培方法
発明の概要

【課題】新しい草型を持つファレノプシスを作出の提供。
【解決手段】頂芽部分を含めてファレノプシスを非開花誘導条件下に維持し、その葉腋にジベレリン溶液を連続投与することにより、前記頂芽部分に花をつけたファレノプシスを得ることができる。又、頂芽部分及び腋芽部分を含めてファレノプシスを開花誘導条件下に維持するとともに、その葉腋にジベレリン溶液を連続投与することにより、頂芽部分がその頂芽を伸長して花芽を分化させて花をつけると共に、腋芽に花をつけたファレノプシスを得ることができる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


花卉市場では、花卉本来の多様化と共に、絶えず新しい花卉が求められており、わが国のみならず世界的な規模で激しい競争が展開されている。本発明者らは花卉の中でも世界的に最も人気がある一つであるファレノプシス(以下、胡蝶蘭とも言う)に注目している。
ファレノプシスは独特の花形、容姿から人気があり、鉢物や切り花として需要が大である。これらの花形や容姿は、遺伝形質などの変更に基づく植物の基本的な性質そのものを変更させることにより達成される場合と栽培方法の変更により達成される場合がある。当初からこれらは区別して進められるものではなく、各々の手段が混在して存在する中で、研究開発の努力が進められている。



ファレノプシスは自生地等における自然条件下では、ファレノプシスの花は腋芽から発生し、頂芽は葉を連続的に形成するのみである。
交配を行い、実生植物を多数、長期間栽培し、その中から選抜淘汰する新種のファレノプシスが行われる(特許文献1 特開平7-163255号公報)。これらは植物の基本的な特質を改造しようとする試みに近いものである。
親株と遺伝的に同じ性質を有するコチョウランのクローン苗を、組織培養法を用いる方法が知られている。蕾のふくらむ前の、伸びつつある花茎の先端部分を輪切にして、これを試験管の中で培養する。プロトコーム様球体(PLB)と呼ばれる植物体の基となる直径数ミリの球状のものが発生させ、増殖用の培地に植えて増殖する(非特許文献1:M.TANAKA, 「STUDIES ON THE CLONAL PROPAGATION OF PHALAENOPSIS THROUGH IN VITRO CULTURE」、MEMOIRS OF FACULTY OF AGRICULTURE, KAGAWA UNIVERSITY、1987、NO.49:1-85、非特許文献2 S.ICHIHASHI、「MICROPROPAGATION OF PHALAENOPSIS THROUGH THE CULTURE OF LATERAL BUDS FROM YOUNG FLOWER STALKS. LINDLEYANA」、1992、非特許文献3 寺本貴尚、周天甦著、「異なる培養方法におけるファレノプシス類の品種間差について」 2000年、園学雑69別1:370)。
また、側生シュートを誘導する方法が知られている。花茎培養などより無菌的に得られたコチョウランのシュートの茎頂をはんだごてなどの細い先端を有する金具を用いて茎頂を焼殺処理した後に側生シュート誘導培地にて無菌的に培養して側生シュートを誘導せしめ、当該側生シュートを切り出して生長培地で培養した後、さらに当該シュートの茎頂を繰り返して焼殺処理し、側生シュート誘導培養を繰り返し行うことを特徴とするコチョウランのクローン苗の製造方法、側生シュート誘導培地での培養に先立ち、当該培養用シュートの茎頂を焼殺処理し、側生シュート誘導培地は、1乃至15ppmの濃度の植物ホルモンである、ベンジルアデニンを用いることが知られている。(特許文献2 特開2005-168399号公報)。
花粉を柱頭に付けて交配を施して子房内で種子を完熟するまで生長せしめ、完熟した種子から野生ランを大量に生産する野生ランの大量生産方法において、上記完熟した種子に含まれている発芽阻害物質を除去処理および種子表面の殺菌処理を施す前処理工程(A)と、前処理した種子を発芽促進剤を入れた培地に播種せしめて培養する第一の培養工程と該種子が発芽した後に発根促進剤を入れた培地で培養する第二の培養工程とを設けて苗に生長させる培養工程(B)と、培養した苗を培地から培養土に移し替えて馴化し育苗させる工程(C)とを含む野生ランの大量生産方法(特許文献3 特開2003-189750号公報)。



