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NAFLDの進展度合いを判定する方法

国内特許コード P110002550
整理番号 S2010-0852-N0
掲載日 2011年5月9日
出願番号 特願2010-128364
公開番号 特開2011-252868
登録番号 特許第5574331号
出願日 平成22年6月4日(2010.6.4)
公開日 平成23年12月15日(2011.12.15)
登録日 平成26年7月11日(2014.7.11)
発明者
  • 寺井 崇二
  • 大石 俊之
  • 坂井田 功
  • 桑代 紳哉
  • 宮島 篤
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 NAFLDの進展度合いを判定する方法
発明の概要 【課題】非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の進展度合いの判定に際して、肝生検体を用いることなく、従来法より安価でしかも患者に対する負担が少なくてすむ方法を提供すること。
【解決手段】(a)NAFLD患者から血液を採取するステップ;(b)血液試料中のオンコスタチンM濃度を測定するステップ;(c)オンコスタチンMの測定値が60pg/mlを超える場合、NAFLD activity score(NAS)が「6以上」と評価し、オンコスタチンMの測定値が20~60pg/mlである場合、NASが5と評価し、オンコスタチンMの測定値が20pg/ml未満である場合、NASが4以下と評価するステップ;を備えたことを特徴とするNAFLDの進展度合いを判定する方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



脂肪性肝疾患とは肝臓に脂肪が沈着して障害をきたす病態の総称であるが、従前は、主としてアルコール多量摂取を原因とするアルコール性肝障害に起因する病態であると考えられてきた。しかし、近年、アルコールを摂取しないヒトの間にもアルコール性肝障害に類似した所見が現れることが判明してきた。かかるNAFLDは、まず肝細胞への中性脂肪の沈着が認められる単純性脂肪肝が所見として現れるが、より重症化すると、遊離脂肪酸、TNF-α、レプチン、レジスチンの上昇とアディポネクチンの低下をおこし、肝細胞の脂肪化に壊死、炎症、線維化、炎症細胞浸潤等を伴う脂肪肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis;NASH)へ進展し、さらには肝硬変症や肝癌に進行するといわれている。NAFLDは約90%が病態のほとんど進行しない単純性脂肪肝(simple steatosis)であるが、他の10%は肝硬変、肝細胞癌へと進行していくNASHである。内臓脂肪型肥満をもつ人が高血圧・脂質異常症・糖尿病等の病気を併発する症候群として、メタボリックシンドロームに注目が集まってきたことを背景に、アルコールを摂取しなくても肝硬変症や肝癌に進行するおそれがある点が重要視され、NASHを含めたNAFLDの病態のさらなる解明が求められている。また、C型肝炎をはじめとするウイルス性肝炎は初期の段階では肝細胞の脂肪沈着は所見として認められないが、症状が進行するにつれて、肝細胞への中性脂肪の沈着が認められるようになり、重症化すると肝硬変症や肝癌に進行しうる点は、NAFLDと共通すると考えられている。





肝細胞の1/3以上に脂肪滴が存在すると脂肪肝と診断されるが、最近、NAFLDの肝組織所見の中から3項目、すなわち、脂肪肝(steatosis)、肝細胞風船様腫大(hepatocellular ballooning)、実質炎症(lobular inflammation)の程度をスコア化し(NAS;NAFLD activity score)、NASが5以上をNASHとし、単純性脂肪肝との鑑別に利用することが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。





また、NAFLDやNASHの診断については、患者のサンプルにおいて、NASHの発病又は進行に関連した1又は2以上の小誘導性サイトカインを含む遺伝子パネルの発現レベルを測定し、該発現レベルと前記遺伝子パネルにおけるNASHに関連した遺伝子発現に対する所定値とを比較して、該発現レベルとNASHの病状とを関連づける方法(例えば、特許文献1参照)や、検出可能に標識されたコリンを含む、非アルコール性脂肪性肝障害等の脂肪肝炎への罹患、前記疾患の重症度又は前記疾患に対する治療効果の判定のための診断薬(例えば、特許文献2参照)や、非アルコール性脂肪肝炎の診断に際して、体液試料をIII型プロコラーゲンのN末端のペプチドに特異性を有する免疫結合的パートナーと接触させ、体液試料と免疫結合パートナーとの間で生じた反応生成物を測定することを特徴とする測定方法(例えば、特許文献3参照)や、末梢血のリン脂質若しくはリン脂質の脂肪酸組成を測定することを特徴とする非アルコール性脂肪肝炎の鑑別方法(例えば、特許文献4参照)や、被験体の体液からの1つ以上の試料中の1つ以上の脂質代謝物の量を決定し、1つ以上の脂質代謝物の量を肝障害の存在と相関させることを含む、被験体における脂肪沈着、NAFLD、NASH等の肝障害を診断又はモニタリングする方法(例えば、特許文献5参照)が提案されている。





