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紫外線窒化物半導体発光素子およびその製造方法

国内特許コード P110002048
整理番号 S2008-0056-N0
掲載日 2011年3月29日
出願番号 特願2007-297191
公開番号 特開2009-123969
登録番号 特許第5142371号
出願日 平成19年11月15日(2007.11.15)
公開日 平成21年6月4日(2009.6.4)
登録日 平成24年11月30日(2012.11.30)
発明者
  • 秩父 重英
  • 尾沼 猛儀
  • 小山 享宏
  • 宗田 孝之
  • 池田 大勝
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 紫外線窒化物半導体発光素子およびその製造方法
発明の概要

【課題】六方晶系の非極性面(a面、m面)または半極性面で結晶成長させたAlGaN混晶と、活性層に用いたAlGaN結晶のAlNとGaNのモル分率を最適化させ、発光効率を向上させ、低しきい値電流密度化を実現し、深紫外線波長のレーザ光を発生する。
【解決手段】m面基板10と、m面基板上に配置され,n型不純物をドープされたAlGaN層(12,14)と、AlGaN層上に配置され,AlXGa1-XN障壁層とAlYGa1-YN井戸層からなる量子井戸構造を有するAlXGa1-XN/AlXGa1-XN活性層16と、AlXGa1-XN/AlXGa1-XN活性層上に配置され,p型不純物をドープされたAlGaN層(18,20)とを備え、c軸が結晶成長の主面の法線方向から40°~90°の範囲内で傾いた面を結晶成長の主面とし、光の電界成分Eが主にc軸と平行(E//c)なる偏光特性を示す紫外線窒化物半導体発光素子およびその製造方法。
【選択図】図4

従来技術、競合技術の概要


波長300nm以下の短波長光は、照明、殺菌・浄水、医療分野、生化学産業など幅広い分野で必須の光源として用いられている。特に、深紫外線レーザは波長の短いコヒーレント光源であることから、半導体製造工程において、リソグラフィー用の光源として用いられている。通常はエキシマランプ乃至はレーザがリソグラフィー光源として用いられるが、リソグラフィー装置には多数の光学部品が用いられるため、装置全体としては大型化してしまう。



また、ネオジム(Nd)ドープYAGレーザから発振させた波長1064nmの赤外線光を、非線形光学結晶を通して第4高調波(266nm)を発生させ、深紫外線レーザ光を得る手法も用いられるが、変換効率が0.1%以下と低く、低消費電力化は不可能である。これを深紫外線半導体レーザダイオード(LD:Laser Diode)に置き換えることができれば、装置の小型化が図れる。 また、市販の青色発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)において実現された50%程度の発光効率を得ることが出来れば、低消費電力化が可能となる。



現在までのところ、波長300nm以下の短波長光が得られる材料としては、c面サファイア基板上にエピタキシャル成長させた、窒化アルミニウム(AlN)モル分率xが0.3以上の窒化アルミニウムガリウム(AlXGa1-XN)混晶や、その量子井戸(QW:Quantum Well)が専ら用いられている。例えば、波長250nmに迫るAlGaN/AlGaN多重量子井戸(MQW:Multi-Quantum Well)発光ダイオード(LED)が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。



しかし、サファイア基板上のAlGaNエピタキシャル成長層には、市販の青色LEDに含まれる貫通転位(密度:108cm-2程度)に比べ、2~3桁程度高い密度の貫通転位が含まれる。その上、窒化物半導体結晶がc軸に沿った反転対称性を持たないこと、III族原子と窒素原子のサイズが異なることにより生じる「自発分極」と、更に井戸層と障壁層の格子定数の差により生じる「圧電分極」によって、c面内にシート状に発生するヘテロ界面電荷のため、井戸内には1MV/cmを越える強い内部電場が発生してしまう。このため、発光効率は0.1%に満たない。



また、同波長領域のLDの開発に関しては、光励起による誘導放出に関する報告はあるものの、転位・欠陥密度の低減、p型層の最適化、光の導波方向の選定など多くの課題が残り実用化の目処は立っていない(例えば、非特許文献2参照。)。



特に、窒化ガリウム(GaN)とAlNは価電子帯におけるバンドオーダリング(ある対称性を持つバンドのエネルギーの並び順)が異なるため、AlNモル分率xの増加に従いAlXGa1-XN混晶の偏光方向は、光の電界成分Eがc軸に対して垂直な方向から平行な方向へと変化する。このため、AlXGa1-XN系のLDでは、光を効率良く導波させるために、市販の窒化インジウムガリウム(InGaN)系のLDとは異なる構造が必要となる。



