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塩基性軸配位子を有する置換テトラフェニルポルフィリン化合物 コモンズ

国内特許コード P110002805
整理番号 A051P192
掲載日 2011年6月8日
出願番号 特願2000-320025
公開番号 特開2002-128781
登録番号 特許第3455174号
出願日 平成12年10月19日(2000.10.19)
公開日 平成14年5月9日(2002.5.9)
登録日 平成15年7月25日(2003.7.25)
発明者
  • 土田 英俊
  • 小松 晃之
  • 松川 泰子
  • 宮武 薫
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 塩基性軸配位子を有する置換テトラフェニルポルフィリン化合物 コモンズ
発明の概要 【課題】 赤血球の値に近い酸素親和性を有し、安定性の高い酸素錯体を形成でき、人工酸素運搬体として有効に作用するポルフィリン化合物を提供する。
【解決手段】 一般式(I)
【化1】
(ここで、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基、R2はC1~C10のアルキル基、R3はC1~C18のアルキル基を表わし、Mは二つの水素原子または金属イオン、X-はハロゲンイオン、nは0またはX-の個数を示す金属イオンの価数から2を差し引いた整数である)で示される置換テトラフェニルポルフィリン化合物とする。
従来技術、競合技術の概要


ヘモグロビンやミオグロビン中に存在するヘム、すなわちポルフィリン鉄(II)錯体は、酸素分子を可逆的に吸脱着できる。この様な天然のヘムと類似の酸素吸脱着機能を合成のポルフィリン鉄(II)錯体で実現しようとする研究は従来数多く報告されている(例えば、J. P. Collman, Acc. Chem. Res., 10, 265 (1977)、F. Basolo, B. M. Hoffman, J. A. Ibers, ibid, 8, 384 (1975)など)。特に、室温条件下で安定な酸素錯体を形成できると報告されているポルフィリン鉄(II)錯体としては、5,10,15,20-テトラキス(α,α,α,α-o-ピバルアミドフェニル)ポルフィリン鉄(II)錯体(以下、FeTpivPP錯体と呼ぶ)が知られている(J. P. Collman, et al., J. Am. Chem. Soc., 1975, 97, 1427)。
FeTpivPP錯体は1-アルキルイミダゾール、1-アルキル-2-メチルイミダゾールなどの軸塩基が共存すると、ベンゼン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中、室温において分子状酸素を可逆的に結合できる。また、この錯体は、リン脂質から成る二分子膜小胞体に包埋させれば生理条件下(水相系、pH 7.4、≦40oC)でも同様の機能を発揮する(E. Tsuchida,et al., J. Chem. Soc., Dalton Trans., 1984, 1147)。しかし、FeTpivPP錯体が酸素を可逆的に結合解離するために軸塩基として必要なイミダゾール誘導体には薬理作用を持つものがあり、体内毒性の高いものが多い。また、リン脂質小胞体を利用する場合、過剰なイミダゾール誘導体がその形態を不安定化させる要因となるという問題もあった。
そこで、軸塩基の添加量を極限的に少なくする方法として、分子内に共有結合でイミダゾール誘導体を導入することが考えられる。この出願の発明者らは、ポルフィリン鉄錯体へ置換基として、例えばアルキルイミダゾール誘導体を導入すれば、軸塩基を外部添加することなく安定な酸素運搬体を供給できるものと考え、既にポルフィリン環の2位に置換基を有するFeTpivPP錯体と、これをリン脂質小胞体中あるいはヒト血清アルブミンに結合させた系について、可逆的な酸素の吸脱着反応を報告している(特開昭59-164791号公報、特開昭59-162924号公報、特開平8-301873号公報)。
また、これらのポルフィリン鉄(II)錯体の水溶液や分散液を赤血球の代替物として使用することを考えた場合には、分子設計の過程で、酸素親和性(全体の50%のヘムに酸素が結合する際の酸素分圧)を適当な値、すなわち生理条件下で赤血球と同等の酸素親和性の値に調整することが重要となる。一般に、N-置換イミダゾールを分子内に結合した場合、酸素親和性が高く、赤血球代替物として使用できるものにはならない。そこで、酸素親和性を下げる方法として、従来、イミダゾール環の2位にメチル基などの立体障害基を導入し、イミダゾール窒素と中心鉄(II)の結合を緩めることにより、酸素親和性を調節することが広く行われてきた。しかしその一方で、メチル基の存在により、酸素錯体の安定性が低下する傾向も見られていた。つまり、イミダゾール環の2位に立体障害基がなく、酸素親和性が適当な値を示す、分子内塩基型のポルフィリン鉄(II)錯体の開発が望まれていたのが実情である。
また、ヘモグロビンのヘムに配位結合した近位塩基はヒスチジン残基のイミダゾールであることは良く知られているが、これを合成のポルフィリン化合物、特にテトラフェニルポルフィリン化合物に導入する場合には、これまで必ずN-置換イミダゾール誘導体やピリジン誘導体が用いられてきた(例えば、Momentau et al., Chem. Rev., 110, 7690 (1994)など)。すなわち、ヒスチジン誘導体をテトラフェニルポルフィリン化合物に共有結合した例は、これまで知られていなかったのである。

産業上の利用分野


この出願の発明は可逆的に酸素を結合脱離でき、安定な人工酸素運搬体として利用できるテトラフェニルポルフィリン化合物に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(ここで、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基、R2はC1~C10のアルキル基、R3はC1~C18のアルキル基を表わし、Mは二つの水素原子、X-はハロゲンイオン、nは0である)で示される置換テトラフェニルポルフィリン化合物。

【請求項2】
1は一般式(II)
【化2】

(ここで、R4はC1~C18のアルキル基である)または1-メチルシクロヘキシル基である請求項1の置換テトラフェニルポルフィリン化合物。

【請求項3】
一般式(I)
【化3】


(ここで、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基、R2はC1~C10のアルキル基、R3はC1~C18のアルキル基を表わし、Mは第4~5周期の遷移金属イオンであり、X-はハロゲンイオン、nはX-の個数を示す金属イオンの価数から2を差し引いた整数である)で示される置換テトラフェニルポルフィリン金属錯体。

【請求項4】
MがFeまたはCoのイオンである請求項3の置換テトラフェニルポルフィリン金属錯体。

【請求項5】
Feの価数が+2価または+3価である請求項4の置換テトラフェニルポルフィリン金属錯体。

【請求項6】
Coの価数が+2価である請求項4の置換テトラフェニルポルフィリン金属錯体。

【請求項7】
少なくとも請求項3ないし6のいずれかの置換テトラフェニルポルフィリン金属錯体を含有する人工酸素運搬体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 単一分子・原子レベルの反応制御 領域
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