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がん治療用の遊走阻害剤

国内特許コード P110002241
整理番号 S2009-0803-N0
掲載日 2011年4月8日
出願番号 特願2009-135486
公開番号 特開2010-280615
登録番号 特許第5435461号
出願日 平成21年6月4日(2009.6.4)
公開日 平成22年12月16日(2010.12.16)
登録日 平成25年12月20日(2013.12.20)
発明者
  • 石内 勝吾
出願人
  • 国立大学法人群馬大学
発明の名称 がん治療用の遊走阻害剤
発明の概要

【課題】固形がんで解決しなければならない転移、浸潤、播種に対する、放射線増感剤、遊走阻害を兼ねるがん治療剤、がん転移予防剤を提供する。
【解決手段】一酸化窒素(NO)および一酸化窒素合成酵素(NOS)の産生抑制活性を有する化合物を有効成分として含有することを特徴とする。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


放射線は固形がんの治療において、重要な治療手段であるが、臨床的には、照射野内外での腫瘍の再発がしばしば認められる。原因としては、照射前にすでに微小転移巣が存在しているという考え、あるいは照射野・照射線量が十分な効果が得られる量に達していないなどの不適切さにあると説明されてきた。



臨床の現場において、高線量照射を広範囲に行えば、脳壊死を引き起こす可能性が高まり、一方線量を低く抑えれば、照射野内の局所再発が必須である。最近では、腫瘍塊には90Gy相当の照射を施行し、周囲浸潤部位に60Gy、周囲脳に40-50Gyと重み付け可能な強度変調照射法であるトモテラピー(登録商標)などの新しい治療装置を用いたり、従来の外照射にガンマナイフやサイバーナイフを組み合わせ施行されるなどの工夫がなされている。



現行の放射線治療は、脳壊死を引き起こさない安全な量を見極め、最大限の治療効果を上げる照射野、照射法の臨床経験から得られた探索の成果といえる。さらに新しい線源として、重粒子線の応用も開始されている。



しかしながら、肺、消化器、婦人科臓器、乳房、肝臓など主要臓器に発生する未分化腫瘍、悪性黒色腫、悪性脳腫瘍ことに神経膠芽腫などに対する治療は十分な治療効果を上げているとは言えない状況が続いている。これ等浸潤性増殖を示す固形癌では、手術後の局所再発のみならず、腫瘍臓器への遠隔転移や脳転移も稀ではなく、臨床上大きな問題となっている。



とりわけ悪性度の高い神経膠芽腫については、様々な試みが施行されているが、長期の生存期間を得るまでにはいたっていない。神経膠芽腫に対して90Gy高線量照射の試みが報告されているが、平均生存中央値は16.2ヶ月、髄液播種の頻度が標準量照射群に比して増加している(非特許文献1)。重粒子線の一種である炭素線単独による22例の神経膠芽腫の治療の現状は、平均生存中央値は10-11ヶ月であり、いまだ安全な照射量、最大限の治療効果を上げられる照射野、照射法(分割回数など)テモゾロマイド併用などを探索中である(第29回中枢神経腫瘍臨床研究班会議 中枢神経系II(0101)班会議報告書 報告年月日:2008年9月8日)。



これ等の経緯から、照射量を上げるのみでは難治性がんは治らず、また新しい治療装置である重粒子線も単独治療では、局所制御が可能となっても照射外転移や遠隔転移の制御は困難であり、有意な生命予後の達成は難しく、結果として浸潤性増殖を示すがんを征圧することはできないことが判明しつつある。



社会の高齢化が進み、がん人口の増加に伴い難治性のがんの克服は、長い間の解決すべき課題であり、緊急性を有する重大な問題である。放射線による難治性がんの治療不応性は、従来から腫瘍細胞の照射線抵抗性として説明されてきたが、最近では、放射線の生物学的効果の解析が進み、放射線そのものが腫瘍細胞の脱分化を促進する、あるいは遊走性を高めるという報告や(非特許文献2-4)、照射線抵抗性の背景を説明する分子機構の仮説の提示がなされてきた。具体的には、照射により、DNA修復酵素が活性化するとする仮説(非特許文献5)、照射細胞の上皮増殖因子や(非特許文献6)リン酸化イノシトール3燐酸の経路の特異的な活性化などの報告があるが(非特許文献7)、具体的な臨床成果に結びついていない。従来技術を探索し、過去の文献からの類推だけでは、照射による遊走、浸潤の亢進を説明する分子機構の解明は難位であり、未だ解決されていない状態が続いている。



一方、本発明者は、神経膠芽腫細胞にグルタミン酸受容体のうちのカルシウム透過性AMPA受容体が発現し、このチャンネルを介した緩徐な細胞内カルシウム濃度の上昇が腫瘍細胞の増殖と遊走を促進することを見出している(非特許文献8,9)。



そして本発明者は、AMPA受容体についての検討を進め、その拮抗薬が腫瘍細胞の増殖を抑制し神経膠芽腫治療剤となり得ることを、ヌードマウスを用いたin vivoの実験系で証明し、AMPA受容体拮抗薬を「神経膠芽腫治療剤」として提案(特許文献1)している。



また本発明者は、神経膠芽腫細胞に発現するカルシウム透過性AMPA受容体チャンネルを不透過性に変換するGluR2 DNAが神経膠芽腫細胞の浸潤と増殖を抑制することを見出し、GluR2 DNAを組み込んだアデノウイルスベクターが神経膠芽腫の遺伝子治療剤として有用であることを提案している(特許文献2)。



さらに、本発明者は、独自に樹立したヒト神経膠芽腫細胞モデルを用いて照射及び非照射細胞をタイムラプス顕微鏡により長期にわたり観察することにより、グリオーマ細胞において細胞質の分裂増殖と細胞の移動(遊走)が関連した一連の現象であることを見出している。より具体的には、細胞質分裂促進物質の産生抑制活性を有する化合物が重粒子線をはじめとする放射線の照射によるがん治療において、放射線照射にともなう腫瘍細胞の遊走性の亢進を抑制、阻害することができ、放射線増感性の遊走阻害の手段を提供することを見出している(特許文献3)。

産業上の利用分野


本発明は、放射線等を用いてのがん治療における腫瘍細胞の遊走性の亢進を抑制、阻害する遊走阻害剤に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
放射線がん治療における腫瘍細胞への放射線照射に伴う腫瘍細胞の遊走性の亢進を阻害する遊走阻害剤であって、一酸化窒素(NO)および一酸化窒素合成酵素(NOS)の産生抑制活性を有する以下の化合物(1)(2)、
(1)2-(4-carboxyphenyl)-4,4,5,5-tetramethylimidazoline-1-oxyl 3-oxide (C-PTIO)、
(2)NG-Nitro-L-arginine Methyl Ester, Hydrochloride (L-NAME)、
のうちの少なくともいずれかを含有することを特徴とする遊走阻害剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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