これまでに、内部電界を低減させる技術として非極性面(a面、m面)または半極性面成長を行ったInGaN/GaN MQWがLEDやLDの活性層へ利用され、市販の青紫色LEDの外部量子効率(約50%)に迫る効率(38.9%)を示すm面LEDが報告されている(例えば、非特許文献3参照。)。また、室温で連続発振する波長400nmの青紫色m面LDも報告されている(例えば、非特許文献4参照。)。



従来の紫外線(波長約300nm以下)発光LDは、GaN結晶(六方晶系)のc軸(極性面)面上またはc軸からやや傾斜させた結晶成長面で構成されている(例えば、特許文献1参照。)。このため、歪みにより発生する圧電分極に起因する内部電界効果を十分に低減できなかった。また、紫外線の偏光特性も電界ベクトルEとc軸が垂直のもので、発光効率が低いという問題があった。



また、c軸配向した基板上に、少なくともn型窒化物半導体層、発光層およびp型窒化物半導体層を積層して成るLEDにおいて、MQW構造のAlGaN混晶で、Alモル分率を30%以下乃至60%以上のものも既に開示されている(例えば、特許文献2参照。)。



しかしながら、MQW構造のAlGaN混晶で、Alモル分率を30%~60%の範囲のものはいまだ開示されていない。



また、特許文献1に開示されているように、c軸またはc軸近傍で傾斜させた例は存在するが、c軸から、例えば、40°~90°と大幅に活性層の軸方位を傾斜させた紫外領域の技術は、未だ開示されていない。

【特許文献1】特開2007-201019号公報

【特許文献2】特開2007-165405号公報

【非特許文献1】エム・アシフカーン、エム・シャタロフ、エイチ・ピー・マルスカ、およびイー・クオクティス(M. Asif Khan, M. Shatalov, H. P. Maruska, H. M. Wang, and E. Kuokstis)著、“ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn. J. Appl. Phys.)”、第44巻、第7191ページ(2005年)

【非特許文献2】例えば、ティー・タカノ、ワイ・ナリタ、エイ・ホリウチ、およびエイチ・カワニシ(For example see, T. Takano, Y. Narita, A. Horiuchi, and H. Kawanishi)著、“アプライド・フィジックス・レターズ(Appl. Phys. Lett.)”、第84巻、第3567ページ(2004年)

【非特許文献3】エム・シー・シュミット、ケイ・シー・キム、エイチ・サトー、エヌ・フェローズ、エイチ・マスイ、エス・ナカムラ、エス・ピー・デンバース、およびジェイ・エス・スペック(M. C. Schmidt, K.-C. Kim, H. Sato, N. Fellows, H. Masui, S. Nakamura, S. P. DenBaars, and J. S. Speck)著、“ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn. J. Appl. Phys.)”、第46巻、第126ページ(2007年)

【非特許文献4】ケイ・オカモト、エイチ・オオタ、エス・エフ・チチブ、ジェイ・イチハラ、およびエイチ・タカス(K. Okamoto, H. Ohta, S. F. Chichibu, J. Ichihara, and H. Takasu)著、“ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn. J. Appl. Phys.)”、第46巻、第187ページ(2007年)

