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光応答性リポソーム及び光応答性リポソームを利用した物質の運搬方法 コモンズ

国内特許コード P110002436
掲載日 2011年4月19日
出願番号 特願2010-042688
公開番号 特開2011-178689
登録番号 特許第5585981号
出願日 平成22年2月26日(2010.2.26)
公開日 平成23年9月15日(2011.9.15)
登録日 平成26年8月1日(2014.8.1)
発明者
  • ▲濱▼田 勉
  • 高木 昌宏
  • 長崎 健
出願人
  • 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
発明の名称 光応答性リポソーム及び光応答性リポソームを利用した物質の運搬方法 コモンズ
発明の概要 【課題】リポソーム膜形状を可逆的に変化させることで、物質の封入と放出とを制御可能な光応答性リポソーム及びこれを利用した物質の運搬方法を提供する
【解決手段】光応答性リポソームは、アゾベンゼン脂質と、リン脂質と、をトリス塩酸緩衝液中で分散させて生成される。リン脂質は、リポソームの使用温度(例えば室温)より低いゲル-液晶相転移温度を有する。リポソームは、異種の光が別々のタイミングで照射されることにより、膜上に膜孔を可逆的に形成又は消滅することを特徴とする。アゾベンゼン脂質がKAONであることが好ましい。この膜孔を通して薬剤等の物質をリポソームの膜内に封入又は膜外へ放出させることができる。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要



リポソームは、リン脂質等の脂質2分子膜によって形成され、数10nm~数10μmの粒径を有する微小なカプセルであり、その内部に様々な分子を封入可能な水相を有する。このリポソームは、生体適合性や生分解性にも優れていることから、内部の水相に薬剤や生理活性物質を封入することで所望量の薬物を体内の標的部位に選択的に運搬するドラックキャリアになり得る製剤として注目を集めている。





これまでに、例えば、温度の感受性やpHの感受性を利用したリポソームが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、温度感受性リポソームとは、ある特定の温度において中に閉じ込めた薬物を放出するリポソームのことである。通常、ゲル-液晶間の相転移温度が利用され、これより高温になった液晶状態のリポソームは、その膜透過性が高まり、内包していた薬物を放出する。また、pH感受性リポソームとはpHにより脂質分子の会合状態が変化するリポソームのことである。pH感受性リポソームは、通常、ジオレオイルエタノールアミンを含み、弱酸性環境下において膜透過性が高まり内包していた薬物を放出する。





ところで、近年、アゾベンゼン脂質を含有したリポソームの光制御に関する研究が行われており(非特許文献1~4を参照)、UV(紫外線)光照射によるアゾベンゼン脂質の分子構造の変化が、膜の透過性を上げ、物質を放出させることが明らかになっている。例えば、非特許文献1又は2では、アゾベンゼン脂質含有リポソームにUV光を照射させることで蛍光物質の漏れが促進されることが開示されている。また、非特許文献3では、アゾベンゼン脂質含有リポソームへのUV光の照射によって膜透過率が5倍程度上昇することが示されている。非特許文献4では、UV光の照射によってアゾベンゼン脂質含有リポソームが崩壊し、物質が放出されることが開示されている。





しかしながら、従来のアゾベンゼン脂質含有リポソームをドラックキャリアとして用いる場合には、以下のような問題が指摘されている。





(1)リポソームに内包された物質(薬物)を生体内に放出させるにはUV光の照射が要求されることになるが、UV光が生体に及ぼすダメージが懸念される。例えば、UV光はエネルギー密度が高く、細胞内のDNAを切断してしまう等の恐れがある。





(2)また、リポソーム膜内部に存在する物質の移動は膜内外の濃度勾配に左右されるため、リポソーム膜外部の溶液中の物質濃度が高い場合には、当該物質を膜の内部から外部へ放出することができない。





(3)リポソームからの物質放出時の制御についての報告例が多く、これらの報告例ではリポソームへの物質の封入ついてはリポソーム作製時に限定されている。これは、従来技術においては、膜透過率の制御のみが可能であるため、物質封入の制御が非常に困難であったことが推測される。





