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組換え型ポリペプチドの製造方法

国内特許コード P110002342
整理番号 S2009-0668-N0
掲載日 2011年4月13日
出願番号 特願2009-117036
公開番号 特開2009-297022
登録番号 特許第5733693号
出願日 平成21年5月13日(2009.5.13)
公開日 平成21年12月24日(2009.12.24)
登録日 平成27年4月24日(2015.4.24)
優先権データ
  • 特願2008-126612 (2008.5.14) JP
発明者
  • 熊谷 泉
  • 浅野 竜太郎
  • 中西 猛
  • 梅津 光央
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 組換え型ポリペプチドの製造方法
発明の概要 【課題】大腸菌等の宿主において、不溶性画分として産生された組換えポリペプチドについて、その生物活性を高い効率で回復させ、更に天然には無い優れた性質を付与する方法を提供する。
【解決手段】大腸菌等の遺伝子組換え細胞により産生されるポリペプチドの製造において、巻き戻し前のポリペプチド、巻き戻し後に形成されるポリペプチドの可溶性凝集体若しくは不溶性凝集体、又は、段階的透析過程におけるポリペプチドの巻き戻し中間体のいずれかをポリエチレングリコール等で化学修飾する、組換えポリペプチドの製造方法。
【選択図】図8
従来技術、競合技術の概要


ヒト由来の生理活性を有するポリペプチド等の生体分子を有効成分(活性成分)として含有するヒト生物製剤は、多くの疾病に対する治療薬や診断薬への応用が期待されている。これらの臨床応用を目指す研究に利用するため、天然のヒト生物製剤に換えて、遺伝子工学を応用して、動物細胞を利用した組換え型生物製剤の作製が可能となっている。また、ヒト生物製剤の生物活性をより高めること、あるいは、その反応性の選択性を増すこと、更には、安価な製造を目的とし、天然のヒト型ポリペプチドのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する、あるいはその一部を有するポリペプチド分子を、大腸菌等の原核細胞に代表される微生物を用いて組換え型ポリペプチド分子として生産する発現系が多く報告されている。



このような微生物を用いる発現系による組換え型ポリペプチド分子の製造方法は、不純物の混入もなく、医療用途、あるいは、免疫医学研究の用途に適するものである。



しかしながら、このような従来の発現系においても、組換え型ポリペプチドの種類に依っては、必ずしもその生産性は高くなく、あるいは、生物活性が損なわれた細胞質封入体の形成がしばしば見られる。例えば、大腸菌を用いた分泌発現系においては、例えば、発現された組換え型ポリペプチド分子のペリプラズム域への移行、不溶性のアグリゲーションの形成に至らない事例も数少なくない。又、ペリプラズム域へは移行されても、不溶性のアグリゲーションを形成する事例が大半であると報告されている(非特許文献1)。



他方、分泌発現に換えて、宿主大腸菌菌体内において、不溶性画分に含まれる細胞質封入体から組換え型ポリペプチド分子を回収し、これらポリペプチドの可溶化とその後の巻き戻しにより、適正な構造をとるポリペプチド分子に再生する手法も提案されている(非特許文献2)。この方法でも、巻き戻しにより、適正な構造を再構成する段階の効率は必ずしも高くなく、十分に高い巻き戻し効率が再現性よく達成できる水準にはない。例えば、水に可溶であるが非天然型構造を有する多量体である蛋白質可溶性凝集体が形成されることが多い。加えて、汎用性のある巻き戻し条件の確立はなされていない。そのため、微生物を用いる発現系を利用する組換え生物製剤分子の生産は極く限られた範囲でしか応用できないのが現状である。



従って、遺伝子組換え微生物を利用する発現系を用い、組換え型ポリペプチド分子等を含む生物製剤を、高い生産性で製造する新たな方法が待望されている。特に、微生物を利用する発現系においてしばしば見られる、不溶性の凝集体を形成し、生物活性が損なわれた組換え型ポリペプチド分子を可溶化した後、巻き戻して、その生物活性を高い効率で回復させる方法の開発が望まれている。



因みに、すでに、"天然構造"に巻き戻っており、かつ活性を有している蛋白質をポリエチレングリコール(PEG)化することによって、体内半減期の延長、溶解度と分散性が向上することは既に知られている(非特許文献3及び4)。



更に、特許文献1には、組換え宿主細胞から産生される抗体ペプチドを巻き戻す際に、所定量の酸化型グルタチオンを添加した液に対して透析を行うことを特徴とする発明が記載されている。又、特許文献2には、組換え型アルギニンデイミナーゼのリフォールディングの再に、溶液中のカリウムイオンを所定濃度に調整する方法が記載されている。

産業上の利用分野


本発明は、組換え型ポリペプチドの製造方法に関し、特に、大腸菌等の原核細胞を宿主に用いる遺伝子組換えにより産生される組換え型ペプチドの製造方法に関する。より具体的には、本発明は、宿主大腸菌菌体内に不溶性画分として産生されたポリペプチドを、可溶化・巻き戻し操作を施し、そのポリペプチドの生物活性を高い効率で回復させ、本来の反応性を持つ組換え型ポリペプチドを製造する方法、及び、こうして製造された組換え型ポリペプチドを有効成分として含有する生物製剤等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
遺伝子組換え細胞により産生されるポリペプチドを可溶化し、精製し、得られたポリペプチド溶液の段階的透析により巻き戻しを行なうことを含む、生物活性を有するポリペプチドを製造する方法であって、該ポリペプチドが抗体分子又はそれを構成する一部であり、巻き戻し後に形成されるポリペプチドの可溶性凝集体若しくは不溶性凝集体、又は、段階的透析過程におけるポリペプチドの巻き戻し中間体のいずれかをポリエチレングリコール(PEG)により化学修飾することを特徴とする、前記製造方法。

【請求項2】
リエチレングリコール(PEG)がポリペプチドのC末端に付加されたシステイン残基を修飾することを特徴とする、請求項1記載の製造方法

【請求項3】
ポリエチレングリコール(PEG)の分子量が20kDa又は5kDaであることを特徴とする、請求項1又は2記載の製造方法

【請求項4】
ポリペプチドに塩酸グアニジンを作用させることで可溶化を行ない、段階的透析の開始時におけるポリペプチド溶液の塩酸グアニジン濃度が3 Mより大であり、終了時における塩酸グアニジン濃度が0 Mであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項5】
段階的透析におけるポリペプチド溶液の塩酸グアニジン濃度が3 M以下の段階において、ポリペプチドの巻き戻し中間体を化学修飾することを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。

【請求項6】
段階的透析におけるポリペプチド溶液の塩酸グアニジン濃度が2 M以下の段階において、ポリペプチドの巻き戻し中間体を化学修飾することを特徴とする、請求項5記載の製造方法。

【請求項7】
段階的透析におけるポリペプチド溶液の塩酸グアニジン濃度が0.5 M以下の段階において、ポリペプチドの巻き戻し中間体を化学修飾することを特徴とする、請求項6記載の製造方法。

【請求項8】
透析外液に所定量のL-アルギニンを添加することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項9】
ポリペプチドが1本鎖抗体(ScFv)若しくはその誘導体又は二重特異性抗体であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項10】
二重特異性抗体がダイアボディ型又はタンデム型であることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法

【請求項11】
遺伝子組換え細胞により産生されるポリペプチドが不溶性の細胞質封入体を形成していることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項12】
遺伝子組換え細胞が大腸菌であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項13】
ポリペプチドがヒト由来であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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