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立体映像呈示装置 コモンズ

国内特許コード P110002268
整理番号 WASEDA-1116
掲載日 2011年4月11日
出願番号 特願2010-179066
公開番号 特開2011-024226
登録番号 特許第4856775号
出願日 平成22年8月9日(2010.8.9)
公開日 平成23年2月3日(2011.2.3)
登録日 平成23年11月4日(2011.11.4)
発明者
  • 河合 隆史
出願人
  • 学校法人早稲田大学
発明の名称 立体映像呈示装置 コモンズ
発明の概要 【課題】 立体映像を自然かつ精緻に表現することができる立体映像呈示装置を提供すること。
【解決手段】 観察者の視界に同時に入る複数の画像呈示面21,31を備えた立体映像呈示装置10を構成し、これらの画像呈示面21,31の画像呈示方式を互いに異なる方式とし、複数種類の画像呈示方式を組み合わせて立体映像の呈示を行うようにした。例えば、前面(観察者の前方正面)に配置される画像呈示面21に、第1の画像呈示方式として、2眼式レンティキュラ方式を採用し、水平面に配置される画像呈示面31に、第2の画像呈示方式として、多眼式レンティキュラ方式を採用する。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


従来の立体映像は、観察者の前方に設置された画像呈示面に表示され、その前後に対象を再生することで奥行き感を演出していた。これに対し、画像呈示面を水平に設置し、その垂直方向に立体像を再生する水平表示型の立体映像は、通常の立体映像とは異なり、「高さ」の表現が可能である。本願の発明者らは、1993年より立体映像の水平表示に注目した研究開発を行い、特許出願(特許文献1参照)や医学教育分野への応用等(例えば、非特許文献1,2参照)に取り組んできた。



ところで、画像呈示面を水平に、すなわち地面と平行に設置し、立体映像を斜め上方から観察する場合には、観察者の視点を想定し、呈示面全域の視差量の平均が0になるように調整したり、台形補正によりパースペクティブ(Perspective)を変化させる等、適正な立体像が再生されるように視差量を設定する必要がある。また、この視差量の設定方法、特にパースペクティブを変化させる方法については、国内外で幾つかの提案がなされている(特許文献2~6参照)。



例えば、図12および図13に示すように、水平面900上に描かれた被写体としての正方形901について、左眼用および右眼用の実写カメラ902,903を用いて平行法により撮影を行うものとする。ここで、左右の実写カメラ902,903の各撮像面904,905は、図示の如く、通常、カメラの撮影方向(レンズの光軸方向)に対して直角に配置されているので、これらの撮像面904,905で撮像される画像は、これらの撮像面904,905と平行な面、つまりカメラの撮影方向に対して直角な投影面906に投影された状態の画像となり、被写体の存在する空間においては、水平面ではなく、斜めの面が投影面906となる。従って、正方形901は、図13に示すように、左眼用画像および右眼用画像において、高さが縮み、かつ、左右方向に歪んだ台形907,908の状態に写り、正方形901の遠方側の辺の左端のA点は、台形907,908のA1L点およびA1R点に写り、正方形901の中央のB点は、台形907,908のB1L点およびB1R点に写り、正方形901の近方側の辺の右端のC点は、台形907,908のC1L点およびC1R点に写る。



一般に、平行法で撮影すると、図12および図13に示すように、左眼用画像では、被写体が右側に写り、右眼用画像では、同一の被写体が左側に写るので、平行法で撮影された左眼用画像および右眼用画像を何らシフトすることなく同一の画像呈示面上で表示すると、左右の視線が交差になり、立体像が全体的に画像呈示面の手前側(観察者側)に再生される。従って、平行法で撮影した場合には、左眼用画像および右眼用画像を同側方向にシフトし、台形907のB1L点と台形908のB1R点とを一致させ、画像呈示面の全体的な視差量が0になるように調整する。