これに対して生育などの栽培方法に着目するものも多い。その花芽部位の生長の促進を進行させる手段として、壁面の少なくとも一部が透明又は半透明な屋内栽培用容器内で栽培され、 屋内栽培用容器がその少なくとも一部分に通気孔部分を有し、その内部に水及び肥料を含み前記植物体の花芽部位を生長させる植え込み材料が配置され、この植物植え込み材料が少なくとも一部植物と接触させている発明がある(特許文献4 特開平8-298868号公報、特許文献5 特開平1-262730号公報)。植え込み材料に添加される肥料としては、各種市販の肥料を適宜水等で希釈して使用することができ、植物体の一部あるいは全部に、植物の生長に必要な無機塩類、ビタミン、糖などのほかに植物ホルモン(オーキシン類、サイトカイニン類、ジベレリン類、アブシジン酸)やカゼイン分解物や酵母抽出液など天然物からの抽出物など使用されている(特許文献4 特開平8-298868号公報)。
コチョウランの成長促進剤に関して、ヒバ油又はヒバ油から調製した酸性油を有効成分とし、これに界面活性剤、サポニン、低級アルコール及びルチンを配合した水溶性植物成長促進剤が知られている(特許文献6 特開2001-192312号公報)。
ランのフラスコ苗の根の部分を独立したポット状容器内の培養液中に浸漬して栽培すること、ポット状容器内のゲル化剤固体培地中で栽培する(特許文献7 特開平10-56875号公報)。インビトロで開花ラン植物を作製する方法であって、サイトカイニンまたはオーキシンを含む培地における根茎由来のラン植物の再生、それに続く該植物の根切除、および高サイトカイニン、低窒素、および増大したリンを含む培地における明/暗光周期での培養を行う(特許文献8 特許第2978901号)。
ラン類未受粉花にオーキシン水溶液を滴下して単為発生に基く種子を形成し、該種子を発芽させて生育して半数体植物のラン 類を得ることも知られている(特許文献9 特開2004-49163号公報)。
又、シュードモナス属に属し、ランの栽培促進作用を有する微生物Pseudomonas mallei No.206-1(FERM P-11898)を培養して得られた培養液を有効成分とする等のランの栽培促進剤(特許文献10 特許第3744894号、特許文献11 特許第3399357号、特許文献12 特許第3473228号)が知られている。



本発明者らは、植物ホルモンなどを肥料のように施すのではなく、生理学的な利用を目指して栽培方法に取り組んできた。
ファレノプシスを最低気温25℃以上で管理すると、頂芽からの葉の形成が促進される。一方、腋芽からの花の形成は抑制されることを見出した(非特許文献4 市橋正一・太田弘一.ファレノプシス 生育と生理・生態.p259-263.農業技術体系花卉編12.農山漁村文化協会発行1998発行)。
又、成熟した開花能力を有する株に対して最低気温を20℃程度で管理(低温処理)すると、処理開始から約1ヵ月後に最上位葉から3,4節目にある腋芽から花茎が伸長し、開花することを明らかにした(非特許文献4 市橋・太田,
市橋正一・太田弘一.ファレノプシス 生育と生理・生態.p259-263.農業技術体系花卉編12.農山漁村文化協会発行1998発行)。
これらを明らかにすることにより、開花誘導条件には、温度が重要な因子となっていることを明らかにしてきた。
ジベレリンやサイトカイニン等の植物ホルモンの利用が行われている。本発明者らは、ファレノプシスを対象としてジベレリンやサイトカイニン等の植物ホルモンを利用する開花促進に関し、山上げなどの低温処理と併用して、ジベレリンとサイトカイニンの混合液をファレノプシスに散布すると、腋芽からの花茎発生本数が増加し、また開花までの日数を短縮させる効果がある(非特許文献5 米田和夫・百瀬博文.1989.山上げ栽培に伴う生長調節物質の散布がファレノプシスの開花に及ぼす影響.日大農獣報. 47.71-74)ことを見出した。



