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軟骨細胞再分化誘導用基材およびこれを用いた軟骨細胞の製造方法

国内特許コード P110002372
整理番号 S2009-0780-N0
掲載日 2011年4月14日
出願番号 特願2009-226157
公開番号 特開2011-072241
登録番号 特許第5544635号
出願日 平成21年9月30日(2009.9.30)
公開日 平成23年4月14日(2011.4.14)
登録日 平成26年5月23日(2014.5.23)
発明者
  • グン 剣萍
  • 楊 晶晶
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
発明の名称 軟骨細胞再分化誘導用基材およびこれを用いた軟骨細胞の製造方法
発明の概要 【課題】 軟骨細胞が脱分化して得られる脱分化型軟骨細胞を軟骨細胞へ再分化誘導する軟骨細胞再分化誘導用基材および脱分化型軟骨細胞を軟骨細胞へ再分化誘導する因子を添加せずにこれを用いた軟骨細胞の製造方法を提供する。
【解決手段】 軟骨細胞が脱分化して得られる脱分化型軟骨細胞を軟骨細胞へ再分化誘導する軟骨細胞再分化誘導用基材であって、「(a)電荷を有する繰り返し単位からなる第一網目構造および電気的に中性な繰り返し単位からなる第二網目構造を有する相互侵入網目構造ハイドロゲル」、「(b)構成高分子の繰り返し単位総数に対し電荷を有する繰り返し単位数の割合が20%以下であり、かつ(a)を除くハイドロゲル」、「(c)(a)および(b)を除く電気的に中性なゲル」の、以上(a)、(b)および(c)から選ばれる1または2以上のゲルからなる。
【選択図】 図6
従来技術、競合技術の概要



軟骨組織は、軟骨細胞とこれを取り囲む基質からなる支持組織であり、骨相互間に生じる摩擦を緩和して衝撃を吸収する役割を果たしている。軟骨組織には血液やリンパ液が浸潤せず、再生力に乏しい組織であるため、一度損傷を受けると、約70%にもなる含水率が低下してその機能の維持が困難となり、変形性関節症(osteoarthritis;OA)が発症する。この変形性関節症が進行すると、軟骨の損傷、骨の露出、あるいは関節の変形などを生じることにより関節本来の滑らかな動きができなくなり、運動痛などを生じる他、可動域制限による起立制限や歩行制限を余儀なくされ、著しい患者のQOL(Quality of life)の低下をもたらしている。なお、我が国における変形性関節症の患者数は、自覚症状を有する患者数で約1000万人、X線診断による潜在的な患者数で約3000万人と推定されている。





軟骨組織の代表的な治療技術として人工関節置換術を挙げることができるが、人工関節は摩耗などにより10年以上の長期使用は困難である他、接着箇所の緩み、脱臼、感染症などを生じ得るため、適用の限界がある。そこで、自家培養軟骨細胞移植術により軟骨損傷部位を補い、修復して軟骨を再生させる再生医療の研究が盛んに行われている。すなわち、正常軟骨部位より軟骨組織を一部切り出して軟骨細胞を取り出し、取り出した軟骨細胞を適当な手法により培養して細胞数を相当量増殖させた後、元の患者の軟骨損傷部位に戻すことにより治癒を図るものである(非特許文献1)。





しかしながら、一般に軟骨細胞をin vitroで単層培養あるいは平板培養すると、いわゆる脱分化を生じ、軟骨細胞本来の形質を一部消失した脱分化型軟骨細胞となることが知られている。そこで、この脱分化型軟骨細胞を再分化させるため、様々な試みがなされており、例えば、アルギン酸ゲル中に脱分化型軟骨細胞を封入する方法(特許文献1)や、トランスフォーミング成長因子-βファミリー(TGF-β)などを含む無血清培地に骨形態形成タンパク質(BMP)を加えたものを用いて、低酸素条件下で脱分化型軟骨細胞を平板培養する方法(特許文献2)、ヒト自家血清を含むHEPES緩衝化細胞培地中に酸性コラーゲンを含む三次元ゲル状バイオマトリックスに脱分化型軟骨細胞を植え込んで立体培養する方法(特許文献3)、ポリ(シラン化ヒドロキシエチルセルロース)(PHEC)またはポリ(シラン化ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(PHPMC)からなる三次元ゲル状マトリックスに脱分化型軟骨細胞を植え込んで立体生体外培養する方法(特許文献4)、インスリン、BMP-2および甲状腺ホルモンであるトリヨードサイロニン(T3)を含む脱分化型軟骨細胞の軟骨細胞への再分化用培地(特許文献5)などが提案されている。

産業上の利用分野



本発明は、軟骨細胞が脱分化して得られる脱分化型軟骨細胞を軟骨細胞へ再分化誘導する軟骨細胞再分化誘導用基材およびこれを用いた軟骨細胞の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
軟骨細胞が脱分化して得られる脱分化型軟骨細胞を二次元培養により軟骨細胞へ再分化誘導する軟骨細胞再分化誘導用基材であって、以下の(a)、(b)および(c)から選ばれる1または2以上のゲルからなる、前記軟骨細胞再分化誘導用基材;
(a)電荷を有する繰り返し単位からなる第一網目構造および電気的に中性な繰り返し単位からなる第二網目構造を有する相互侵入網目構造ハイドロゲル、
(b)構成高分子の繰り返し単位総数に対し電荷を有する繰り返し単位数の割合が20%以下であり、かつ(a)を除くハイドロゲル、
(c)(a)および(b)を除く電気的に中性なゲル。

