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ガンの中性子捕捉療法を可能とする架橋型ホウ素内包ミセル UPDATE

国内特許コード P110002289
整理番号 S2009-1167-N0
掲載日 2011年4月11日
出願番号 特願2009-217359
公開番号 特開2011-063562
登録番号 特許第5522361号
出願日 平成21年9月18日(2009.9.18)
公開日 平成23年3月31日(2011.3.31)
登録日 平成26年4月18日(2014.4.18)
発明者
  • 長崎 幸夫
  • 角谷 省吾
  • 大石 基
出願人
  • 国立大学法人 筑波大学
発明の名称 ガンの中性子捕捉療法を可能とする架橋型ホウ素内包ミセル UPDATE
発明の概要 【課題】生体環境下で安定な高分子ミセルとして存在できる、ホウ素化合物と親-疎水型ブロックコポリマーのポリマーコンジュゲートの提供。
【解決手段】ポリマーコンジュゲートは、1分子のホウ素化合物が2分子の親-疎水型ブロックコポリマーと共有結合を介して架橋した構造を少なくとも1つは含んでなり、かつ、該ホウ素化合物は重合性官能基を2つ有する二官能性であり、該親-疎水型ブロックコポリマーはその疎水性ブロックの末端に重合性官能基を有し、上記共有結合は該ホウ素化合物の重合性官能基と該ブロックコポリマーの重合性官能基相互の重合反応により形成されたものである。該ホウ素化合物は下記式で表される。



式中●はBHを表し、L3は、メチレン結合など、Zは、重合性官能基を表す。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



ホウ素中性子捕捉療法は10B核と熱中性子線の捕捉反応によって生じるα粒子およびLi粒子によってガン組織を殺傷する、放射線療法の一形態である。これらの飛程は細胞1つ分(数μm)であるため、ガン組織にホウ素を高濃度で集積させることができれば、正常組織の損傷を最小限にしながらガン組織を選択的に殺傷することが可能となる。





従来ガン組織へ高濃度でホウ素を集積させる技術として、表面をポリエチレングリコール(PEG)で被覆したリポソームにボロカプテイト(BSH)やパラボロノフェニルアラニン(BPA)などの親水性ホウ素化合物を封入する手法が用いられている(非特許文献1参照)。しかしながら、これらの方法では高濃度でホウ素化合物を封入した場合、親水層のイオン浸透圧によって二重膜の不安定化、リポソームの崩壊、ホウ素化合物の漏れ出しが引き起こされる。これによって正常組織へのホウ素の集積や治療効果の低減が大きな問題となっている。これらの問題を解決するため、脂質と疎水性ホウ素化合物を共有結合によって結合させ、リン脂質二重膜内にホウ素化合物を取り込ませる技術も開発されているが、多段階かつ複雑な合成を必要するため、効率やコスト面から問題が多い。また動物実験において急性毒性が数例報告されており、安全面においても問題がある(非特許文献2)。さらにリポソームは凍結乾燥処理を行うと水へ再分散させることが非常に困難であり、製剤化を目指す上で問題となる。





他方、ホウ素リッチの化合物を提供するために適当な官能基によりパラ-カルボラン(para-carborane)を修飾し、該官能化カルボランをデンドリマーのフレーム構造中に共有結合せしめた化合物や、重合性カルボラン含有モノマーを重合せしめた線状ブロックコポリマーが提案されている(非特許文献3)。また、カルボラン機能化スチレンモノマーの重合、次いで、該カルボラン上でのデンドリマーを成長せしめたポリマー(非特許文献4)、さらには、シリル保護オキソノルボルネンイミドカルボランとBoc保護オキソノルボルネンイミドアミンのコポリマーも提案されている(非特許文献5)。該コポリマーは、低多分散性であり、荷電状態の親水性ブロックがコロナを構成しそしてカルボラン含有ブロックがコアを構成する流体力学的平均半径41nmの高分子ミセルの形成することが示唆されている。しかし、これらは血流中でカルボランが漏出することおよびブロックの解離によるミセルの崩壊が起こり易い。

産業上の利用分野



本発明は、体内のガン組織にホウ素化合物を集積させることのできる架橋型ホウ素内包ミセル及び該ミセルを形成できるホウ素化合物とポリマーのコンジュゲートに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
水中で高分子ミセルとして存在できる、ホウ素化合物と親水-疎水型ブロックコポリマーのポリマーコンジュゲートであって、
該ポリマーコンジュゲートは、1分子のホウ素化合物が2分子の親水-疎水型ブロックコポリマーと共有結合を介して架橋した構造を少なくとも1つは含んでなり、かつ、
該ホウ素化合物は、式(Ia)、(Ib)または(Ic)
式中
【化1】


