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薄膜触覚センサ

国内特許コード P110002792
整理番号 RJ001P99
掲載日 2011年6月8日
出願番号 特願2000-233902
公開番号 特開2002-048607
登録番号 特許第3756737号
出願日 平成12年8月2日(2000.8.2)
公開日 平成14年2月15日(2002.2.15)
登録日 平成18年1月6日(2006.1.6)
発明者
  • 丹羽 英二
  • 佐々木 祥弘
  • 金子 秀夫
  • 増本 剛
出願人
  • 公益財団法人電磁材料研究所
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 薄膜触覚センサ
発明の概要 【課題】従来、歪と同時に温度を正しく検知可能とする工夫がなされている触覚センサは提案されていない。又、従来の歪及び温度を同時に検知するセンサは、感度が悪い、誤差が大きい、補償回路を必要とするの問題があった。本発明は、高感度で誤差が少なく、補償回路を必要とせずに、歪及び温度を同時に検知可能とする薄膜触覚センサを、義手・義足、ロボット、マニピュレータ、体内挿入型医療器具及び人口皮膚等に提供する。
【解決手段】温度感度が大きく歪感度(又は圧力感度)が小さい温度検知用薄膜、及び歪感度(又は圧力感度)が大きく温度感度が小さい歪検知用薄膜という、大きく異なる特徴を持つ二つの薄膜抵抗体を、並列構造あるいは積層構造をなして構成することにより、補償回路を用いずに温度及び歪(又は圧力)を同時に提供することが可能な薄膜触覚センサを提供することができる。
従来技術、競合技術の概要


触覚センサは、近接覚や力覚を含む場合などもあるが、主に対象物体との接触によって生じる接触面上の力学情報を取得するものとして定義されてきた。実際、過去凡そ10年間で出願された特許は100件前後もあるが、そのほとんどが温度検知を含まないものであった。



人間の指先は物に触れた時、そこからの圧力とその温度を感じ取ることができる。そこで義手、義足及び人工皮膚等に健常時(又は健常者)と同等の感覚を再現(又は実現)させるためには、接触圧力と温度を同時に検知できるセンサが必要となる。また、人間の体内における最も基本的であり、かつ重要な情報として体温と血圧があげられる。即ち、健康状態を把握するための重要なパラメーターとして、ここでも圧力と温度の検知が要求される。さらに、体内の患部付近に限定された微小領域におけるそれらを測定する場合には、非常に小型の圧力及び温度を検知できるセンサが必要になる。



このように、生体が外界から受ける情報及び内部から発する情報として、圧力と温度は非常に重要な役割を持ち、これらを確実に検知することが可能になれば、身体障害者の機能改善並びに医療技術の向上等、福祉・医療の分野に大きく貢献できる。従って、圧力と温度を同時に感度良く検知できる超小型のセンサが強く望まれている。



上で述べた過去の先願中、温度検知機能を含めているものは僅か3件に過ぎなかった。それらを以下に簡単に示す。その一つとして、複合化、小型化及び集積化に好適であり、信号処理機能を有し、圧電体膜からなるとともに温度センサを備えていることを特徴とする触覚センサが提案されている(特開平9-203671)。しかし、接触圧等を検知する圧力センサにおける温度感度及び温度センサにおける圧力感度についての対策が全く考慮されておらず、特にセラミックスは温度及び圧力感度がともに高いにもかかわらず、温度補償及び圧力補償なども考慮されていない点は問題である。



また、力学作用検知及び熱伝達検知にそれぞれ歪ゲージ及びサーミスタを用いて、多方向成分の機械的力学作用及び接触対象との間の熱伝達を検知する触覚センサ装置が提案されている(特開平10-264077)。しかし、このセンサ装置は通常の歪ゲージを斜めに埋め込む構造をしているため小型化が難しく、又サーミスタが、変形の影響を受けない周縁部に置かれているため、同じ地点の歪・温度検知にならない。しかも上記先願(特開平9-203671)と同様、歪(圧力)ゲージの温度補償が考慮されていないことも問題である。