ファレノプシスについては、自然条件、人為的な栽培条件を変化させる工夫する場合であっても、ファレノプシスの花は腋芽にしか形成されず、植物の基本性質として、頂芽に花を形成させる性質を有しているものではないということができる。
本発明者は本発明者らの研究の延長として、頂芽部分に花をつけたり、頂芽部分がその頂芽を伸長して花芽を分化させたることが場合によっては可能ではないか、又それによって、ファレノプシスの開花について腋芽以外の部分、たとえば頂芽から発生させることができないかということを検討し、これが可能であれば新しいファレノプシスをえることができるのではないかと考えた。

【特許文献1】特開平7-163255号公報

【特許文献2】特開2005-168399号公報

【特許文献3】特開2003-189750号公報

【特許文献4】特開平8-298868号公報

【特許文献5】特開平1-262730号公報

【特許文献6】特開2001-192312号公報

【特許文献7】特開平10-56875号公報

【特許文献8】特許第2978901号

【特許文献9】特開2004-49163号公報

【特許文献10】特許3744894号

【特許文献11】特許3399357号

【特許文献12】特許3473228号

【非特許文献1】M.TANAKA, 「STUDIES ON THE CLONAL PROPAGATION OF PHALAENOPSIS THROUGH IN VITRO CULTURE」、MEMOIRS OF FACULTY OF AGRICULTURE, KAGAWA UNIVERSITY、1987、NO.49:1-85

【非特許文献2】S.ICHIHASHI、「MICROPROPAGATION OF PHALAENOPSIS THROUGH THE CULTURE OF LATERAL BUDS FROM YOUNG FLOWER STALKS. LINDLEYANA」、1992、

【非特許文献3】寺本貴尚、周天甦著、「異なる培養方法におけるファレノプシス類の品種間差について」 2000年、園学雑69別1:370

【非特許文献4】市橋正一・太田弘一.1998.ファレノプシス 生育と生理・生態.p259-263.農業技術体系花卉編12.農山漁村文化協会発行

【非特許文献5】米田和夫・百瀬博文.1989.山上げ栽培に伴う生長調節物質の散布がファレノプシスの開花に及ぼす影響.日大農獣報. 47.71-74

産業上の利用分野


本発明は頂芽部分に花をつけた新型のファレノプシス(Phalaenopsis)、及びその栽培方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
頂芽部分に花をつけたことを特徴とするファレノプシス。

【請求項2】
前記頂芽部分に花をつけたことが、その頂芽を伸長して花芽を分化させたことによるものであることを特徴とする請求項1記載のファレノプシス。

【請求項3】
前記頂芽部分に花をつけたことが、頂芽部分を含めてファレノプシスを非開花誘導条件下に維持し、その葉腋にジベレリン溶液を連続投与することによりもたらされることを特徴とする請求項1又は2記載のファレノプシスを栽培する方法。

【請求項4】
頂芽部分がその頂芽を伸長して花芽を分化させて花をつけると共に、腋芽に花をつけたことを特徴とするファレノプシス。

【請求項5】
前記頂芽部分がその頂芽を伸長して花芽を分化させて花をつけると共に腋芽に花をつけることが、頂芽部分及び腋芽部分を含めてファレノプシスを開花誘導条件下に維持するとともに、その葉腋にジベレリン溶液を連続投与することによりもたらされることを特徴とする特徴とする請求項4記載のファレノプシスを栽培する方法。
産業区分
  • 農林
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008268194thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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