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不活性炭化水素の水酸化方法およびダミー分子

国内特許コード P110002364
整理番号 NU-0400
掲載日 2011年4月13日
出願番号 特願2010-164828
公開番号 特開2012-024009
登録番号 特許第5761548号
出願日 平成22年7月22日(2010.7.22)
公開日 平成24年2月9日(2012.2.9)
登録日 平成27年6月19日(2015.6.19)
発明者
  • 渡辺 芳人
  • 荘司 長三
  • 川上 了史
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 不活性炭化水素の水酸化方法およびダミー分子
発明の概要 【課題】シトクロムP450モノオキシゲナーゼを用いて不活性炭化水素を工業的に水酸化できる方法を提供すること。
【解決手段】シトクロムP450モノオキシゲナーゼと、ダミー分子と、不活性炭化水素とを共存させて、不活性炭化水素を水酸化する。ダミー分子としては、シトクロムP450モノオキシゲナーゼの結合部位に結合可能な末端構造と、アルキル鎖と、を持ち、アルキル鎖に含まれる少なくとも一部の水素がフッ素で置換されているものを用いる。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


細菌由来の酵素であるシトクロムP450は、真核生物由来のシトクロムP450に比べて高い触媒活性を持つことが知られている。細菌由来のシトクロムP450として、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来のシトクロムP450camや、バチルス属菌細菌の一種であるBacillus megaterium由来のシトクロムP450BM3等の、シトクロムP450モノオキシゲナーゼが知られている。



例えば、シトクロムP450camは、樟脳(カンファー)の水酸化反応を、毎分1000回転を超える速さで触媒することができる。この触媒活性は、哺乳類のP450の触媒活性(毎分数回から数十回転程度)と比較すると非常に高い。シトクロムP450BM3は、脂肪酸の末端から数えて1~3番目(ω-1~ω-3)のメチレン基の水酸化を触媒する。シトクロムP450BM3の触媒活性は毎分数千回転に達し、シトクロムP450BM3はシトクロムP450モノオキシゲナーゼとしては最大の活性を有する。



また、真核生物由来のP450は膜蛋白質であるため、水に対する親和性が著しく低い。これに対して上述したシトクロムP450モノオキシゲナーゼは、水に対する親和性が高く、酵素蛋白の精製、結晶化ならびに取り扱いが容易である。



また、シトクロムP450は、NADPHなどの電子供与体(以下、P450還元系と呼ぶ)と酸素とを用い、基質の水酸化を触媒する。単離したシトクロムP450の触媒活性を向上させるためには、P450還元系からP450への電子伝達を効率よく進行させる必要がある。上述したシトクロムP450BM3は、通常のシトクロムP450とは異なり、P450還元系の一部(シトクロムP450BM3ではFADおよびFMN)とP450とが融合して、1本のポリペプチドとして存在している。そして、P450還元系の一部とP450とが融合し非常に近接していることが、シトクロムP450モノオキシゲナーゼの優れた触媒活性の一つの要因となっている。換言すると、シトクロムP450BM3は融合蛋白であるため、非常に優れた触媒活性を示す。P450camは融合蛋白ではない。このため、P450camの触媒反応には、プチダレドキシン(Pdx)とプチダレドキシン還元酵素(PdR)とが必須である。しかしP450camもまた、上述したように優れた触媒活性を示す。



これらの理由により、シトクロムP450モノオキシゲナーゼは、バイオ触媒として適していると考えられる。



ところで、野生型のシトクロムP450の基質とならない物質、または、野生型のシトクロムP450によって水酸化され難い基質を水酸化するため、野生型のシトクロムP450を生産する細菌を形質転換して、これらの物質を基質とし得るシトクロムP450(以下、変異型シトクロムP450と呼ぶ)を発現させる技術が提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。



例えば、野生型のシトクロムP450モノオキシゲナーゼは、シクロヘキサン、プロパン、ベンゼン、エタン、メタン等の不活性炭化水素に対する触媒活性が非常に低い。しかし変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼであれば、これらの不活性炭化水素の水酸化を触媒できる可能性がある。



しかし、変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼを安価に量産するのは困難である。このため変異型シトクロムP450モノオキシゲナーゼは、不活性炭化水素を大量かつ継続的に(すなわち工業的に)水酸化するのには適していない問題があった。

産業上の利用分野


本発明は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼとダミー分子とを用いて不活性炭化水素を水酸化する方法、および、この水酸化方法に用いられるダミー分子に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼと、ダミー分子と、不活性炭化水素とを共存させて、該不活性炭化水素を水酸化する工程を含み、
該ダミー分子は、該シトクロムP450モノオキシゲナーゼの結合部位に結合可能な末端構造と、アルキル鎖と、を持ち、
該アルキル鎖に含まれる少なくとも一部の水素がフッ素で置換されていることを特徴とする不活性炭化水素の水酸化方法。

【請求項2】
前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼは、シトクロムP450BM3のアミノ酸配列と40%以上の相同性を持つシトクロムP450モノオキシゲナーゼおよび/またはシトクロムP450camのアミノ酸配列と40%以上の相同性を持つシトクロムP450モノオキシゲナーゼである請求項1に記載の不活性炭化水素の水酸化方法。

【請求項3】
前記ダミー分子のなかで、少なくともアルキル鎖の末端から数えて1~3番目のアルキル基に含まれる水素は、フッ素で置換されている請求項1または請求項2に記載の不活性炭化水素の水酸化方法。

【請求項4】
前記末端構造は、水素末端、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基から選ばれる少なくとも一種である請求項1~請求項3の何れか一つに記載の不活性炭化水素の水酸化方法。

【請求項5】
前記不活性炭化水素は、シクロヘキサン、ブタン、プロパン、ベンゼンから選ばれる少なくとも一種である請求項1~請求項4の何れか一つに記載の不活性炭化水素の水酸化方法。

【請求項6】
前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼは、シトクロムP450BM3のアミノ酸配列と40%以上の相同性を持ち、
前記ダミー分子は、パーフルオロカルボン酸である請求項1~請求項5の何れか一つに記載の不活性炭化水素の水酸化方法。

【請求項7】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼおよび不活性炭化水素と共存させて、該不活性炭化水素を水酸化するためのダミー分子を含む組成物であって、
該シトクロムP450モノオキシゲナーゼの結合部位に結合可能な末端構造と、アルキル鎖と、を持ち、
該アルキル鎖に含まれる少なくとも一部の水素がフッ素で置換されていることを特徴とするダミー分子を含む組成物

【請求項8】
少なくともアルキル鎖の末端から数えて1~3番目のアルキル基に含まれる水素がフッ素で置換されている請求項7に記載のダミー分子を含む組成物

【請求項9】
前記末端構造は、水素末端、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基から選ばれる少なくとも一種である請求項7または請求項8に記載のダミー分子を含む組成物

【請求項10】
前記シトクロムP450モノオキシゲナーゼは、シトクロムP450BM3のアミノ酸配列と40%以上の相同性を持ち、
前記ダミー分子はパーフルオロカルボン酸である請求項7~請求項9の何れか一つに記載のダミー分子を含む組成物
産業区分
  • 微生物工業
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010164828thum.jpg
出願権利状態 登録
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