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差動伝送線路 コモンズ

国内特許コード P110001976
整理番号 H22-106
掲載日 2011年3月22日
出願番号 特願2011-054821
公開番号 特開2012-191530
登録番号 特許第5578440号
出願日 平成23年3月11日(2011.3.11)
公開日 平成24年10月4日(2012.10.4)
登録日 平成26年7月18日(2014.7.18)
発明者
  • 中山 英俊
  • 福原 友登
出願人
  • 独立行政法人国立高等専門学校機構
発明の名称 差動伝送線路 コモンズ
発明の概要 【課題】左手系差動伝送線路を用いたコモンモードフィルタを無線通信機器に適合させるために、左手系差動伝送線路の構造を改善し、小型化ならびに薄型化を図る。
【解決手段】D-CRLH(デュアル型右手/左手複合)差動伝送線路を構成するために、平面導体パターンを利用した構造により、集積回路技術に適合したコモンモードフィルタを実現する。左手系差動伝送線路は、第1の伝送線路L1と、第2の伝送線路L2で構成された差動伝送線路である。第1の伝送線路L1は、Aパターン部L1AとBパターン部L1BとCパターン部L1Cから構成される。また、第2の伝送線路L2は、第1の伝送線路L1と同様に、Aパターン部L2AとBパターン部L2BとCパターン部L2Cから構成される。伝送線路は、本構造を基本構造(ユニットセル)とし、これを複数縦続接続させることで構成された差動伝送線路により解決する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



2本の伝送線路を平行に対称に並べた差動伝送線路において、2本の伝送線路間に差動信号(ディファレンシャルモード)を伝搬させることにより、EMC(電磁環境両立性)に優れた通信線路が構成可能となる。この差動伝送線路において、ノイズとなる同相成分(コモンモード)が伝搬すると、周囲に電磁波を漏らして悪影響を与えるため、コモンモード成分を抑制するのにコモンモードフィルタが必要となる。





最近の通信機器では,高速データ通信用のUSBやHDMIなどの通信規格が普及しており,これらは差動伝送方式を用いた高速シリアル通信方式である。





差動伝送方式はEMC特性に優れているが,信号源で発生するコモンモード成分がノイズ輻射の原因となるため,コモンモードフィルタが必須部品となっている。





さらに、最近のEMC関連研究により,信号ケーブルからのEMC問題のみならず,基板上あるいはIC内の伝送線路による部品間のEMC問題も顕在化しており,市販のコモンモードチョークやチップ部品では解決できないノイズ発生源近傍でのノイズ抑制が課題となっている。





従来のコモンモードフィルタは、コモンモードチョークコイルやチップ素子によるコモンモードフィルタなどが一般的に知られており、大小様々なサイズ、適用周波数帯域の違いにより多種多様なコモンモードフィルタが開発されている。





コモンモードフィルタの動作原理は、一般的に2本の伝送線路間の相互結合を利用し、特に相互インダクタンスMを利用して、ディファレンシャルモードとコモンモードのインピーダンスの差を利用しているものが多い。しかしながら、ディファレンシャルモードとコモンモードによるインピーダンスの差は、使用周波数帯域によっては十分な特性を得ることができないことが課題である。





また、コモンモードチョークコイルやチップ素子によるコモンモードフィルタは、集中定数回路理論に基づく動作によるため、伝送線路が分布定数回路として扱われる高周波帯域では、満足な設計ができない。これらのコモンモードフィルタでは、分布定数回路となる寄生容量および寄生インダクタンスをできるだけ小さくして設計に影響が無いように工夫するか、発生する寄生成分を考慮した複雑な設計が求められる。





いずれの場合も、2つのモードによるインピーダンスの差が十分に得られない場合は、コモンモードフィルタとして機能しない。





また、上記の従来型コモンモードフィルタは、立体的な構造であり、小型のチップ部品であってもサブmmオーダーの部品の厚みがあるため、小型化・薄型化を必要とする通信機器の要求に応えることが難しい。