ところが、このように同側方向へのシフトで視差量を調整しても、撮影された左眼用画像および右眼用画像を、水平に設定された画像呈示面909で表示すると、これを観察者の左右の眼910で斜め上方から観察した場合には、実写カメラ902,903による撮影の場合と同様に、投影面911に投影された状態の画像が、観察者の眼910に映る。従って、観察者の左右の眼910に映る像は、図13に示すように、水平な画像呈示面909で表示された台形907,908が、より一層高さが縮み、かつ、より一層左右方向に歪んだ台形912,913の状態の像となる。



図13において、台形907のB1L点と台形908のB1R点とを一致させたときの台形907のA1L点と台形908のA1R点との視差量SA1、および台形907のC1L点と台形908のC1R点との視差量SC1が、適正な立体像を再生するための視差量であるとすると、台形912のB2L点と台形913のB2R点とを一致させたときの台形912のA2L点と台形913のA2R点との視差量SA2は、適正な視差量SA1に比べて同側方向のずれ量が大きくなっているので、適正な立体像を再生した場合に比べ、A点は、画像呈示面の奥側に再生されることになる。一方、台形912のB2L点と台形913のB2R点とを一致させたときの台形912のC2L点と台形913のC2R点との視差量SC2は、適正な視差量SC1に比べて交差方向のずれ量が大きくなっているので、適正な立体像を再生した場合に比べ、C点は、画像呈示面の手前側に再生されることになる。



以上のことを立体的な被写体で考えると、図14および図15のようになる。図14に示すように、水平面920から垂直に立ち上がった被写体である4角柱921を、左眼用および右眼用の実写カメラにより斜め上方から撮影すると、左右の実写カメラの各撮像面922,923で撮像された左眼用画像および右眼用画像には、図15に示すような高さの縮んだ4角柱924,925が写る。これは、前述した図13の台形907,908に相当するものである。そして、これらの高さの縮んだ4角柱924,925が写っている左眼用画像および右眼用画像を、水平に設置された画像呈示面で表示すると、前述した図13の場合と同様に、観察者の眼には、4角柱924,925の状態ではなく、4角柱924,925よりも、さらに高さの縮んだ4角柱が写る。これは、図13の台形912,913に相当するものである。従って、観察者の眼には、実際には水平面920から垂直に立ち上がっている4角柱921が、画像呈示面の奥側方向に倒れて見えることになる。



これを解消するためには、カメラで撮像された左眼用画像および右眼用画像についてパースペクティブを無くす補正処理(台形を矩形にする演算処理)を行ってから、水平に設置された画像呈示面で表示する必要がある。このようなパースペクティブを無くす補正処理を行うと、図15に示すように、高さの縮んだ4角柱924,925は、引き伸ばされるとともに上側の部分ほど幅を拡げられ、4角柱926,927の状態となる。この補正処理後の画像に写っている4角柱926,927は、図14に示すように、4角柱921を水平面20に投影した4角柱928,929に相当するものである。つまり、水平に設置された画像呈示面で表示する左眼用画像および右眼用画像は、水平面20に投影された画像と同じ状態にすれば、適正な立体像が得られることになる。



なお、実写カメラで撮影する場合のみならず、コンピュータ・グラフィクス画像生成用の仮想カメラを用いてレンダリング処理を行って生成されたコンピュータ・グラフィクス画像を、水平に設置された画像呈示面で表示する場合にも同様なことがいえる。



また、以上においては、平行法による撮影の場合を説明したが、一般に、図16に示すように交差法による撮影を行うと、図17に示すようなキーストーン(Keystone)ひずみが生じることが知られている(非特許文献3、p.108参照)。図16において、左眼用および右眼用の実写カメラ940,941で交差法により被写体942を撮影すると、左右の実写カメラ940,941の各撮像面943,944で撮像される左眼用画像および右眼用画像は、これらの撮像面943,944と平行な面、すなわちカメラの光軸と直交する投影面945,946に投影される画像となる。従って、これらの左眼用画像および右眼用画像を、図16中の二点鎖線で示すような観察者の前方に配置した画像呈示面947で立面表示すると、図17に示すように画像呈示面947の周辺部で左右の画像がひずんで垂直方向のズレ(垂直視差という。)を生じ、視覚的な負担の原因となる。なお、ここでは、画像呈示面が立面であるものとして説明を行ったが、画像呈示面を水平とし、被写体を上方から撮影すると考えても同様であり、交差法による撮影を行えば、水平な画像呈示面で呈示される立体映像にはキーストーンひずみが生じる。



