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培養脂肪細胞

国内特許コード P110002595
整理番号 S2010-0746-N0
掲載日 2011年5月10日
出願番号 特願2010-147429
公開番号 特開2012-010600
登録番号 特許第5360663号
出願日 平成22年6月29日(2010.6.29)
公開日 平成24年1月19日(2012.1.19)
登録日 平成25年9月13日(2013.9.13)
発明者
  • 船木 真理
出願人
  • 国立大学法人徳島大学
発明の名称 培養脂肪細胞
発明の概要

【課題】糖尿病の病態解明と治療薬のスクリーニングのために必要な、肥大化した脂肪細胞とその作製方法、および肥大化した脂肪細胞の利用に関する。
【解決手段】コラーゲンとフィブロネクチンで被覆した、150~350Paの硬さのゲルを細胞支持基盤として使用し、飽和脂肪酸を添加して、脂肪細胞を培養することによって、インスリン感受性が維持された肥大化した脂肪細胞を新たに作製することができた。本発明の肥大化した脂肪細胞を用いることにより、糖尿病の病態解明と糖尿病治療剤の新たなスクリーニング方法が可能になった。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


糖尿病においては、糖尿病発症の主要な原因の一つが、過食・運動不足による脂肪細胞の肥大化であると見なされている(非特許文献4)。脂肪細胞は種々のアディポカインを血中に分泌して全身のインスリン感受性に影響を与える役割を果しており、肥満で肥大化した脂肪細胞はインスリン抵抗性のトリガー(引き金)になっている。即ち、アディポネクチンなどのインスリン感受性を亢進させるアディポカイン分泌が減少し、単球走化活性化因子(monocyte chemoattractant protein-1、MCP-1)などのインスリン抵抗性を増大させるアディポカイン分泌が増加していることが知られている。後者は脂肪組織に炎症細胞を遊走させ、脂肪組織を慢性炎症の状態にする。慢性炎症は、脂肪細胞からのインスリン抵抗性を増大させるアディポカイン分泌をさらに増加させる。また脂肪組織の慢性炎症は、細胞内に蓄積された中性脂肪の分解とその分解産物である遊離脂肪酸の血液中への放出を促進する。脂肪組織由来のインスリン抵抗性を増悪させるアディポカインおよび遊離脂肪酸は、肝臓や骨格筋などのインスリン標的臓器に働きかけ、これらの臓器におけるインスリン作用を阻害してインスリン抵抗性を発生させ、糖尿病発症に寄与することがよく知られている。



糖尿病治療薬の開発のためには、インスリン抵抗性のトリガーとなる肥満型脂肪細胞の機能異常のメカニズム解明と、各種の肥満型脂肪細胞のモデル細胞を用いた薬剤のスクリーニング方法の開発が不可欠である。しかし、生体からの初代培養脂肪細胞では、培養中に速やかに形態変化を起こし、その性質が失われてしまうことが観察されている。従って、糖尿病研究を進めるためにも、適切な脂肪細胞の培養方法と肥満型のモデル脂肪細胞の確立が望まれていた。



一方、細胞培養の分野では、ES細胞やiPS細胞の研究伸展に伴い、再生医療を始めとする組織工学の研究が大きく進んできた(非特許文献1)。そこでは、単なる細胞培養でなく、ヒトの組織を培養で形成させるには、細胞を支える枠組みである、細胞外マトリックス(ECM)と呼ばれる高分子群が重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。細胞は、しかるべき場所や組織に存在している細胞外マトリックスを認識し、それに接着することで、細胞が本来持つ機能を発現したり、成分の異なった細胞外マトリックスの空間配置が、細胞の組織形成や機能形成を促していることが知られている。また、細胞の置かれた物理的環境の違いによって、培養された細胞の組織形態や機能が異なってくることも知られている(特許文献1,2)。
特に、細胞が周囲の細胞外マトリックスを手繰り寄せる時に、周囲の細胞外マトリックスの力学的強度を認識して、細胞の移動の方向や形態を変化させることが知られている。例えば、骨髄由来間葉系幹細胞を培養すると、骨髄同様の弾性を持つゲル上では増殖・分化が一時停止して細胞が休眠すること等が報告されている(非特許文献2)。



脂肪細胞のモデル細胞として、3T3-L1脂肪細胞が良く使われるが、この脂肪細胞をソフトゲル上で培養すると、インスリン応答性が増大し長期間保存されることが報告されている(非特許文献3)。このように、細胞外基質の種類と細胞支持基盤の硬度を臓器に近づけることにより、生体組織に近い培養細胞が得られることが分かってきた。また、小型脂肪細胞を肥大化した脂肪細胞に分化誘導するために、飽和天然油脂、不飽和天然油脂を使用することが報告されている(特許文献3)。この肥大脂肪細胞はPAI-1(プラスミノーゲン
アクチベイター インヒイビター1)(血栓)、TNF(腫瘍壊死因子)-α(インシュリン抵抗性)、レジスチン(インシュリン抵抗性)、FFA(遊離脂肪酸)(高脂血症)等を生成し、代謝障害を招来すると報告されている。
以上のように、目的に応じた培養脂肪細胞を得るためには、細胞支持基盤の硬さと分化誘導剤を適切に選択する必要があることが明らかとなってきた。しかし、現在においても、適切な肥満型のモデル細胞やそれを用いた糖尿病治療剤のスクリーニング方法についてはまだ充分なものはではなかった。

産業上の利用分野


本発明は、肥大化した新たな脂肪細胞とその作製方法、その肥大化脂肪細胞を使用した糖尿病治療薬のスクリーニング方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
BMIが20~22の普通体重者の脂肪細胞と同じ硬さの150~350Paの硬さのゲル上で、飽和脂肪酸の存在下で培養し、100~150μmの細胞直径に肥大化した脂肪細胞であって、
a)上記脂肪細胞は、飽和脂肪酸に抵抗性を示し、
b)上記脂肪細胞のアディポカインの分泌が、肥大化する前の脂肪細胞のアディポカインの分泌量または発現量を1として、±0.5の変動範囲にあり、
c)インスリン感受性が維持される
ことを特徴とする、肥大化した脂肪細胞。

【請求項2】
飽和脂肪酸がパルミチン酸である、請求項1に記載の肥大化した脂肪細胞。

【請求項3】
アディポカインが、アディポネクチン、MCP-1またはIL-12αである、請求項1または2に記載の肥大化した脂肪細胞。

【請求項4】
アディポネクチンが高分子量アディポネクチンである、請求項に記載の肥大化した脂肪細胞。

【請求項5】
150~350Paの硬さのゲルが、コラーゲンとフィブロネクチンで被覆されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。

【請求項6】
脂肪細胞が、3T3-L1脂肪細胞またはヒト脂肪細胞である、請求項1~5のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
ご興味のある方は、下記「問合せ先」へ電子メールまたはFAXでご連絡ください。


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