● はBHを表し、
各Zは、独立して、クロトニル、アクリロイル、メタクリロイル、ビニルカルボニルオキシエチル、イソプロペニルカルボニルオキシエチル、クロチル、ビニルカルボニルアミノ、イソプロペニルカルボニルアミノ、p-ビニルベンジル、p-イソプロペニルフェニル、ビニルジメチルシリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリル及びビニルからなる群より選ばれる化合物に由来する重合性官能基を表し、
各L3は、独立してメチレン結合、フェニレン結合、C1-C10アルキレンフェニレン結合、エステル結合,アミド結合、ーボネート結合、尿素結合及びウレタン結合からなる群より選ばれ、そして
各pは、独立して1乃至10の整数である、
で表されるカルボラン誘導体であり、かつ、
該親水-疎水型ブロックコポリマーはその疎水性ブロック末端に重合性官能基を有し、
親水性ブロックが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ[(2-ヒドロキシ)プロピルアクリルアミド]、ポリオキサゾリン及びポリ(メチルビニールエーテル)からなる群より選ばれるポリマーに由来するポリマー鎖であり、かつ、各ポリマー鎖を構成するモノマーの反復単位は整数3~1000の範囲内にあり、
疎水性ブロックが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ブチロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(α-アミノ酸)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸エチル)、ポリ(スチレン)、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ(クロロメチルスチレン)、ポリ(イソプレン)、ポリ(ブタジエン)、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)及びポリ酢酸ビニルからなる群より選ばれるポリマーに由来するポリマー鎖であり、かつ、各ポリマー鎖を構成するモノマーの反復単位は整数5~1000の範囲内にあり、
疎水性ブロック末端に有する重合性官能基が、クロトニル、アクリロイル、メタクリロイル、ビニルカルボニルオキシエチル、イソプロペニルカルボニルオキシエチル、クロチル、ビニルカルボニルアミノ、イソプロペニルカルボニルアミノ、p-ビニルベンジル、p-イソプロペニルフェニル、ビニルジメチルシリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリル及びビニルからなる群より選ばれる
ことを特徴とする、上記コンジュゲート。

【請求項2】
請求項1記載のポリマーコンジュゲートであって、該コンジュゲートから形成される高分子ミセルが37℃の10%血清存在下の水溶液でホウ素化合物を放出しない、上記ポリマーコンジュゲート。

【請求項3】
請求項1または2記載のポリマーコンジュゲートであって、該親水-疎水型ブロックコポリマーの親水性ブロックポリ(エチレングリコール)であり、そして疎水性ブロックがポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)及びポリ(アミノ酸)からなる群より選ばれる、上記コンジュゲート。

【請求項4】
請求項1または2記載のポリマーコンジュゲートであって、該親水-疎水型ブロックコポリマーが、ポリ(エチレングリコール)のポリマー鎖を親水性ブロックとして含み、ポリ(ラクチド)のポリマー鎖を疎水性ブロックとして含み、かつ、該親水性ブロックの末端にアセタール基が導入されたものである、上記コンジュゲート。

【請求項5】
請求項1に記載のポリマーコンジュゲートの製造方法であって、疎水性ポリマーセグメントの末端に重合性官能基を有する親水-疎水型ブロックコポリマーを水中でミセル化する工程、重合性官能基を2つ有する疎水性のホウ素化合物を該ミセルの内核に内包させる工程、次いで該ブロックコポリマーと該ホウ素化合物を重合させることにより架橋させる工程を含んでなり、かつ、
該親水-疎水型ブロックコポリマーが
a)ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ[(2-ヒドロキシ)プロピルアクリルアミド]、ポリオキサゾリン及びポリ(メチルビニールエーテル)からなる群より選ばれるポリマーに由来するポリマー鎖であり、かつ、各ポリマー鎖を構成するモノマーの反復単位が整数3~1000の範囲内にある親水性ブロックと
b)ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ブチロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(α-アミノ酸)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸エチル)、ポリ(スチレン)、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ(クロロメチルスチレン)、ポリ(イソプレン)、ポリ(ブタジエン)、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)及びポリ酢酸ビニルからなる群より選ばれるポリマーに由来するポリマー鎖であり、各ポリマーを構成するモノマーの反復単位は整数5~1000の範囲内にある疎水性ブロックを
含み、
疎水性ブロック末端に有する重合性官能基が、クロトニル、アクリロイル、メタクリロイル、ビニルカルボニルオキシエチル、イソプロペニルカルボニルオキシエチル、クロチル、ビニルカルボニルアミノ、イソプロペニルカルボニルアミノ、p-ビニルベンジル、p-イソプロペニルフェニル、ビニルジメチルシリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリル及びビニルからなる群より選ばれ、
該ホウ素化合物が、式(Ia)、(Ib)または(Ic)
式中
【化2】


● はBHを表し、
各Zは、独立して、クロトニル、アクリロイル、メタクリロイル、ビニルカルボニルオキシエチル、イソプロペニルカルボニルオキシエチル、クロチル、ビニルカルボニルアミノ、イソプロペニルカルボニルアミノ、p-ビニルベンジル、p-イソプロペニルフェニル、ビニルジメチルシリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリル及びビニルからなる群より選ばれる化合物に由来する重合性官能基を表し、
各L3は、独立してメチレン結合、フェニレン結合、C1-C10アルキレンフェニレン結合、エステル結合,アミド結合、ーボネート結合、尿素結合及びウレタン結合からなる群より選ばれ、そして
各pは、独立して1乃至10の整数である、
で表されるカルボラン誘導体である、
ことを特徴とする、上記製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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