TOP > 国内特許検索 > 植物からのシアル酸含有化合物の抽出法

植物からのシアル酸含有化合物の抽出法

国内特許コード P110002714
掲載日 2011年6月2日
出願番号 特願2009-232161
公開番号 特開2011-079760
登録番号 特許第4682377号
出願日 平成21年10月6日(2009.10.6)
公開日 平成23年4月21日(2011.4.21)
登録日 平成23年2月18日(2011.2.18)
発明者
  • 川瀬 眞市朗
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 植物からのシアル酸含有化合物の抽出法
発明の概要

【課題】 本発明は、入手が容易であり且つ動物罹患性病原体の混入の恐れがない原料(安全性の高い原料)から、人体や環境に有害な試薬の使用を必須とせずに、シアル酸含有化合物を安価で且つ容易に抽出することを目的とする。
【解決手段】 植物体(特に穀類や豆類の種子)もしくはその加工品を、水、アルコール又は含水アルコールを用いて可溶性成分を粗抽出し、得られた粗抽出液から、透析、塩析もしくはクロマトグラフィーカラムによって分離し回収することを特徴とする、シアル酸含有化合物の抽出法を提供するものである。
【選択図】 図19

従来技術、競合技術の概要


シアル酸は、アミノ糖であるノイラミン酸のアシル誘導体の総称であり、20種類以上の誘導体が存在するが、天然には、N-アセチルノイラミン酸およびN-グリコリルノイラミン酸として最も多量に存在しシアル酸含有スフィンゴ糖脂質である「ガングリオシド」やシアル酸含有糖鎖である「ポリシアル酸糖鎖」として、動物の脳、牛乳、鶏卵卵黄などに存在する。
ガングリオシドは、シアル酸を非還元末端側に有する糖脂質の総称であり、シアル酸の数と結合部位によって複数の種類がある。ポリシアル酸とは、シアル酸が数十個以上結合した糖鎖である。ポリシアル酸は、神経細胞の移動や神経突起の伸長、シナプス形成の場で機能している巨大な神経特異的糖蛋白質である神経接着因子(NCAM)の糖鎖部分を構成している。



シアル酸を分子構造中に含む化合物は、1)レゾルシノール-塩酸試薬を反応させる事により赤紫色ないし青紫色に発色する(例えば、非特許文献1参照)、2)セロトニンアフィニティーカラムに親和性を有する(例えば、非特許文献2参照)、といった性質を持つ。逆に、これらの性質を示す物質はシアル酸を分子構造中に有する化合物である。



シアル酸含有化合物は、脳を構成する神経の分化、成長、維持に必須の物質であり、経口摂取により学習能力向上作用も認められている、高い機能性を有する物質である(例えば、非特許文献3参照)。さらに、シアル酸含有化合物は、免疫活性化作用、抗癌作用を有することも知られている。従って、今後、シアル酸含有化合物は、高齢化社会の到来とともに、さらに増大する脳関連疾患や悪性腫瘍性疾患の治療に幅広く利用されることが予想される。



これまでシアル酸含有化合物は主として牛脳や牛乳から調製されてきたが、牛海綿脳症(BSE)問題の発生により牛脳や牛乳からの調製が困難となっている。また、鶏卵もシアル酸含有化合物の供給源であるが、鳥インフルエンザ問題の発生により鶏卵からのシアル酸含有化合物の製造もその安全性が疑問視されている。即ち、鳥インフルエンザウイルスは鶏卵には感染しないとされているが、消費者の安心を得ているとは言い難い。
なお、シアル酸含有化合物を人工的に化学合成することも行われているが、現時点ではその手法では収率やコストの面において実用可能なレベルに達しておらず、大量生産するには至っていない。
このような現状から、ウイルスやプリオンなどの動物罹患性病原体の混入の心配のない、新たな天然素材由来のシアル酸含有化合物の供給源が望まれている。
また、従来の天然物由来のシアル酸含有化合物の抽出方法においては、クロロホルム-メタノール混合溶媒、もしくは熱メタノールなどを用いて抽出されており(シアル酸含有化合物の化学合成法においても、クロロホルムをはじめとする様々な有機溶媒が使用されており)、環境問題及び人体への影響の観点から、有害な有機溶媒の使用を抑制しようとの動きもあり、これらに配慮したシアル酸含有化合物の抽出方法の開発が望まれている。



これまで、植物にシアル酸が存在することを示唆する報告は、Sharらの論文(非特許文献4,5参照)に記載されている。
しかしながら、Sharらの論文には、シロイヌナズナにシアル酸の存在を示唆する間接的な証拠の記載があるのみで、シアル酸含有化合物特有の性質の有無を直接調べた実験は行われておらず、さらに具体的な抽出方法も開示されていない。



なお、特許文献1には、植物を含む生体由来原料からのガングリオシドを含む糖脂質を抽出できる旨が並列的に記載されているが、詳しくはマウスの脳からの抽出方法しか開示されておらず、植物を材料としたガングリオシドを含む糖脂質の具体的な抽出方法は記載されていない。また、クロロホルムを用いるため好ましくない。

産業上の利用分野


本発明は、植物からのシアル酸含有化合物の抽出法に関し、詳しくは穀類の種子からのシアル酸含有化合物の抽出法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
大麦、小麦、稲、またはトウモロコシの種子に、下記(a)の処理を行い、;水、アルコール又は含水アルコールを用いて可溶性成分を粗抽出し、得られた粗抽出液から、透析、塩析もしくはクロマトグラフィーカラムによって分離し回収する、;ことを特徴とする、シアル酸含有糖脂質の抽出法。
(a):粉砕、磨砕、擂潰もしくは粉末化処理。

【請求項2】
小麦粉、大麦粉、米粉、トウモロコシ粉、米糠、コムギフスマ、オオムギフスマ、米胚芽を、;水、アルコール又は含水アルコールを用いて可溶性成分を粗抽出し、;得られた粗抽出液から、透析、塩析もしくはクロマトグラフィーカラムによって分離し回収する、;ことを特徴とする、シアル酸含有糖脂質の抽出法。

【請求項3】
前記水が、塩酸もしくは酢酸を含有する水である、請求項1又は2に記載のシアル酸含有糖脂質の抽出法。

【請求項4】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、もしくは、グリセロールである、請求項1~のいずれかに記載のシアル酸含有糖脂質の抽出法。

【請求項5】
前記分離回収が、セロトニンアフィニティーカラム、レクチンアフィニティーカラム、ゲル濾過カラム、イオン交換カラム、もしくは、シリカゲルカラムによって行うものである、請求項1~のいずれかに記載のシアル酸含有糖脂質の抽出法。
産業区分
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2009232161thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close