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振動体の周波数検出装置、原子間力顕微鏡、振動体の周波数検出方法およびプログラム

国内特許コード P110002211
整理番号 S2009-1038-N0
掲載日 2011年4月7日
出願番号 特願2009-193606
公開番号 特開2011-043483
登録番号 特許第5311405号
出願日 平成21年8月24日(2009.8.24)
公開日 平成23年3月3日(2011.3.3)
登録日 平成25年7月12日(2013.7.12)
発明者
  • 大藪 範昭
  • 木村 建次郎
  • 小林 圭
  • 山田 啓文
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 振動体の周波数検出装置、原子間力顕微鏡、振動体の周波数検出方法およびプログラム
発明の概要

【課題】 振動体の共振周波数の検出感度を高く保ったまま、広い周波数検出範囲で検出可能な振動体の周波数検出装置、原子間力顕微鏡、振動体の周波数検出方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】 ヘテロダイン回路21は、変位検出計14から受け取る共振周波数の変動周波数Δfを表す信号と、ローカル発振器214の基準信号とを合成する。PLL回路24は、合成された信号から変動周波数Δfを電圧で表す電気信号を生成し、条件判断装置40に送る。条件判断装置40は、PLL回路24からの変動周波数Δfを電圧で表す電気信号の電圧が上限設定値の電圧に一致すると、ローカル発振器214の基準信号の周波数を所定値分、たとえば666Hz下げる。PLL回路24からの共振周波数の変動周波数Δfを電圧で表す電気信号の電圧が下限設定値の電圧に一致すると、ローカル発振器214の基準信号の周波数を所定値分、たとえば666Hz上げる。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要


周波数変調方式原子間力顕微鏡(Frequency-Modulation Atomic Force Microscope:略称FM-AFM)は、カンチレバーなどの振動体の先端部に設けられるプローブと試料表面との距離に応じて変化するプローブと試料との間に働く力によって、振動体の共振周波数が変化するという原理を利用して、カンチレバーの共振周波数の変化から、プローブと試料表面との距離を測定するものである。



図10は、第1の従来の技術である周波数検出装置90を用いる周波数変調方式原子間力顕微鏡(以下「FM-AFM」という)9の構成を模式的に示す図である。カンチレバー11が共振する共振周波数は、カンチレバー11に設けられたプローブ12と試料表面3との距離に応じて変化する。共振周波数が変動するカンチレバー11の変位は、変位検出計14によって検出され、検出された変位を表す信号として周波数検出装置90に送られる。周波数検出装置90は、変位検出計14から受け取る変位を表す信号から、共振周波数が変動する変動周波数Δfを電圧で表す電気信号を生成し、制御コントローラ15の距離制御部151に送る。



Z軸方向移動部(図10では「Z piezo」と記す)16は、圧電素子によって構成され、距離制御部151の指示によって、試料2を載置するテーブル18を鉛直方向、つまりZ軸方向に移動し、プローブ12の先端部と試料表面3との距離を変える。XY軸方向移動部(図10では「XY piezo」と記す)17は、圧電素子によって構成され、XYスキャン部152の指示によって、テーブル18をZ軸に直交する方向に移動し、試料表面3の全面の測定を可能とする。



距離制御部151は、周波数検出装置90からの変動周波数Δfを電圧で表す電気信号が一定の電圧になるように、すなわち、プローブ12の先端部と試料表面3との距離が一定になるように、Z軸方向移動部16を制御する。制御コントローラ15は、試料2がXY軸方向に移動するとき、Z軸方向のテーブル18の位置、すなわちプローブ12の先端部と試料表面3との距離を記憶しておき、記憶したZ軸方向の位置をXYZ座標系でプロットすることによって、試料表面3の凹凸を画像として出力することができる。



図11は、周波数検出装置90の構成を示す図である。変位検出計14で検出された変動周波数Δfを表す電気信号は、ヘテロダイン回路91の入力端子211に入力される。混合器213は、入力端子211から入力され、ハイパスフィルタ(以下「HPF」という)212を通して高周波成分のみとなった信号と、ローカル発振器214が生成する基準信号、たとえば4.2MHzの基準信号とを合成する。基準信号に合成された変動周波数Δfの信号は、BPF22で必要な周波数成分のみにされ、比較器23で矩形波の信号に変換されて、位相同期(Phase Locked Loop:略称PLL)回路24に送られる。