他方、オンコスタチンM(Oncostatin M;OSM)は、1980年代後半にヒトのA375メラノーマ細胞の増殖を抑制する因子として同定された、インターロイキン6(IL-6)ファミリーに属するサイトカインの一種であり、ヒトのオンコスタチンMは、252アミノ酸からなる分子量約26kDの前駆タンパク質が、プロセシングによりN末端の25アミノ酸残基が除去されて227アミノ酸残基からなる成熟タンパク質となるものであるが、さらにC末端側の31アミノ酸残基が除去された、196アミノ酸残基からなる分子量約22kDaの成熟タンパク質の存在も知られている。これらの成熟タンパク質の生理活性は、前駆タンパク質よりも5~60倍高いとされている(例えば、非特許文献2参照)。





オンコスタチンMについては、肝臓毒を投与して肝障害を誘発することで、肝障害モデルとして有用である、オンコスタチンM受容体遺伝子欠損動物(例えば、特許文献6参照)が提案されており、ヒトオンコスタチンMを含むオンコスタチンM受容体アゴニストを有効成分として含有する肝疾患治療又は予防薬が肝細胞壊死の軽減、肝臓の組織破壊の軽減及び血清肝障害マーカーの低減等、肝臓障害の軽減に種々の点から有効であり、急性肝炎や劇症肝炎のような、肝細胞壊死又は肝臓の組織破壊を伴う種々の肝疾患の治療及び予防に有効であることが示されている(例えば、特許文献7参照)。また、オンコスタチンMアンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、疼痛を処置するための薬学的組成物(例えば、特許文献8参照)や、オンコスタチンMを含有していることを特徴とする抗HCV剤(例えば、特許文献9参照)についても報告されている。





また、センダイウイルスに包まれたオンコスタチンMcDNAを繰り返し投与することによりオンコスタチンMタンパク質が肝臓のクッパー細胞に発現し、かかるオンコスタチンM遺伝子治療により、体重の増加や肝臓の重量増加、肝機能悪化のパラメーターの減少が見られたこと(例えば、非特許文献3参照)が報告されており、オンコスタチンM、デキサメタゾン又はその誘導体若しくはその塩、及びTGF-βの存在下で間葉系幹細胞を培養し、間葉系幹細胞を成熟肝細胞様細胞に分化させる工程を含む、成熟肝細胞様細胞の製造方法(例えば、特許文献10参照)が報告されている。さらには、炎症マーカーとしてのオンコスタチンMが増加している場合に、肝炎を含む炎症性疾患を治療する方法であって、該治療を必要とする対象者に、GABAA作動性神経伝達を増強する化合物の治療的有効量を投与することを含む方法(例えば、特許文献11参照)が報告されている。

産業上の利用分野



本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(Non Alcoholic fatty liver disease; NAFLD)患者から採取した血液中のオンコスタチンM濃度を測定し、NAFLDの進展度合いを判定する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)及び)のステップを備えたことを特徴とする非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の進展度合いを判定する方法。
(a)NAFLD患者から採した血液試料中のオンコスタチンM濃度を測定するステップ;
)オンコスタチンMの測定値が60pg/mlを超える場合、NAS(NAFLD activity score)が「6以上」と評価し、オンコスタチンMの測定値が20~60pg/mlである場合、NASが5と評価し、オンコスタチンMの測定値が20pg/ml未満である場合、NASが4以下と評価するステップ;

【請求項2】
NAFLD患者から経時的に採取した血液中のオンコスタチンM濃度を測定し、経時的データを収集することを特徴とする請求項1記載のNAFLDの進展度合いを判定する方法。

【請求項3】
オンコスタチンMの測定キットを非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の進展度合いの判定に使用する方法。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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