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2Dブロンズ型酸化タングステンナノシート、その製造方法およびそれを用いた光触媒とフォトクロミック素子

国内特許コード P110002422
整理番号 N10093
掲載日 2011年4月18日
出願番号 特願2010-292363
公開番号 特開2012-140255
登録番号 特許第5750752号
出願日 平成22年12月28日(2010.12.28)
公開日 平成24年7月26日(2012.7.26)
登録日 平成27年5月29日(2015.5.29)
発明者
  • 福田 勝利
  • 佐藤 純
  • 杉本 渉
  • 木村 睦
  • 瀬戸 保太郎
出願人
  • 国立大学法人信州大学
発明の名称 2Dブロンズ型酸化タングステンナノシート、その製造方法およびそれを用いた光触媒とフォトクロミック素子
発明の概要 【課題】 金属-酸素八面体からなる六員環構造が、シート断面方向に複数規則的に配列した2Dブロンズ構造を有した酸化タングステンナノシート、その製造方法、および、それを用いた素子を提供すること。
【解決手段】 2Dブロンズ構造を持つホスト層からなる層状ポリタングステン酸を、そのホスト構造を維持したまま固体酸特性を有する水素イオン交換体に転換し、その層間に嵩高いカチオンを導入することによって単層剥離現象を誘発することによって、金属-酸素八面体からなる六員環構造がシート断面方向に規則的に配列した2Dブロンズ構造を有する酸化タングステンナノシートを得る。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


従来、粘土鉱物、および、硫化物、酸化物、水酸化物、グラファイトなどの様々な組成・構造を有する層状化合物を単層剥離させることによって、ナノレベルまで薄片化された2次元シート状物質が多く合成されている。これらナノシートは、二次元方向のバルクサイズと一次元方向のナノサイズを兼備しており、バルクの良好なハンドリング性とナノサイズ効果による特異な物性の両方を期待することができる。近年、グラファイトの剥離から得たグラフェンは、透明電極から電気化学キャパシタ、二次電池材料に至るまで幅広い領域へ応用されるなど、層状化合物の剥離技術は基礎・応用の両観点から大きな関心が寄せられている。多くの場合、層状化合物の単層剥離から得たナノシートは静電荷を帯びているため、自己組織化交互吸着法やLangmuir-Blodgett法、再凝集法、電気泳動法などを用いることによって、薄膜から粉体まで様々な形態の材料をナノスケールから構築できるという優れた材料成形性・設計性を有し、幅広い材料分野に応用できる可能性を秘めている。



ナノシート群の中でも酸化物系ナノシートは組成・構造のバリエーションに富み機能性の発現および合成・取り扱いの簡便さからとりわけ工業的利用価値が高い。例えば、レピドクロサイト型のナノシートにおいては数nmレベルにおいても高い誘電性を維持することや(例えば、特許文献1)、ドーパントの種類によってバルクには見られない巨大な磁気光学効果を発現することが見出されており、極薄の機能性材料としてデバイス分野からとりわけ大きな注目を浴びている。最近では、レピドクロサイトより厚い骨格を持つペロブスカイト型のナノシートを創製することでより高い誘電率の保持を実現できることが示され(例えば、特許文献2)、組成に加え、構造に着目したナノシート探索が重要な鍵となっている。



良く知られた鉱物・結晶構造にちなんで名付けられた、レピドクロサイト型(例えば、特許文献3)、α-NaFeO型(例えば、特許文献4)、ペロブスカイト型(例えば、特許文献5や非特許文献1)、2Dパイロクロア型ナノシート(例えば、特許文献6)は、アルカリ層状酸化物を出発物質として合成する手法がすでに確立されている。しかし、ペロブスカイト同様、強誘電や超伝導など多才な構造として知られる二次元のブロンズ構造を持った単層ナノシートは、その前駆体となるアルカリ層状化合物自体がポリタングステン酸以外ではほとんど知られていないために合成されていなかった。