PLL回路24は、排他的論理和回路241によって、比較器23からの矩形波の信号と電圧制御発振器(以下「VCXO」という)244からの信号との位相差を検出し、LPF242によって、変動周波数Δfを電圧で表す電気信号として、第1の出力端子から出力する。変動周波数Δfを電圧で表す電気信号は、ラインフィルタ(以下「LF」という)243によって高周波成分のノイズが除去され、VCXO244に入力される。VCXO244は、水晶発振子を用いた発振器であり、入力される電圧に応じた周波数の矩形波の信号を出力する。



VCXO244からの矩形波の信号は、HPF26によって高周波成分のみとされ、混合器27によって、ローカル発振器214からの基準信号と合成されて、基準信号の周波数成分が除かれる。基準信号の周波数成分が除かれた信号は、変動周波数Δfの信号であり、ローパスフィルタ(以下「LPF」という)28によって低周波成分のみとされ、比較器29で矩形波の信号に変換される。比較器29で変換された矩形波の信号は、位相シフタ30で所定の角度だけ位相が遅延され、可変利得増幅器(以下「VGA」という)31で利得が調整される。VGA31で利得が調整された信号は、増幅器32で増幅されて、第2の出力端子から出力され、カンチレバー11を振動させる図示しない圧電素子に正帰還され、カンチレバー11の振動を継続させる。



図12は、周波数検出装置90の電圧特性を示す図である。図13は、周波数検出装置90の周波数特性を示す図である。電圧FM-OUTは、第1の出力端子25から出力される電気信号の電圧であり、入力端子211から入力される入力信号の周波数が299,000Hz付近から300,500Hz付近まで、入力信号の周波数にほぼ比例して上昇し、線形性が成立する。しかし、入力信号の周波数が299,000Hz未満および300,500Hz以上では、線形性は成立しないため、プローブ12の先端部と試料表面3との距離を測定することはできない。図13に示した例は、図12に示した電圧FM-OUTを周波数FM-OUTに変換した例である。周波数FM-OUTは、図12に示した電圧FM-OUTと同様の傾向を示しており、入力信号の周波数が299,000Hz未満および300,500Hz以上では、線形性は成立しない。



特許文献1に記載される第2の従来の技術である表面形状観測装置は、カンチレバーの振動変位を検出し、PLL回路を介してフィードバックして、カンチレバーの振動振幅が一定になるように制御する。さらに、原子像などの観察対象物が見える前の段階で、PLL回路のフィードバックループを開放状態にし、フィードバック信号を周波数信号から位相信号に切り換えて、高感度化を可能としている非接触原子間力顕微鏡である。



特許文献2に記載される第3の従来の技術である非接触原子間力顕微鏡は、カンチレバーの共振周波数をPLL方式の周波数変調(Frequency Modulation:略称FM)復調回路を介してフィードバックして、カンチレバーと試料との距離が一定になるように制御する。そして、コンピュータによって、フィードバックする信号を試料表面の凹凸像として映像化する。アプローチ時と走査時とでFM復調回路のパラメータ、つまりFM復調検出幅を変えることで、凹凸の大きな試料または凹凸の小さな試料を、それぞれに適した分解能で走査することができる。

産業上の利用分野


本発明は、カンチレバーなどの振動体の共振周波数を検出する周波数検出装置、原子間力顕微鏡、振動体の周波数検出方法およびプログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
振動体が振動する周波数を検出する振動体の周波数検出装置であって、
制御信号に応じた周波数で発振する基準信号を生成し、生成した基準信号と振動体の振動による変位量を表す入力信号とを合成した合成信号を生成する生成部と、
生成部が生成した合成信号の周波数に応じた周波数で発振する発信信号を生成し、生成した発信信号と合成信号との位相差を検出し、検出した位相差に基づいて前記振動体の周波数を示す出力信号を出力する発信部と、
発信部が出力する出力信号が示す周波数が、入力信号の周波数との関係で線形性が成立する出力信号が示す周波数範囲の上限以上または下限以下となったとき、発信部が出力する出力信号が示す周波数が前記周波数範囲の上限未満かつ下限よりも高い周波数となるように基準信号の周波数を変化させる制御信号を生成部に出力する制御部とを含むことを特徴とする振動体の周波数検出装置。

