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PNH型白血球の検出方法

国内特許コード P110002308
整理番号 2011-002
掲載日 2011年4月12日
出願番号 特願2010-275878
公開番号 特開2012-122954
登録番号 特許第5791095号
出願日 平成22年12月10日(2010.12.10)
公開日 平成24年6月28日(2012.6.28)
登録日 平成27年8月14日(2015.8.14)
発明者
  • 中尾 眞二
  • 杉盛 千春
  • 片桐 孝和
  • 清木 ゆう
  • 杉森 尚美
  • 山▲崎▼ 宏人
  • 細川 晃平
出願人
  • 国立大学法人金沢大学
発明の名称 PNH型白血球の検出方法
発明の概要 【課題】PNH型白血球を検出すること。
【解決手段】本発明は生体試料中のPNH型血球、特にPNH型白血球を検出する方法を提供する。また本発明は、生体試料中のPNH型白血球を検出する工程を含む、骨髄不全症候群の検査方法を提供する。本発明の方法は、多彩な病態を持つ骨髄不全症候群の中で、特に免疫病態の存在を正確に検出することができる極めて有用な方法である。それゆえ免疫抑制療法のみでも改善しうる骨髄不全に対して、不用意に不適切な治療を行うことが避けられるので、臨床分野において極めて利用価値が高い。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


骨髄不全とは、血球減少を呈する疾患のうち、その原因が血球の破壊の亢進や、骨髄の占拠性病変による二次的な造血障害ではなく、造血幹細胞の量的・質的異常のために血球産生が持続的に減少した状態のことをいう。骨髄不全には、薬剤性再生不良性貧血(aplastic anemia、AA)などの二次性造血障害のほか、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome、MDS)、不応性貧血(refractory anemia、RA)、発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria、PNH)などの特発性の造血障害が含まれる。これらの疾患は互いの境界が必ずしも明瞭ではなく、相互に移行することがある。またこれらの疾患には、自己免疫障害による造血障害と造血幹細胞自身の異常による造血障害とが混在しており、骨髄不全はこれらを総称して骨髄不全症候群と総称される場合もある。



ところで骨髄不全に対するプライマリーケアにおいてもっとも重要なポイントは、免疫抑制療法のみでも改善する可能性の高い骨髄不全に対して、不用意に毒性の強い治療をしないことである。そのためには骨髄不全の患者や骨髄不全疑いの患者において、予め免疫病態を正確に診断する必要がある。すなわち臨床の現場においては、(1)自己免疫的障害による骨髄不全;つまり免疫抑制療法を中心とする薬物療法によって治療可能な骨髄不全と(2)薬物療法では治療できない;すなわち造血幹細胞自身の異常による造血障害であり、造血幹細胞移植を必要とする骨髄不全とを正しく鑑別することが重要であり、この判別を正確に行うことができる方法が求められている。



骨髄不全における免疫病態の診断方法のうち、最も簡便で信頼のおける検査は末梢血におけるPNH形質の血球(PNH型血球)の検出である。PNH型血球とはGPI(Glycosylphosphatidylinositol)アンカー型膜蛋白質を欠く血球であり、これらはPIGA遺伝子に突然変異を来した異常造血幹細胞に由来する。
PNH型の異常血球は健常者の末梢血中にもごくわずかに存在するが、正常の造血幹細胞に比べて増殖能が高いわけではないので、一定の割合(0.003%)以上に増えることはない(非特許文献1)。一方で正常造血幹細胞に対する免疫学的な障害が存在する環境においては、PNH型の幹細胞は正常幹細胞に比べてT細胞による障害を受けにくいため、PNH型血球が相対的に増加すると考えられている。



PNH型血球陽性のAAは、陰性のAAに比べてATG・シクロスポリン併用療法の奏効率が有意に高く、また長期予後も良好であることが示されている(非特許文献2)。またPNH血球増加RAの患者においては、非増加RAの患者に比べてシクロスポリン療法の奏効率が高く、白血病への移行率が低い傾向が認められる(非特許文献3)。すなわちPNH型血球は、自己免疫障害による骨髄不全症例に限って発現していることが理解できる。
以上のことから、RAやAAといった骨髄不全症例において治療方針を決定する上で、PNH型血球の検出を臨床前段階において正確に行うことは極めて重要であることがわかる。



PNH型血球の有無は、通常、血算に用いられる残りの血液などを用い、血球表面抗原をフローサイトメトリーの手法で検出することによって容易に判別することができる。しかしながら現在一般的に行われている、血球表面抗原に対する抗体を用いたフローサイトメトリーによる血球の検査方法(以下、「従来法」と記載)では、0.01%未満のPNH型血球を正確に検出することは極めて困難である。これは、当業者であれば誰でも0.01%未満という超微量なPNH型血球を検出可能なわけではなく、PNH型血球の検出には高いレベルでフローサイトメトリーに習熟していることが必要であるからである。特に抗体を使用する以上、フローサイトメトリーには非特異的なノイズが生じるため、僅かなPNH型血球のシグナルに対する当該ノイズを除去すべく、本来のPNH型血球のシグナルと当該ノイズとを主観的かつ経験的な判断に基づいて区別しなければならないという問題点もあった。



