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シアニジウム類由来のCa2+/H+アンチポーター遺伝子を用いた耐性植物体の作出方法及び該遺伝子の用途 外国出願あり

国内特許コード P110002676
整理番号 00038
掲載日 2011年5月25日
出願番号 特願2009-249825
公開番号 特開2011-092109
登録番号 特許第5649103号
出願日 平成21年10月30日(2009.10.30)
公開日 平成23年5月12日(2011.5.12)
登録日 平成26年11月21日(2014.11.21)
発明者
  • 黒岩 常祥
  • 浅野 啓太
  • 三角 修己
  • 黒岩 晴子
  • 吉田 昌樹
  • 土井 斎司
出願人
  • 学校法人立教学院
発明の名称 シアニジウム類由来のCa2+/H+アンチポーター遺伝子を用いた耐性植物体の作出方法及び該遺伝子の用途 外国出願あり
発明の概要 【課題】シアニディオシゾン(Cyanidioschyzon merolae)の遺伝子から高塩濃度などのストレスに対する耐性に関与する遺伝子を探索し、カルシウム耐性及びナトリウム耐性に優れた形質転換植物を作出するに有用な遺伝子を見出して植物体に耐性を付与する方法を提供するとともに、該遺伝子を用いて形質転換した植物を提供し、該遺伝子をリサーチツールとして提供する。
【解決手段】下記(a)または(b)の遺伝子を植物に導入することにより、植物にカルシウム耐性およびナトリウム耐性を付与する方法。(a)特定のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子。(b)特定のアミノ酸配列の一部が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子であって、植物に導入することにより、該植物にカルシウム耐性およびナトリウム耐性を付与する性質を有する遺伝子。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



植物は、環境ストレスによって成長と生産性が制限されるので、地球の砂漠化が懸念される現在、植物のカルシウム耐性とナトリウム耐性を改善することは、農業の生産性を向上させ、さらには食料危機などの問題を回避するためにも重要である。





Pittman等(非特許文献1)は、緑藻(Chlamydomonas reinhardtii)の液胞のCa2+/H+ exchanger(CAX1)をコードする遺伝子を解析し、これらがCa2+とNa+を液胞に輸送する機能を備え、細胞内陽イオンの恒常性に重要な役割を果たしていることを報告している。しかし、CAX1が酵母やシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)で発現した時にナトリウム耐性を示す可能性について言及しているに過ぎない。





特開2003-180373号公報(特許文献1)は、耐塩性藍藻(Aphanothece halophytica) 由来のNa+/H+アンチポーター(ApNhaP)をコードする遺伝子で形質転換した淡水性藍藻(Synechococcus)が、細胞内においてApNhaPを過剰発現し、海水中で増殖できるほどの耐塩性を獲得したことを報告している。





特開2000-157287公報(特許文献2)は、耐塩性の強い塩性植物であるホソバノハマアカザ(Atriplex gmelini)から液胞膜型のNa+ /H+アンチポーター遺伝子を単離精製し、その遺伝子配列の決定を行ったことを報告するが、該遺伝子の発現や、形質転換体の作出は何等報告していない。





国際公開第00/037644号パンフレット(特許文献3)は、イネのNa+ /H+対向輸送体遺伝子を単離精製し、その遺伝子配列の決定を行い、形質転換イネを作出したことを報告するが、形質転換イネの耐塩性等の実験データについては具体的に報告していない。





上記した従来の研究及び報告は何れも、液胞膜のアンチポーターに関するものであり、また通常環境に生息する生物のアンチポーターに関するものに限られている。





一方、高金属イオン又高塩濃度環境などの極限環境で生育するシゾンのような真核生物は、そのような環境への高い生育適合性を保証する遺伝子を備えているものと考えられ(非特許文献2)、そのゲノム解析を行うことにより、高金属イオン又高塩濃度などのストレスに対する耐性が高められた形質転換植物の生産に利用できる遺伝子情報が得られる可能性がある。しかしながら、こうした真核生物を用いた研究はほとんどない。