【請求項2】
振動体が振動する周波数を検出する振動体の周波数検出装置であって、
制御信号に応じた周波数で発振する基準信号を生成し、生成した基準信号と振動体の振動による変位量を表す入力信号とを合成した合成信号を生成する生成部と、
生成部が生成した合成信号の周波数に応じた周波数で発振する発信信号を生成し、生成した発信信号と合成信号との位相差を検出し、検出した位相差に基づいて前記振動体の周波数を示す出力信号を出力する発信部と、
前記発信部が出力する出力信号が示す周波数が、入力信号の周波数との関係で線形性が成立する出力信号が示す周波数範囲で一定の周波数となるように基準信号の周波数を変化させる制御信号を生成部に出力する制御部とを含むことを特徴とする振動体の周波数検出装置。

【請求項3】
前記発信部は、前記振動体の周波数を電圧で示す出力信号を出力し、
前記制御部は、
前記出力信号の電圧が前記周波数範囲の上限の周波数を表す電圧以上になったとき、前記出力信号が示す周波数が前記周波数範囲の上限以上の周波数になったと判定し、
前記出力信号の電圧が前記周波数範囲の下限の周波数を表す電圧以下になったとき、前記出力信号が示す周波数が前記周波数範囲の下限以下の周波数になったと判定することを特徴とする請求項1に記載の振動体の周波数検出装置。

【請求項4】
請求項1~のいずれか1つに記載の振動体の周波数検出装置を備え、
前記周波数検出装置によって検出される前記振動体の周波数に基づいて、試料表面と前記振動体との距離を測定することを特徴とする原子間力顕微鏡。

【請求項5】
前記振動体は、カンチレバーであることを特徴とする請求項に記載の原子間力顕微鏡。

【請求項6】
制御信号に応じた周波数で発振する基準信号を生成し、生成した基準信号と振動体の振動による変位量を表す入力信号とを合成した合成信号を生成する生成部と、
生成部が生成した合成信号の周波数に応じた周波数で発振する発信信号を生成し、生成した発信信号と合成信号との位相差を検出し、検出した位相差に基づいて前記振動体の周波数を示す出力信号を出力する発信部とを含む振動体の周波数検出装置によって、振動体が振動する周波数を検出する振動体の周波数検出方法であって、
発信部が出力する出力信号が示す周波数が、入力信号の周波数との関係で線形性が成立する出力信号が示す周波数範囲の上限以上または下限以下となったとき、発信部が出力する出力信号が示す周波数が前記周波数範囲の上限未満かつ下限よりも高い周波数となるように基準信号の周波数を変化させる制御信号を生成部に出力する制御ステップを含むことを特徴とする振動体の周波数検出方法。

【請求項7】
振動体が振動する周波数を検出する振動体の周波数検出装置であって、制御信号に応じた周波数で発振する基準信号を生成し、生成した基準信号と振動体の振動による変位量を表す入力信号とを合成した合成信号を生成する生成部と、生成部が生成した合成信号の周波数に応じた周波数で発振する発信信号を生成し、生成した発信信号と合成信号との位相差を検出し、検出した位相差に基づいて前記振動体の周波数を示す出力信号を出力する発信部と、コンピュータとを含む振動体の周波数検出装置に含まれるコンピュータに、
発信部が出力する出力信号が示す周波数が、入力信号の周波数との関係で線形性が成立する出力信号が示す周波数範囲の上限以上または下限以下となったとき、発信部が出力する出力信号が示す周波数が前記周波数範囲の上限未満かつ下限よりも高い周波数となるように基準信号の周波数を変化させる制御信号を生成部に出力する制御ステップを実行させるためのプログラム。
産業区分
  • 電子管
  • 測定
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2009193606thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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