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ダブルノックアウト非ヒト動物

国内特許コード P110002619
整理番号 S2010-0073-N0
掲載日 2011年5月16日
出願番号 特願2009-246542
公開番号 特開2011-092025
登録番号 特許第5669055号
出願日 平成21年10月27日(2009.10.27)
公開日 平成23年5月12日(2011.5.12)
登録日 平成26年12月26日(2014.12.26)
発明者
  • 野出 孝一
  • 吉田 裕樹
  • 原 博満
  • 平瀬 徹明
  • 宮崎 義之
出願人
  • 国立大学法人佐賀大学
発明の名称 ダブルノックアウト非ヒト動物
発明の概要 【課題】動脈硬化治療薬のスクリーニングに用いることができるノックアウト非ヒト動物などが求められていた。
【解決手段】LDLR遺伝子の全部又は一部、並びにEBI3遺伝子、IL27-p28遺伝子及びWSX-1遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の全部又は一部の機能が失われた、ノックアウト非ヒト動物又はその一部。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


動脈硬化は、動脈壁の肥厚、動脈壁の弾性の低下等を示す動脈病変の総称である。動脈硬化が進行すると、血管内腔が極度に狭窄し、或いは閉塞することによって、臓器や組織に循環障害が生じる。このような動脈硬化は、病理学的に、アテローム性動脈硬化、メンケベルグ動脈硬化、及び細動脈硬化の3つに分類することができる。



アテローム性動脈硬化は、大型又は中型動脈に生じる硬化病変であり、肥厚した血管内膜層へのコレステロールエステルを主とする脂質の蓄積などが見られる。このアテローム性動脈硬化は次のように生じると考えられている。すなわち、先ず、血液中の単球が血管内膜へ接着する。内膜に接着した単球がマクロファージへと分化する。このマクロファージが、スカベンジャー受容体を介して、酸化低密度リポタンパク質(酸化LDL)などの変性LDLを多量に取り込み、泡沫細胞となる。この泡沫細胞が血管内膜に蓄積される。血管内膜に蓄積された泡沫細胞は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-9等)や、炎症性サイトカイン(インターロイキン6(IL6)、IL12等)を分泌する。また、中膜平滑筋細胞が内膜へ遊走し、内膜で増殖する。そして、これら血管内膜での泡沫細胞の蓄積と血管内膜での中膜平滑筋細胞の増殖が、アテローム性動脈硬化を生じさせる。



上記のようにLDLは、動脈硬化の発生に重要な役割を果たす。LDLは、ほとんどがコレステロールから構成されるリポタンパク質である。LDLは、通常は、LDL受容体(LDLR)を介して細胞に取り込まれる。そして、LDLのコレステロールは、胆汁酸や、ステロイドホルモン、細胞膜成分などとして利用される。ところが、血漿LDLの量が過剰になると、LDLは、動脈壁内へ透過し、変性(酸化など)する。変性したLDLはLDLRへの親和性を失う。その場合、変性LDLは、スカベンジャー受容体を介してマクロファージに取り込まれるようになる。マクロファージは、変性LDLを過剰に取り込んで、泡沫細胞となり、上記のように動脈硬化を引き起こす。



ところで、インターロイキン27(IL27)は、IL27-p28とEpstein-Barr virus(EBV)-induced gene 3(EBI3)の2つの異なるサブユニットを含むサイトカインである。一方、IL27受容体(IL27R)は、WSX-1とglycoprotein 130とのヘテロダイマーで構成される。IL27は、例えば、単球、マクロファージ及び樹状細胞のような抗原提示細胞で発現する。抗原提示細胞で発現したIL27は、CD4ナイーブT細胞の増殖を促す。また、IL27は、IL12と共にCD4ナイーブT細胞に作用し、TH1型サイトカインであるインターフェロン-γ(IFNγ)の産生を促す。さらに、IL27は、TH1型免疫応答に特異的な転写因子であるT-betをアップレギュレートさせ、これにより、TH2型免疫応答に特異的な転写因子であるGATA-3をダウンレギュレートさせる。IL27は、免疫細胞の増殖に必要なIL2の産生を抑制し、また炎症が関わる疾患の病態形成に重要な役割を果たすTH17型細胞の分化を抑制する。また、IL27は、様々な炎症性サイトカインの産生を抑制する作用を有している。したがって、IL27は、様々な免疫・炎症反応を抑制する作用を有する。