さらに、弾力性のある人工皮膚部材中に、非接触で外部より電力を供給し、変形及び温度を電気信号に変換し、これを外部に非接触で伝達するセンサ素子を多数埋設した触覚センサ及び触感検知システムが提案されている(特開平11-245190)。センサ素子には変形や温度変化に応じて発振周波数が変化することを利用したLC発振器を用い、電源として整流回路を伴った高周波電力受信コイル(ループアンテナ)が使用される。そこへの信号伝達には人工皮膚部材の外に置かれた高周波コイルが用いられる。この素子及びシステムは、変形及び温度変化の検出に同じ一種類の素子を用い、しかも変形及び温度変化ともに発振周波数という同じ一種類の物理量の変化でしか検知できないので、変形と温度変化との区別がつかず問題であり、また、これも同様に温度補償及び圧力(変形、歪)補償が考慮されていないことが問題である。



以上のように、先願における温度検知は実際に使用される時の状況を全く考慮していないため、温度を正しく、かつ同時に検知可能とする触覚センサは提供されるに至っていない。一方、触覚センサとしてではないが、歪と温度を検知するための歪・温度センサが種々提案されており、該センサでは温度補償及び歪補償等についても考慮がなされてきた。



例えば、歪ゲージの抵抗値は外力(圧力)による変形(歪)量に比例して変化するだけでなく、周囲温度の変化によっても変化する。そこで一般に、外力が印加される物体表面に4枚の歪ゲージを貼り、これらからなるホイートストンブリッジ回路を構成することにより温度補償を行う方策がとられている。



歪の検知に加えて、温度も同時に測定可能とする歪・温度センサとして、歪検出用ホイートストンブリッジ回路の他に温度検出用感温抵抗素子を用いるもの(特開昭58-134394号)およびホイートストンブリッジ回路を構成する歪ゲージの中で、歪検出を行うもの以外の歪ゲージの一つを温度検出用として用いるもの(特開平1-206113号)がある。



前者は、電源を2つ必要とすること、並びに従来の、例えば熱電対や抵抗測温体のような形状のしっかりしたものを付属させる場合には、それらの存在によって、印加された外力による表面歪の発生が阻害されてしまうことなどの問題がある。また後者は、本来歪ゲージは温度による変動を抑えるために、温度感度の小さなものが用いられているため、それを温度センサとして用いるには温度感度が悪いという欠点がある。さらに両者に共通の問題として、温度検出素子が歪測定の場合のように、ホイートストンブリッジ回路を構成していないため、歪やその他雑音等の影響を受けやすいこと、並びに個別の歪ゲージをまとめて狭い場所に貼ることができないことなどがあげられる。



これらの問題を克服するために、薄膜抵抗体を用いた歪・温度センサが提案されている(特開平5-34182号)。これは、一つの絶縁基板上に、同一の薄膜抵抗を用いた歪検出用と温度検出用2つのホイートストンブリッジ回路を形成して、補償することにより、高精度に歪と温度の検出を行おうとするものである。

産業上の利用分野


本発明は、手や足の機能を失うか又は制限されている人を補助するために用いられる義手・義足において、又は医療、介護、福祉、産業機械、検査・探査、研究、趣味・娯楽及び遊具・玩具等に用いるロボット・マニピュレータにおいて、又はカテーテル及び内視鏡等の体内挿入型医療器具において、又は欠損した生物の皮膚等に代替して用いる人工皮膚において、人間の手足及び皮膚と同様、温度及び接触圧力を同時に精度良く検出可能なセンサに関する。



さらに詳しくは、本発明は、導電性基板上に絶縁性膜を形成し、さらに当該絶縁性膜上に又は絶縁性基板上に、原子量比にて鉄(Fe)10~70%及び残部パラジウム(Pd)と少量の不純物からなる薄膜温度検知材料と、原子量比にて窒素(N)0~40%及び残部クロム(Cr)と少量の不純物からなり、その結晶構造がbcc構造のみからなるか又はbcc構造とA15型構造の両者からなる薄膜歪検知材料とを並べて成膜してなる複合素子からなるか、又は、それらのうちいずれか一方を成膜した表面に絶縁性膜を形成した後、さらにその上に他の一方を重ねて成膜してなる複合素子からなる温度及び接触圧力を同時に検知することを特徴とする薄膜触覚センサを上記用途に提供することに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
導電性基板に形成された絶縁膜又は絶縁性基板上に、原子量比にて鉄1070%及び残部パラジウムと少量の不純物からなる温度検知材料薄膜と、窒素040%及び残部クロムと少量の不純物からなり、その結晶構造がbcc構造のみからなるかもしくはbcc構造とA15型構造の両者からなる歪検知材料薄膜とを配列成膜するか、あるいは中間に絶縁膜を介して積層成膜してなる複合素子を含んでなり、温度及び接触圧力を同時に検出することを特徴とする義手・義足用薄膜触覚センサ。

