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シクロオレフィンの製造方法およびそれに用いる選択的水素化触媒

国内特許コード P110002166
整理番号 S2009-0382-N0
掲載日 2011年4月6日
出願番号 特願2009-036389
公開番号 特開2010-189332
登録番号 特許第5422222号
出願日 平成21年2月19日(2009.2.19)
公開日 平成22年9月2日(2010.9.2)
登録日 平成25年11月29日(2013.11.29)
発明者
  • 飯塚 泰雄
  • 玉井 敏雄
  • 林 利生
  • 奥田 一平
  • 春田 正毅
出願人
  • 公立大学法人首都大学東京
発明の名称 シクロオレフィンの製造方法およびそれに用いる選択的水素化触媒
発明の概要

【課題】単環芳香族炭化水素を部分水素化してシクロオレフィンを製造する方法において、触媒としてルテニウムを用いることなく、かつシンプルなプロセス条件により高選択率でシクロオレフィンを製造する方法を提供する。
【解決手段】単環芳香族炭化水素を部分水素化してシクロオレフィンを製造する際に、触媒として金触媒を用いる。金触媒は、金微粒子であることが好ましく、金単体でもよいし、金を金属酸化物担体に担持させたものでもよい。気相反応を行うには、水素ガスボンベ3から水素ガスをベンゼンバブラー7に送り、単環芳香族炭化水素液中でバブリングさせて、ガス中に単環芳香族炭化水素を含有させ、コンデンサー8で含有濃度を調整した後、適宜の温度に調整された触媒層2が設けられた反応管1を通して反応させ、反応ガスを回収する。反応は液相で行うこともでき、このときには、圧力容器に単環芳香族炭化水素液と金触媒を入れ、水素加圧下に加熱攪拌する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


単環芳香族炭化水素の部分水素化物であるシクロオレフィン類は、シクロヘキセンに代表されるように、ポリアミド原料などとして工業的価値が高い。ポリアミド樹脂であるナイロン66やナイロン6は、衣類、寝具等の繊維や樹脂シート、ギヤ、カム、軸受け等の工業製品の樹脂材料として幅広く使用されている。ナイロン66はアジピン酸とヘキサンジオールの縮重合により、またナイロン6はカプロラクタムを開重合することにより製造されている。ベンゼンを出発物質として、シクロヘキセン等の中間生成物を経て作られるシクロヘキサノールを経てナイロン66、ナイロン6に至る工業的生産ルートを下記表に示す。



【表1】



ベンゼンからシクロヘキサノールを経てアジピン酸を作る商業的生産プロセスには、下記に示すように、中間生成物としてフェノールまたはシクロヘキサンを経るルートと、ベンゼンの部分水素化によってできるシクロヘキセンを中間生成物とし、これを水和させてシクロヘキサノールを得る3種類のルートがある。



【表2】



現在、シクロヘキサノールの大部分は、ベンゼンの完全水素化により生成されるシクロヘキサンを空気酸化する方法を通じて作られるが、この方法では有機酸を含む大量の副生成物の廃棄処理、未反応のシクロヘキサンの回収、循環、液相酸化に対する安全上の配慮の必要性があり、改良が望まれている。



シクロヘキセン経由法は、シクロヘキサンやフェノールを経由するプロセスに比べて高価な水素の使用量が2/3になること、副生成物が利用可能なシクロヘキサンのみであること、水和によりシクロヘキサノールを得ることができる安全なプロセスであることから、工業的に実用化されている(非特許文献1、2参照)。



シクロオレフィンであるシクロヘキセンは、単環芳香族炭化水素であるベンゼンの部分水素化により合成されるが、その技術的な困難度は著しく高い。その理由としては、水素化に使用される触媒は、一般的には芳香族の水素化よりもその生成物であるオレフィンの水素化に強く作用し、シクロヘキサンまでの水素化が速やかに進み、中間生成物としてのシクロへキセンの収率が著しく小さいかまたは全くできないところにある。



上記シクロヘキセン経由法では、シクロヘキセン収率を向上させるために、水を連続相、ベンゼンを分散相とし、激しく攪拌した二相混合系にルテニウム触媒を懸濁させ、ここに加圧水素を共存させる4相からなる反応場が用いられている。触媒は水相に存在し、ベンゼン、水素がシクロヘキセンよりも水に溶け易く、一方、触媒表面で部分水素化されたシクロヘキセンが、水に溶け難く生成後速やかに水相からベンゼン相に移動することによって、逐次水素化が強制的に防止される。すなわち、シクロヘキセン収率の向上に、触媒上での反応に加えて溶解度の差による物質移動過程を利用するプロセスが構築されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1参照)。そして、上記4相系においては、ベンゼンの部分水素化触媒として用いることのできる金属種としては、ルテニウムもしくはそれを修飾したもの以外にはないとされている。