Ciniglia等(非特許文献3)は、イタリアの極限環境に生育する紅藻(Cyanidiales; Galdieria, Cyanidium, Cyanidioschyzon及び分類未確認のもの)の種、系統やクローンについて、生態学、生体生理学の観点から検討を行い、報告している。シゾンは、光合成真核生物にとっては極限環境である高温、強酸性、高金属イオン濃度の温泉(pH 0.5-1, 45℃-55℃)に生息する。シゾンを純化して確立された株はシゾン10D命名されており(非特許文献4)、の全てのゲノム(核(16,546,747bp)、ミトコンドリア(32,211bp)及び色素体(149,987bp))の塩基配列は、既に決定されている(非特許文献5および6)。

しかし、シゾン高金属イオン又高塩濃度などのストレスに対する耐性に関与する遺伝子については未だ報告がない。

産業上の利用分野



本発明は、高温(42℃)、強酸性(pH2.5)環境下に生息する単細胞光合成真核生物であるシアニディオシゾン(Cyanidioschyzon merolae)(以下、「シゾン」という)に由来する遺伝子の、植物のストレス耐性(例えば、カルシウム耐性、ナトリウム耐性)を改善するための用途、及び、該遺伝子のその他の用途にに関する。





ここで、本発明において、上記「カルシウム耐性」とは、カルシウム存在下においても正常に成長できる植物の能力のことである。言い換えると、「カルシウム耐性」は、カルシウムによる生育阻害に対する抵抗性のことである。「カルシウム」は、イオン化されているものでは、塩を形成しているものであってもよい。また「カルシウム」は、カルシウムおよびカルシウムを含む化合物を示すものとする。「カルシウム耐性に関与する」とは、カルシウム耐性能を付与することを示す。





ここで、本発明において、上記「ナトリウム耐性」とは、ナトリウム存在下においても正常に成長できる植物の能力のことである。言い換えると、「ナトリウム耐性」は、ナトリウムによる生育阻害に対する抵抗性のことである。「ナトリウム」は、イオン化されているものでは、塩を形成しているものであってもよい。また「ナトリウム」は、ナトリウムおよびナトリウムを含む化合物を示すものとする。「ナトリウム耐性に関与する」とは、ナトリウム耐性能付与することを示す。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記(a)または(b)の遺伝子を植物に導入することにより、植物にカルシウム耐性およびナトリウム耐性を付与する方法。
(a)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子。
(b)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列の20個以下が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子であって、植物に導入することにより、該植物にカルシウム耐性およびナトリウム耐性を付与する性質を有する遺伝子。

【請求項2】
上記(a)の遺伝子が配列表の配列番号2に示される塩基配列からなる遺伝子である、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
上記(a)または(b)の遺伝子をベクターに組み込んで植物に導入する、請求項1または2の方法。

【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法により作出された形質転換植物。

【請求項5】
下記(a)または(b)の遺伝子をマーカー遺伝子として含み、導入された宿主生物にカルシウム耐性およびナトリウム耐性を付与する事を特徴とするベクター。
(a)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子。
(b)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列の20個以下が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子であって、植物に導入することにより、該植物にカルシウム耐性およびナトリウム耐性を付与する性質を有する遺伝子。

【請求項6】
上記(a)の遺伝子が配列表の配列番号2に示される塩基配列からなる遺伝子である請求項5に記載のベクター。

【請求項7】
請求項5または6のベクターを含む形質転換体。

【請求項8】
請求項5または6記載のベクターを宿主生物に導入して形質転換し、該宿主生物をカルシウム存在下及び/又はナトリウム存在下で生育させることにより、カルシウム耐性及び/又はナトリウム耐性を備えた形質転換体を選抜することを特徴とする、形質転換体のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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