一方で、近年、左手系デバイスあるいはメタマテリアル等と称される、物質の透磁率および誘電率が負の値として動作するものが多く発明されている。





左手系伝送線路は、純粋に透磁率および誘電率が負の値となる材料が無いため、伝送線路の電気的等価回路において、誘導性(遅れ位相)素子と容量性(進み位相)素子を入れ替えた回路を構成することにより実現するものが主流である。この場合、既存の誘導性素子は寄生容量、容量性素子は寄生誘導を有するため、これらの寄生成分を考慮した右手/左手系複合(以下、CRLHと略記する。)伝送線路と呼ばれるものが、左手系デバイスとして実現されている(非特許文献1参照)。





しかしながら、CRLH伝送線路は、伝送線路の直列要素に容量性素子が配置されるため、直流成分を伝送できないという問題がある。





これに対し、デュアル型右手/左手系複合(D-CRLH)伝送線路と呼ばれるものが提案され、直流成分も伝送できる左手系伝送線路として知られている(非特許文献2参照)。ただし、信号線とグラウンドの1対の線路であるため、高周波で用いる伝送線路として、不要ノイズの放射等が問題である。





通信に用いられる伝送線路は、ノイズの放射が少なく、かつ、外来ノイズの影響を受けにくくするため(EMC性能向上のため)、上述のような差動(逆相)電気信号で通信を行う差動伝送線路が主流となっている。ただし、差動伝送線路はコモン(同相)モード成分がノイズ等の発生原因となるため、コモンモードフィルタが必要となり、別途コモンモードフィルタを装荷する必要がある。





左手系伝送線路においても、EMC性能向上のために差動伝送線路が発明されているが、この場合、2本の右手/左手系複合伝送線路を対称に並べた構造のため、直流信号を伝送できないという問題を有する(非特許文献3参照)。直流信号の伝送は電力の給電等の目的で必要である。





D-CRLH差動伝送線路を含むCRLH差動伝送線路は、差動伝送信号が左手系伝送特性を有する周波数帯域において、原理的にコモンモードノイズ成分が伝搬できないため、左手系伝送特性を有するコモンモードフィルタとして機能する(非特許文献4参照)。





また、D-CRLH差動伝送線路は、従来の左手系伝送線路で直流成分が導通されなかった欠点を補い、直流信号も伝送可能である利点を有するため、高周波データ信号と直流電力供給を同一線路上で実現することも可能である。





加えて、本構造は伝送線路パターンにより実現する技術であるため、ICプロセスに適合し,将来的にICチップ内部に作り込むことも可能である。従って、上述したIC内部でのノイズ抑制にも有効な技術であると考えられる。





従来の研究により、D-CRLH差動伝送線路が有するコモンモードフィルタ機能について、デバイスの試作と評価により原理的動作が実証された(非特許文献4参照)。





しかしながら、コモンモードフィルタとして動作する左手系動作周波数帯域が狭いこと、動作周波数帯域が実用機器の周波数規格に対応しておらず、高周波化あるいは、低周波化が必要なこと、同周波数帯域において信号となるディファレンシャル(差動)モードの透過係数が小さく、損失が大きいこと、が課題であった。





本発明では、通信機器から要求されるコモンモードフィルタの小型化・薄型化を満足し、実用性能を満足するために有効なコモンモードフィルタの構造を提案し、上記の技術課題を解決する。