(4)また、物質放出にあたってUV光を照射することによりリポソーム膜が破壊されてしまう報告例が多く、その膜を可逆的に復元できるものではない。

産業上の利用分野



本発明は、光応答性のリポソームに関し、特に異種の光を照射することにより膜孔の開閉を可逆的に制御できるリポソームに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
アゾベンゼン脂質と、リン脂質と、をトリス塩酸緩衝液中で分散させて生成された光応答性リポソームであって、
前記アゾベンゼン脂質は、KAON12(正式名称はN-[4-[4’-[N,N-ビス-[3-(N-リジルアミノ)プロピル]アミノカルボニル]フェニルアゾ]フェノキシアセチル]ジドデシルアミンであり、かつ、その疎水基の炭素数が12である)であり、
前記リン脂質は、DOPC(ジオレオイルフォスフォコリン)又はSOPC(ステアロイルオレオイルフォスフォコリン)であり、
前記アゾベンゼン脂質の濃度が35%以上43%未満となりかつその残余が前記リン脂質となるように、前記アゾベンゼン脂質と前記リン脂質とは配合され、
前記リン脂質は前記リポソームの使用温度より低いゲル-液晶相転移温度を有し、
前記リポソームは、異種の光が別々のタイミングで照射されることにより、膜上に膜孔を可逆的に形成又は消滅することを特徴とする光応答性リポソーム。

【請求項2】
前記異種の光が緑光及び紫外光であることを特徴とする請求項に記載の光応答性リポソーム。

【請求項3】
前記リン脂質の少なくとも一つの疎水基が不飽和であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光応答性リポソーム。

【請求項4】
前記リン脂質の親水基が帯電していないことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の光応答性リポソーム。

【請求項5】
前記異種の光の照射により、前記リポソームの膜形状が、球状、前記膜孔が形成されたカップ状、又は平板状に変化することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の光応答性リポソーム。

【請求項6】
薬剤を取り込むこと及び/又は薬剤を放出することが可能であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の光応答性リポソーム

【請求項7】
光応答性リポソームを利用した物質の運搬方法であって、
第1の光を前記リポソームに照射し、前記膜上に存在する膜孔を消滅させて前記物質を前記膜内に封入する工程と、
前記リポソームを目標位置まで移動させる工程と、
前記第1の光とは異なる第2の光を前記リポソームに照射し、前記膜上に膜孔を形成させて前記物質を前記膜外へ放出する工程と、
を含み、かつ、
前記リポソームは、アゾベンゼン脂質と、前記リポソームの使用温度より低いゲル-液晶相転移温度を有したリン脂質と、をトリス塩酸緩衝液中で分散させて生成され、
前記アゾベンゼン脂質は、KAON12(正式名称はN-[4-[4’-[N,N-ビス-[3-(N-リジルアミノ)プロピル]アミノカルボニル]フェニルアゾ]フェノキシアセチル]ジドデシルアミンであり、かつ、その疎水基の炭素数が12である)であり、
前記リン脂質は、DOPC(ジオレオイルフォスフォコリン)又はSOPC(ステアロイルオレオイルフォスフォコリン)であり、
前記アゾベンゼン脂質の濃度が35%以上43%未満となりかつその残余が前記リン脂質となるように、前記アゾベンゼン脂質と前記リン脂質とは配合され、
前記膜孔の形成と消滅とが前記第1・第2の光の照射により可逆的に生じるものであり、
前記物質の運搬により、前記物質は人体に投与されないことを特徴とする物質の運搬方法。

【請求項8】
前記第1の光が緑光であり、かつ、前記第2の光が紫外光であることを特徴とする請求項に記載の物質の運搬方法。

【請求項9】
前記リン脂質の少なくとも一つの疎水基が不飽和であることを特徴とする請求項7又は8に記載の物質の運搬方法。

【請求項10】
前記リン脂質の親水基が帯電していないことを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載の物質の運搬方法。

【請求項11】
前記第1・第2の光の照射により、前記リポソームの膜形状が、球状、前記膜孔が設けられたカップ状、又は平板状に変化することを特徴とする請求項7~10のいずれか1項に記載の物質の運搬方法。
産業区分
  • 高分子化合物
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010042688thum.jpg
出願権利状態 登録
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