ここで、特許文献1:特表2007-523169号公報には、IL27Rノックアウトマウスは、TH1型免疫応答が失われており、例えば、(a)IFNγの産生量が減少する、(b)Leishmania、Listeria、及びTrypanosomaのような細胞内病原体に対して過敏になる、(c)TH1型T細胞依存性抗体(IgG2aサブタイプ)の産生量が少なくなる、(d)Bacillusに応答して異常な肉芽腫を形成する、などの症状が見られることが記載されている。さらに、IL27Rに対するアンタゴニストを投与することにより、皮膚の炎症状態、関節炎、クローン病、気道過敏性、気道の炎症、アテローム性動脈硬化症などが改善できることも記載されている。



特許文献2:特表2007-525415号公報には、IL27Rに対するリガンドを使用することにより、免疫疾患又はヘルパーT細胞媒介性疾患を治療できることが記載されている。また、免疫疾患又はヘルパーT細胞媒介性疾患の一つとして、アテローム性動脈硬化症が挙げられている。



特許文献3:特開2008-228726号公報には、LDLR欠損マウスに高脂肪食を摂取させることによりアテローム性動脈硬化症の発生を促すことが記載されている。



非特許文献1:Immunity 15, 569-78には、IL-27の作用が失われたマウスにおいて、Leishmania major感染後のTh1型免疫反応の低下が記載されている。



非特許文献2:Immunity 19, 657-667には、IL27の作用が失われたマウスにおいて、Trypanosoma cruzi感染後に炎症性サイトカインの過剰生産が生じることが記載されており、非特許文献3:J Immunol 177, 5377-85には、IL27がリンパ球に作用して、様々なサイトカインの産生を抑制することが記載されている。

産業上の利用分野


本発明は、ノックアウト非ヒト動物、その疾患モデル動物として使用、それを用いた治療薬のスクリーニング方法などに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
LDLR遺伝子並びにEBI3遺伝子びWSX-1遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子機能が失われた、ノックアウト非ヒト動物又はその一部。

【請求項2】
LDLR遺伝子、並びにEBI3遺伝子及びWSX-1遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量が、野生型と比較して低下している、ノックダウン非ヒト動物又はその一部。

【請求項3】
請求項1若しくは2記載の動物又はその一部からなる、動脈硬化若しくは動脈硬化性疾患モデル動物又はその一部。

【請求項4】
LDLR遺伝子並びにEBI3遺伝子びWSX-1遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の能が失われた、ノックアウト細胞。

【請求項5】
LDLR遺伝子、並びにEBI3遺伝子及びWSX-1遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量が、野生型と比較して低下している、ノックダウン細胞。

【請求項6】
動脈硬化又は動脈硬化性疾患治療薬のスクリーニング方法であって、
(a)請求項1~3のいずれか1項記載の動物若しくはその一部又は請求項4若しくは5記載の細胞に被検物質を接触させ、
(b)被検物質を接触させた動物若しくはその一部又は細胞における動脈硬化又は動脈硬化性疾患の状態と、対照の動脈硬化又は動脈硬化性疾患の状態とを比較し、
(c)(b)の比較結果に基づき、被検物質の動脈硬化改善効果又は動脈硬化性疾患改善効果を評価し、
(d)動脈硬化改善効果又は動脈硬化性疾患改善効果を有すると評価された被検物質を選択する
ことを含む、前記方法。

【請求項7】
対照が、被検物質を接触させない、LDLR遺伝子の全部又は一部の機能が失われているが、EBI3遺伝子、IL27-p28遺伝子及びWSX-1遺伝子の機能が失われていないノックアウト非ヒト動物若しくはその一部又はノックアウト細胞である、請求項6記載の方法。

【請求項8】
IL27シグナル活性化剤のスクリーニング方法であって、
(a)請求項1~3のいずれか1項記載の動物の一部又は請求項4若しくは5記載の細胞に被検物質を接触させ、
(b)被検物質を接触させた動物の一部又は細胞におけるIL27シグナルの活性化の状態と、対照のIL27シグナルの活性化の状態とを比較し、
(c)(b)の比較結果に基づき、被検物質のIL27シグナル活性化亢進作用を評価し、
(d)IL27シグナル活性化亢進作用を有すると評価された被検物質を選択する
ことを含む、前記方法。

【請求項9】
対照が、被検物質を接触させない、LDLR遺伝子の全部又は一部の機能が失われているが、EBI3遺伝子、IL27-p28遺伝子及びWSX-1遺伝子の機能が失われていないノックアウト非ヒト動物の一部又はノックアウト細胞である、請求項8記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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