産業上の利用分野



本発明は、電気信号を通過または遮断する伝送線路に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
相互に並列に接続された第1の遅れ位相を持つ要素及び第1の進み位相を持つ要素を含む入出力間の直列インピーダンスをそれぞれ構成する一対の入出力間回路成分と、該一対の入出力間回路成分の間に相互に直列に接続された第2の遅れ位相を持つ要素及び第2の進み位相を持つ要素、並びに、前記一対の入出力間回路成分とグランド電位の間にそれぞれ接続された第3の進み位相を持つ要素を含む分路アドミタンスを構成する分路回路成分とを備えた差動伝送線路であって、
入出力方向に延在し、相互に並列した一対の導体パターンと、該一対の導体パターンに共に隣接するグランド導体とを有し、
前記一対の導パターンは、それぞれ、前記入出力方向の入力側に配置された入力側パターン部と、前記入出力方向の出力側に配置された出力側パターン部と、前記入力側パターン部及び前記出力側パターン部よりも前記入出力方向と直交する方向に細幅に形成され、前記入力側パターン部と前記出力側パターン部を接続する中間接続パターン部とを有し、
前記一対の導体パターンの間には、前記入力側パターン部同士が並列方向の両側に対向配置された入力側間隙領域と、前記出力側パターン部同士が前記並列方向の両側に対向配置された出力側間隙領域とが設けられ、
前記直列インピーダンスを構成する前記第1の遅れ位相を持つ要素及び前記第1の進み要素を持つ要素は、前記入力側パターン部及び前記出力側パターン部が前記中間接続パターン部を介して前記入出力方向に接続されたパターン構造により構成され、
前記分路アドミタンスを構成する前記第2の遅れ位相を持つ要素及び前記第2の進み位相を持つ要素は、前記一対の導体パターンの前記入力側パターン部及び前記出力側パターン部と、前記一対の導体パターンにそれぞれ属する前記入力側パターン部同士が前記並列方向に間隙を介して対向する構造と、前記一対の導体パターンにそれぞれ属する前記出力側パターン部同士が前記並列方向に間隙を介して対向する構造とによって構成され、
前記一対の導体パターンの前記入力側パターン部は、本体部と、相互に他方の前記入力側パターン部に向けて前記本体部から突出し、前記本体部よりも前記入出力方向に細幅の突出部とを具備し、該突出部の先端同士が前記入力側間隙領域を介して前記並列方向に対向し、
前記出力側パターン部は、本体部と、相互に他方の前記出力側パターン部に向けて前記本体部から突出し、前記本体部よりも前記入出力方向に細幅の突出部とを具備し、該突出部の先端同士が前記出力側間隙領域を介して前記並列方向に対向する、
ことを特徴とする差動伝送線路。

【請求項2】
前記突出部は先端が前記入出力方向に延長されたT字状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の差動伝送線路。

【請求項3】
前記一対の導体パターンは同一平面上に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の差動伝送線路。

【請求項4】
相互に並列に接続された第1の遅れ位相を持つ要素及び第1の進み位相を持つ要素を含む入出力間の直列インピーダンスをそれぞれ構成する一対の入出力間回路成分と、該一対の入出力間回路成分の間に相互に直列に接続された第2の遅れ位相を持つ要素及び第2の進み位相を持つ要素、並びに、前記一対の入出力間回路成分とグランド電位の間にそれぞれ接続された第3の進み位相を持つ要素を含む分路アドミタンスを構成する分路回路成分とを備えた差動伝送線路であって、
入出力方向に延在し、相互に並列した一対の導体パターンと、該一対の導体パターンに共に隣接するグランド導体とを有し、
前記一対の導パターンは、それぞれ、前記入出力方向の入力側に配置された入力側パターン部と、前記入出力方向の出力側に配置された出力側パターン部と、前記入力側パターン部及び前記出力側パターン部よりも前記入出力方向と直交する方向に細幅に形成され、前記入力側パターン部と前記出力側パターン部を接続する中間接続パターン部とを有し、
前記一対の導体パターンの間には、前記入力側パターン部同士が並列方向の両側に対向配置された入力側間隙領域と、前記出力側パターン部同士が前記並列方向の両側に対向配置された出力側間隙領域とが設けられ、
前記直列インピーダンスを構成する前記第1の遅れ位相を持つ要素及び前記第1の進み要素を持つ要素は、前記入力側パターン部及び前記出力側パターン部が前記中間接続パターン部を介して前記入出力方向に接続されたパターン構造により構成され、
前記分路アドミタンスを構成する前記第2の遅れ位相を持つ要素及び前記第2の進み位相を持つ要素は、前記一対の導体パターンの前記入力側パターン部及び前記出力側パターン部と、前記一対の導体パターンにそれぞれ属する前記入力側パターン部同士が前記並列方向に間隙を介して対向する構造と、前記一対の導体パターンにそれぞれ属する前記出力側パターン部同士が前記並列方向に間隙を介して対向する構造とによって構成され、
前記一対の導体パターンは同一平面上に形成される
ことを特徴とする差動伝送線路。

【請求項5】
前記一対の導体パターンは絶縁層を介して前記グランド導体と積層されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の差動伝送線路。

【請求項6】
前記入力側パターン部と前記出力側パターン部との間の、前記中間接続パターン部を除く対向部分に、インターディジタルキャパシタ構造が設けられることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の差動伝送線路。
産業区分
  • 伝送回路空中線
  • 伝送方式
  • ラジオ放送
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011054821thum.jpg
出願権利状態 登録
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