【請求項2】
構成高分子の繰り返し単位総数に対し電荷を有する繰り返し単位数の割合が20%以下であり、かつ(a)を除くハイドロゲルが、電気的に中性な繰り返し単位からなるハイドロゲルおよび/または電気的に中性な繰り返し単位と電荷を有する繰り返し単位とからなる共重合体であって、次式で表されるモル比(F)がF≦0.2のハイドロゲルよりなる群から選ばれる1または2以上のハイドロゲルである、請求項1に記載の軟骨細胞再分化誘導用基材;
F=[電荷を有する繰り返し単位を構成するモノマーのモル濃度]/[電荷を有する繰り返し単位を構成するモノマーのモル濃度+電気的に中性な繰り返し単位を構成するモノマーのモル濃度]。

【請求項3】
電気的に中性な繰り返し単位が、アクリルアミド(AAm)、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAAm)、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-ヒドロキシエチルメタクリレート;2-HEMA)およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-ヒドロキシエチルアクリレート;2-HEA)よりなる群から選ばれるモノマーから構成される1または2以上の繰り返し単位である、請求項2に記載の軟骨細胞再分化誘導用基材。

【請求項4】
電気的に中性な繰り返し単位からなるハイドロゲルが、ポリアクリルアミド(PAAm)、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(PDMAAm)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)、ポリメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(ポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリレート;PHEMA)およびポリアクリル酸2-ヒドロキシエチル(ポリ-2-ヒドロキシエチルアクリレート;PHEA)よりなる群から選ばれる1または2以上のハイドロゲルである、請求項2に記載の軟骨細胞再分化誘導用基材。

【請求項5】
電荷を有する繰り返し単位が、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル酸およびメタクリル酸よりなる群から選ばれるモノマーまたはそれらの塩から構成される1または2以上の繰り返し単位である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の軟骨細胞再分化誘導用基材。

【請求項6】
(a)および(b)を除く電気的に中性なゲルがアガロースである、請求項1から請求項5のいずれかに記載の軟骨細胞再分化誘導用基材。

【請求項7】
軟骨細胞が脱分化して得られる脱分化型軟骨細胞を軟骨細胞へ再分化誘導する因子を添加せずに、以下の(a)、(b)および(c)から選 ばれる1または2以上のゲルからなる基材表面上において二次元培養により前記脱分化型軟骨細胞を培養して軟骨細胞へ再分化誘導する工程を含む、軟骨細胞の製造方法;
(a)電荷を有する繰り返し単位からなる第一網目構造および電気的に中性な繰り返し単位からなる第二網目構造を有する相互侵入網目構造ハイドロゲル、
(b)構成高分子の繰り返し単位総数に対し電荷を有する繰り返し単位数の割合が20%以下であり、かつ(a)を除くハイドロゲル、
(c)(a)および(b)を除く電気的に中性なゲル。

【請求項8】
構成高分子の繰り返し単位総数に対し電荷を有する繰り返し単位数の割合が20%以下であり、かつ(a)を除くハイドロゲルが、電気的に中性な繰り返し単位からなるハイドロゲルおよび/または電気的に中性な繰り返し単位と電荷を有する繰り返し単位とからなる共重合体であって、次式で表されるモル比(F)がF≦0.2のハイドロゲルよりなる群から選ばれる1または2以上のハイドロゲルである、請求項7に記載の軟骨細胞の製造方法;
F=[電荷を有する繰り返し単位を構成するモノマーのモル濃度]/[電荷を有する繰り返し単位を構成するモノマーのモル濃度+電気的に中性な繰り返し単位を構成するモノマーのモル濃度]。

【請求項9】
電気的に中性な繰り返し単位が、アクリルアミド(AAm)、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAAm)、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-ヒドロキシエチルメタクリレート;2-HEMA)およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-ヒドロキシエチルアクリレート;2-HEA)よりなる群から選ばれるモノマーから構成される1または2以上の繰り返し単位である、請求項8に記載の軟骨細胞の製造方法。

【請求項10】
電気的に中性な繰り返し単位からなるハイドロゲルが、ポリアクリルアミド(PAAm)、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(PDMAAm)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)、ポリメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(ポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリレート;PHEMA)およびポリアクリル酸2-ヒドロキシエチル(ポリ-2-ヒドロキシエチルアクリレート;PHEA)よりなる群から選ばれる1または2以上のハイドロゲルである、請求項8に記載の軟骨細胞の製造方法。

【請求項11】
電荷を有する繰り返し単位が、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル酸およびメタクリル酸よりなる群から選ばれるモノマーまたはそれらの塩から構成される1または2以上の繰り返し単位である、請求項7から請求項10のいずれかに記載の軟骨細胞の製造方法。

【請求項12】
(a)および(b)を除く電気的に中性なゲルがアガロースである、請求項7から請求項11のいずれかに記載の軟骨細胞の製造方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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