酸化タングステン系は、光触媒やエレクトロクロミック素子、フォトクロミック素子、脱硫・脱硝触媒など機能性材料としても広範囲な工業的用途を有する。2Dブロンズ型ホスト層を有する、アルカリ層状ポリタングステン酸としてはRb1135が存在することが知られている(例えば、非特許文献2)。このホスト層は、金属-酸素八面体からなる六員環構造がホスト層断面方向に複数規則的に配列したポーラスな骨格から形成されている。よって、2Dブロンズ型ホスト層は1nmより厚く、単層剥離することができれば、1nm以下のレピドクロサイト型やα-NaFeO型のホスト層を取り扱うナノシート群とは異なった、数nmというナノサイズと2Dブロンズ構造の両方の特徴を活かした独自の機能性を有するナノシートの創製が期待される。



しかしながら、アルカリ層状ポリタングステン酸の結晶構造は、大きなユニットセルを持つ場合が多く非常に複雑なため、回折データを取得しても解析が至難な上、多くのアルカリ:タングステン比の各組成で得られるポリタングステン酸は、変色しやすい、単相あるいは単結晶を合成することが困難など未だ多くの課題を抱えている。そのため、単相のポリタングステン酸を識別・取り出し、それらのイオン交換反応から新規物質を誘導するなどのソフト化学的な研究例は乏しい。



したがって、2Dブロンズ構造を有するホスト層からなるアルカリ層状ポリタングステン酸のソフト化学的処理から単層剥離現象を誘発し、これまでに無い2Dブロンズ構造を有した酸化タングステンナノシートが得られれば望ましい。また、そのような2Dブロンズ型酸化タングステンナノシートのさらなる利用が望まれる。

産業上の利用分野


本発明は、二次元(2D)ブロンズ構造を有する酸化タングステンナノシート、その製造方法およびそれを用いた光触媒とフォトクロミック素子に関し、より詳細には、金属-酸素八面体からなる六員環構造が、シート断面方向に複数規則的に配列し、シート平面方向に一次元トンネルを有する2Dブロンズ型酸化タングステンナノシート、前駆体の酸処理ステップと剥離剤との混合ステップからなるその製造方法およびそれらを用いた光触媒、フォトクロミック素子に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
2Dブロンズ構造を有することを特徴とする酸化タングステンナノシート。

【請求項2】
請求項1に記載の酸化タングステンナノシートにおいて、WとOとのモル比は、11:35を満たすことを特徴とする、酸化タングステンナノシート。

【請求項3】
請求項1に記載の酸化タングステンナノシートにおいて、前記2Dブロンズ構造は、金属-酸素八面体からなる六員環構造が、前記酸化タングステンナノシートのシート断面方向に複数規則的に配列した一次元トンネル状構造であることを特徴とする、酸化タングステンナノシート。

【請求項4】
請求項1に記載の酸化タングステンナノシートにおいて、前記酸化タングステンナノシートのシート断面の厚さは1nmから4nmであることを特徴とする、酸化タングステンナノシート。

【請求項5】
請求項1に記載の酸化タングステンナノシートにおいて、前記酸化タングステンナノシートは、一般式Rb1135で表される層状タングステン酸化物を単層剥離してなることを特徴とする、酸化タングステンナノシート。

【請求項6】
2Dブロンズ構造を有する酸化タングステンナノシートを製造する方法であって、前駆体を酸処理する酸処理ステップと、前記酸処理された層状タングステン酸化物と、カチオン性の剥離促進剤とを混合する混合ステップとからなることを特徴とする、2Dブロンズ構造を有する酸化タングステンナノシートの製造方法。

【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の酸化タングステンナノシートを用いたことを特徴とする、光触媒。

【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の酸化タングステンナノシートを用いたことを特徴とする、フォトクロミック素子。
産業区分
  • 無機化合物
  • 処理操作
  • その他無機化学
  • 混合分離
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010292363thum.jpg
出願権利状態 登録
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