【請求項2】
導電性基板に形成された絶縁膜又は絶縁性基板上に、原子量比にて鉄1070%及び残部パラジウムと少量の不純物からなる温度検知材料薄膜と、窒素040%及び残部クロムと少量の不純物からなり、その結晶構造がbcc構造のみからなるかもしくはbcc構造とA15型構造の両者からなる歪検知材料薄膜とを配列成膜するか、あるいは中間に絶縁膜を介して積層成膜してなる複合素子を含んでなり、温度及び接触圧力を同時に検知することを特徴とするロボット・マニピュレータ用薄膜触覚センサ。

【請求項3】
導電性基板に形成された絶縁膜又は絶縁性基板上に、原子量比にて鉄1070%及び残部パラジウムと少量の不純物からなる温度検知材料薄膜と、窒素040%及び残部クロムと少量の不純物からなり、その結晶構造がbcc構造のみからなるかもしくはbcc構造とA15型構造の両者からなる歪検知材料薄膜とを配列成膜するか、あるいは中間に絶縁膜を介して積層成膜してなる複合素子を二個以上単一基板上に形成してなり、一次元又は二次元の温度分布及び接触圧力分布を同時に検出することを特徴とするロボット・マニピュレータ用薄膜触覚センサ。

【請求項4】
導電性基板に形成された絶縁膜又は絶縁性基板上に、原子量比にて鉄1070%及び残部パラジウムと少量の不純物からなる温度検知材料薄膜と、窒素040%及び残部クロムと少量の不純物からなり、その結晶構造がbcc構造のみからなるかもしくはbcc構造とA15型構造の両者からなる歪検知材料薄膜とを配列成膜するか、あるいは中間に絶縁膜を介して積層成膜してなる複合素子を含んでなり、温度及び接触圧力を同時に検知することを特徴とする体内挿入型医療器具用薄膜触覚センサ。

【請求項5】
導電性基板に形成された絶縁膜又は絶縁性基板上に、原子量比にて鉄1070%及び残部パラジウムと少量の不純物からなる温度検知材料薄膜と、窒素040%及び残部クロムと少量の不純物からなり、その結晶構造がbcc構造のみからなるかもしくはbcc構造とA15型構造の両者からなる歪検知材料薄膜とを配列成膜するか、あるいは中間に絶縁膜を介して積層成膜してなる複合素子を二個以上単一の基板上に形成してなり、一次元又は二次元の温度分布及び接触圧力分布を同時に検出することを特徴とする体内挿入型医療器具用薄膜触覚センサ。

【請求項6】
導電性基板に形成された絶縁膜又は絶縁性基板上に、原子量比にて鉄1070%及び残部パラジウムと少量の不純物からなる温度検知材料薄膜と、窒素040%及び残部クロムと少量の不純物からなり、その結晶構造がbcc構造のみからなるかもしくはbcc構造とA15型構造の両者からなる歪検知材料薄膜とを配列成膜するか、あるいは中間に絶縁膜を介して積層成膜してなる複合素子を含んでなり、温度及び接触圧力を同時に検知することを特徴とする人工皮膚用薄膜触覚センサ。

【請求項7】
導電性基板に形成された絶縁膜又は絶縁性基板上に、原子量比にて鉄1070%及び残部パラジウムと少量の不純物からなる温度検知材料薄膜と、窒素040%及び残部クロムと少量の不純物からなり、その結晶構造がbcc構造のみからなるかもしくはbcc構造とA15型構造の両者からなる歪検知材料薄膜とを配列成膜するか、あるいは中間に絶縁膜を介して積層成膜してなる複合素子を2個以上単一の基板上に形成してなり、一次元又は二次元の温度分布及び接触圧力分布を同時に検出することを特徴とする人工皮膚用薄膜触覚センサ。

【請求項8】
温度検知においては圧力センサが検知した圧力と温度センサの圧力感度から圧力による電気抵抗変化分を計算によって取り除くことで検知した温度を補正することができ、圧力検知においては温度センサが検知した温度と圧力センサの温度感度から温度による電気抵抗変化分を計算によって取り除くことで検知した圧力を補正することができる信号処理回路もしくはコンピューターを含んでなる温度及び接触圧力を同時に検知することを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載薄膜触覚センサ。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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