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マラリア原虫人工染色体

国内特許コード P110002250
整理番号 S2009-0361-N0
掲載日 2011年4月8日
出願番号 特願2009-051454
公開番号 特開2010-200705
登録番号 特許第5540370号
出願日 平成21年3月5日(2009.3.5)
公開日 平成22年9月16日(2010.9.16)
登録日 平成26年5月16日(2014.5.16)
発明者
  • 油田 正夫
  • 岩永 史朗
出願人
  • 国立大学法人三重大学
発明の名称 マラリア原虫人工染色体
発明の概要 【課題】本発明の目的は、熱帯熱マラリア原虫およびネズミマラリア原虫において安定に維持される人工染色体を提供することにより、熱帯熱マラリア原虫およびネズミマラリア原虫の迅速かつ簡便な遺伝子組み換え法を開発することにある。
【解決手段】本発明は、宿主マラリア原虫由来のセントロメア領域を含む、マラリア原虫人工染色体に関するものであり、ここで、セントロメア領域の配列は、アデニン-チミジン塩基対を96%より多く含む配列であって、1または2の繰り返し配列を有し、2kbpより小さい。本発明は、さらに宿主マラリア原虫由来のテロメア領域および外来遺伝子を含むマラリア原虫人工染色体に関するものであり、好ましくは、外来遺伝子あるいはその制御領域の配列に、宿主と異なるマラリア原虫種由来の配列を含む。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要



マラリアは、ハマダラカ属の蚊によって媒介され、プラスモジウム属に属するマラリア原虫が赤血球に感染することによって起こる、原虫性の熱性疾患である。ヒトに感染するマラリア原虫としては、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)、卵形マラリア原虫(P. ovale)の4種が知られている。このうち、熱帯熱マラリア原虫により引き起こされる熱帯熱マラリアは、患者数、重篤性、薬剤耐性の広がりから、最も重要なものと考えられている。なお、ヒト以外の哺乳類、主として霊長類と齧歯類にも、マラリアはハマダラカ属の蚊を媒介として感染する。ネズミに感染するネズミマラリア原虫として、プラスモディウム・ベルゲイ(Plasmodium berghei)、プラスモディウム・シャバウディ(Plasmodium chabaudi)、プラスモディウム・ヨエリ(Plasmodium yoelii)、の3種が知られている。





マラリア原虫の一般的なライフサイクルは、次の通りである。まず、蚊の吸血によりスポロゾイトが宿主へ注入される。スポロゾイトは血流に乗り、肝細胞へと到達、寄生し、増殖する。増殖した原虫は赤血球に感染可能なメロゾイト(肝臓メロゾイト)となり、肝細胞から血流へと放出され、赤血球に感染する。赤血球に感染すると、原虫は輪状体(リング)、栄養体(トロホゾイト)、分裂体(シゾント)と分化後、再びメロゾイト(赤血球メロゾイト)となる。メロゾイトは赤血球から放出後、再び赤血球へ感染し、前述の分化を繰り返す。一方、分化の過程で一部の原虫は雌雄の生殖母体(ガメトサイト)へと分化する。蚊に吸血されるとガメトサイトは蚊の中腸へと移動し、雌雄の生殖体(ガメート)となり、接合後、接合体(ザイゴート)、虫様体(オーキネート)と分化する。分化後、中腸でシスト(オーシスト)を形成し、シスト内にスポロゾイトが形成される。スポロゾイトはその後、中腸から唾液腺へと移動し、次の吸血を待ち、これによりマラリア原虫のライフサイクルが完成する。





マラリアの治療薬としては、クロロキン、キニーネ、ピリメサン、メバロキン、プリマキンなどの抗マラリア薬が使用されている。マラリアのワクチンは、原虫の抗原が変化することなどから、その開発は困難であるといわれている。近年、原虫の抗原を遺伝子工学的に生産することにより、マラリアに対するワクチンを開発する試みなども行われているが、実用化されたものは未だない。





一方、人工染色体は、細胞内で人工的に構築した極小の染色体で、宿主の細胞染色体とは独立に存在できる染色体である。直鎖状の人工染色体は、(i)染色体DNAの複製を開始させる「複製起点」、(ii)細胞分裂期における染色体の均等分配に重要である「セントロメア」、(iii)染色体の末端構造の維持に必要な「テロメア」の三領域で構成され、環状の人工染色体は(i)複製起点、および(ii)セントロメアの二領域で構成することができる。これまでに、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC: Yeast artificial Chromosome)が開発され広く利用されている。最近では、ヒトや哺乳類細胞中で安定に分配・維持されるヒト人工染色体も開発されている。





人工染色体は宿主毎に、必要とされる三領域配列が異なるため、生物種単位で開発を行う必要があるが、マラリア原虫を宿主とする人工染色体は確立されていなかった。また、マラリア原虫に対する遺伝子操作技術にはプラスミド・ベクターを利用する方法も存在するが、本法では遺伝子組み換え原虫を獲得するまでに4~6ヶ月の時間を要する。さらに、通常のプラスミド・ベクターを用いると、ローリングサーキュラータイプの複製が起こることにより、プラスミドの異常なコピー数の増大が起こることが知られている(D. H. Williamson et al., Nucleic Acids Res., 30, 726-731(2002))。よって、迅速かつ簡便な遺伝子組み換えを行う方法として、「マラリア原虫に適用可能な人工染色体」の確立が切望されていた。

産業上の利用分野



本発明は、マラリア原虫人工染色体に関する。詳しくは、マラリア原虫人工染色体、組換えマラリア原虫の作製方法、およびマラリア原虫人工染色体の利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
宿主マラリア原虫由来のセントロメア領域およびテロメア領域を含む、マラリア原虫人工染色体であって、配列番号22の配列からなり、宿主マラリア原虫が熱帯熱マラリア原虫である、人工染色体。

【請求項2】
宿主マラリア原虫由来のセントロメア領域およびテロメア領域を含む、マラリア原虫人工染色体であって、配列番号33または配列番号34の配列からなり、宿主マラリア原虫がネズミマラリア原虫である、人工染色体。

【請求項3】
さらに外来遺伝子を含む、請求項1または2に記載の人工染色体。

【請求項4】
外来遺伝子が、薬剤耐性遺伝子、マーカータンパク質をコードする遺伝子、およびレポーター遺伝子から選ばれる1または2以上である、請求項3記載の人工染色体。

【請求項5】
外来遺伝子あるいはその制御領域の配列に、宿主と異なるマラリア原虫種由来の配列を含む、請求項3または4に記載の人工染色体。

【請求項6】
外来遺伝子あるいはその制御領域の配列としてネズミマラリア原虫由来の配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の人工染色体。

【請求項7】
環状人工染色体である、請求項1~6のいずれか1項に記載の人工染色体。

【請求項8】
直鎖状人工染色体である、請求項1~6のいずれか1項に記載の人工染色体。

【請求項9】
薬剤選択圧非存在下で安定的に維持されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の人工染色体。

【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の人工染色体を用いることを特徴とする、組換えマラリア原虫の作製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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