しかし、ルテニウムは、それ自身に強い逐次水素化能やシクロヘキセンをベンゼンとシクロヘキサンに不均化する触媒能があり、ルテニウムだけでは反応の選択性を高めることは難しく、亜鉛化合物などの助触媒添加、硫酸亜鉛などの塩の水相への溶解など触媒や反応系の改善が続けられている。例えば、ルテニウム触媒の性能は、担体の有無や種類、ルテニウムの価数や微視的な形態により反応は大きく影響される(非特許文献1参照)。ルテニウムは金属粒子として担体のない状態で使用することが反応の選択性を高める上で好ましく、また適当な結晶子サイズも存在する(非特許文献1、特許文献1、2参照)。触媒性能は基本的には、金属表面積に依存するために、担体を使用しない場合、高収率を得るためには、多量のルテニウムを必要とする。



また、ルテニウム触媒を用いたベンゼンの部分水素添加によるシクロヘキセンへの転換は、現行プロセスでは水相に存在する触媒表面での反応と、ベンゼン、水素および中間生成物のシクロヘキセンのベンゼン-水の2液相における拡散移動を利用しなければならない。この場合、反応速度と選択性は、触媒表面での反応過程に加えて、ベンゼン-水の2液相間における原料、生成物の溶解、拡散、抽出に伴う物質移動過程に大きく影響を受ける。具体的には、反応は、温度、水素圧力、油水の比率、混合状態などに微妙に影響されることから、定常的な活性と選択性を保ってシクロヘキセンを合成するためには、よりシンプルなプロセスが望まれる。さらに、ルテニウムは資源が偏在する稀少資源であることから、その使用は避けるか、使用量を減ずることが望ましい(非特許文献3参照)。

産業上の利用分野


本発明は、シクロオレフィンの製造方法、さらに詳細には、シンプルなプロセス条件により高選択率でシクロオレフィンを製造する方法およびそのための選択的水素化触媒に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
単環芳香族炭化水素を触媒の存在下に部分水素化してシクロオレフィンを製造する方法において、該触媒としてルテニウム触媒を用いずに金微粒子からなる金触媒を用いることを特徴とする単環芳香族炭化水素から部分水素化によりシクロオレフィンを製造する方法。
【請求項2】
前記単環芳香族炭化水素がベンゼンであり、前記シクロオレフィンがシクロヘキセンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単環芳香族炭化水素の部分水素化が、単環芳香族炭化水素溶液中に触媒を懸濁させ水素加圧下で行われることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記単環芳香族炭化水素の部分水素化が、気体状の単環芳香族炭化水素と水素ガスを金触媒と接触させることにより行われることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記金触媒が、金属酸化物担体に金微粒子が担持された触媒であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記金触媒において、金が金属酸化物担体に対し0.01重量%~50重量%担持されていることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記担体の金属酸化物が、3族、4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、14族金属の少なくとも1種からなる金属の酸化物または水酸化物であることを特徴とする請求項またはに記載の方法。
【請求項8】
前記3族、4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、14族金属がチタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、スズ、およびセリウム、ランタンであることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記金触媒が、固相混合法、含浸法、共沈法、析出還元法、または析出沈殿法により金微粒子が金属酸化物担体に分散・固定化されたものであることを特徴とする請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
単環芳香族炭化水素を部分水素化してシクロオレフィンを製造する方法に用いられる単環芳香族炭化水素の部分水素化触媒であって、該触媒としてルテニウム触媒を用いずに金微粒子からなる金触媒を用いることを特徴とする単環芳香族炭化水素の部分水素化触媒。
【請求項11】
前記単環芳香族炭化水素がベンゼンであり、前記シクロオレフィンがシクロヘキセンであることを特徴とする請求項10に記載の単環芳香族炭化水素の部分水素化触媒。
【請求項12】
前記金触媒が、金属酸化物担体に金微粒子が分散・固定化されたものであることを特徴とする請求項10または11に記載の単環芳香族炭化水素の部分水素化触媒。
【請求項13】
前記金触媒において、金が金属酸化物担体に対し0.01重量%~50重量%担持されていることを特徴とする請求項12に記載の単環芳香族炭化水素の部分水素化触媒。
【請求項14】
前記金属酸化物担体が、3族、4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、14族金属の少なくとも1種からなる金属の酸化物または水酸化物からなることを特徴とする請求項12または13に記載の単環芳香族炭化水素の部分水素化触媒。
【請求項15】
前記金触媒が、固相混合法、含浸法、共沈法、析出沈殿法により金属酸化物担体に金微粒子が分散・固定化されたものであることを特徴とする請求項1214のいずれかに記載の単環芳香族炭化水素の部分水素化触媒。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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