一方、両眼視差を利用した立体映像の呈示方式は、様々なものが考案されているが、未だ完全なものはないのが現状である。例えば、立体映像の裸眼呈示で用いられるレンティキュラ方式(非特許文献3、p.76-77参照)では、2眼式では解像度は高くなるが視域が狭く、多眼式では視域は広くなるが解像度は低くなるという問題が生じる。



また、水平表示を含めた複数の画像呈示面を利用する立体映像呈示方式としては、前面(正面)および左右の側面での立面表示並びに床面での水平表示を行うようにした、イリノイ大学で発明されたCAVE(Cave Automatic Virtual Environment)がその代表といえるが、画像呈示方式は、液晶シャッタメガネを用いた時分割方式のみで実施されている、すなわち全ての画像呈示面で同一の画像呈示方式が採用されているのが現状である。

産業上の利用分野


本発明は、立体映像を呈示する立体映像呈示装置に係り、例えば、仏像等の文化財を立体的に表現して観察者に呈示する装置、観察者の動きや操作に応じて立体映像の呈示を行う双方向性を備えた娯楽装置、医学教育用の立体映像システム等に利用できる。

特許請求の範囲 【請求項1】
観察者の視界に同時に入る複数の画像呈示面を備え、
前記複数の画像呈示面のうちの少なくとも1つの画像呈示面は、コンピュータ・グラフィクス画像生成用の仮想カメラを用いてレンダリング処理を行うことにより生成されたコンピュータ・グラフィクス画像を、メガネを必要としない複数種類の画像呈示方式で切り替えて呈示可能な構成とされ、
この画像呈示方式切替用の画像呈示面に対する観察者の目または頭部の相対的な位置情報またはこれらの代替情報を検出する観察者位置検出手段と、
この観察者位置検出手段により検出された情報に基づき前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に対する前記観察者の目または頭部の相対位置に応じて画像呈示方式を切り替えてコンピュータ・グラフィクス画像を前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に表示する処理を行う画像表示処理手段とを備え
前記観察者の目または頭部の位置が前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に最も近い区画領域に入ったときに、前記複数の画像呈示面の各画像呈示方式の中に、メガネを必要としない複数種類の立体映像呈示方式が含まれる状態となることを特徴とする立体映像呈示装置。

【請求項2】
請求項に記載の立体映像呈示装置において、
前記画像呈示方式切替用の画像呈示面は、コンピュータ・グラフィクス画像生成用の仮想カメラを用いてリアルタイムでレンダリング処理を行うことにより生成されたコンピュータ・グラフィクス画像を呈示し、かつ、傾斜角度を変更可能な構成とされ、
コンピュータ・グラフィクス用のモデルに関する情報を記憶するモデル情報記憶手段と、
前記画像呈示方式切替用の画像呈示面を駆動して前記画像呈示方式切替用の画像呈示面の傾斜角度を変化させる画像呈示面駆動手段と、
前記観察者の目または頭部の位置が前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に2番目に近い区画領域に入ったときに、前記観察者位置検出手段により検出された情報に基づき前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に対する前記観察者の目または頭部の相対位置に応じて前記画像呈示方式切替用の画像呈示面の傾斜角度を変化させるための制御信号を生成して前記画像呈示面駆動手段へ送信する画像呈示面制御手段と、
前記画像呈示方式切替用の画像呈示面の傾斜角度を検出する画像呈示面角度検出手段と、
前記観察者の目または頭部の位置が前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に2番目に近い区画領域に入ったときに、前記画像呈示面角度検出手段による検出信号に基づき前記モデル情報記憶手段に記憶された前記モデルに関する情報を用いて前記仮想カメラの撮像面の傾斜角度パラメータを前記画像呈示方式切替用の画像呈示面の傾斜角度と一致または略一致させてレンダリング処理を行うことによりコンピュータ・グラフィクス画像を生成するコンピュータ・グラフィクス画像生成手段と、
このコンピュータ・グラフィクス画像生成手段により生成されたコンピュータ・グラフィクス画像を前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に表示する処理を行う画像表示処理手段と
を備えたことを特徴とする立体映像呈示装置。