AA患者を対象としてPNH型血球を従来法で検出した海外の報告では、PNH型血球の増加がみられる例の割合は30%前後と低率であることが開示されている(非特許文献4)。しかしながら、これらの報告ではPNH型血球検出の特異性が低いため、健常者でも1%までのPNH型血球が検出されており、さらにPNH型血球が増加しているAA患者と健常者との間には明確な境界が示されていない。このような特異性の低さが、PNH型血球の増加が30%前後のAA患者にしか認められなかった原因であった。



以前本発明者らは、FITCでラベルした抗CD55抗体・抗CD59抗体と、PEでラベルした抗CD11b抗体(顆粒球用)または抗グリコフォリンA抗体(赤血球用)を用いて、細胞のゲーティングを工夫すれば、健常者におけるPNH型血球の割合とAA等のPNH増加例におけるPNH型血球の割合との境界を、0.003%まで下げることが可能であることを開示している(非特許文献2)。この方法(以下、「高感度法」と記載)は従来法と比して特異性・感度が高いため、再生不良性貧血患者の6割においてPNH型血球の増加を検出することができた。しかしこの方法では、調べる血球の種類に応じて異なる抗体を用いる必要があるため、多種類の血球系統でPNH型血球を検出するのが煩雑であった。さらに、採血から時間が経った検体では、血球に対する抗体の結合性が低下するため、真のPNH型血球だけを算定するためには、習熟した担当者による主観的かつ経験的な判断が必要であった。そのため、フローサイトメトリーに習熟していない者であっても、正確かつ迅速にどの系統の血球であってもPNH型血球を検出できる方法が求められていた。

産業上の利用分野


本発明は、PNH型白血球の検出方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
FLAERおよび少なくとも1種の抗白血球表面抗原抗体を用いてフローサイトメトリーを行うことを含む、PNH型白血球の検出方法であって、フローサイトメトリーにおける波形処理がデジタル化され、少なくとも1種の抗白血球表面抗原抗体が抗CD11b抗体を含み、PNH型白血球がPNH型顆粒球である方法。

【請求項2】
PNH型顆粒球以外のPNH型白血球をPNH型顆粒球と同時に検出することを特徴とする、請求項1記載の方法。

【請求項3】
抗白血球表面抗原抗体として、抗CD11b抗体、抗CD33抗体、抗CD45抗体及び抗CD3抗体を含む、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法によってPNH型白血球を検出することを含む、骨髄不全症候群の検査方法。

【請求項5】
以下(1)~(7)の操作を行うことを含む、波形処理がデジタル化されるフローサイトメーターを用いて、PNH型顆粒球を検出する方法であって、血球懸濁液を波形処理がデジタル化されるフローサイトメーターに付し、以下(1)~(7)の操作を行うことを含む方法:
(1)前方散乱光パルス面積(FSC-A側方散乱光パルス面積(SSC-Aで展開し、顆粒球、単球、リンパ球からなる白血球領域にゲーティングする
(2)前方散乱光パルス幅(FSC-W前方散乱光パルス高(FSC-Hで展開し、電気信号的に細胞集団から著しくずれている細胞を除外するようゲーティングする
(3)側方散乱光パルス幅(SSC-W側方散乱光パルス高(SSC-Hで展開し、電気信号的に細胞集団から著しくずれている細胞を除外するようゲーティングする
(4)7-AAD陽性細胞を除外するようゲーティングする
(5)細胞構造の複雑性と大きさから類推される顆粒球領域にCD45およびSSC-Aでゲーティングする
(6)CD11b強陽性細胞にゲーティングする、及び、
(7)(1)~(6)により導きだされた細胞群におけるFLAER発現を、縦軸にCD11bを横軸にFLAERをとってヒストグラムを展開し、Upper Left(UL)領域の細胞数を確認することにより解析する
ここで、該血球懸濁液は、FLAER抗体、抗CD11b抗体及び抗CD45抗体を含む抗白血球表面抗原抗体並びに7-アミノアクチノマイシン(7-AAD)で処理されている

【請求項6】
請求項5に記載の方法により検出されたPNH型顆粒球の有意増加値が0.003%以上と定義される、骨髄不全症候群の検出方法。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 登録
(有)金沢大学ティ・エル・オーは、金沢大学の研究者の出願特許を産業界へ技術移転することを主目的として、金沢大学の教官の出資により設立された技術移転機関です。
ご興味のある方は、下記「問合せ先」へ整理番号と共にご連絡願います。
なお、既に活用のお申し込み・お打合わせ等の段階に入っている場合もございますので、予めご承知おきください。


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