産業上の利用分野


本発明は、紫外線窒化物半導体発光素子およびその製造方法に関し、特に、深紫外線波長のレーザ光を発生する低しきい値電流密度の紫外線窒化物半導体発光素子および製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
非極性面基板と半極性面基板とのうち、いずれか1つの基板と、
前記基板上に配置され,n型不純物をドープされたAlGaN層と、
前記AlGaN層上に配置され,AlXGa1-XN(0≦x≦1)障壁層とAlXGa1-XN(0≦x≦1)井戸層からなる量子井戸構造を有するAlXGa1-XN/AlXGa1-XN活性層と、
前記AlXGa1-XN/AlXGa1-XN活性層上に配置され,p型不純物をドープされたAlGaN層とを備え、
c軸が結晶成長の主面の法線方向から40°~90°の範囲内で傾いた面を結晶成長の主面とし、光の電界成分Eが主にc軸と平行(E//c)なる偏光特性を示し、前記結晶成長面で結晶成長した前記活性層内に形成されるレーザ共振器の端面がa面で形成され、前記c軸が前記活性層の量子井戸面内にあり、前記活性層の前記井戸数を3以下とすることを特徴とする紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項2】
前記結晶成長の主面には、前記非極性面基板を選択した場合、非極性面が含まれ、前記半極性面基板を選択した場合、半極性面が含まれ、前記半極性面の選択範囲は、前記c軸とのなす角が40°~90°の範囲で連続的に任意に変化させられることを特徴とする請求項1に記載の紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項3】
前記非極性面には、前記非極性面基板としてm面基板を選択した場合、m面が含まれ、前記非極性面基板としてa面基板を選択した場合、a面が含まれることを特徴とする請求項2に記載の紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項4】
前記半極性面基板を選択した場合、前記半極性面には、{10-11}面、{10-12}面、或いは{11-22}面の内、いずれか1つが含まれることを特徴とする請求項2に記載の紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項5】
結晶成長の主面としてm面、{10-11}面、或いは{10-12}面の内、いずれか1つの面を選択した場合、a面を共振器の反射鏡として用いることを特徴とする請求項1に記載の紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項6】
前記a面は、へき開面であることを特徴とする請求項5に記載の紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項7】
前記活性層は、単一井戸ないしは多重量子井戸構造を備え、前記AlXGa1-XN井戸層のAlNモル分率は30%以上60%以下であり、かつ、前記AlXGa1-XN障壁層のAlNモル分率と前記AlXGa1-XN井戸層のAlNモル分率の比は0.7以上であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項8】
m面基板と、
前記m面基板上に配置され,n型不純物をドープされたAlInN層と、
前記AlInN層上に配置されたAl1-XInXN障壁層とAl1-XInXN井戸層からなる量子井戸構造を有するAl1-XInXN/Al1-XInXN活性層と、
前記Al1-XInXN/Al1-XInXN活性層上に配置され,p型不純物をドープされたAlInN層とを備え、
c軸が結晶成長の主面の法線方向から40°~90°の範囲内で傾いた面を結晶成長の主面とし、光の電界成分Eが主にc軸と平行(E//c)なる偏光特性を示し、前記結晶成長面で結晶成長した前記活性層内に形成されるレーザ共振器の端面がa面で形成され、前記c軸が前記活性層の量子井戸面内にあり、前記活性層の前記井戸数を3以下とすることを特徴とする紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項9】
前記活性層は、単一井戸ないしは多重量子井戸構造を備え、InNモル分率が5%以下であることを特徴とする請求項8に記載の紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項10】
m面基板を準備する工程と、
c軸が結晶成長の主面の法線方向から40°~90°の範囲内で傾いた面を結晶成長の主面とし、前記m面基板上にn型不純物をドープされたAlGaN層を形成する工程と、
前記AlGaN層上にAlXGa1-XN障壁層とAlXGa1-XN井戸層からなる量子井戸構造を有し前記活性層の前記井戸数を3以下とするようにAlXGa1-XN/AlXGa1-XN活性層を形成する工程と、
前記AlXGa1-XN/AlXGa1-XN活性層上にp型不純物をドープされたAlGaN層を形成する工程と、
a面に沿ってレーザ共振器の反射面を形成する工程と
を有することを特徴とする紫外線窒化物半導体発光素子の製造方法。

【請求項11】
前記a面に沿ってレーザ共振器の反射面を形成する工程は、へき開を有することを特徴とする請求項10に記載の紫外線窒化物半導体発光素子の製造方法。

【請求項12】
前記n型不純物はSiであり、前記p型不純物はMgであることを特徴とする請求項10に記載の紫外線窒化物半導体発光素子の製造方法。

【請求項13】
前記c軸が前記活性層の量子井戸面内に存在することを特徴とする請求項1または8に記載の紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項14】
前記c軸が前記活性層の量子井戸面内に存在することを特徴とする請求項10に記載の紫外線窒化物半導体発光素子の製造方法。

【請求項15】
前記活性層の前記井戸数を2以下とすることを特徴とする請求項1または8に記載の紫外線窒化物半導体発光素子。

【請求項16】
前記活性層の前記井戸数を2以下とすることを特徴とする請求項10に記載の紫外線窒化物半導体発光素子の製造方法。
産業区分
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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