【請求項3】
請求項に記載の立体映像呈示装置において、
前記画像呈示方式切替用の画像呈示面は、コンピュータ・グラフィクス画像生成用の仮想カメラを用いてリアルタイムでレンダリング処理を行うことにより生成されたコンピュータ・グラフィクス画像を呈示し、かつ、傾斜角度を変更可能な構成とされ、
コンピュータ・グラフィクス用のモデルに関する情報を記憶するモデル情報記憶手段と、
前記画像呈示方式切替用の画像呈示面を駆動して前記画像呈示方式切替用の画像呈示面の傾斜角度を変化させる画像呈示面駆動手段と、
前記観察者の目または頭部の位置が前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に2番目に近い区画領域に入ったときに、前記観察者位置検出手段により検出された情報に基づき前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に対する前記観察者の目または頭部の相対位置に応じて前記画像呈示方式切替用の画像呈示面の傾斜角度を変化させるための制御信号を生成して前記画像呈示面駆動手段へ送信する画像呈示面制御手段と、
前記観察者の目または頭部の位置が前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に2番目に近い区画領域に入ったときに、前記観察者位置検出手段により検出された情報に基づき前記モデル情報記憶手段に記憶された前記モデルに関する情報を用いて前記仮想カメラの撮像面の傾斜角度パラメータを前記画像呈示面の傾斜角度と一致または略一致させてレンダリング処理を行うことによりコンピュータ・グラフィクス画像を生成するコンピュータ・グラフィクス画像生成手段と、
このコンピュータ・グラフィクス画像生成手段により生成されたコンピュータ・グラフィクス画像を前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に表示する処理を行う画像表示処理手段と
を備えたことを特徴とする立体映像呈示装置。

【請求項4】
請求項2または3に記載の立体映像呈示装置において、
前記観察者の目または頭部の位置が前記画像呈示方式切替用の画像呈示面から最も遠い区画領域に入っているときには、前記画像呈示方式切替用の画像呈示面は、鉛直方向に配置され、かつ、レンダリング処理を行うことにより生成された平面視のコンピュータ・グラフィクス画像を平面映像呈示方式で呈示し、
前記観察者の目または頭部の位置が前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に3番目に近い区画領域に入ったときには、前記画像呈示方式切替用の画像呈示面は、鉛直方向に配置され、かつ、多眼式レンティキュラ方式で立体映像を呈示し、
前記観察者の目または頭部の位置が前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に2番目に近い区画領域に入ったときには、前記画像呈示方式切替用の画像呈示面は、前記観察者の目または頭部の位置が近づくにつれて前記観察者から見て奥方向に倒れていき、かつ、多眼式レンティキュラ方式で立体映像を呈示し、
前記観察者の目または頭部の位置が前記画像呈示方式切替用の画像呈示面に最も近い区画領域に入ったときには、前記画像呈示方式切替用の画像呈示面は、水平方向に配置され、かつ、多眼式レンティキュラ方式で立体映像を呈示するとともに、前記複数の画像呈示面のうちの別の画像呈示面は、鉛直方向に配置され、かつ、2眼式レンティキュラ方式で立体映像を呈示する構成とされていることを特徴とする立体映像呈示装置。
国際特許分類(IPC)
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